PR

NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第94回感想 たちばな

スポンサーリンク

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー

ひなたが家に戻ると、居間に算太が座っていた。久しぶりの再会にテンションが上がり興奮気味に10年間どこへ行ってたのかなどと質問攻め。そんな彼女にるいは静かに「お母ちゃんの伯父さんや」と告げる。友達みたいに思ってた人がまさかの親戚だったことを知ったひなたは驚きのあまり言葉を失ってしまいました。そんな彼女を尻目に、算太は美味しそうに「大月」の回転焼きを口にする。

「間違いない、これは、たちばなのあんこだ…」

回転焼きを食べてしみじみと実家のことを思い出す算太でしたが、”たちばな”という言葉を聞いたるいは表情を曇らせてしまいました。その名前を聞くと過去の思い出したくないことが蘇ってきてしまうのかな…。るいの心の傷の始まりは”たちばな”を再建する話が暗礁に乗り上げた時からだし、色々と複雑な気持ちはあると思う。

住んでいる場所を錠一郎から聞かれた算太は「50年間住所不定だった」と語る。ずっと外で暮らしてたってことじゃないとは思うけど、いろんな場所を転々としながら生きてきたことは本当なのかもしれません。住処がないのだろうと悟り「積もる話もあるでしょうから泊まっていってください」と提案してくれる錠一郎は相変わらずとても優しい。
ひなたも算太が親戚であることが嬉しく、「泊っていって」と笑顔で告げました。でも、るいだけは算太とあまり顔を合わせていたくないという表情だったよね…。彼の姿を見ると、どうしても母を憎んだ忘れたい過去を思い出してしまうだろうからな。でももしかしたら錠一郎は、あえてるいと算太を向き合わせたいと思っていたのかもしれない。

スポンサーリンク

算太を交えてのクリスマスディナーを楽しむ大月家。

るいは本当にお料理上手ですよねぇ。彼女一人であんな豪華な食事を作ってしまうなんて!どれもめちゃめちゃ美味しそうです。これ、だいぶ奮発したでしょう。翌日からは質素な食卓になるのかもしれないけどw。

ひなたは算太に「なんでもっと早く名乗り出てくれなかったの?」とスネてみせる。その理由っていうのが…算太が現れてくれてたら空き瓶拾いなんかしないでもモモケンのサイン会行けたのにっていうね(笑)。つまりは、お年玉ほしかったと言ってるところがなんとも彼女らしいw。
それに対して錠一郎が「ひなた、そこか?そこなんか!?」と柔らかいツッコミを入れてたのが面白かったww。

ちなみに、桃太郎くんは野球部のレギュラーに返り咲いたようですね。あれから失恋の傷を乗り越えて奮起して頑張ったんだね。 よかったよかった。

野球の話が出たところで算太は「勇ちゃんみたいだな」と感心する。ひなたや桃太郎にとってはまたまた聞いたことがない名前で、「父方の大叔父さんだ」と言われてもピンと来ていない様子。さらには算太が岡山出身と聞いて初めて母がその筋の人だと知ったひなたたちは驚いてしまう。るいは岡山時代のことは封印したい過去なので子供たちには一切話してこなかったからな…。
算太がるいとは子供の頃しか一緒に暮らしたことがないと話すと、ひなたの好奇心はさらに盛り上がって根掘り葉掘り聞き出そうと質問攻めにしてしまう。るいにとっては言いたくないことばかりで答えづらそうに黙り込んじゃうし、見ていてほんとハラハラしてしまう(汗)。ひなたは場の空気を感じるっていうのがちょっと鈍いとこあるからね(苦笑)。知りたい気持ちは分かるんだけど、もう少しお母さんの表情から何かを読み取ってほしかったぞ。

そんなるいの気持ちを察した錠一郎は「伯父さんは、ダンサーなんですよね?」とすぐに話題を切り替えました。こういう気遣いはさすがだなと思う。今でもるいのことを心から愛してる所以だよね。
するとひなたは「踊って踊って!もう一回見たいわぁ!!」と楽しそうにせがむ。桃太郎は呆れたように「無茶言わんとき」と姉にツッコミを入れてて、彼の方がよほど大人だよなぁと思ったw。

無邪気に「踊ってみせて」とせがむひなたに、算太はパンにフォークを突き刺して靴のように見立て躍らせてみせる。「パンが踊ってる!!」と大喜びのひなたの姿に、算太は昔の光景を重ねていました。

それは、幼かった安子の前で”おはぎ”を躍らせて見せた日のことだった。算太は、屈託ない笑顔で素直に喜んでいたひなたの姿に大好きな妹の姿を投影させていたのです。あの時安子も「おはぎが踊ってる!!」と言って大喜びしてたもんな…。

これまで何度もひなたを安子の姿と重ねてみてきた算太。こうして改めて過去の映像を見ると切なくなって泣けてきてしまった…。

スポンサーリンク

翌朝早く、算太はるいの「あんこのおまじない」の声で目が覚める。台所を覗いてみると、るいが回転焼きに入れるためのあんこを”おまじない”を唱えながら作っていた。以前にもこれと似た光景、あったよね…。

復員して雉真家にやって来た日の朝、彼は安子とるいの「あんこのおまじない」の声で目を覚ましていた。後ろからそっと二人の姿を見て”たちばな”での日々に想いを馳せた算太。それと同じ構図でまたるいのあんこ作りを見つめることになるとは…!何気ないちょっとしたシーンにも意味があったんだと思うと本当に胸アツです。

「変わらんのぅ」と懐かしそうに鍋の中のあんこを覗こうとする算太でしたが、るいはすぐに蓋をしてしまった。まるで彼に自分の心の内を見透かされたくないと言っているようで胸がチクリと痛む。
それでもるいは、意を決して「雉真の家を出てからどこへ行ってたん?」と長い間心にずっと引っかかっている疑問を投げかけてみる。算太が消えた後、安子は心配そうなるいを家に置き血相を変えて大阪へと飛び出していってしまった。

「ホンマのこと教えて?あの時、伯父さんはなんで姿消したん?」

るいは、算太が何らかの事情を知っているとずっと感じてきたのでしょう。今は新しい家族ができて幸せな日々を送っているけれど、”あの日”の出来事は未だに彼女の心に暗い影として残っている。自分の運命を変えた出来事の張本人を目の前にしたら、やはり事情を知りたいという気持ちになるだろうね。
大好きなお母さんを憎み続けることがるいにとってどれだけ残酷なことだったか想像に難くない。ここはきちんと教えてあげてほしいと思ったのですが、結局算太はそれに答えることができませんでした…。

スポンサーリンク

翌日のクリスマス、算太は錠一郎と一緒に福引きのバイトをしていました。算太が本当に”サンタ”になる日がきたね~(笑)。ちなみに、ここでかかっていたJ-POPは稲垣潤一さんの♪クリスマスキャロルが流れる頃には♪でしたね。この歌も今でも歌い継がれている息の長い名曲。

そこへひなたがやって来て算太にガラガラを回してほしいとせがみました。ひなたと錠一郎がやるといつもハズレばかりなので算太にやってほしいということらしい。たしかに二人ともクジ運は悪そうだもんねw。
苦笑いしながら算太が回すと、4等の玉が出る。景品は…おもちゃのピアノということで、ひなたとしてはガックリw。すると店の奥から吉右衛門が「今年はおもちゃの景品が多いんだ」と言いながら出てきた。店じまいしたおもちゃ屋から商品を「あかにし」に引き取った影響らしい。ということは、1等クラスも玩具系なのかしら(笑)。こういうケチを継承してるところはなんだからしいなって思っちゃいますね。

錠一郎が算太を「るいの伯父さん」と紹介すると、吉右衛門は「初めまして」とにこやかに挨拶をする。しかし、算太は吉右衛門の顔を見てふと昔のある出来事を思い出したようでした。

それは、「あかにし」からラジオを盗んでしまったことが発覚してこっぴどく吉兵衛さんに叱られたことだった…。ふと振り返ると、目の前にはかつての「朝丘町商店街」の光景が広がっているように見える。通りの突き当りに「あかにし」があって、そこからほど近い場所に「たちばな」があった。「大月」は「あかにし」から見てちょうど「たちばな」と同じような立ち位置にある…!

あぁ…そうか。算太の記憶を岡山に帰らせるために今の京都の町並みは設定されていたのか。吉右衛門さんが吉兵衛さんとそっくりという設定にしたのも(堀部さんの二役)、岡山の「あかにし」と繋げるためだったということか。そのことに気づいた時、軽く武者震いしました。やっぱり藤本さんの脚本のストーリー伏線回収はグッとくる。

算太の目に岡山の「朝丘町商店街」が映ったその時、「お兄ちゃん!!」と何度も呼びながら嬉しそうに駆け寄る幼い日の妹・安子の姿が現れる。嬉しそうに兄の胸に飛び込んだ妹は、屈託ない笑顔を浮かべながら「お兄ちゃん、ダンサーになれた?」と尋ねてきた。
そうだった…、算太がダンサーとして成功することを一番応援してくれていたのは安子だったではないか(涙)!!店を継いでほしかった父や祖父がダンサーへの道を許してくれたのは、安子の前で楽しそうに踊る算太の姿を見てしまったからだったよね…。

スポンサーリンク

幼い日の安子が「踊って!」と嬉しそうにせがんだように思えた時、その耳に商店街に流れるジャズナンバーが聞こえてきた。目の前でニコニコ微笑む妹の幻影を見た算太は力いっぱいのダンスを披露する。

振付けは、修行に出る前に安子の前で披露した時と全く同じだった。ダンサーとして成功することはなかったけれど、安子のおかげでやりたい道に進むことができた算太。あのダンスには、自由を与えてくれた妹に向けた感謝の想いが込められれているように思えてなりませんでした…。

老人とは思えないようなキレキレの動きでダンスを披露する算太の姿に、その場に居合わせていた京都の商店街の皆さんは呆気に取られていました。この場面は演じる濱田岳くんが「安子に見せるためにちゃんと踊りたい」と提案してあのような動きになったそうですね。最後の力を振り絞ってというニュアンスにしたということ。それにしても突然のキレのいい動きにはちょっと驚きましたけどねw。

安子のために踊っていた算太でしたが、次第にその脳裏に岡山で過ごした日々が走馬灯のように蘇ってきた。若い頃は家業を継ぐのが嫌で窮屈に感じていた橘家でしたが、今思い出されるのはラジオを囲んで家族みんなで大笑いした楽しく愛しい日のことばかり…。年老いて人生のラストスパートに入った今、ようやく算太は橘家が自分にとっての居場所だったのだと思えるようになったのかもしれない。

一心不乱に踊る算太を見た清子は彼のことを思い出したように見えました。その傍では福引きで当てたラッパを楽しそうに吹いている少年がいる。その姿にかつての自分を重ね合わせた錠一郎は、四等で当てたばかりのおもちゃのピアノを弾き始める。
トランペットが吹けないことで音楽からさらに距離を置こうとした錠一郎でしたが、算太のダンスを見て自然と音楽に歩み寄る形になりました…。カムカムの音楽を担当されている金子さんもピアノに活路を見出したと語っていらっしゃいましたよね。錠一郎ももしかしたら同じ流れになっていくのかもしれません。算太のダンスが錠一郎の心を動かすきっかけになるなんて…泣けるなぁ(涙)。

ひなたは商店街の人たちと楽しそうに手拍子をしていましたが、るいはその踊りに何か熱い算太の想いを感じ取ったからか涙ぐんでいました…。

そしてついに体力の限界点に達した算太はその動きを止める。ふと空を見上げた時、彼の目に映ったのは…「たちばな」だった(涙)。

家の中から橘家のみんなが「おかえり」と算太を優しく出迎える声が聞こえてくるような気がして涙が止まらなかった(泣)。彼にとって「たちばな」は、橘家は、帰るべき愛しい我が家なのです。そのことに気づくまでどれだけ多くの時間を費やしてしまったことか…。

一筋の涙が頬を伝った直後、算太は意識を失い倒れてしまいました(涙)。濱田岳くんの流した涙があまりにも切なすぎてボロ泣きしちゃったよ…。ありったけの想いを込めたダンスシーンといい、彼の芝居には本当に心を揺さぶられます。

錠一郎が算太の診察券を見つけて病院に連絡を入れると、彼が入院先から逃げ出していたことが判明する。そしてその命はもういくばくも残っていないということも…。残された時間が残り僅かであることを悟った算太は、るいに真実を告げるために無理を押して会いに来たのではないだろうか。でもいざ尋ねられた時には何も言うことができなかった。だけどやっぱり、自分の口からるいに”あの日”のことを語ってあげてほしいよ…。

サウンドトラック発売中

Blu-ray・DVD発売決定

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました