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NHK大河ドラマ『青天を衝け』第9回ネタバレ感想 栄一と桜田門外の変

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つい先日出た田辺さんの「兄ぃであり先生である立場で、なるべく栄一たちと同じ目線になるよう演じている」というコメント、良いなぁと思いました。たしかに年上ながらも”仲間””同志”って雰囲気ありますものね。

あと、吉沢亮くんを「土臭い」と評していたのも印象深いです。田辺さんもベテラン俳優の域に入ってきたんだなぁと感慨深いものがありました。でも、最後の「可愛い」発言はらしいなってちょっと笑ったw。

今回の家康さんは冒頭から登場。最近はしょっぱなに出てくることも増えてきましたねw。語られたテーマは”尊王攘夷”について。大の外国嫌いだった孝明天皇が水戸を頼ったことで大老の井伊直弼との溝が生まれてしまったとのこと。安政の大獄の始まりはこういう事情も絡んでいたようです。

その”安政の大獄”の犠牲者の一人となったのが、越前藩士の橋本左内でした。彼は慶喜将軍擁立のために積極的に動いていましたからね…。円四郎は左内を庇おうとしましたが、「あなたは残るのです」と言い残し自ら幕府の縄を受けてしまう。

左内は最初「遠島(島流し)」処分と決まっていたそうですが、尋問の際の受け答えで直弼の気分を害してしまったことで「斬首」にされてしまったのだとか…。死の瞬間には涙したとも伝わっています。まだこのとき26歳・・・、さぞかし無念だったかと。

そして…密かな私の”推し”だった川口覚さん演じる外国奉行の岩瀬忠震も一橋派であったがゆえに「永蟄居(生涯にわたって登城・外出禁止)」処分を下されてしまったーー(涙)。

その後岩瀬は失意のまま、1861年、44歳という若さでこの世を去ってしまったそうです…。とても優秀な外交官で横浜開港の為にも大きく尽力した人物だったとか。今の横浜があるのは、岩瀬さんの交渉の賜物だったとは知らなかった。

本覚寺というお寺にはその功績をたたえた碑もあるそうな。

でも、当初思っていたよりも出番もあったし少しフィーチャーされるシーンもあったので、個人的には嬉しかったです。川口さん、お疲れ様でした。カッコいい岩瀬忠震をありがとうございました。

以下、さらに第9回を見て気になったシーンもろもろネタバレあり

これまでの『青天を衝け』感想レポ

青天を衝け
青天を衝け
2021年度NHK大河ドラマ『青天を衝け』の感想レビュー

『青天を衝け』第9回 栄一と桜田門外の変

2021年04月11日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45 ほか

出演:吉沢亮、高良健吾、橋本愛、満島真之介、田辺誠一、岸谷五朗、草彅剛、堤真一、竹中直人、和久井映見、小林薫、ほか

あらすじ

井伊直弼(岸谷五朗)により、蟄居(ちっきょ)を命じられた斉昭(竹中直人)や慶喜(草彅 剛)は無言の抵抗を続ける。しかし、その井伊は桜田門外の変で暗殺され、斉昭も突然の死去。父の死を耳にした慶喜は慟哭(どうこく)する。一方、江戸から戻った長七郎(満島真之介)に感化され尊王攘夷の考えに傾倒し始めた栄一(吉沢 亮)は、喜作(高良健吾)に続いて自分も江戸へ行きたいと父・市郎右衛門(小林 薫)に懇願する。

<公式HPより引用>

登城停止処分を食らってしまっていた慶喜でしたが、直弼はさらに重い「隠居・謹慎」という処分を下してしまいます。まさかの出来事に慶喜は言葉も出ない。

さらに、大元ともいえる斉昭には「国許での永蟄居(生涯水戸以外外出禁止)」という厳しい処分が待っていました。日本のことを一番憂い想っていた自分がなぜ!?という無念の気持ちを隠し切れない斉昭でしたが、家臣たちの前では必死に気丈に振舞っている。それがせめてものプライドだったのかな…。

しかし、籠に乗り込むと途端に感情を抑えきれなくなり号泣…。
武田耕雲斎ら斉昭の家臣たちは籠から聞こえてくる主君の嗚咽を耳にして、無念の想いと共に直弼に対する激しい恨みの感情を募らせていきます。耕雲斎は自らの感情をなんとかコントロールし、いきり立つ家臣たちに「ご老公の命じゃ、自重せい!!!」と怒鳴りつけたのですが…、その言葉は彼らには届いていませんでした。斉昭の望みは井伊直弼を討ち取ることだと思い込み、恐ろしい計画へと舵を切ることになります…。

江戸がそんな悲惨な状況にあるわけですが、血洗島の栄一はといえば・・・千代との新しい生活にデレデレ状態で農作業にも身が入っていない様子(笑)。江戸と血洗島のテンションの落差がすごいなww。
しかし、長七郎が江戸から帰還したことでその状況も少し変化していきます。「あとで家に来い、話したいことがたくさんある」と告げる長七郎にただならぬものを感じる栄一。

一方の市郎右衛門たちは、栄一が農家以外のことに影響を受けてしまうのではないかと内心大きな不安を募らせていました…。

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尾高家では長七郎が江戸の惨憺たる様子を熱く語っていて、惇忠ら男たちがその話に夢中になって耳を傾けていました。

この話のなかで流行り病の「コロリ」の話題を語る長七郎。「コロリ」とは「コレラ」のこと。感染したらすぐに死につながる病だったこともあり、当時の庶民たちの間では「コロリ」という名前で呼ばれ恐れられていました。

”コロリ”といえば、村上もとかさん原作の漫画で2011年から放送された大沢たかおさん主演のドラマ『JIN』を思い出します。パート1では”コロリ”を治すための薬のために南方仁が奮闘するエピソードが描かれました。

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長七郎は「コロリ」のことを夷狄…つまり外国人が持ち込んだ恐ろしい妖術だと認識しているようです。「コロリ」が流行したのがちょうど黒船が入ってきた時期と重なっていたこともあり(実際にペリー艦隊の乗組員が感染してしまったと伝わっているらしい)、そのように考えていた人は多かったそう。惇忠も「井伊大老が外国人を容易く入れてしまったからだ」と憤りを隠さなかったし、ほかの男たちも「攘夷だ!!」と口々に叫び出し殺伐とした雰囲気になっていました。

なんかこの状況…、現代の「新型コロナ禍」の流れとリンクする部分が多いですね…。なんだか昔の話だとは思えなかった(汗)。

尾高家から戻った栄一は、興奮しながら市郎右衛門に長七郎から聞いた江戸の状況を夢中になって喋りまくる。あの話を聞いたで栄一の中では完全に「井伊直弼=極悪人」としてインプットされたようです。しかし、「このままでは日ノ本が危ねぇ」と興奮気味な栄一に対し市郎右衛門は「そんなことは我々百姓には何の関係もないことだ!」と一喝。とっさま、長七郎が栄一に悪影響を及ぼし始めていると察知して苛立ちを隠せない様子だったな。栄一も感化されやすいからそりゃ心配だよね(苦笑)。

とっさまが自分の言葉に耳を傾けてくれなかったことに不満を感じた栄一は、その夜千代に「承服できねぇな」と愚痴ってしまいます(笑)。しかし、少し落ち着きを取り戻した後、国の仕組みについて熱く千代に語りだす。

栄一は、かつて代官から見下された言動をぶつけられ激しく憤ったことがありましたが、それは代官が殿様の言われたことを忠実に実行していただけなのだと悟っていました。この悪しきサイクルが脈々と続いていることに栄一は激しい憤りを覚えていたのです。上の者が下々のことを顧みない世の中をなんとかして変えたい、という想いが彼の心のなかでどんどん膨らんでいた。それは即ち、「幕府自体がおかしいのかもしれない」という考えに繋がっていったのです。

「俺はどうすればいい?幕府を変えるには、この世を変えるには!?」

千代に自らの想いを一気に吐き出した栄一でしたが、その後気持ちがすっきりして満足してしまったらしく寝てしまいました(笑)。千代ちゃんにしてみれば「よく分からない話だったけど、栄一さんの気持ちがすっきりしたならよかった」って感じですかねw。ラブラブなのは良きこと。
でも、この時千代に語った言葉は後々栄一の活動の基礎になって来るんだろうなと思いました。あれだけ憎らしく思っていた代官を「ただの殿様の御遣いに過ぎなかった」とあの若さで悟ったことがすごいなと思った。

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慶喜の隠居・謹慎処分が下されてから3か月経った頃、一橋邸を訪れた円四郎は慶喜が処分を下されて以来一歩も部屋から出てこないことを聞いて驚愕します。部屋も閉め切ったままだし、なんと風呂にも入っていないらしい(汗)。ということは…その部屋はけっこうな匂いが漂っていたのではないかと(汗)。

そこへやって来た美賀はなにやらかなり不機嫌な様子。慶喜が何の罪もないのに重い処分を下されてしまったのは、円四郎たちが勝手に先走って慶喜将軍擁立のために動いたせいだと激しい口調で責めたててくる。いや、でも、美賀さんも慶喜が将軍になるつもりなんじゃないかとほくそ笑んだ時期、あったよね(苦笑)。
「わらわはそなたを決して許さぬ!」と厳しい言葉を円四郎に浴びせ立ち去った美賀君。円四郎だって国の為を想っての行動だったわけだから、一方的に攻め立てられてしまうのは気の毒だなと思ってしまった(汗)。

で、美賀さんのお腹をよく見ると…もう普通の状態になってましたよね。たしか前の週ではけっこうな大きさで臨月近かったはず。お子様はどうしたのでしょうか…。

実は、このシーンの前にその顛末を語った場面があったらしいのです。

左内が捕縛される寸前、円四郎は左内と直弼暗殺を企てた相談をしていました。しかしそのことを知った慶喜は「我々は井伊に負けたのだ!父の望みを奪ったうえにそなたの命まで奪えというのか!?」と円四郎に刀を突きつけて激しく叱責。さらに、産まれた子供が亡くなってしまったことにも触れていました。そんな慶喜のただならぬ様子を見て、円四郎はそれ以上慶喜擁立のために動くことを断念したのです。

この一連のシーンが全部カットになってしまったのは残念!確かに話は繋がるけど、慶喜の謹慎の心や美賀の悲しみが伝わりづらくなっていましたからね。まぁ、栄一が主人公なのでそちらも入れないといけないから編集も大変だとは思いますが(汗)。

責任を感じた円四郎は、慶喜が籠っている部屋の前へ赴き「自分は”甲府勤番(甲府地域の警護=左遷)”の役目が下ったので江戸を離れることになった」と報告します。慶喜擁立に動いた左内をはじめ、多くの有能な志士たちが処刑されてしまったことも告げましたが、慶喜は何も言葉を発せず黙って聞き入るのみ…。円四郎は自分が慶喜の役に立つことができず自分一人が突っ走ってしまったことを激しく後悔します。でも、慶喜に対する忠義心は潰えることがありませんでした。

「だから、俺は生き延びますぜ!いつか、いつかきっとまた、あなたの家臣になるために!!」

力強い円四郎の言葉を聞いた慶喜は、静かに「そうか」と答えた後斉昭から教えられた教訓を告げました。予想外の返答に戸惑う円四郎がちょっとコミカルで面白かったなw。

特に、「肛門を中指で打てば一生時を患うことはない」という斉昭直伝の教訓を慶喜が伝えたときの円四郎の反応には笑いましたww。思わずそれと同じ行動しちゃう気持ち、わかる気がしたww。

最後に告げた「息災を祈っておる」というのが、慶喜の円四郎に対する精一杯のはなむけの言葉だったと思います。その想いを胸に、円四郎は江戸を離れていきました。

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一方の直弼は、自分が処分した者たちのリストを見つめながら次なるターゲットの”朝廷”に対する対策を考えていました。

この”死の帳面(=デスノート)”ともいえるべき名簿の中には、橋本左内のほかにも”頼三樹三郎””吉田寅次郎(=吉田松陰)”といった大物の名前も…。

この時に「これでようやく、水戸の一件は落着じゃ」と大きく息を吐きながら安堵していた直弼が非常に印象的でした。彼は感情で動いていたのではなく、幕府を守る為に、家定から託された命をただ粛々と忠実に実行に移していただけなんですよね…。帳面に刻まれていた赤線で消した者たちについて、表面的にしか見ていなかった。そこに渦巻く怨念に心を配れなかったことが、後の悲劇につながっていくのだろうなという予感がして胸が苦しくなりました…。

直弼は朝廷と幕府を結びつける「公武一体」の策を実行することにする。つまり、攘夷派の孝明天皇の妹・和宮を14代将軍・徳川家茂の正室として迎え入れる話を進めたのです。

今回の大河ドラマの天皇役は、尾上右近くん!「麒麟がくる」の時の玉様の神がかった帝とはまた違った雰囲気ですが、さすが作法をしっかり学んできているだけあって佇まいに品がありましたね。こういった帝の雰囲気を演じられるのは、やはり歌舞伎役者さんが一番適任なのかも。

和宮はこの当初婚約者がいたことから徳川家に嫁ぐことに泣きながら抵抗していましたが…、 岩倉具視から「和宮を降嫁させたら徳川を意のままに操れるかもしれない」という言葉を信じた孝明天皇は話を進めるほうに舵を切ってしまいます。

岩倉役の山内圭哉さん!!曲者感がプンプンしてきていいですねぇ(笑)。和宮を嫁がせる代わりに攘夷を決行するという交換条件を出せばいいと丸め込むクセの強い話術が最高ですww。

江戸に戻った長七郎は、大橋訥庵の「我が国の金が異国にどんどん流れてるのは夷狄の企みだ」という過激な発言を真に受けて範之助たちと共に攘夷への執念を燃やしていました。その結果、過激思想に感化された若者たちによる外国人襲撃事件が多発するようになっていきました。

そんな最中でもただ淡々と業務に取り組んでいた直弼。そんな彼の元に突然家茂が訪ねてきて「水戸の浪士がそなたを狙っているという噂を聞いているから、一度大老の職を退いてほとぼりが冷めるまでおとなしくしていた方がいいのではないか」と提案します。優しいねぇ、家茂。直弼のことはけっこう信頼しているようです。
しかしそれに対して直弼は「案じることはございません」と告げ、先祖である井伊の赤備の勇敢さを得意げに語り始めました。

いや~~、思い出すなぁ、『おんな城主直虎』の菅田将暉くんが演じた井伊直政を!!「一番槍は大将が務めん!!」と意気込んでたよねぇ。まさにその時のエピソードを『青天を衝け』の井伊直弼が再現してみせるとは…なんだかすごい胸アツな展開でした!!

「憎まれごとは、この直弼が、甘んじて受けましょう。そして上様がご成長あそばされれば、すらりとお役御免を仰せつかる、それで十分でございます」

この家茂に向けて告げたセリフを聞いた時、ウルウルっとこみ上げてくるものがありました(涙)。家茂を守るために自分がその防波堤になる覚悟を直弼は持っていたんですよね。「上様が成長したら職を辞する」と発言したその忠誠心がすごく泣ける…。でも、徳川家の方面しか向いていなかったことがのちに彼に最大の悲劇をもたらすわけで…そう考えると本当にやりきれないです。

さらに直弼は家茂に「明日、自作の狂言を披露することにしたので上様にもぜひご高覧賜りたい」と少し得意そうに申し出ました。
幼いころから文化に親しんできた直弼は、文化人として高い評価を得ている人物でした。能・狂言にも関わっていて生涯で1曲の能2曲の狂言を自作していたのだとか。今回直弼が家茂に披露しようとしていたのは、狂言「鬼ヶ宿(おにがやど)」です。ちなみにもう一つの狂言は「狸の腹鼓」というものらしい。タイトルがなんだか可愛らしい。

直弼と家茂は「明日」と告げて笑顔で別れました…。こういう展開だと、「明日」がやって来ないパターンが多い…。もうそれだけで切なかった(涙)。

直弼は家茂に披露するため狂言「鬼ヶ宿」の稽古に熱を入れていました。自分のことを案じてくれた家茂の為にも良いものを作りたいと心躍らせていたに違いない…。

この、井伊直弼作の狂言「鬼ヶ宿」は彦根藩お抱えの九世茂山千五郎によって初演されたそうです(初演されたのは桜田門外の変が起こる数日前とのこと…)。今回その狂言を演じていたのは、十四世茂山千五郎さんです。大河ドラマで伝統のリレーが実現するとは!

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狂言「鬼ヶ宿」のシーンからいよいよ”桜田門外の変”へと進んでいくわけですが、この場面はこれまで見てきた歴史ドラマの”桜田門外の変”のなかで一番儚く、切なく、そして美しい描き方だったと思います。『青天を衝け』のなかでも特に記憶に残るものでした。なにより、この凄惨なシーンのときに『青天を衝け』の美しいテーマ曲を被せてきたのは秀逸で、余計に儚い美しさを際立たせていました。佐藤直紀さんの音楽、本当に素晴らしい!!

狂言の風景と同時進行で、謹慎中の慶喜、水戸に永蟄居となった斉昭の姿が映し出される。安政7年3月3日、その日は江戸も、水戸も大雪が降っていた。斉昭は幼い息子・余八麿や娘と庭でミカン投げをして楽しく過ごしていました(史実だったらしい)。
ちなみに斉昭は超子だくさん(37人の子供!!)としても有名です。今回登場した幼い余八麿は側室との間にもうけた子供なのだとか。彼は後々11代水戸藩主(最後の水戸藩主)・徳川昭武となります。

雪が降りしきるなか屋敷を出た直弼は、籠のなかでも狂言の台本をチェックするのに余念がない。
屋敷を出てから程なく、水戸浪士・森五六郎駕籠訴を装って行列の前に飛び出してくる(大名など位の高い人物が通りかかった時に直に訴える行為で、当時は厳禁とされていたため訴えた人は罰を受けたのだとか)。
森の飛び出しと共に息をひそめていた他の水戸藩士たちが笠を脱ぎ捨て一斉に行列に襲い掛かってくる。その混乱のなかで一発の銃弾が直弼の体を貫きました…。狂言の台本に血が飛び散るシーンは本当に痛々しくてたまらなかった…。

苦しい息のなかで直弼は「日ノ本は…、日ノ本は…」と呻く。その籠の脇では一人の水戸藩士・稲田重蔵が刃に倒れ「ご老公…水戸を…」と呻きながら絶命(彼は襲撃メンバー唯一の死者でした)。襲撃者である水戸藩士たちは「水戸藩のため」という狭い範囲しか見ていなかったのに対し、直弼は「日本の国そのもの」を見つめていたのだということが伝わる印象的なシーンでもありました。

虫の息になりつつあった直弼は刀で刺されたまま外に引きずり出され、壮絶な最期を遂げました(最後の首をとったのは有村次左衛門、彼はその直後に蘇生した彦根藩士に斬りつけられ命を落としています)。

”安政の大獄”の犠牲者となった者たちの怨念の恐ろしさを直弼がもっと感じ取っていたならば…、そう思わずにはいられない、哀しい「桜田門外の変」でした(涙)。

岸谷五朗さんの井伊直弼、もっともっと見ていたかった!!素晴らしいお芝居、ありがとうございました!

桜田門外の変については、2013年に大沢たかおさんが主演した映画「桜田門外ノ変」で詳しく描かれていますので興味があればぜひチェックしてみてください(私は映画館で見ました)。

【大沢たかお (出演), 長谷川京子 (出演), 佐藤純彌 (監督) 形式 DVD】

同じ日の夜、水戸藩士たちによって井伊直弼が襲撃された事件の一報を受けた斉昭は激しく動揺します。「これで水戸は、敵持ちになってしまった…」と無念さをにじませ、それと同時に体調も悪化していってしまう。
直弼を襲撃した藩士たちは斉昭の無念を払うために強硬手段に出たところが大きかったのですが、斉昭としてはそれは有難迷惑でしかなかった。幕府の要人を殺害してしまったとうことは、すなわち国の敵とみなされてしまうことにもなりますからね…。この事件は斉昭にとっても大きな悲劇でしかなかったのです。

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一方、血洗島では長七郎から届いた手紙に記された「桜田門外の変」の出来事を呼んだ惇忠たちが「よくやった!!」と大いに喜び沸いていました。今の彼らにとって、”大悪人”の井伊直弼を討ち取った水戸藩士はヒーロー的な存在なのです。この頃は情報も限られていたことから一方的視点でしか物事を見ることができなかったんですよね…。
そんななか、喜作が家族を説得し長七郎の後を追って江戸へ行くことになったことを知る栄一。そんな彼に羨望の想いを抱き複雑な表情を浮かべる栄一を千代は不安げな眼差しで見つめていました…。

その数日後、宴の席を立ち軒先から月を眺めた斉昭は謹慎中の慶喜のことを想っていました。

「まだ出てこぬのかのぅ・・・、あの強情息子は」

いくら意見が対立してしまうことがあっても、やはり斉昭の中では慶喜は一番可愛い息子であることに変わりなかった。ところが、その直後に激しい胸の痛みに襲われて斉昭はうずくまってしまった。晩年はこれでもかと不幸のオンパレードが襲ってきましたから、体力的にも限界だったのでしょう。

死期を悟った斉昭は「案ずるべきは、この水戸ぞ!!」と苦しい息のなかで水戸の将来を憂いていた。お尋ね者的立場になってしまいましたから、水戸の行く末については本当に死んでも死にきれないくらい気がかりだったと思いますよ。しかし、もう斉昭に残っている時間はありませんでした。
で、この後の幕切れのシーンには…正直かなりビックリさせられました(汗)。

なんと、愛する妻・吉子さんに接吻してから事切れるという予想外の展開!!たしかに斉昭は吉子さんのことをとても大切に想っていましたが、まさか最期にこう来るとは思わなんだ(汗)。竹中直人さんならではのシーンでもあったかな。絶大なインパクトを残してくれたと思います。迫力ある烈公の熱演、お疲れ様でした!

そして、謹慎中の慶喜の元にも正徳院から斉昭逝去の知らせがもたらされることに…。

父の死の報を受けた後、慶喜は長い時間微動だにせずただただその場に佇むだけだった。そして、ようやく絞り出すように「そうか…」と答える。この言葉を出すまでに慶喜があの沈黙のなかでどれだけ父の死を必死に受け止めようとしていたのかが伝わってきてものすごく泣けました(涙)。

「謹慎というのは、親の見舞いどころか、死に顔も見られぬのか…。そうか…。私は、私は、なんという親不孝者だ…」

このセリフ、ガイドブックであらかじめ読んだ時にもグッとくるものがあったのですが、草彅くんの渾身の芝居でこのシーンを見るとその倍は泣けましたね(涙)。父が息子をこよなく愛したように、息子も父を誰よりも愛していたのです。どんなに意見がすれ違っても、慶喜の中では父・斉昭の存在は絶対的なものだったに違いありません。だからその教えを忠実に守ってきたのでしょう。

謹慎処分が下ったことで親の死に目に会うことができないと慟哭するシーンは、これまで見たことがない剥き出しの表情を見せる慶喜がいて、胸衝かれる思いがした…(涙)。何度も「父上」と呼びながらむせび泣く姿はまるで一人ぽっちの少年のようで…、その背中が切なすぎて思わず涙がこぼれました…。草彅くんの表現力が本当に素晴らしかったです。

その頃、血洗島にいる栄一の心のなかでは「江戸への憧れ」がさらに強いものになっていました。一足先に江戸息が決まった喜作への羨望は膨らむばかり。ゑいはそんな栄一に「百姓が江戸で剣術やらを学んでどうするっていうんだい」と小言を言い、妹のていも「喜作さんに負けたくないだけだに!」と冷ややかです。千代はただ黙って複雑な表情を浮かべるばかり…。

そこへ、市郎右衛門が帰ってくる。さっそく栄一は意を決して「春の一時でいい!俺を、江戸に行かせてほしい」と願い出ました。果たして父はどのような答えを出すのでしょうか。

完全版ディスク発売!

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