参考 その1からの続きになります。
NHK正月時代劇『風雲児たち ~蘭学革命篇~』
2018年1月1日(祝・月)19:20~20:49
原作 みなもと太郎『風雲児たち』
脚本 三谷幸喜
ナレーション 有働由美子アナウンサー
出演
- 前野良沢:片岡愛之助
- 杉田玄白:新納慎也
- 中川淳庵:村上新悟
- 桂川甫周:迫田孝也
- 平賀源内:山本耕史
- 奥平昌鹿:栗原英雄
- 田沼意次:草刈正雄 ほか
参考 公式ページ
参考 イベントレポ
襲撃事件
淳庵と入った茶屋で「甫周の父ちゃん当てにならないみたいだよ」みたいな話をしていた玄白。と、その時に不穏な視線を感じてすぐに店を出る二人。
しかし、すぐに追手に囲まれてしまい・・・とりあえず「医者だ」と語るも全く聞く耳を持ってもらえず今にも斬りかかってきそうな雰囲気に。そこで玄白がやった行動というのが…
「やっておしまい!!」
とタイムボカンのドロンジョ様ばりな命令wwで淳庵に前面攻撃を託して自分が後ろで守りを固めるというセコい手でした😅😅。しかも淳庵さんに渡したのって、柄杓ですからね(笑)。あれじゃあ武器にも何にもなりゃしない。淳庵、よくあれで「えーーい!!」って向かって行けたよね(笑)。
とりあえず、相手を混乱させることには成功した二人ですが(玄白が淳庵の手をしっかり持ってくれてたのがツボww)、すぐに突き当たりになってしまい追いつかれ万事休す。もうあかん!!って時に、正義のヒーローのようなお侍さんが登場しました。
林子平さん。名前だけは何だか聞いたことがあります。演じていたのが「真田丸」で癒し系の小山田茂誠を演じていた高木渉さん😀。今回は剣術の使い手のようで、バッサバッサと敵を峰うちで倒していくカッコよさ!さらに名前を聞かれても「名乗るほどのものではござらん」と気障なセリフまで決まってますw。
が、その直後に自分の投げた瓢箪に躓いて転びそうになっちゃうっていうオチ付き😅。カッコいいだけで終わらせないところが三谷さんの愛情かな。
子平のおかげで命拾いした玄白たちでしたが、医者という立場上、峰打ちされた追手の手当てをすることに。こういう描写があるのがなんだかとても良かったですね。なんだかんだで彼らは「医者」なのです。
分かれ道
だんだんと集まって翻訳する機会も減り、良沢は一人で没頭する時間が増えていく。そんななか、出版に向けての根回しに奔走していたのが玄白でした。須原屋という版元に本をアピールする玄白。「この本は危ないやつだ」とドの効きすぎるようなメガネをかけて見入るちょっと妙なおじさんw・・・
御屋形様…!!!じゃなかったww、「真田丸」で上杉景勝を演じていた遠藤健一さんではありませぬか😀。ビン底メガネで笑うと何だかめちゃめちゃ可愛いんですけどww。
この方、本の内容については「ちんぷんかんぷん」と言っておりますが(そもそもまともに字が読めたのかも謎)、玄白の意気込みと「売れるかも」っていう嗅覚だけは確かなようでした。平賀源内の書いた本も出版した経験があるらしいので、これは出版したら期待が持てそうです。
喜び勇んで良沢の元に「版元と話がついた!」と報告に行く玄白でしたが・・・
「この前野良沢、命ある限りオランダ語の読み分けに取り組むつもりです」
という回答が返ってきて呆然としてしまう。つまり、良沢は医療のための本を出すという事よりも、より細かく正確な日本語に翻訳することが医療の役に立つと考えていた。微妙な表情の玄白たちを前に、新しく考えた訳を披露する良沢。
「鼓膜」と「十二指腸」
この言葉を編み出したのって、前野良沢だったのか!!!そこまで訳したなんて…本当に素晴らしい!それが現代でも受け継がれているってすごいことです。良沢さんもきっとあの世で喜んでいることでしょう。
しかしいち早く出版にこぎつけて他の医者にも学んでほしいと考える玄白は、オランダ語に没頭する良沢に愛想を尽かし始める。「あの人は医術よりも心の世界に心を奪われている」と・・・。この意見には淳庵も賛同せざるを得ません。医術のためという最終目的は同じなのに、その方法論が全く異なってしまった二人が何とも歯がゆく切なく感じました。
そしてとうとう、良沢は自分の訳に納得することができずに「出版は中止だ!!」と言い出してしまう。完璧主義で融通が利かない良沢なだけにいくら説得しようとしても埒が明かない。
「一石を投じるためにもまずは出版するべき」という玄白と「的外れな石は投げられない」と曲げない良沢。二人の対立はより激化していくことに…。二人に挟まれた淳庵さん、お気の毒です(苦笑)。
解体新書
なんとしても良沢に出版を納得させたい玄白は、ある策を思いつきます。それが「予告を出す」ということ。先に簡単な図の説明を記したものを出版して、その間に良沢に心行くまで翻訳作業に取り組んでもらうっていう建前を思いついたわけだね。
この話にちょっと怪訝な表情を見せた良沢でしたが、「予告なら…」ってことでOKが出ました。その予告本の名前は「解体約図」に決定。そして、そのあとに出す正規本のネーミングが
「解体新書」という事になりました。玄白と淳庵が考えたんですかね😀。訳すと「体内を解き明かす新しき書」ってことで、良沢も「良い名だ」と久しぶりに彼らと意気投合することができました。
「予告倒れにならぬよう、私もより一層頑張らねばならんな」
と、翻訳作業にさらに熱を入れることを誓う良沢先生。その純粋な想いは立派なんだけど、玄白たちはそこには期待していないわけで…そのすれ違いがなんだかとても切なく感じました😢。
出版された「解体約図」を見た珉子はその中に良沢の名前が掲載されていないことに憤る。娘が亡くなった日ですら翻訳作業に打ち込んでいた夫の行動を彼女は今も許せないでいたのかもしれないですね…。そこまでして携わってきたのに、夫の名前がないという事は珉子には耐えられない出来事だったっていうの…その気持ちは何だかよく分かってしまう😢。
良沢の名前を外して出版したことに罪悪感を感じる淳庵でしたが、玄白は「解体新書を出して自分が捕まっても良沢さえ残っていれば、いずれそれは完成する」という考えからだったよう。全ては医学の発展のため。適当に見えた玄白も実はけっこう深く考えていたりするんですよね。
でも、その道連れに淳庵もって考えてるところがなんとも姑息なんですが(笑)。
田沼意次邸にて
「田沼のおっさんに会いたかったら俺に相談しな!」と言っていた源内のことを思い出し連絡を取った玄白は、解体新書出版の根回しをするために源内と田沼意次の元を訪れます。
大殿、キターーー!!!じゃなくてw。「真田丸」で表裏卑怯の昌幸を演じていた草刈正雄さん。今回もさすがの存在感でございます。金権政治、やってそうだよ、ほんとにww。
まずは源内の持ってきた「キテレツ」披露から。びりびりと怪しい光を放つ「キテレツ」に奇妙な顔して見入ってる田沼が面白い。でももっと笑えたのが後ずさってビビッて逃げ出しそうな勢いの玄白www。新納くんの動きが可愛かった😁。
で、解体約図の下にしっかりと賄賂を忍ばせていた玄白。そのあたりホント抜かりないよね~この人は😅。それを見た田沼は最初は「なんじゃこれは」と不機嫌になりかけてて「ヤバっ」と思った玄白はすぐにそれを引き取ろうとしますが、「せっかくだからもらっとく」と結局は田沼の元へ渡ることにwww。結局は欲しかったんだろうが😅。こういう姑息な役がハマりますなぁ、草刈さんは。
田沼は開国思想を持っていたようですが、幕府の中枢は反対派が多くそれが叶わないらしい。解体約図を目にして、改めて海外の物事に興味を持ったようでしたが…田沼さんの個人的な感想は
「気持ち悪い」
でしたwwww。うん、その気持ち、よっく分かりますよ、田沼さん😅。ものすごく素直なご意見でございます。でもそれが、あなたの体内の様子でもあるのですよw。
「我が国の医術を変える代物でございます」という玄白の熱い説得に気持ちは傾いてくれた様子。次に出す「解体新書」はもっとすごい内容なのだと聞くと「必ず売れ!!」と一度は自分のものにしようとした賄賂を玄白に「そのために使え」と返してくれました。金に汚いとは聞いていましたが、こういうところはちゃんとしてる人なんですね。ちょっとイメージ変わりましたよ😊。まぁ、金が儲かることのほうにしか興味はなさそうでしたけどねw。
恩師
その頃、オランダ商館のカピタン一行が江戸を訪れていました。その通訳としてかつて良沢が師事したすごい人もやって来ているらしい。これを機に、分からない単語や間違った訳を相談してみようと話してみる玄白たちでしたが…良沢はなぜかそれをかたくなに拒絶。
「こんなつたない訳を、大通詞殿に見せられるか!!」
あぁ、そう来るわけだね😅。自分が師事していた先生だからこそ、弱みを見せたくない、みたいな。でも、「最も大事なのは正しく訳すことだって言ってたじゃないですか」という淳庵の言葉に怯む良沢。なんだかんだ駄々はこねてましたがww、結局行くことになりました。
良沢の恩師・吉雄耕牛先生登場!!あ、秀吉さんではないですか(笑)。今回も立場的には愛之助さんの上ってことになってるわけですね😁。
「オランダ語って本当に難しいですよね」と理解ある言葉を口にする吉雄先生。良沢的にはこの期に及んでもまだ恩師に自分の訳を見てもらうことが怖い様子。
そんななか、チェックが始まったわけですが・・・なんかページをめくる手が早すぎやしませんか、先生😅😅。あまりにも早くにパラパラめくりだすのでみんな一気に不安になっちゃって、良沢などはもう一巻の終わりみたいな顔になってましたよw。ところが・・・
「素晴らしい仕事をされましたな!!!」
と涙ぐんじゃってる😅。良沢のそばに駆け寄って大絶賛されていたんですが(玄白さんのことを突き飛ばしてたの笑ったww。今回もそんな関係な二人みたいな😅)、本当に読んでいたのかどうか非常に怪しい。あの吉雄先生に褒められても、かえって不安になってしまうのは分かる気がしました。まぁ、良沢の場合は「教わる人がいなくなってしまった」ってことで落ち込んじゃうわけですがww、個人的にはそっちじゃない方で凹んだ方がいいと思うぞと😅。
そんななか、着々と出版に向けて進める玄白。源内から蘭画が得意な青年を紹介してもらい、それらしいものを描くよう依頼しています。
それが、加藤諒くん演じる「小田野・武助」くん。名前切るとこ間違わないように(笑)。加藤くんは「真田丸」では源次郎の娘婿を演じてましたね。ラストシーンで出てきたの、泣けたの覚えてる…。
それにしても、この武助さんの才能は大したものですね!あの時代にあんな精巧な絵を描けたとは!!それにしても玄白さんの注文が雑すぎww。
さらには、原稿を客観的な目でチェックするためにある若者が翻訳メンバーに加わりました。
「真田丸」で秀頼を好演した中川大志くん演じる石川玄常です。新納くんが「若い子が入ってくると場が華やかになった」って盛んに言ってたなww。この時のことだったか😁。
玄常はチェック作業をしただけで、他には大したことしてないらしいw。それでも「解体新書」に名前を残したらしいので・・・「な~んか釈然としないんだよなぁ」っていう甫周の気持ちはとてもよく分かります😅。まさに美味しいとこどりみたいな感じだしね。まぁ、実際のところはそれ以外にも活躍したんだろうけど。
袂を分かつとき
武助の描いた絵を見た良沢はえらく感動した様子で、玄白たちも「これを本文と合わせれば完成できますね!」と喜んでいたのですが…なぜか良沢は浮かない表情。今度はなにかと思ったら…
「絵の緻密さが訳のいい加減さを際立たせているのだ!!」
という事のようで(苦笑)。玄白も思わず「そう来たか」とうんざり😅。納得してもらえると思ってやった行動が良沢にとってはすべて裏目に出た形になってますね(苦笑)。良沢の納得できそうな翻訳作業はヘタすると3年以上かかりそう…。
一刻も早く他の医者のためにも出版したい玄白と、不完全な訳のまま出版することはかえって他の医者のためにならないと考える良沢。二人の議論は平行線で、さらにその言動は過激になっていく。そしてついに玄白は「あなたが守ろうとしているのはご自分の名ではないですか!?」と言ってしまう。それに激怒する良沢でしたが、「あなたの小さな見栄のためにこの国の医術は後れを取ってしまう」と玄白の言葉は止まらない。
「あなたがまともな医者であるならば今すぐこの本を出すべきだ!それができないのならば、もはやあなたは医者ではない!!!」
ついに、言ってはいけない本音の部分を良沢にぶちまけてしまった玄白。そんな玄白に何も言葉を返さないまま睨みつけている良沢。二人の溝はこの時決定的となってしまいました…。我に返った玄白はその後謝罪しましたが、これからの医療のために今すぐ本を出すべきだという点では一歩も譲っていないと思います。
そんな玄白に、良沢は「それほどまでに仰るなら」と原稿の一切を託すことに決めます。しかし、それにはある条件がありました。
「今回も私の名を外していただく…!これだけは、必ず守っていただきたい…!!」
自分の納得できない訳で出す本に、その名前を残したくなかったのでしょうが…なんともやりきれないですねぇ😣。その決意の固さに玄白も淳庵も何も言葉を返せませんでした。
最後に良沢は自分で考えた新しい訳を淳庵に打ち明ける。目の前にいる玄白ではなく淳庵にというのが…なんとも頑固な良沢らしい。
「セイニュ=神経」
神の気を伝える系脈…という意味だそう。
この言葉も、必死に辞書引いて頑張って編み出したんだろうね…良沢さん。その言葉があまりにも静かで穏やかで…なんだか聞いていて胸が詰まる思いがしてしまいました😭。こういうお芝居も愛之助さんは非常に繊細で巧いと思います。
複雑な想いでその場を後にする玄白と淳庵。しかし玄白は今すぐに出版するというところでは全く間違っていると思っていない。たとえ良沢の名前が載らず手柄を独り占めしたと陰口をたたかれても、医学が発展するためならばそんなことは構わないとハッキリ告げる玄白。
一方の良沢も、家族の前で「私の名前など歴史に残らんでもよい!」とキッパリ告げている。しかし妻はそんな夫のことが理解できない。誰よりも解体新書の翻訳に尽力していた姿を見てきたのは家族でしたからね…。そう思うと本当に切ない。
「私は、名が欲しくてやってきたのではない。すべては医術のため!!」
二人の想うところは同じなのに、そこにたどり着くまでの道筋があまりにも違いすぎた…。目的も想いも重なっていた2人が袂を分かってしまうのはとても悲しかったです😭。
そしてほどなくして、遂に解体新書が出版されました。骨ヶ原の腑分けを見てから3年半の月日を経ての出版だそう。須屋原さんの売りっぷりが豪快で何だか可愛かったなww。
その完成した「解体新書」を前野良沢に届けたのは…一緒に励んできた中川淳庵でした。おそらく、玄白が渡してきてほしいと頼んだのではないかな…。なんだかんだで一緒に苦労を重ねてきた仲間だったから。そうあってほしいです。
ページをめくり、自分の名前が記されていないことを確認する良沢。出版にあんなに反対してきた彼ですが、いざ完成したものを手にすると言いようのない想いが湧き起ってきたんだと思います。
「できた・・・・な」
万感の思いを込めたこの一言が泣けました😭。愛之助さんのお芝居、やっぱり好き😊。
漢方医たちの襲来
その頃、桂川家には漢方医の多紀元徳御一行様が襲来して大変なことになっていました😅。
ついに本格的に登場しました、山西惇さん演じる多紀元徳!!「後ろの人たちが怖い…特に自分の左側にいた人がヤバかった」って山西さんがトークショーで語ってたのを思い出して笑ってしまったww。たしかに、向かって右の人・・・かなり目つき怖い感じです😅😅。しかも圧の凄さハンパないっすねwww。こりゃ、山西さんもプレッシャー感じるはずだ(笑)。
彼らが怒鳴り込んできたのは、西洋医学書でもある「解体新書」を幕府に献上する動きを察知したからでした。漢方医たちからしてみれば、西洋医学はまさに敵ですからね。
ここで「任せなさい!」と大口をたたいていた桂川甫三お父ちゃんの出番!!にならなければいけなかったはずなのですが・・・本を守るには守っていたんだけど、怯えきっちゃって腰抜かしたまま縮こまるばかり😅。予想以上の期待外れっぷりに息子の甫周も失望感を隠し切れない様子w。
そこへ「その本、私が預かる!」と助け舟としてやってきたのが、田沼意次です。御家老様登場!!ってことで、さすがの多紀たち漢方医集団も一目置くしかない。「上様ご本人のお目にかなうものか、上様ご本人に確認いただくのが筋」というごもっともな意見に多紀は何も言い返せない。こういうところの貫禄はさすがですな!
「上様の御眼力を疑う気か?」とまで言われたら、多紀さんも引き下がるっきゃないですな。お気の毒ではありますけど、時代が動いてる時ってことで・・・ここは耐えてくださいな😅。
助けてくれた田沼様でしたが、「解体新書」をかっているわけでもなさそうで…イラスト見てまた一言「気持ち悪い・・・」とwww。うん、まぁ、それ、もっともな反応だよね😅。
昌鹿の優しさ
「解体新書」が出版された報告をしに良沢が中津藩江戸屋敷を訪れていました。
物語終盤に入り、やっと栗原英雄さん演じる奥平昌鹿が登場してきました~~!!中津の藩主様で、良沢の長崎行なども支援してくれたありがた~いお人です。髭もそって減量もしたって栗さんトークショーの時に言ってたけど、なるほど、本当に色々すっきりして清廉潔白なお殿様に見えます😊。30代くらいって言ってたけど、それくらいに十分見えるし、貫録もあるし、さすがの存在感でした!
良沢が「ターヘル・アナトミア」を手に入れられたのは、奥平様の支援金があったからだというのがここで判明。なるほど、それで購入できたのか!「あの時の金、ようやく生きたな」と笑って言ってくれる奥平様・・・優しい。しかし、「解体新書」には良沢の名前は載っていないわけで、なぜ殿がそんなことを言い出すのか分からない良沢。
「何のことでございましょう?」と告げると、「解体新書はあの本が元になっているのであろう」と見事に言い当ててみせる奥平様。この方はちゃんと分かってくれていたんですね…解体新書に尽力した人物の中に良沢がいたという事を😢。
奥平は本の中に良沢の名前がないことを不思議に思っていました。それに対し「その本には良沢まだまだ不満にございますゆえ…」と頭を下げる良沢。手柄を取られてもいいのかと聞かれても
「殿にだけお分かりいただければ」
とその精神は揺らぐことがない。敬愛する藩主様だけに分かってもらっていれば、良沢はそれだけで本当に充分だったんでしょうね😢。
そんな彼に奥平は「お前はオランダ語に没頭しすぎて藩医の仕事を殆どしてないみたいだが、天下後世の人のために尽くすのは立派な務めである」と理解を示してくれる。なんて良い殿さま…!!
「お前はまるで、オランダの化け物だな。化け物じゃ☺」
トークショーで愛之助さんと栗原さんが「すごく顔が近くなるシーンあったよね」と盛り上がっていたのはこの場面ですな!!二人の親密な関係性が伺える距離で・・・なんか見ていて泣きそうになっちゃいましたよ😭😭。とても素敵なシーンだった。
奥平昌鹿は、良沢のことを本当に認めていたんですね。包み込むような優しさあるお芝居が素敵でした、栗さん!
この日以降、前野良沢は自分のことを「蘭化」と呼ぶようになりました。
一方、田沼邸には平賀源内が招かれていたようです。「解体新書」が売れていることに満足している様子の田沼。でもそのなかに良沢の名前がないことにちょっと気の毒に思っている様子。そんな彼に、源内は「あの者にとって名前を残すことというのはどうでも良い事だったのです」と語る。
畳やふすまや障子も誰かが考えたに違いはないけれども、その誰かの名前は後世に伝わっているわけではない。「名前は虚しいもの」と言う源内に田沼は改めて「名もなき者たちの手によって時代が先に進んでいる」ということを思い知るのでした。
この場面は、栗原さんがドラマの中で一番印象に残ったところってトークショーで語ってましたね。とても素敵な言葉がたくさん出てきました。
寛政四年十一月
時は冒頭の長寿祝いの準備まっさかりな玄白邸まで戻りました。杉田玄白は還暦、前野良沢は古希だそう。ふたりは10離れていたんですね。
玄白は自室にこもり良沢とどんな顔で会えばいいのか悶々とお茶を飲み続けており、良沢は玄白邸に行くことを拒んで一節切を吹くばかり。
なかなか重い腰を上げようとせず頑固な父親に、娘の峰子はたまりかねて「母上との約束を破るおつもりですか!?」と問い詰める。この言葉にはさすがの頑固者な良沢も動揺。
その少し前、病に臥せってしまった妻の珉子。辛いシーンなんだけど、「ゴホッゴホッ」と咳き込む姿が、「真田丸」のおこうさんと重なってしまって😅。なんか、長野さん、病弱な芝居が板につきすぎですww。
死の間際、珉子は良沢に「必ず玄白の招きに応じ欲しい」と言残していました。苦労をかけてきた妻の最期の一言は良沢の胸に深く刻まれます。早くに亡くなった娘の富士子のためにも、良沢には何としても玄白邸に行ってその功績を認めてもらってほしいと願っていたんですよね。その切なる気持ちに泣けました…。なんだかんだ複雑な想いはあったけど、珉子は良沢の成し遂げたことの一番の理解者だったのだと思います。
ついに玄白邸に赴く決意をした良沢。あの時代の古希という年齢で籠に乗るのは大変だっただろうに、姿は老いても体力的にはまだ余裕がありそうでしたね。
そして、紅葉が舞い散るなか、前野良沢と杉田玄白は、あの袂を分かった日以来の再会を果たす。玄白は、「ご無沙汰しております」と一言挨拶をした後、そっと良沢の手を取りました。その瞬間、二人は同時に涙を流していました。会えなかった長い時間、きっと、片時もお互いのことを忘れたことはなかったのだと思います。道のりは違っていても、「医術のためだ」という核の部分だけはまったく同じだった大切な仲間。あんなに苦労を重ね頑張ってきた仲間を、忘れられるはずはないですよね😢。
良沢は玄白を抱き寄せ、その後二人は号泣します…。おそらく、お互いの中に「罪悪感」みたいなものがずっとあったのだと思います。あの抱き合った瞬間に、それが許されたと感じたというのもあったのではないでしょうか。二人の想いが重なり合ったこのラストシーンは涙なくしては見れませんでした😭😭。
時はかかったけど、こうして和解ができて本当によかったです・・・!!
後述
ギャグ漫画が原作という事ことで、歴史ものの笑いは個人的にあまり好きではなかったこともあり最初は不安もあったのですが、しっかりと芯が通った熱い人間ドラマで感動的でした。
ピアノを主体とした音楽もとてもドラマの世界観に合っていて素晴らしかったです。特にラストの一節切とのコラボ音楽は胸にグッと迫るものがありました☺。
確かに笑いのシーンもありましたが、奇をてらったものではなく、アタフタしたりちょっとしたせりふのなかだったりといった自然の中で起こるものだったので違和感がなかったです。こういう描き方は三谷さんの真骨頂でもありますが、約90分という枠のなかだったからこそさらに生きたような気がします。
あと、全体を通して、片岡愛之助さんのブレないどっしりとしたお芝居がものすごく生きてました。あの前野良沢がいたから、このドラマは成り立っていたんだなと思ったくらい。頑固一徹な良沢が中心になっていたことで、新納くんの玄白たちなど他の登場人物が生き生きと動けていたように思いました。愛之助さん、素晴らしいお芝居ありがとうございました😀。
このドラマで名前くらいしか知らなかった「解体新書」のことが少しでも理解できてよかったです。魅力的な登場人物たちにも興味が湧きました。ぜひとも特典付きでディスク化してほしいです。期待しています😁。