これまでの『おかえりモネ』感想レポ
少し落ち着きを取り戻した新次に、耕治や龍己は何があったのかと尋ねる。ここ最近は病院に通い始めたことでお酒もセーブで来ていたし、新しく土木の仕事にも就いていたという。さらにはローンの返済まで始めていて…、おそらく周りの皆も少し安堵していたところだったと思います。それがまたなぜ元の木阿弥のようになってしまったのか…。何か心が乱れるきっかけでもあったのだろうか。
その問いに対し、新次は弱々しく首を振り「5年って長いですか?」とポツリと呟いた。少しずつ前を向こうと努力していた新次でしたが、周囲からは「まだそのような状態なのか」と責められてしまうことも多かったようです…。
おかえりモネ:浅野忠信「台本を読みながら涙が止まらなかった」 新次の「俺は絶対に立ち直らねえ」が強く刺さり https://t.co/KOQlzfhoyZ
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新次にとって「5年」は区切りでも節目でも何でもない。あの日から彼の心の時計はずっと止まったまま…。それだけに「まだ立ち止まっているのか」という言葉はどれほど新次の心を傷つけてきたことかと思うと本当に辛いです…。
でも、そんな中で一つだけとても嬉しい出来事があったという。
それは、息子の亮が「メカジキを50本揚げた」と連絡をくれたことでした。翌日には港に戻るから見に来てほしいと声を弾ませていたであろう亮。それを聞いた時「ガキじゃあるまいし」と苦笑いする気持ちもあったけど、それよりも子供だと思っていた息子が海の男としての成長したと実感させられたことがとても嬉しかったという新次。
でも、その嬉しさがこみ上げればこみ上げるほど、彼のなかでどうしようもない寂寥感が襲ってきてしまったという…。
「それを喋る相手が…、話す相手がいないんだ…。本当だったら、一杯飲みながら一緒に親バカだなって言い合える美波がいないから…」
この新次さんの涙の独白は涙なしには聞けませんでした(泣)。息子の成長を喜び合う相手が、一緒にその想いを共有してほしい人がいない…。美波さんを深く深く愛していたからこそ、新次さんは彼女のいない時間に心が耐え切れなかったのです(涙)。本当は息子の成長を親として誰よりも嬉しく感じているはずなのに、亡き妻を恋しく想う孤独な心がそれを許さないなんて…あまりにも哀しすぎるよ(涙)。
亮の成長を喜ぶ相手を求めるように、気が付いたら元の家の場所に戻って酒におぼれてしまっていたという新次…。自暴自棄になって飲んでいたのではなく、息子の成長を祝うためのささやかな祝杯の意味があったんだろうな。美波さんの魂を感じる場所で、一緒に心で語りながらお酒を飲んでいたのかと思うと…本当にやりきれない。
「迷惑をかけてごめんな」と何度も謝りながら嗚咽する新次に、耕治も亜哉子も龍己も何も言葉をかけることができない。その気持ちがわかるからこそ、かける言葉が見つからなかったのだと思う。
でも、一番心を締め付けられていたのは…知らせを受けて迎えに来ていた亮だったと思います。黙って軒先で聞いていた彼は、泣き崩れる父の背中をもうそれ以上見ることが耐えられなかったのではないだろうか…。
突然窓を居間の開けて「一曲歌うか!!」と叫んだかと思うと、永浦家の押し入れの中にあったカラオケの機械を引っ張り出し夢中でセッティングしようとする。だけど、興奮状態にあるからか手元が定まらずうまく機械を繋げられない。それでも歌おうと必死になる亮。
「いいじゃないですか!メカジキ50本揚げて祝杯挙げたいけれど、誕生日がまだだから酒も飲めない。なら一曲歌わせてもらってもいいでしょ!?」
亮が歌おうとしていたのは、母が十八番としていつも嬉しそうにマイクを握っていた曲「かもめ」。でも、涙声で上手く歌えない。だけど亮がこの時に歌おうとしていたのは、父への心の叫びに他ならなかったのではないでしょうか。
亮くんはおそらく父に喜んでもらおうとものすごく頑張ってメカジキ50本揚げたんだと思います。自分が漁師として立派に後を継げる人間だと思ってもらうことで、新次さんに少しでも立ち直るきっかけを与えたかったんじゃないかな。
だけど、父は美波さんへの想いが強すぎて真っ直ぐ息子に向き合う余裕がない。亮だって母を失った哀しみをずっと抱えて生きている。それでも必死に前を向いて生きようと、少しでも父に元気になってもらおうと、気持ちを奮い立たせて頑張っているのです。でも、父はあの日に立ち止まったままで一向に振りむいてくれることはない…。もしかしたら亮は、新次よりも深い孤独感に苛まれていたのではないだろうか…。そう思うと本当に辛い(涙)。
追い詰められた気持ちに襲われた亮は、涙ながらに思わず父の携帯電話を叩きつけようとしてしまう。
【おかえりモネ】浅野忠信“息子”永瀬廉と楽屋で撮影の話も「とても良い親子関係を作れている」https://t.co/ILEtAnpsOv
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その携帯電話は、新次にとっては愛する妻「美波」そのものだったと思います。彼女が最後に残したメッセージが入っていることで、新次はずっとそれを心の支えに何とかギリギリのところで踏みとどまって生きてきた。
でも、亮としてはその携帯の存在が父をダメにしてしまうものだと感じてしまったのかもしれない…。母の声が残された携帯への父の想いはおそらく亮には痛すぎるほど分かっていたに違いない。だけど、それがある限り父はいつまでたってもあの日に立ち止まったまま…。だったらいっそ取り上げてしまいたい、そんな衝動が起こっていたんじゃないかな…。
しかし新次は「お前の歌なんかでは誤魔化されないからよ!」と厳しい言葉を息子にぶつけ、その手から携帯を奪い返してしまいます…。
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「俺は立ち直らないよ…!!絶対に立ち直らないからな!!!」
”立ち直れない”のではなく、”立ち直らない”と言っているところがあまりにも哀しい…。
新次のなかでは、「立ち直る」=「愛する妻の存在を忘れる」というところに繋がってしまっているのだと思います。あまりにも突然、何の前触れもなく永遠に別れることになってしまったが故に、彼の心の中では全く整理をつけることができないままなのでしょう…。美波が亡くなってしまったという事実を、新次は今もなお受け入れることができないんじゃないかな…(涙)。
だけど、やっぱり亮くんのためにも何とか少しずつでも前に進んでほしいと思う…。今回叫んだのは、彼なりの心のSOSにも聞こえたんですよね。お父さんのことが大好きで、自分と向き合ってほしいと思い続けている亮。彼の想いが何とか報われる方向に進んでほしい…。
その日、亮と新次は永浦家に泊まることになりました。
少し落ち着いた亮は百音の勉強部屋を訪れて、勉強する時間がない時に騒ぎになってしまったことを謝罪しました。あえて「自分は大丈夫」とアピールするかのように笑顔を浮かべ「ごめんな」って謝るりょーちんが逆に見ていて辛い…。
百音と未知もそんな彼にただ首を振って否定することしかできない。そして百音は、「なんでりょーちんが謝んの?りょーちんが謝ることない…」とポツリと呟きます。それが、彼女なりのあの時の精一杯の優しさだったのかもしれません。
夜遅い時間、未知は自宅の研究室でカキの調査を始めていました。そんな彼女に百音は「大学に行かずに水産試験場行くって決めたのは、りょーちんと同じ海の……」と切り出しますが、その先の言葉を察した道は即座に「違うよ」と否定してしまう。
だけど、その言葉はきっと未知の本意ではなかったと思う。そう感じた百音は「違うにしても」と前置きしながらも
「みーちゃんは、りょーちんと同じ方向を見てる。それって、りょーちんはすごく心強いと思うよ」
と言葉を掛けました。未知は「違うって言ってるのに」と言いつつも姉の気遣いを嬉しく感じていた様子。そうか、あの時頑なに大学進学ではなく水産試験場への就職に拘ったのにはそんな想いがあったんだね。みーちゃんはみーちゃんなりに、りょーちんの支えになろうとしていたんだ。きっとその気持ちはいつか彼に通じると思うな…。
一方、耕治と亜哉子は新次と亮がようやく眠りについたことを察し安堵していました。
【連続テレビ小説『おかえりモネ』7/8 第39回 歌広場 淳さん】
◇浅野忠信、視認できるだけでも500mlの缶3本は空けてます。頑張ってきた禁酒を台無しどころか一気に取り返す勢いです。レンレンが頼み込んだ………続きは https://t.co/JTejeYuLoA#おかえりモネ #朝ドラ pic.twitter.com/8grcyryPYN
— NHKアーカイブス (@nhk_archives) July 7, 2021
耕治は亜哉子に新次のために病院へ付き添ってくれたことに対する感謝の気持ちを伝えました。本当は耕治自身が助けになってやりたいところだと思いますが、船の一件でぎくしゃくした関係になってしまったことでそうすることができず忸怩たる想いを抱えていたんじゃないかと。おそらく亜哉子はそんな耕治の気持ちを察して、すすんで彼の代わりに新次を助ける役を担ったのではないだろうか。
耕治は、新次が今後もまた同じような問題を起こすことを予測していました。それでも…
「明日からまた前を向く1日目を始めればいいって…、そう言ってやりたい。言い続けてやりたい」
と幼馴染を思いやる耕治。それだけ彼にとって新次、そして美波は大切な存在なのだと思います。おそらく、「島に忘れられない人がいる」っていうのは美波さんの事じゃないのかな。そのあたりの関係は新次とひと悶着あったかもしれないけどw、それでもやっぱりかけがえのない人たちなんだと思う。
その言葉を聞いた亜哉子は「幼なじみ3人だけの問題にしないでよ」と嫉妬してちょっとムクれてみせる。
「私は仲間外れ?」とぷぅ~っと頬を膨らませた亜哉子さん、めっちゃキュート!!!こりゃ、耕治さん、惚れ直しちゃうだろうっていうレベル(笑)。この亜哉子さんの可愛い表情に重い展開が救われたような気がしました。
でも、いつもどこかで自分には入れない領域みたいなのを感じていたかもしれないよね。「仲間外れにしないで」っていうのは亜哉子さんの本音でもあったと思う。だからこそ、新次さんのことも積極的にかかわろうとしてるっていうのはあるだろうね。
耕治さんがそんな亜哉子さんの手を優しく握ってやるシーンがとても印象的でした。ちゃんと彼女のことを愛しているのが伝わってきてよかった。
次回、亮くんと新次さんの心の距離がもう少し近づいてくれればいいなと思います…。