田辺誠一さん出演の過去ドラマを勝手に振り返るシリーズの第5弾は、フジテレビ系列で放送された連続ドラマ『らせん』です。
これまでの田辺誠一さん出演作品感想レポ
98年の『ガラスの仮面2』が終わった後の田辺さんのドラマ出演本数は格段に増えまして、特に99年は録画予約のチェックをするだけでもけっこう大変だった思い出があります。
ちなみに、99年の『恋の奇跡』はけっこう衝撃的な内容でw、夢中になって見ていたのですが(当時やっていたHPには原作と比較した記事を毎回書いて載せてましたww)…ビデオテープからディスクへ移しそびれたらしく手元に残っていません(苦笑)。最初は葉月里緒奈さんの特殊メイクが大きな話題となっていましたが、ドラマが始まってふたを開けてみれば…菅野美穂さんの怪演にすべてを持って行かれていた作品でもありましたねw。
田辺さんが演じた聖先生もカッコよくて細かくレポもしてたのですが…そのページもデータも不覚にも消失してしまい残念無念です(汗)。
その『恋の~』と同じくらい強烈に記憶に残っているのが、フジ系で放送された『らせん』でした。ちょうど『ガラスの仮面完結編』が放送される直前のタイミングでの放送だったと思います。この中で田辺さんが演じた役がものすごいインパクト強かったんですよね。こんな表現の引き出しもあったんだ!と大きな衝撃を受けたのを思い出します。
鈴木光司さん原作の「リング」シリーズ続編ということで、ジャンルは”ホラー”に当たるのですが…私は今でもホラー作品が大の苦手です(苦笑)。それゆえ、この作品に田辺さんが出演すると知った時の最初の反応は「うわぁ・・・これに来ちゃったか・・・」でしたwww。
それでも田辺熱がかなり盛り上がっていた時期でもあったので(笑)覚悟を決めて見始めたんですが・・・怖いシーンもけっこうあったんだけど、結局全話完走しました。想定外に面白くてドキドキしながら見入ってしまったのです。
ふたを開けてみれば、ホラーというよりも人間ドラマ濃いめのサスペンスといった印象のほうが強かったかもしれません。ま、ホラーの部分は怖いシーンも多かったですが(汗)それでも、眠れなくなるほどじゃない。当時の視聴率的には伸び悩んだようですが、私のなかではお気に入りの田辺作品の一つだったりします。
私はかつて豊川悦司さんと武田真治さん主演のオカルトドラマ『NIGHT HEAD』のファンでずっと見ていたので、もしかしたらそれで少し免疫がついていたのかもしれませんww。
以下、『らせん』について少し振り返ってみたいと思います。
連続ドラマ『らせん』
放送:1999年07月01日~09月23日(木)22:00~22:54 フジテレビ系列<全13回>
原作:鈴木光司
主題歌:rough laugh「誰がために鐘は鳴る」
田辺誠一さんの役:織田恭助/東健一(レギュラー出演)
主演:岸谷五朗
その他主な出演者:吉本多香美、 純名里沙、矢田亜希子、木村多江、野村佑香、須藤理彩、甲本雅裕、升毅、内藤剛志、ほか
「リング」の事件から3ヶ月。ようやく普通の生活を送り始めた高野舞(矢田亜希子)のもとに、一通の謎の手紙が届く。そこには何と「山村貞子が復活しようとしている」と書かれていた。かつて無いほどの恐怖の予兆に脅える舞。
それが、これから起こる恐怖の始まりだった・・・。
時を同じくして、高校教師・安藤満男(岸谷五朗)は奇妙な事件に直面していた。
オフィスビルで6人が同時に心臓麻痺を起こして死亡するという不可解な事件が起こり、元教え子の西島美咲(野村佑香)にその殺人の容疑がかけられたのだった。彼女のために事件を解き明かそうとする安藤は、科捜研に勤める相原夏美(吉本多香美)とともに動き出すが、事件は想像もつかない方向に進み、謎は深まるばかり。夏美もまた、科学では説明のつかない数々の出来事に翻弄されていく。そして安藤は、今回の事件はかつて起きた「リング」と呼ばれる恐ろしい事件と関係しているのではないかと思い始める。その頃、美咲の体には、ある異変が起こり始めていた・・・。
<FODより引用・抜粋>
ディスク化されていない作品ですが、ありがたいことに動画サイトFODで全話見ることができるようになっています(登録後にポイントで購入するシステムで1話につき300円かかります)。興味を持たれた方は是非登録してみては。
「リング~最終章~」の続編として製作された作品でしたが、ホラーが大の苦手な私は当然そちらを見ていませんw。この「らせん」ですら田辺さんが出演しなかったら絶対チャンネル合わせてませんでしたからね。
でも、前作を全く知らなくてもついていける内容だったと思います。矢田さんが前作から引き続いて出演していることから繋がりを持たせているニュアンスになっているって感じでしょうか。
全13話とかなり長めに尺を取っていたドラマでしたが、第1話~9話までが1章、第10話~13話までが2章といった感じでストーリーが構成されていたと思います。前半から中盤までは岸谷さん演じる安藤と純名さん演じる妻の美和子の夫婦の葛藤が主なドラマになっていて、後半からラストまではすべての事件を操っていた人物の種明かしがメインでした。
ちなみに、第6話と7話には少女時代の元AKB48トップアイドルだった大島優子さんが出演しています。子役時代の大島さんが見れるので、ファンにとってはけっこう貴重な映像かもしれません。
で、私は録画したもののうち後半第10話~の部分が手元にあって久しぶりに見直してみたのですが…、第12話の途中の一番いいところでディスク不具合が発生し見れなくなってて(汗)。これってやはり、貞子の呪いなんだろうかとちょっと恐ろしくなった…(震)。
田辺さんが一番活躍するのが第11話~12話にかけてなので(ちなみに13話はほぼ出番ありません)…これをきっかけに、ついに、FOD登録してしまいました(貞子にしてやられた感が… 笑)。
以下、内容的に超ネタバレを含んでいますのでこれから見る方はご注意を。
田辺誠一さんが演じたのは黎明館医科大学医学助教授の織田恭助です。連続ドラマのみに登場する人物とのこと(ちなみに原作は恐ろしいので読んでませんし、映画も怖いので見てませんw)。
織田先生は、第11話のクライマックスまでは主人公の岸谷さん演じる安藤や吉本さん演じる夏美に非常に強力的で、随所に的確な助け舟を出していたキャラでした。彼らの最も頼れる人物としてずっと登場。表情も比較的柔らかでした。
ただ、ドラマの名前クレジットは上のほうに出ていたこともあり…田辺さんが演じるキャラがこんな「良い人先生」だけで終わるのかなぁ?といった疑念は常に付きまとっていました(笑)。
ということで、田辺さんが本領発揮する10話~12話のみに焦点を当てて振り返ろうと思います。正直、12話で織田先生自身がすべての種明かしを語ってくれるため、そこだけ見てもなんとなーーく話は見えてくるんじゃないかなとwww。
私は当時全話完走しましたが、もう一度最初から見返せるかといえば・・・ちょっと自信がないので(思ってたよりは怖くないんですけどね、このドラマ)今回はピンポイントのみってことで。
貞子が消滅し世の中に平和な空気が戻ってきた頃・・・科学者の笠原から突然呼び出された安藤は、彼以外の拘置所の人間がすべて殺されている現場に遭遇してしまいます。笠原は「恐怖の大王」の”これが始まりだ”という伝言を伝えると突然息絶えてしまう。
安藤は、蘇って亡くなった自分の息子や貞子と同じように急激な老化現象で彼らが息絶えていたことが気になり、織田先生に相談しに行きます。すると、死因は全員老衰だという。それを聞いた安藤たちは「貞子が蘇ったのでは!?」とビビるのですが、織田先生は「貞子がまだ生きてるとは考えられません」と穏やかで落ち着いた口調で否定するのでした。
数日後、小山という凶暴な男が安藤の目の前でグッサリやられて死んでしまう事件が勃発(汗)。調査した織田先生は、彼が貞子が持っているものと同じ人為的に作られたウィルスを所持していたことを突き止める。作ったのはおそらく「恐怖の大王」だと推理。
小山がなぜその人為的に作られたウィルスを持っていたのか、という謎を提起する織田先生。安藤たちは”山村貞子”がまだ生きていて、小山は彼女からそれを入手したと推理します。「彼女はもう死んでいるはず」としていた織田先生も、この時点で「貞子は生きていた」って説に頷くわけです。
そんな時、ノストラダムスの大予言の研究家としてテレビで人気者だった升毅さん演じる河合が「恐怖の大王」の正体を掴んだとして”彼”の元へ向かおうとしていました。河合は実はインチキ預言者で「恐怖の大王」の指示通りの発言をしていたら次々的中していったことで人気者になっていたのですが、ある日突然「お前はもうすぐ死ぬ」と予言されたことから焦って正体を探ったようです。
一方、事件のカギを握る人物でもある夏美の上司で科学捜査研究所総科学長の陸田を訪ねた安藤たちは、「貞子はただ利用されただけだった」と語りだす。その貞子を操っている人物に、陸田は思い当たる節がありました。
陸田は若い頃、数人の子供たちを集め彼らを「囚人」と「看守」とに分けどのような反応を起こすかという実験を行っていました。彼はその時の「看守」こそが「恐怖の大王」だと睨んでいたのです。これが本当に大きな悲劇の発端なんですよねぇ…。彼がこんな実験さえ行わなければ、一連の悲劇は起こらなかったと思うんだよ。
ちなみに陸田を演じていたのは、今や刑事役が超はまり役になっている内藤剛志さんです。それだけに、悪役に極めて近いキャラの内藤さんを見れるのはとても貴重です。
核心に迫った話をしようとしたところで、河合が報道陣の車を伴いながら「恐怖の大王」の元へ向かう映像がテレビで流れます。報道陣と一緒なら”彼”も自分に手出しはできないと踏んでの河合の作戦でした。その中継のさなか、映像に貞子の姿が映りこみます。
ここまでが第10話。
「恐怖の大王」の正体に迫るため報道陣を引き連れて車で向かっていた河合でしたが、突然車内に貞子が現れたかと思うと強烈な光とともに姿を消してしまいます。このあたりの描写はホラーというよりもけっこう今見ると面白いって思っちゃうww。
暗い牢屋のような部屋に監禁された河合は一人の男と出会い脅迫される。その男を若き日の甲本雅裕さんが演じてるのですが…「恐怖の大王」と呼んでもおかしくないほどの冷徹さで今見ても背筋が寒くなる存在感でした。この頃から甲本さん、演技は俳優さんだったんだなぁと改めて。
一方、河合を追いかけていた安藤は「貞子と遭遇した」と織田先生に携帯で報告(ちなみにこの時代はまだガラケー)。死んだはずの貞子がなぜ生きているのかと迫る安藤に、織田先生は「貞子は自分で老化を止められる術がないから生きているはずがありません!」とかなり動揺した様子。それならなぜ蘇ることができたのかと迫られ、ハッと思いついたように「誰かが貞子のDNAを解析して正常な体に戻してやったんだ!」という結論に辿り着く。
このシーン、すべてを知った後で見ると・・・ほんと、織田先生・・・演技派だったよなぁとw。
再び陸田の元を訪れた安藤と夏美は、彼から「子供を使った忌まわしい実験」の体験記を聞く。
集めた子供7人の内、6人を「囚人」、1人を「看守」として生活をさせどのような変化が起こるかという心理学の実験を行った陸田。そしてある日、「看守」役の子供が残虐性をむき出しにし「囚人」役の子供2人を自殺に追い込ませる事件を起こしたという。「看守」役の子供は満足げに微笑んでいたという…。
生き残った「囚人」4人は社会に出て残虐行為を行っていた。小山も、有田も「囚人」だったという(有田の件は10話以前のドラマを見てください)。
「看守」役だった子供の名前は・・・”東健一”。彼のプロフィールが書かれた用紙がこのシーンの時に登場するのですが、誕生日欄に注目。
本放送時には気づかなかったけど、今見たら「あ!!!」って思いますよね、これは(笑)。あの当時に気づきたかったぜww。
河合を脅迫していた”男”はある人物の写真を見せ、彼を殺すように暗示をかける。
翌日、安藤たちは東の実家を訪ね、そこで白骨死体を発見してしまう。その身元を調べたところ…「囚人」役だった一人、織本だということが判明する。このあたりでかなーり「恐怖の大王」の正体に近づいた気がしますねw。
すると突然、陸田の部屋に織田先生を人質にとった河合が現れる。
人質に取られてる織田先生、カッコイイ…と思ってしまったのはここだけの話(笑)。
河合が依頼されたのは抹殺相手は織田先生だったのか!?と思ったら、すぐに彼を解放したかと思うと突然陸田に向かって突進していく河合。彼が抹殺を命じられた相手は陸田だったのです。今見るとこのシーン、河合、そっちかいなーーって思いますなw。
非常ベルを鳴らされたことで河合はナイフを持ったまま逃走。それを安藤と織田先生が必死に追いかけるわけですが、この時も田辺さん、良い走りっぷりしております。『ガラス~』でもマヤを追いかけるときに激走してましたが、やはりスポーツ経験者の走りは見ていて惚れ惚れしますなw。
で、追いかけている時に分かれ道に差し掛かり・・・二人は別々に追いかけることになるわけです。ここ、地味だけどけっこう大きなポイントかも。
安藤が地下駐車場に辿り着くと、無残にグッサリやられた河合の姿がありました。その現場に後から駆けつけてきた織田先生や夏美たちも愕然とします。河合をやった犯人を防犯カメラの映像を基に分析すると…ある”男”が映っていました。
陸田はその後姿を消してしまい、安藤たちは彼を追跡。そして、かつて彼が子供たちを実験した地下の研究所に辿り着きます。そこにあるパソコンを見て、貞子がこの場所で生まれ変わったことを確信します。
そして、「囚人」役の子供たちが閉じ込められていたかつての牢獄で、血を流して気を失っていた陸田を発見します。彼を助け出そうとしたとき、扉の向こうから河合を脅迫していた冷たい目をした男が迫ってくる。ところが、近づいてきたところで彼は突然息絶えてしまった。その背中には「囚人」役が殺されたときと同じナイフが刺さっていました…。
東健一が殺されてしまった…と驚愕する安藤たちでしたが、彼は東ではなく…「囚人」役だった宮島だったのです。河合を殺したのは宮島だったということ。では一体だれが東健一なのか!?
安藤は、壁に貼られた「囚人」役の子供たちの写真と名前を見てある法則に気が付きます。彼らの名前一文字ずつ並べたどり着いたその名前こそ・・・
「織田恭助」
これまでずっと親切顔してなんでも協力してきてくれた、あの、爽やかな織田先生が「東健一」だったことが判明したところで第11話終了。
このシーンで何が一番驚いたかって、その正体ではなく、演じていた田辺さんの凍り付いたホラーな笑顔ですよ!!あれは夢に出てきて魘されるレベル(震)。あの優しかった織田先生のかけらも見せないような恐ろしい悪魔の笑いっぷりに大きな衝撃を受けました。
いや~~、田辺さん、すごいなって、今見ても思いますね。こういう表現ができる役者、そりゃ、制作するほうは使いたいと思うよ。これはぜひともFODで見ていただきたい(笑)。
田辺さん演じる織田先生、もとい、東健一のメイン回となる第12回は次のページにて。