大河ドラマ『麒麟がくる』を振り返る -美濃・上洛編-

2020年1月から2021年2月にかけて放送されていたNHK大河ドラマ『麒麟がくる』大団円を迎えました。年をまたいでとなりましたが、全話欠かすことなく放送されて本当に良かったなと思います。

思えば、スタートから出演者の不祥事でキャスティングと撮影をやり直しといったハプニングに見舞われてしまったり、その後は新型コロナによる緊急事態宣言で撮影が2か月ストップとなってしまったり…、こんなにも困難が襲い掛かってきた大河って今までなかったんじゃないかなぁ。しかも、オリンピック期間の放送中断も見込んでいたからか話数も削られてしまいましたし(結局オリンピックは開催されませんでしたが、そもそも緊急事態で撮影も追いついてなかった)。

そんな大変な状況の中でも、ブレずに最後まで熱量を以て『麒麟がくる』を完結まで導いたキャスト・スタッフの皆様には本当に感謝の気持ちしかありません。
特に、この大変な状況のなかでも常に凛とした存在感を放っていたという長谷川博己さんは最高の俳優さんだったと思います。あまり表には出されなかったけど、相当な重圧や不安はあったはずです。それでも先頭に立って”明智十兵衛光秀”として常に凛とされていたからこそ、皆さんも勇気づけられたと思うし熱量も上がったのではないかなと。本当にお疲れ様でした。

『麒麟がくる』は久しぶりに体感時間が短く感じる作品でした。次にどんなエピソードが!?って前のめりで見ていたら「つづく」の文字が現れるなんてことがしょっちゅう(笑)。こんなにも45分が短く感じることの多かった大河は久しぶりだったので(2012年の『平清盛』以来かも)毎週日曜日がくるのがすごく楽しみでした。
1991年の大河『太平記』を手掛けた池端俊作さんの脚本だったので期待も大きかったのですが(学生時代、太平記の時代の歴史テストだけはいつも満点だったほどのめり込んで見てましたw)、今回も重厚感を保ちながらも登場人物を巧く動かし、丁寧に感情を紡いでいったドラマ展開が素晴らしかったと思います。配役された役者さんたちも皆さん見事にそれに応えてました。

それからもう一つ特筆したいのが、ジョン・グラムさんの音楽です!!OPの重厚感あふれるドラマチックな音色からしてもう最高すぎたのですが、それ以外でもシーンごとのイメージに見事に合致した音楽の数々で、何度心震わされたか知れません。
ということで、私今回、サントラ類全て購入しました(笑)。夕食作るときによく流してますww。さらに限定生産盤も予約しちゃった。この音楽だけはずっと手元に残しておきたかったので、ちょっと思い切りましたww。

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また、キャスティングの意外性も当たったと思います。放送開始前に驚いたのが、染谷将太くんの織田信長役と、佐々木蔵之介さんの羽柴秀吉役。これまでのドラマで見てきた印象とは違う二人の配役に「そうきたか!」と唸りましたが、見事に新しい”信長像”と”秀吉像”を演じてくれて本当に面白かった。
大河ではしょっちゅう登場する信長、秀吉ですからイメージが固まりやすくちょっと飽きみたいなものもあったのですが(汗)、『麒麟がくる』の信長と秀吉は新しい切り口で描かれていて新鮮だったし、染谷くんや蔵之介さんの柔軟で確かな演技力がひと際光っていて毎回とても楽しみにしてました。主演の長谷川博己さんについては最後に触れようと思います。

架空のキャラクターについては賛否両論ありましたが、個人的にはそこまでは違和感なかったかな。
でもたしかに、コロナで撮影が止まって再会した後のドラマ展開は架空キャラを中心としたエピソードが増えたなという感覚はありました。特に私は伊呂波太夫のキャラがあまり好きじゃなかったので(オノマチさんは熱演されてましたが、個人的に上から目線的な女性キャラ苦手なんですよね 汗)彼女が活躍する回は少し退屈したかも。
でも架空キャラが中心になりがちにならざるを得ない撮影環境もあったと聞いてますし(ソーシャルディスタンスとかの関係もあったかと)それは致し方なかったかもなぁ。今の世の中、ドラマ作りもご苦労が多いと思います。特に再開されたばかりの頃は手探り状態で大変だったんじゃないかな。

それと、コロナ中断のほかに元々オリンピック期間での中断も考慮のうえの話数だったからか、描き切れなかったエピソードも多かったんじゃないかなと推測します。
特に、光秀の側近である左馬助については個人的にもう少し掘り下げてほしかったと思ってます。まぁ、私が間宮祥太朗くんのファンだからというのもありますが(笑)、彼は10代の頃からとても魅力的なお芝居をする俳優さんなので、本当はもっとエピソード欲しかったしハセヒロさんと絡んだお芝居がもっと見たかったなぁと…そこだけは心残りかな。あと、伝吾や利三ももっと活躍してほしかったしね。

とはいえ、個人的には『平清盛』『龍馬伝』に次ぐくらい大好きな大河ドラマであったことは間違いありません。本当は全話感想アップを目指していたのですが途中、個人的事情なども重なり途切れてしまった心残りが(汗)。ということで、今回、印象に残った・好きなエピソードやシーンをいくつか振り返ってまとめてみたいと思います。

これまでの『麒麟がくる』感想レポ

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大河ドラマ『麒麟がくる』振り返り 美濃・上洛編

総集編で分けられた「美濃編」「上洛編」「新幕府編」「本能寺編」、そして個人の独断と偏見で選んだ「ベスト・オブ・麒麟がくる」シーンを厳選して振り返ります。今回は、第1話~27話まで。

美濃編

第1回 光秀、西へ

初回から本当に心躍るような展開の連続で「これは感想を書きたい!」という衝動に駆られたのを思い出します。冒頭の野党との戦のシーンの迫力ある映像、そして鉄砲との出会いも非常に印象的でした。「何度戦えば!!」と現状の不条理を嘆き憤るハセヒロ光秀のお芝居は本当に最高でした。
また、鉄砲を探しに堺へ出向いた時に松永久秀や三淵藤英と出逢うシーンも印象深かったですね。特に久秀と酒を酌み交わして泥酔する光秀や、鉄砲もらってすごいジャンプ力で喜び爆発させる光秀は可愛くてめっちゃ萌えましたww。

そんななかでもとても印象に残っているのが、光秀が初めての旅で琵琶湖を渡る船に乗り込んだシーンです。

湖の広さに感動して思わず手を広げたときのハセヒロ十兵衛の表情が実に生き生きしていて、なんだか見ていて自然と胸熱くなったんですよね。大好きなシーンの一つです。

第5回 伊平次を探せ

タイトル的には地味でしたがw、いろんな出会いやエピソードが折り重なったとても印象深い回だったと思います。特に会話劇がとても面白かった。

鉄砲の構造を知るために伊平次を探しに京へ出た光秀でしたが、この序盤で「本能寺」が出てきたのも驚かされました。その本能寺から13代将軍の足利義輝が現れたり、その側近でもある細川藤孝と出会ったりと見所が多かったですね。藤孝とはこの時をきっかけにして熱い友情関係を築くわけですが、それだからこそ最後の最後の展開は切なかったです。

一番面白かったのは、光秀と久秀の魅力的なやり取り。演じているハセヒロさんと鋼太郎さんは蜷川演劇の舞台でよく共演していた仲でもあったことからか、息もぴったりでテンポも良くめちゃめちゃ面白かった。

特にこの階の階段トークは鋼太郎さんがトーク番組で「楽しかった」と挙げるほど印象深いシーンでしたね。

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第7回 帰蝶の願い

尾張と美濃に和睦の話が持ち上がり、帰蝶が織田家長男の信長へ嫁ぐか否かが問題になった第7回。帰蝶は密かに光秀へ想いを寄せていたようでしたが、光秀は鈍感で彼女がお化粧しても「旅芸人でそういうの見たことある」とか言っちゃう鈍さを発揮してて苦笑いしたっけww。
でも実は光秀も心の奥では帰蝶のことが気になってて、お互いに微妙なすれ違い状態になっちゃうのが切なかったです。

そんな中で面白かったのが利政(道三)と光秀のやりとり。帰蝶を説得するのは無理だと言い張る光秀に激高した利政が思わず「帰れ!!」と怒鳴ってしまうと、それにキレた光秀が「分りましたっ!帰りますっ!!」って本当に帰っちゃうっていうね(笑)。で、結局は利政が根負けして「呼び戻せ!!」ってなるというww。好きだったなぁ、この二人の子供のような言葉の投げ合い。
後にこれが、信長と光秀の間で繰り返されたときには思わずニンマリしましたw。

そして第7回エピソードのラストについに光秀meet信長!!

未だかつて、漁師のような格好をして海の向こうから日輪と共に登場する織田信長のシーンはありませんでしたから、非常に斬新な演出だったなと印象に残っています。この時からすでに型破りでしたね。それを見つめてる光秀も農民の格好してましたが(笑)。

第8回 同盟のゆくえ

そして帰蝶の一件でもうひとつ印象深かったのが、第8回で光秀が信長の元へ嫁ぐよう告げる場面です。帰蝶としては十兵衛に「行くな」と言ってほしかったけれども、政治的事情による自らの「役目」も理解していました。本心を押し殺して去っていった帰蝶と、そんな彼女を見送らなかった光秀のシーンはとても切なかった。

そんな光秀の本心はその後の駒を送っていくシーンの時に明かされるんですよね。

駒も光秀に想いを寄せていましたが、あえてここで彼の本心を尋ね「本当は帰蝶のことを想っていた」気持ちを聞き出します。駒ちゃんに関してはオリジナルキャラでもあったことからずいぶん賛否両論別れましたがw、私はそんなに嫌悪感抱いたことなくて。この前の回でも二人が寄り添って眠る「!?」と思えるシーンがありましたがw、個人的には十兵衛が駒を送るときの二人の距離感がとても切なくて印象に残っていますし好きなシーンでした。

第9回 信長の失敗

とにかく染谷くんが演じた信長はすべてが新鮮でしたが、本格的に登場し始めたこの回での父・信秀とのやり取りは特に印象に残っています(帰蝶の祝言もすっぽかしてケロっとしてたけどねw)。

めでたさついでに父に贈り物があると言って差し出したのが、松平広忠の首桶(汗)。攻め込まれる前に先手を打って始末したと語る信長には毒気がなく、ただ父上が喜んでくれると思ってのことだったと涙ながらに叱責されながらも涙ながらに訴えていた姿が衝撃でした。あんなピュアな信長像を見たの初めてでしたのでね。

母親からは疎まれ、父親からも認めてもらえない。幼いころからのそんな環境が信長の複雑な性格を形成してしまったのかもしれないと予感するシーンでもありました。とにかく涙ながらに「父上が喜んでくれると思って…!」って訴えてた染谷くんの演じる信長が哀れだったなぁ…。そんな彼の救いの存在となるのが帰蝶でしたね。

私はあまり織田信長という人物を好きになれなかったのですが、染谷くんが演じる信長なら感情移入できるかもしれないと思えた回でもありましたね。

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第11回 将軍の涙

織田家と今川家の戦の時が迫ることとなり、織田家は美濃に援軍を頼んだものの道三はそれを拒否しました。何とか両家の衝突を避けさせようと光秀は奔走するのですが、信長や帰蝶から無茶ぶりされたり、道三からは「金は出さないから勝手にやれ」と言われてしまったり散々でしたねww(頭を下げた直後に「ケチが!!」って毒づいた十兵衛に笑ったっけw)。

結局、高政ルートで土岐家を中継して足利将軍への道筋を作るわけですが、この時光秀が「高政の言うことなら何でも聞いてやるから」と切羽詰まって約束してしまったシーンも印象的でした。これが後々彼を苦しめることになるとはねぇ(汗)。

そして足利義輝の元へ行き戦を止めるための仲介を頼むことにこぎつける光秀でしたが、義輝は自らの権力のなさを嘆き「麒麟のくる世を作れていない」と涙を流す。この時の向井くんの儚い芝居もグッと来たわけですが、個人的にさらに印象に残ったのはその後のラストシーン。

義輝の想いに共感した光秀は、こみ上げる涙を拭いながら帰って行くんですよね…。もうその姿見たら十兵衛が愛しくて愛しくて仕方なくなったのを思い出します(涙)。

第14回 聖徳寺の会見

帰蝶プロデュースの信長大軍勢をこっそりと覗き見していた道三御一行様の場面w。歴史的にも有名なエピソードですが、一番面白かったのが、信長を知らせるために光秀が道三の肩を叩くシーン。

「信長が見えたらすぐに知らせるように」って言ってたくせに、大軍勢にビビッて圧倒されまくってた道三は光秀が最初に「ポン」と肩を叩いたことに全く気が付かなかったんですよね(笑)。それを見た光秀が慌てて強めに「バシッ」と道三の肩を叩いて信長を知らせるんですけどww、個々のやり取りがめちゃめちゃ滑稽で楽しかった。

道三はその後、行列の時とは打って変わってきっちり正装した信長と対面し意気投合。なんだか似た者同士のような雰囲気すら漂わせていて「良いコンビになりそう」なんて思ったっけw。
しかし、信長を信用していない息子の高政との溝はどんどん深まってしまうんですよね。高政の母である深芳野の謎の急死(唐突すぎてビックリしたw)をきっかけに家督を譲ることにはなりますが、親子の亀裂は広がるばかりで、それが光秀自身をも悩ませる結果に(高政の言うことなんでも聞く、なんて口約束もしちゃってたしね 苦笑)。

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第16回 大きな国

高政が弟二人を惨殺したことで父・道三との亀裂は決定的なものとなります。しかし、道三に味方する者は少なく、光秀は急ぎ道三が陣を構えるという大桑城へ駆けつけ戦を止めようと説得にかかります。それでも息子と戦う決意を曲げない道三は、光秀に自らの理想を語って聞かせるのです。

「わしは美濃一国で終わってしまったが、そなたは信長となら”大きな国”を作ることを実現できるかもしれない」と。

「大きな国を作るのじゃ、誰も手出しの出来ぬ、大きな国を!!」

道三のうしろで朝日が後光のように照らしていてとても神々しい映像だったのも印象的でしたが、自らがなしえなかった理想を光秀と信長に託す道三の熱い想いがヒシヒシと伝わってきて思わず感極まってしまったシーンです(涙)。道三は何かと光秀に無茶ぶりしまくってたけど、実は一番可愛がってた家臣でもあったように思うんですよね。光秀も道三には不満たらたらではありましたがw、それ以上に人間的魅力を感じていたのも確か。
それだけに、この光秀への「遺言」とも取れるこの場面は本当に切なくて熱いものがこみあげてきてしまいました。「さらばじゃ!」と走り去る道三の背中に向かって必死に「殿!!」と呼びかけていた十兵衛の姿も泣けました。この時の記憶は最後まで彼の胸の中に残り続けていましたね。

道三と高政、どちらに付くべきか一人悩んだ光秀は、最後の最後に「道三につく」ことを決断。友である高政と大嫌いだった道三を天秤にかけていましたが、決断に至った時に彼は「自分は斎藤道三という男に惹かれていたのだ」と自覚したのではないかなと思う印象的な場面でもありました。

第17回 長良川の戦い

道三との別れとなるこの回は、長良川の戦いが一番のメインになると思っていましたが・・・、個人的に一番泣いたのは叔父・光安との別れの場面でした。

もちろん、道三と高政の親子の戦のシーンも見ていて胸が熱くなりました。特に死に際の道三が息子に寄り掛かるように「勝ったのは道三じゃ…」と告げたあと壮絶な最期を迎えるシーンは切なかった…。高政は「道三は父ではない」と言い張っていたけど、心の中ではそれを認めざるを得ないことも分かっていて…、きっと道三もそんな息子の複雑な心境を察していたのではないかなと。

まるで抱擁しているかのような親子の場面は本当にグッとくるものがありました。

そして道三側についていた光安は負傷しまともに戦える状態ではなくなってしまっていた。しかも兵は数百しか残っておらず高政の軍勢が押し寄せてきたら滅亡してしまうのは必至。そこで光安は光秀に明智家の家督を譲り逃げ延びて明智の家を再興させてほしいと懇願するのです…。この時すでに光安は城と共に運命を共にする覚悟を固めていたんですよね(涙)。
敵が近づいてきたと知ると「わしはあとから行く」と光秀に告げますが、もう再び会うことはかなわないだろうということをお互いに悟ってしまっていて…、光秀は思わず光安に抱きついて号泣してしまうのです(涙)。

この二人の別れのシーンは涙なくしては見れませんでしたね(泣)。十兵衛は光安と過ごした時間をとても大切に想ってたんだなって伝わってきて、泣けて仕方なかった。

そしてもう一つ泣けたのは、明智荘との別れの場面です。

共に育ってきた伝吾をはじめとする仲間たちに涙ながらに無念と感謝の気持ちを告げたハセヒロ@光秀の姿は涙なしに見られませんでした。特に「また会おうぞ!!」の絶叫シーンは一緒に号泣したなぁ…。

さらに母の牧はその場に残り運命を共にすると言い張りましたが、伝吾は努めて明るく穏やかな笑顔を浮かべながら「大方様がまたお戻りになった時何も変わらず村がそこにあるようにしておきます。それをまた見ていただくために、今日は旅に出てくださいませ、どうか」と諭すのです…。

その言葉を聞いて大粒の涙をポロポロ流し明智荘を離れる決断をした牧さんの気持ちも、心で泣きながらもあえて笑顔で「今は旅に出てください」と逃げるよう諭した伝吾の気持ちも、本当に泣けて泣けて涙止まらなかった名シーンでした(泣)。

明智城から立ち上る煙に叔父の最期を悟った光秀たちが心引き裂かれる思いで立ち去るラストも切なすぎた…。この17回は本当にどこを切り取っても涙涙の印象深いエピソードだったと思います。

上洛編は次のページにて。