NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第16回感想 るい

11月からスタートした朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第4週目に入りました。サブタイトルは「1943-1945」ということで・・・、戦争中の日本が一番厳しい時代だった期間を1週間で描くことになるのかなと思われます。

前の週までの展開も戦争の色は濃くなりつつある時代ではありましたが、安子と稔が結ばれるまでが紆余曲折を経ながらも温かく描かれている印象がありました。でも第4週は非常にしんどい展開が多くなりそうな予感がします…。

稔の出征が刻一刻と近づいていたある日の晩、稔は安子に「これを持っていて」と英語の辞書を手渡しました。それは、彼が安子の英語の勉強に役立つようにと譲ってあげたもの。その後、稔との別れを断腸の想いで決断した安子が彼を忘れるために一方的に突き返してしまった。
それが再び稔の元から安子の手に戻ってきたことで、手にした安子は「行ったり来たり」と思わず笑みをこぼしていました。二人が結ばれるまでの恋愛模様の象徴みたいな存在でもありましたよね、この英語辞書。

安子は愛しそうに辞書の裏に書かれてある「雉真稔」の名前の文字を見つめながら「どうかご無事で帰ってきてください」と切実な想いを伝える。それでも涙が後から後から溢れてきてしまう安子。今生の別れになってしまうかも…ってどこかで最悪のことどうしても過ると涙堪えることなんてできないよね(涙)。

そんな彼女に稔は笑顔で「安子、泣くな。きっと帰ってくる。必ず帰ってくるから」と優しく言葉をかけ抱きしめてやりました。でも彼自身も「大丈夫じゃ」と告げながらも本心では不安でつぶれそうになっていたかもしれない…。愛する人の体温を感じながら必死に平静を保とうとしていたようにも見えてとても切なかった(涙)。

そして程なくして稔は出征。その二カ月後に安子は彼の子供を身籠っていることに気が付いた。けっこう重要な出来事だとは思うんだけど、ここはすべてナレーションで語られたのみで終わってしまった。あえてここをじっくり描かなかったことが、今後に向けての不安要素にも感じてしまい…なんだか複雑な気持ちになってしまった。

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー
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季節は6月。安子のお腹もかなり大きくなっていました。雉真家での生活も不自由はないみたいで、義母の美都里さんともうまくやれてるんだろうなとちょっと安堵した。だけど、ラジオから流れる戦況のニュースは日増しに苛烈な内容へと変わっていくようで…穏やかな日常に確実に戦争の悲劇が近づいていることを予感させられてしまう。

そんな時、勇が雉真家に帰ってきた。結婚した後は安子のことは「あんこ」ではなくちゃんと「義姉さん」って呼ぶようになったんだね。穏やかに笑えている勇を見てなんだかホッとしました。でも、帰って来た理由というのが…徴兵される年齢が引き下げられてしまったからというのが辛い(涙)。つまり、勇も出征することが決まってしまったのです…。

安子と勇は縁側に座りながら穏やかに語り合う。あまりに大きくて重そうな安子のお腹を見て「スイカを丸ごと飲み込んで歩いているようなもんだろう」と指摘する勇がなんだか可愛い。安子もその言い方が面白くてついつい笑ってしまう。

すると、安子のお腹の子供がそれに反応したからか蹴ってきた。その時初めて自分のお腹の子供が動いたことを確認した安子は驚くと同時に喜びの気持ちが湧き上がってくる。勇も恐る恐るそのお腹に触れて子供の胎動を感じ「ここに兄さんの子供がいるんじゃのぅ」と嬉しそうに笑みを浮かべました。二人とも、その子を通じて稔の無事を祈らずにはいられなかっただろうなと思ったら、ほっこりしながらもなんだか泣けてしまった(涙)。

その日の夕方、家族で食事をとりながら穏やかに時間を過ごす勇。徴兵検査はもう2日後に迫っているらしい…。お手伝いのタミさんは「大学野球の有望選手まで徴兵されるとは…」と沈んだ声を出していました。それに対して勇は、甲子園で活躍していた有名選手(嶋清一)も今は戦地で戦っているのだからと告げる。

嶋清一(本名は島清一)は実在の野球選手です。昭和14年の甲子園大会の時に2試合連続のノーヒットノーランを達成する快挙を成し遂げました。その翌年に明治大学の野球部に入部しますが、目立った活躍ができないままだったそう。やがて学徒出陣で出征し昭和20(1945)年3月に哀しい最期を迎えてしまいました…。
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ラジオから軍歌が重々しく流れるなか、美都里は勇まで戦争に取られてしまうことへの憤りを口にしてしまう。しかも、その直後にアメリカのB29が北九州に来襲したという恐ろしいニュース音声が流れますます彼女の不安を煽ってしまう。
稔はこの時期横須賀で訓練していたようですが、平吉がそこは安全だろうと告げても美都里は気が気ではなくその言葉を信用することができない。差し入れに訪れることもできなかったらしいから、なおさらその安否を想うと不安で仕方なくなっちゃうよね…。

勇はそんな母を「辛いのは母さん一人じゃないんだから」とやんわり諫めます。妻である安子の気持ちを慮ったんだろうね…。勇は本当に優しい子だよ。
ただ俯いてすすり泣く美都里の姿に胸を痛めた安子は、その傍らに寄り添いながらハンカチを差し出します。こういう優しいさりげない気遣いができるのが安子のいいところ。千吉さんもそんな彼女に心打たれて稔との結婚を許したところが大きかったからね。しかし美都里はそのハンカチを受け取らずに、大きくなっていた安子のお腹に手を触れる。

「こねんして、私のお腹におったんよ。稔も…勇も…」

自分がお腹を痛めた子供が二人も戦争に取られてしまうことへの美都里さんの張り裂けそうな哀しい想いを想像すると本当に辛い(涙)。安子も何も言葉をかけることができなくなってしまった…。どうすることもできない現実に身を置きながら、ただただ無事を祈ることしかできないこの時代。どれだけ多くの人が身を裂く想いに涙を流したのかと思うと本当にやりきれない…。

町には軍歌を歌いながら勇ましく歩く女子生徒の姿も見られるようになっていました。一瞬その中にきぬちゃんがいるのでは!?とドキリとしてしまいましたが、OPに名前がなかったのでちょっとホッとしました。でも、もしかしたら彼女たちのように軍歌を歌い闊歩していた可能性もあるよね…。

小しずたちは婦人会で竹槍を作っていました。この頃になるとラジオ放送も軍事一色となり、敵に知られたらいけないということで天気予報すら流れなくなってしまったという…。
暗い気持ちになる彼女たちの唯一の希望は、もうすぐ安子が新しい命を産む予定であるということ。「何もかもがままならないこんな時代だからこそ生まれてくる子供だと思う」という小しずさんの言葉がとても印象的でした。

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それからほどなくして、安子は無事に稔との子供を出産しました。出産シーンはなかったにもかかわらず、元気に泣く赤ん坊の隣で一筋の涙を流していた安子を演じる上白石萌音ちゃんの繊細なお芝居にグッとくるものがありました。

夜が明けた頃、雉真家の家族が安子のもとに集まり新しい命の誕生に一時幸せな気持ちを共有する。千吉さんは生まれた子供が女の子だったことからつい「次は男の子が欲しいのぅ」と本音を漏らしてしまいましたが、すぐに勇がそれを諫めてましたね。千吉さんとしては”跡継ぎ”ということが過ったからか男の子が欲しかったと思ってしまったのかも…。
でも、みんな心から子供の誕生を優しく祝福してくれてよかった。せめてこの瞬間だけは戦争のことから離れられたんじゃないかな…。

安子は稔が出征前に考えた名前が書かれた書を家族の前で広げてみる。”男の子でも、女の子でも、世界に出ても通用する名前”と嬉しそうに語っていた稔が考えた名前を、ここでようやく知ることになる。

”命名・るい”

安子はその名前を目にした瞬間、言いようのない感慨深い気持ちが湧き上がっていた。二人で初めて喫茶店デートした時に聴いたルイ・アームストロングの歌。稔はこれから生まれてくるであろう自分たちの子供には「どこの国も自由に行き来できるようになる時代を生きてほしい」と安子に語っていました。”ルイ・アームストロング”の歌に彼は希望を見出そうとしてましたよね。

生きて帰れるか分からない戦地へ向かう稔は、せめて自分たちの子供には平和な世界「ひなたの道」を歩んでほしいという切なる気持ちを込めたのではないだろうか。

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そんな経緯を知らない千吉たちは「るい」という名前に違和感を覚えていた様子。現代ではそんなに不思議に思う名前ではないけれど、当時からすれば物珍しく感じてしまったかもしれないな。
そんななか、勇はほくそ笑みながら「分った…!野球の”塁”じゃ」と解釈したようです(笑)。千吉は「なんでそんなものを我が子の名前につけるんだ」と困惑していましたがww、勇は一人自己流解釈に納得して「いい名前だ」と感慨深そうにしてました。野球が大好きな彼らしい発想でなんとも可愛らしいですよね。興奮気味にその解釈を説明する勇。

「塁は攻撃側にも守備側にも一番大切なものだ。皆でるいを守るんだ」

この言葉を聞くと、あながちただの勘違い…というわけでもないかもしれないと思ってしまう。「皆で守るんだ」という言葉に新しく誕生した命への熱い気持ちが込められている気がして…。ここから先の時代のことを考えると、なおさら勇の言葉に重みを感じて切なくなってしまった(涙)。勇はるいを守るために戦地で命をかけることになるのだろうか…。

安子は、稔が”るい”と名付けた理由にすぐ勘付きましたが、時代が時代だけにそれを告げることはできませんでした。ルイ・アームストロングは敵国アメリカの人ですからね…。

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そして勇もついに出征していってしまいました…。短い帰省の間に安子と稔の子供の誕生を見届けられたことがせめてもの救いかもしれない。

ちょうどこの時期は見送りが簡素化されていたらしく、算太の時のような派手なことは行われなくなっていたそう。でも、勇にとっては一番大事な人たちだけに送られたことはよかったのかもしれない。とにかく無事に帰ってきてほしいよ…!!

しかし、戦況を伝えるニュース内容はさらに厳しいものへと変わっていく。勇を見送ったその日の夜も、米軍が東京付近に来襲して爆撃を行ったという恐ろしい内容が流れてきた…。稔は東京に近い横須賀で訓練を受けていたこともあり、安子は不安のあまり表情を凍り付かせてしまう。

一緒にるいの世話をしていた美都里は、このニュースを聴き激しい憎悪の気持ちに搔き立てられる。ラジオを激しくたたきながら「鬼畜米英!!」と何度も泣き叫んでいる彼女の気持ちを想うと本当に居たたまれなくて涙が出た…。
この頃の日本人は戦争の裏事情なんて知る由もないでしょうから、ただ無慈悲に日本を攻撃してくる外国への憎しみだけが募っていく一方だったと思います。大切な息子たちの命を奪わんとするアメリカやイギリスに向けた美都里さんの激しい怒りや胸が張り裂けそうになる悲しみは、いかばかりだったかと…。

泣き叫ぶ義母と、それを必死になだめようとする義父の姿を目の当たりにして不安と恐怖を感じた安子。そんな気持ちを落ち着かせるかのように、るいと床に就く。隣で無邪気な表情を浮かべているるいに、安子はルイ・アームストロングの”On the Sunny Side of the Street”を小さな声で歌って聴かせている。その枕元には、文通をしていた頃に稔が送ってくれた歌詞が書かれた手紙が置いてあった。

日本の米英に対する憎しみが増していたこの時代、英語の歌は決して誰にも聞かれてはいけないものだった。しかし、稔が子供の名前にこめた想いを知っていた安子は、”On the Sunny Side ~”を子守歌としてそっと娘に歌い続けるのでした…。安子ちゃんの英語の発音、すごくきれいだったな。

次回はまたさらに厳しい展開になりそう…。

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