ここ最近家康さんの登場がありませんが…、また出てきてほしいなぁ。それとも今は栄一を黙って見守る期間なのか、様子見してるのか??また色々とツッコミ入れたりしてほしいものですw。
今回の「論語と算盤」というサブタイトルは、渋沢栄一の著書のタイトルと同じですよね。その本には栄一が多くの人に伝えたかったことがびっしり詰まっていて、特に会社経営をする人は最初に読んでいることが多いと言われています。ある野球チームの監督が選手に読ませていた、なんて話もあるくらいですよね(大リーグで活躍した大谷翔平選手も読んでいた)。
ということで、このストーリーの中にもその本に記されている出来事が描かれていたのではないかなと思いました。
「三井と小野が言うこと聞かないならお灸を添えてやったらどうだ」という三菱の岩崎弥太郎による不気味な助言を聞き入れてしまった大蔵卿の大隈は、その方法として”政府からお金を預ける代わりに担保を出せ”というお触れを出してきた。政府はこれまで無利子無担保でお金を預けていたようですが、今度からそれを撤廃して「担保」を要求するよう方針を変えたということ。
三井はしっかりした経営をしていたので担保を要求されても持ちこたえられるだけの体力がありましたが、放漫経営(派手にお金を使いまくり新しい商売を立ち上げまくってた)をしていた小野組は求められる担保を出せる体力がありませんでした(汗)。
栄一の銀行は、そんな小野組に130万円という大金を貸付金として渡していたので…それを回収できない可能性が出てしまったことを知り顔面蒼白になってしまいます。もしも回収できなくなったら銀行の経営も立ち行かなくなり最悪潰れてしまうことになりかねない。
そこで栄一は慌てて大隈邸に文句を言うため駆け込みに行きました。
以下、第33回を見て気になったシーンもろもろ(ネタバレあり)。
これまでの『青天を衝け』感想レポ
『青天を衝け』第33回 論語と算盤
2021年10月31日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45 ほか
出演:吉沢亮、高良健吾、橋本愛、田辺誠一、ディーン・フジオカ、大倉孝二、石丸幹二、イッセー尾形、中村芝翫、ほか
あらすじ
第一国立銀行の大株主、小野組が放漫経営で倒産する。小野組に無担保で多額の貸しつけをしていた第一国立銀行も、連鎖倒産の危機に陥る。さらに、三野村利左衛門(イッセー尾形)率いる三井が、この機に乗じて第一国立銀行を乗っ取ろうとする。銀行を守るため、栄一(吉沢 亮)は、三野村との一世一代の大勝負に出る。一方、喜作(高良健吾)は、主要な輸出品である蚕卵紙(さんらんし)を値崩れさせようと、横浜の外国商館が口裏を合わせて買い控えをし始めたことに憤慨していた。
<公式HPより引用>
御一新の際に貢献した特典としてこれまで政府は預け金を無利子無担保で三井組と小野組に渡していましたが、急にそれを撤廃して全額担保を求めるのは筋が通らないのではないかと猛然と抗議する栄一。「三井・小野を取り潰してしまうおつもりですか!?」と迫ると「おい一人で決めたわけではなか!!」と開き直る大隈w。これは、図星を突かれたって感じですかねww。まぁ、「そんなところに政府の金を預けるほうが危ない」っていう言葉には一理あるわけですが。
そんな逆ギレ気味の大隈に対し栄一は、第一国立銀行の大株主が三井と小野だと知ったうえでの所業なのではないかとさらに詰め寄ります。つまり政府は銀行をも潰してしまおうと考えているのではないかと危惧してたわけですよね。
すると大隈はさらにプッツンしてしまい「勝手に大蔵省を去ったくせに!!戦争ばかりで金がかかって大変な時に自分一人やりくりしなければならなくなったではないか!!」と恨み節をぶつけてきた。やっぱりなぁ、大隈さんは栄一が自分を裏切ったと感じて拗ねてしまっていたところが大きかったのか(苦笑)。しかし、栄一からすればこの言い草は到底納得できないわけで…
「そんな私情で国を動かされては困るっ!!」
と猛抗議。さらに機嫌を損ねてしまった大隈は「自分一人で決めたわけじゃないと言ってるではないか!!」とブチ切れ状態になり、二人の意見は全くかみ合わない。勝手に退職した栄一が井上と連名で新聞に政府の裏側暴露したあれはやっぱりやりすぎだったかもなぁ。大隈さんとは最初あんなに良い関係だったのだから、もう少し彼と話し合ってから…みたいなことはできなかったのだろうかと思ってしまう。
綾子さんは怒り狂って大声を出して栄一を追い出そうとする夫に五代から届いた文を見せて諫めようとしましたが、全く効果がありませんでした(笑)。その様子を目の当たりにした栄一も「ならば結構!!」と捨て台詞を吐き、舌打ちまでしてwwその場を立ち去ってしまいました。あの「チッ」っていうやつは絶妙でしたな(笑)。
小野組の善右衛門は「全額担保は到底無理」と助けを求めて頭を下げていましたが、それに応じたらせっかく作った銀行が潰れてしまうことからその願いを受け入れることを栄一は拒絶。放漫経営だったうえに実は借金までしていたことも判明していたらしいので、もうここは覚悟していただこうということにしたのでしょう。
栄一は心を鬼にして、政府よりも前に銀行に貸し付けた分の担保を差し出すようにと言い放ちました。銀行がなくなってしまえば、これまで軌道に乗り始めていた日本の経済も一気に停滞してしまうことは目に見えている。彼としても銀行を守るために必死なのです。
すると小野組の番頭である古河が、これまで銀行が無担保で貸し付けてくれていたお金はほとんど自分の支店のためのものだったとして、その恩に報いるために出せる者は差し出したいと申し出てきました。これまで信じてくれたことに深く感謝していた古河さん、立派な心掛けではないですか。
それを聞いた善右衛門は必死にそれを止めようとしますが、「もうどうやっても小野は助かりません」と厳しい現実を突きつける古河。これまでの放漫経営に危機感を持っていたからこそこういう心境になったのかもしれませんね…。
一方的に見捨てようとする政府に担保を差し出すよりも、自分たちを信用してくれた栄一の銀行へ担保を差し出したいと告げた古河。彼は栄一個人への恩を一番感じていたのでしょう。子供のように駄々をこねて泣き崩れる善右衛門でしたが…、結局は担保を銀行に差し出すこととなり小野組は倒産へと追い込まれてしまいました。経営のやり方によってはこういう悲劇を迎えてしまうところも当時は多かったのかもしれません。
こうして小野組の犠牲の上に何とか栄一の銀行は生き残ることができたのでした。
ところが一難去ってまた一難。経済を育てるためにお金を貸し付けすぎたことが原因で小野組を潰してしまったと反省していた栄一のもとに、三井組から一通の書状が届きました。手紙のタイトルは”第一国立銀行と三井組と扱いの方法”。そこには銀行の今後の経営に対する”指南書”のようなことがツラツラと書き連ねてある(汗)。
まるで自分主導で銀行を牛耳ろうとする三野村さんの魂胆が染み込んだような文だったわけですが、手紙の上に彼の様々なドヤ顔がハンコのように出てくる演出には思わず笑ってしまったwww。
頭に血が上った栄一は三井に突撃して激しく抗議しますが、当の三野村は「私は字が書けないので呟いたことを手代に書いてもらった」とシレッと受け流すw。このあたりの大物感が面白い。イッセーさんにしか出せない味ですよね。そんな三野村に栄一は
「第一国立銀行を三井組に取り込むおつもりか!?」
と単刀直入に切り込む。
三野村は最初から三井組だけの銀行を作ることにこだわっていましたから、これを好機として乗っ取りを図ろうとしたようです。せっかく作った三井組ハウスを栄一や国に勝手に取り上げられたことの恨みも忘れていなかったみたいだし…(汗)。あれはやっぱり禍根を残したよねぇ(苦笑)。
こうなることは成り行きだと余裕の三野村に対し、第一国立銀行はあくまでも合本銀行だと反論する栄一。全株に加え配当金や人員まで三井が吸い取ろうとする横暴には「承服しかねる!」と自分の意思をぶつけました。
それでも銀行を乗っ取る考えに変わりがない三野村に対し、栄一は大蔵省に銀行と三井組を洗いざらい調べてもらいどちらの考えが正しいのか判断してもらうという手段に出るのでした。
大蔵省はアラン・シャンドを派遣して本格的な西洋式銀行検査(日本初)を開始。その結果、第一国立銀行は小野組の一件で一度は危機的な状況になりながらも経営努力でなんとか持ちこたえていると評価されます。
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大蔵省が問題としたのは、大口の貸し付けを三井組のみに行っていることでした。合本銀行とうたいながらも一つのところに偏った貸し付けをするのは「不健全であ~~る!」と忠告する大隈w。ということで、銀行の三井組への特権が剥奪されることが決定。それと同時に銀行の総監を廃止し栄一を頭取として迎えるよう通達されました。
「お前が始めたんだ。しっかり立て直せ」
なんだかんだ栄一に対する恨み節をぶつけていた大隈さんでしたが、やはりその手腕には大きく期待するところも大きい。少し気まずそうな表情をしながらも栄一にエールを送る大隈が見れたのがなんだか嬉しかったです。
それに対する三野村さんの渋柿食べたかのような無念の表情www。
日本式の調査なら乗り切れたかもしれないけど、まさか西洋式の調査が入るとは計算外だったかもしれませんねw。最初はあんなに余裕かましてたのに、最後は特権を剝奪されたショックで足元おぼつかなくなっちゃうのはちょっと気の毒だったけど…どこか滑稽で面白かった。
三野村が退出した後、シャンドは栄一に「銀行を大事に育てるように」とエールを送るのでした。
ある夜大隈邸を訪れていた岩崎は、聞き分けのない豪商を潰して政府にとって必要な銀行を残したことは思惑通りではなかったのかと笑っている。それに対して大隈は「おいも必死たい」と苦笑い。栄一のいる銀行を残したことについてはまだちょっと複雑な気持ちがある模様。
岩崎としては、自分の会社である三菱が三井を凌ぐ勢いになったことでウハウハ状態らしいw。「大隈さまは神様じゃ」と手を合わせていましたが、大隈自身はあまり嬉しくもなさそうでw…それよりも、この先また戦でお金が出ていくことになるのではということを気にかけているようでした。
一方、五代邸には大久保が訪れていて二人で碁をしながら穏やかに語り合っていました。
数か月前にEテレの囲碁番組でこの時の撮影風景が紹介されていたのですが、それが今回登場したということになりましたね。碁の打ち方一つ一つに丁寧な指導が入っていて、五代を演じるディーン・フジオカさんが「俄然囲碁に興味が湧きました」と目を輝かせながら語っていた姿がとても印象的でした。
五代は大久保に「渋沢くんの銀行が潰れなかったことは良かった」と告げます。それに対して五代が小野組騒動の時に儲けたと聞いたぞと皮肉を返す。小野組が潰れる前に25万株を自分のものにしていたらしく…、さすが、抜け目ない男だなぁとw。
予想外の場所に石を置かれた大久保は動揺。そんな彼に対して五代は「攻める時はまず、己の弱さを顧みるべし」と説く。その言葉を聞いて「顧みたくはない」と意地を張る大久保に五代は少し不安を感じたようでした。
「一蔵さんは立派だけれど、いっちょん(全く)人望がないのは弱みを見せないからだ」
五代さんは大久保さんの欠点をよく知っていますよね。その欠点が後々悪いことに結びついてしまうのではないかと前々から心配していたところはあったかもしれない。碁盤を挟んでグイッと大久保のほうに顔を近づけた五代は少し笑いながら言葉を続けました。
「そんなモジャモジャした髭で優しいお顔まで隠してしまって」
それに対して「明治の男は髭面であるべきだ。お前こそ生やさないか。ツルツルじゃないか」とムスっとしてしまう大久保さん。五代さんの前ではこんな子供っぽい一面も見せていたんですね…。朝ドラ『あさが来た』の時もそうだったけど、大森美香さんは五代さんと大久保さんの関係を非常に魅力的に描いてくれていると思います。西郷さんとはまるで他人のような間柄で終わってしまったのは少し残念ですけどね(苦笑)。
大久保のささやかな反論に五代は楽しそうに笑いますが(この時の笑顔がめっちゃ素敵!やっぱりおでぃーん様の笑顔、プライスレスっ)、そのあと少し真面目な表情で忠告を送る。
「一蔵さんの目指す日本を作るには、もっと多くの味方が必要だ」
その言葉に対し、大久保はこれまで見せてきた厳しい顔とは全く違う穏やかな表情で苦笑いしながら答える。
「おはんには、かなわん」
五代の気遣いが、大久保は嬉しかったのかもしれない。もっと早く五代さんが大久保さんにこの言葉をかけてあげていれば…、そう思わずにはいられない穏やかで優しいシーンでした(涙)。
ようやく仕事にめどがついた栄一は、静岡の慶喜邸をようやく訪問することができました。猪飼が出迎えてくれたわけですが、この時彼は散切り頭になっていたので一瞬誰だか分らなかったww。ついに髷を切られたのですね。
猪飼は静岡の懐具合がかなり寂しくなったという現状を話します。その話に驚いた栄一は、徳川宗家(家達たち)が千駄ヶ谷に移った時になぜ一緒に行かなかったのかと尋ねる。すると猪飼は、勝海舟からその提案はあったものの、戊辰戦争での遺恨が残っていたこともあり慶喜は静岡に留まると決めたのだと事情を説明しました。
色々な人が挨拶に訪れるもののなかなか会おうとしないという慶喜でしたが、栄一に会うことだけは楽しみにしているとのこと。栄一は彼が心を開いた数少ない一人でもありますからね。
するとそのタイミングで、狩猟から帰って来た慶喜が栄一に声をかけてきた。
おおっと、これは、史実の写真とかなり寄せてきましたなぁ~!!草彅くん、なかなかにお似合いです。
久しぶりの再会に慶喜は嬉しそうに微笑み、栄一もそれに応えるように笑顔で頭を下げました。
庭先で美賀君改め美賀子が子供たちと楽しそうに遊ぶ様子を眺めていた栄一は「奥方様はお子様たちが可愛くて仕方のない様子だ」と目を細めました。
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その言葉に対し、慶喜は何も答えずすぐに栄一の暮らしぶりについて尋ねるのでした。実は、美賀子が遊んでいたのは側室が産んだ子供たちだったので彼女を気遣って触れたがらなかったのかもしれません。 美賀子は一度身籠った経験はありましたが流産してしまいましたから、もしかしてそのことが原因で子供ができない体質になってしまったのかも…(涙)。でも、慶喜の子供を残すためならと側室を受け入れることを決めたのでしょうね…。
栄一は、かつて百姓の身分だった自分が今では天皇や皇后に謁見できる身の上になったことに驚きを隠せないと語ります。見ているこちらもビックリだよw!
さらに人物評についても報告する栄一。三条実美については「己の意見がないし政治向きではない」ため息をつき、大久保については「何を考えてるのか分からない不気味な人」と渋い顔をするw。しかし、慶喜は栄一の政治にかかわる話には全く興味を示さず猟銃の手入れに夢中になっていました。まるで、話を聞こえないようにしているかのよう…。
本日の #青天を衝け で徳川慶喜公のお屋敷にあった絵に気付かれましたか?慶喜公がお描きになった油彩画「西洋風景」(当宮収蔵)です。慶喜公の多才さを感じるこちらの展示は本日までの予定でしたが、放送を受け延長します。博物館で実物をご覧下さい!
和装も凛々しかった慶喜公、洋装も素敵でしたね。 pic.twitter.com/2sCaPK1Xdl— 国宝 久能山東照宮 公式 (@kunozan_toshogu) October 31, 2021
このシーンの時に後ろに飾られてあった風景画、「ワルイコあつまれ」でも紹介されていましたが、慶喜が実際に描いた油絵を模したやつですよね。かなり画の才能があったことが伺えます。
慶喜が政治の話を聞きたがっていないことに気づいた栄一はその話を早々に切り上げ、自分の家にも男子が生まれたことを報告しました。 慶喜の娘・鏡子と同じ年頃だと聞くと「会ってみたいのぉ」とようやく笑顔を見せてくれた。栄一からはこういう他愛のない話を聞きたかったんだろうね…。
慶喜と会った後に美賀子とも面会した栄一は、1年前に円四郎の妻であるやすが乗り込んできてひと騒動が起こった出来事を聞かされました。そうか、あれは1年前の出来事になるのか…。
やすは慶喜には面会が許されなかったものの、美賀子とは話すことができた。その時彼女は、円四郎が新しい日本を作る人として大いに期待した慶喜がなぜ戊辰戦争の折に逃げたのかと激しく詰ったという。あの時は慶喜も大きな葛藤がありましたが、やすはそんなこと知る由もない。戦後の惨状を目にした彼女としては、どうしても文句を言ってやりたい気持ちでいっぱいになったのでしょう。
「なんの関係もないような顔して隠居暮らしされたら困るっていうんだよ!」
やすの言葉に美賀子は大いに胸を痛めたようでしたが、彼女が言いたいことも理解できてしまったため何も言い返すことができなかった。慶喜自身も、自分の行動が非難される現状を甘んじて受け止めているという。
それゆえ、今でも枕元には刀や銃を置くほど警戒していて暗殺の恐怖で眠れないこともあるらしい。趣味に没頭しているのは、そういう恐怖から逃れたいという心の表れだったのかもしれません…。美賀子はそんな慶喜に今の暮らしが幸せだと思ってもらいたいと切に願っていました。「あなたが来ると楽しそうや」と美賀子から笑顔を向けられた栄一は、慶喜夫妻の心の傷を想い切ない気持ちになってしまった様子。
静岡から戻った栄一は遅い時間まで「論語」を読みふけっていました。以前は夢中になって読んでいたものの、途中で尊王攘夷思想に熱を上げてしまったため開くことはなかったようです。そんな夫を笑顔で見つめる千代。
その時栄一はふと、パリにいた頃に将軍の妻から「これから寒くなるので貧民たちを少しでも温かくしてやりたい。慈善会を開くので何か買ってくれないか」という文が届いたことを思い出す。パリの婦人たちは志の篤い紳士たちから義援金を募って貧しい者たちに寄付を送っていたという。
その話を聞いた栄一は母・ゑいのことが過っていた。千代も、自分のことよりもいつも他人を思いやっていたゑいのようだと懐かしく思い出す。
東京でも貧民や親のいない子供を支援するための「養育院」ができたことを千代に話す栄一。しかし人数は増える一方で運営費用に困る事態になっているらしい。そんな養育院の事業を預かりたいという栄一。
「大事なのは民だ。今の世のままでは先に命を落とした人たちに胸を張れない」
その言葉を黙って聞いていた千代。この時なにか彼女なりの決意が芽生えたような気がしました。
その頃銀行では、円の価値がどんどん暴落していくことに大いに悩まされていました。さらに機械や繊維物の輸入が増えることで、日本の金貨や銀貨が大量に外国に流出してしまっているという。その報告を聞いた栄一は苛立ちながらも自分が無知だったことを認めざるを得ません。銀行さえできればみんなが幸せになる理想の日本が作れると思っていた節がありましたからね。世の中そんな甘くなかったということです(苦笑)。この時の栄一はちょっと子供っぽさが出て面白かったw。
さらにそこへ喜作が「横浜の異人もどうにかしてくれ!」と血相を変えて乗り込んできた。夏から”蚕卵紙”(お蚕様が産んだ卵がついた紙)を売っているものの今では外国商館は一つも買い入れる気配がないのだという。
政府もこの問題には頭を悩ませているようで、伊藤が大久保や大隈に種屋(蚕卵紙を扱う業者)が次々に倒産して自らの命を絶つ者が増えている現状を報告していました。大久保は輸入超過の影響が蚕卵紙にも波及していることが国の危機に繋がってしまうと危機感を抱いている。
こうなった背景には、外国商人たちが蚕卵紙にケチをつけて買い控えることで売る側が値段を下げることを待つといった事情が絡んでいました。
大久保は政府が動いて解決するしかないと告げますが、伊藤はそれに猛反論。政府が手を出せば、外国が通商条約違反だと苦情を言ってくる可能性が大いにあったからです。「これはあくまでも民が解決しなければならない」と力説する伊藤。それが解決できそうな人物で思い当たるのは、渋沢栄一しかいない。政府にそこまで認められる人物になっていたとは。いやぁ、すごい存在感だったんですね、栄一。
しかし、大隈は栄一に対する恨みが未だに癒えていないようで「おいはあいつには金輪際頭を下げんばい!!」とまくし立てている(笑)。嫌いな人とも付き合えっていう五代さんの忠告は、やはり大隈さんには通用しなかったようですなw。
ということで、その役目を引き受けたのは…なんと栄一を目の敵にしていた大久保でした。伊藤さんは何か別の役割があってできなかったのだろうか。
数日後に栄一を呼び出した大久保は、少し話しづらそうにしながらも、蚕卵紙問題に対する対策が政府では思いつかないのでなんとかしてほしいと告げる。それに対して栄一は警戒感を持ちながら「銀行も今正念場なので片手間で引き受けるわけにはいかない。政府がどうにかするべきではないか」と嫌味を含んだ言い回しで答える。これまでがこれまでだからね・・・、栄一が素直に大久保の言う通り動きたくないって思ってしまうのは仕方がない(苦笑)。
すると大久保は悔しそうな表情を浮かべながら机の上に唸りながら突っ伏してしまった。そして、ふと栄一の顔を見上げ唐突に「おはんも、ツルっツルじゃな」と苦笑いを浮かべてきた。この意外過ぎる反応にさすがの栄一も戸惑いを隠せない。まさか、自分の顔に髭が生えていないことを指摘されたなんてこの時は予想もつかなかっただろうし・・・よもや自分を嫌っているはずの大久保がそんな軽口叩いてくるなんて夢にも思ってなかったんじゃないかなw。
大久保さんはこの時、五代さんからの忠告が頭をよぎったんだと思います。フサフサの髭で自分自身を鎧で覆うよりも、まずは自分の弱さを認め「味方を作る」ことが大切だと親友は忠告してくれた。今は日本の危機の時。ここは自分が折れるしかないと腹をくくった瞬間だったと思う。
大久保は、自分は経済のことなど全然わからないと潔く自らの弱点を栄一に晒してきた。それゆえ、今回の頼みは自分を助けるのではなく国を救うことなんだと説得。
「味方に、なってくれんか」
ようやく素直に栄一の前に立てたんですね、大久保さん…。初めて大久保が自分に心を開いてくれたと感じた栄一は驚きながらも徐々に嬉しいという気持ちが沸き起こってきたようでした。こんな風に腹を割って彼と話せる日をずっと待っていたのかもしれない…。
栄一は大久保に自分が考えている策を伝えます。政府が蚕卵紙に使うための紙を売り上げたお金を使わせてもらえないかと提案。そう言うが早いか、栄一は横浜の貿易商と話をつけるため急ぎその場を立ち去ろうとする。
そんな栄一を引き留めた大久保は、「渋沢、頼んだぞ」と言葉をかける。その言葉が嬉しかったであろう栄一は「おかしれぇ!やってやりましょう!」と笑顔を向けました。ずっと反目しあってきた二人が、ここにきてようやく想いを一つにすることができた…。なんだかすごく感動して胸が熱くなってしまった(涙)。もう少し早くこの関係が築けていたら…!!そう思わずにはいられなかった。国を良くしたいという想いはずっと同じだったからね…。
横浜の喜作の会社「渋沢商会」を訪ねた栄一は、生糸職人たちに売れ残っている蚕卵紙すべてを買い上げてほしいと告げる。そのためのお金は政府が秘密裏に用意したお金で賄おうという考えです。外国に悟られないよう、表向きは「民のみの力」で解決することにこだわりたい。
その買い上げた蚕卵紙は、全て燃やしてしまおうと過激な提案をした栄一。喜作や惇忠は驚きますが、外国商人が音を上げて向こうから取引を持ちかけてくることが狙いだと知るとそれに賛同することにしました。つまり、買い控えを逆手に取った「売り控え」作戦です。
さらに栄一は、この一連の出来事を新聞社に取材させて洗いざらい掲載してもらうことを考えていました。東京日日新聞社の主筆となっていた福地源一郎は「こんな長文の広告、まだうちの新聞では出したことないぞ」と困惑顔。車内で物議が起こることは必定であったため、福地はそのことが気になり栄一の提案を引き受けることに躊躇いを感じたようでした。
しかしこのタイミングで「世論を動かしてこそのニュースペーパーだ」と言いながら懐かしい人物が再登場!小栗の親友で栄一たちとパリにも同行していた、ロバート秋…じゃなかったww、栗本鋤雲さんではありませんか!!久しぶりに見たけど…やっぱり秋山君と似て見えるw。
栗本さんは今では郵便報知新聞の主筆になっていました(現在の読売報知新聞社)。かつてパリで徳川は新聞の記事に翻弄されていたことがありました。しかしそれと同時に、新聞には世論を動かし政府をも動かす力があることも知った。栄一はその想いを共有してきた仲間。栗本の言うこともよく理解できたはずです。
「今度は外国を見返すのだ!」という栗本の言葉に生糸職人たちは俄然やる気を滾らせる。福地も負けじと自分のところでも掲載させてもらうと賛同することになりました。喜作はその様子を見てある想いが蘇ってきた。
「10年越しの…俺たちの横浜焼き討ちだ!!」
その言葉を聞いた惇忠の胸に熱い想いが蘇ってきたようでした。栄一も同じく10年前を思い出した様子。そうか…、栄一たちがあの物騒な計画を立ててからまだ10年しか経過してないのか。もっと倍以上の年月が経ったように感じてたけど(汗)、それだけ短期間の間にあまりにも大きな出来事が立て続けに起こっていたということなのかもしれませんね。
それにしても、よもやあの時断念した「横濱焼き討ち計画」がこんな形で10年という時を経て”実現”することになろうとは…!運命は繋がっているものだなと感じずにはいられない。
新聞は栄一の主張する日本の”蚕卵紙”の重要性について書き立てる。空き地には次々と買い上げた蚕卵紙が運び込まれ山のように積まれていく。新聞で事の次第を知った外国商人たちは慌ててそれを引き留めようとしていましたが、時すでに遅し。彼らの目の前で大量の蚕卵紙に火が投げ入れられ燃やされてしまいました。
【大河ドラマ『青天を衝け』第三十三回・ビビる大木さん】「覚悟」の火をつけた栄一、喜作、惇忠の深谷三銃士!埼玉万歳!益田孝役の安井順平くんは同級生なの!草彅剛くんに続いて……続きは https://t.co/sgeNnsHhTv #青天を衝け #ビビる大木 pic.twitter.com/YBv7XDPRbE
— NHKアーカイブス (@nhk_archives) October 31, 2021
栄一、喜作、惇忠の3人が松明を掲げる姿はまるで「三銃士」のようにも見えてカッコよかったです。これは、日本人による外国人に対する精一杯の抵抗であり彼らなりの戦いでもありました。でも、お蚕様の卵が大量に燃やされてしまうのはちょっと心が痛みましたけどね…(涙)。ちなみに、高価な根の付きそうな蚕卵紙は残し、燃やしたのは粗悪品ばかりだったそうです。
空高く燃え上がる炎を見つめる栄一たちは、先に天へ昇っていった仲間たちに想いを馳せる。「見てるか…。真田、長七郎、平九郎」 と呟いた喜作の姿に思わず涙がこぼれました…(泣)。横濱焼き討ち計画に参加するはずだった真田、それを命がけで止めた長七郎、仲間に入れてもらえず悔しい想いをしていた平九郎…。彼らどんな想いでこの炎を天から見つめていたのだろうか。きっと、「よくやってくれた」と歓声を上げているに違いない…。
明治9年1月、子供たちが仲良く庭で遊ぶ姿を栄一と千代が笑顔で見つめている。そのなかには、くにの娘のふみの姿もあったようでしたが、くに本人は遠慮したのかその場にはいませんでした…。
するとそこへ、突然子供たちの土産物を持参した三野村が正月の挨拶にやってくる。三野村さん、子供たちともすっかり打ち解けているようで一緒に「福笑い」をして馴染みまくりw。もう傍から見たらあれは渋沢家のおじいちゃんのような存在(笑)。なんだかんだ栄一とは色々とありますが、実のところは何でもズケズケ言い合える彼のことが大好きだったのではないだろうか。
そんな様子に溜息をつくしかない栄一でしたが、千代から三野村が小栗上野介の子供を引き取って育てていることを聞き驚いてしまう。かつて小栗家の奉公人で目をかけてもらっていた三野村は、小栗が処刑されてしまった後にその恩に報いるため彼の親族を引き取った過去がありました。
子供たちを目隠しして「子供に勝てたぞ」と無邪気に喜んでる三野村さんwの意外な顔を知らされた栄一は、「人は一面ではないのぅ」と複雑な表情を見せました。
その晩、栄一は自宅に喜作や五代、福地、益田孝(三井物産の創立者)を招き牛鍋を囲んでいました。西郷さんとは豚鍋でしたが、今回は牛鍋ですか。こちらもめっちゃ美味しそうでした。
その席で五代は「大久保さんが横浜の件よくまとめたと褒めていたぞ」と報告しますが、それに対して栄一は「そういうことは直に言ってもらいたいものだ」と苦笑いを浮かべてしまいます。大久保さんとしてもこれまでの栄一との関係性のこともありましたから、素直に感謝の気持ちを直接伝えるところまではいかなかったのかもしれないですねw。そんな五代は、大久保と木戸の仲を取り持ち政府をまとめていたらしい。人と人を繋げる接着剤のような役割もこなしてしまうのですから本当にすごいですよねぇ。
しかし良いことばかりではない。萩や鹿児島では挙兵間近という状況になっているという。いわゆる後の「萩の乱」と「西南戦争」のことですね…。戦が起これば政府が金を出さないわけにいかないことも考えられるため、栄一たちは頭を悩ませていました。ただ、戦は商人たちにとってはチャンスとも捉えられており、岩崎弥太郎の三菱などは手ぐすね引いてその時を待っているらしい(苦笑)。あの人ならそうなりそうだw。福地はもしも戦が起こった時には自ら戦地に赴いて記事を書くと鼻息を荒くしている。
そんな話をしている最中、喜作の目に栄一の机の上に置かれた「論語」の本が目に留まる。栄一と同じくかつて熱心にそれを読んでいた喜作は「懐かしい」と本を手に取りました。そんな彼に「これまでの俺はなんだかんだで公儀や政府に守られていたけれど、今や銀行の頭取になってしまった」と語りだす栄一。
「これからは俺自らが多くのものの命運を引き受けでっかい海を渡るんだと考えたら、急にゾッとしたんだ。それで、この”論語”だ。論語には己を修め人に交わる常日頃の教えが説いてある。俺はこの”論語”を胸に商いの世を闘いたい」
栄一の「論語」に対する熱い想いを聞いた仲間たちは大いにそれに頷いていたようでした。
その席の後ろの方では、三野村が「奥様は大変な目利きでいらっしゃる」と千代のことを褒め称えていました。あ、三野村さん、お昼からずっと渋沢家にいらっしゃったのねw。渋沢家に置かれている物はすべて”本物”ばかりだと見抜く目を持つ千代を大きく評価していた三野村でしたが、おそらくその言葉には、栄一を夫に選んだことも含まれていたのかもしれないなと思いました。
そこへ栄一が「こちらで共に飲みませんか」と三野村を誘いにやって来ました。小栗との関係の話を聞いてから、彼のなかで三野村さんに対する見方が大きく変わったようですね。こんなにリラックスして言葉をかけたのは出会ってから初めてではないだろうか。
それに対して、今はお酒は控えていると丁重に断る三野村。それは拒絶ではなく、本当に体調的なことで控えているといった感じでしたね。
少し残念そうにしながら、栄一は三井銀行が開業したことに対する祝辞を素直に告げるのでした。ようやく念願の合本ではない三井組による銀行を作ることができたようですね。何か裏があるのではないかと常に警戒していた相手に対して素直に「おめでとうございます」と頭を下げられるようになった栄一を見て、なんだか胸が熱くなってしまいました。
そんな栄一に対して「これで私も悔いなく死ねます」と笑顔を見せる三野村。やはりこの時すでに体の調子は芳しくなかったようですね…。苦笑いしながら栄一は「小栗様が今の世をご覧になったらどうお思いになるでしょうね」と問いかける。
振り返ってみれば、カンパニー、紙幣、バンク…などなど、この時代にようやく実現したことを小栗は10年前の幕末の時点で既に構想していたんですよね。それだけ先見の明のあるキレ者だったわけですから、危険分子とみなされて強引な形で処刑されてしまったことが本当に悔やまれてなりません…(涙)。
三野村はそんな小栗に想いを馳せながら「今更作ったのかとお笑いになっているかもしれませんね」と苦笑いを浮かべていました。こんなに穏やかな気持ちで栄一と三野村が語り合うのは初めてじゃないだろうか…。もっと早くこういう関係性を見てみたかったな。
しかし、三野村には今懸念している出来事があるのだという。それは、世の中が「金中心」に回り出していることでした。あぁ…、それは現代でも大きな問題になっていることだよな。むしろ、悪化していると言ってもいいかも(汗)。
「いまや誰もが金を崇拝し始めてしまっている。これは、私ら開けてはならない扉を開けてしまったかもしれませんぜ。さぁて…、どんな世になりますかねぇ…。存分に励んでください」
お金が回るシステムは、もしかしたら”パンドラの箱”だったかもしれない。三野村さんも色々と暗躍しつつも一方ではお金に縋る人々を目の当たりにして恐怖を感じていたのだろうか…。栄一は神妙な表情でその話に耳を傾けていました。
その後、お酒は飲まないまでも益田さんがお世話になっていることに対する挨拶をするため牛鍋の輪に加わっていった三野村さん。もしかしたら遅くまで栄一たちと様々なことを話しあい充実した時を過ごしたのかもしれません。
その翌年、三野村利左衛門は病に倒れこの世を去ってしまいました。最後に栄一が彼に心を開くシーンがあってよかった…。あの時の「存分に励んでください」という言葉は、彼に対する遺言だったのかもしれません。
三野村が亡くなった明治10年、西南戦争が勃発。西郷隆盛がその戦で命を落としてしまったことが新聞に記されている…。東京日日新聞の福地源一郎は本当に戦地まで自ら取材に出向き、戦の経過について書いていたようです。
最後に西郷が渋沢家を訪れたあの日、楽しく食事をしながら彼は「お前と俺は違う。後悔のない道を生きろ」と言葉をかけてくれた。あれはおそらく、こうなる未来をどこかで予見したうえで栄一にその後の未来を託す遺言の意味も含まれていたのかもしれません…。
栄一はその日のことを思い出しながら、悔しさで顔をゆがめていました。西郷が戦死してしまったことも哀しかったと思いますが、人として信頼していた彼が戦を起こす側に回ってしまったことへの無念さも大きかったはずです。戦のために消費した額はその当時の国の税収に迫る4200万円というとてつもない大金だった。大きな戦を起こすことがどれだけ国に負担をかけてしまうか…、西郷には分かってほしかったという気持ちもあったのではないだろうか。
でも、西郷も戦を積極的に起こそうとしたわけではないんですよね。政府への不満を抱く元士族たちの受け皿にならざるを得なくなり、彼らと一緒に運命を共にすることを決断したという背景があったと言われています。このあたりの出来事は大河ドラマ『西郷どん』でも描かれていました。西郷は西郷なりに、国のことを想っていた人物だったと思います。
岩崎の三菱商会は西南戦争で多くの利益を得たようでしたが、あまりにも大きなお金が動いたことに動揺も感じた様子でした。
明治11年5月、弟の岩崎弥之助が「大変じゃ!」と血相を変えて飛び込んできました。大久保利通が紀尾井坂にさしかかる清水谷付近で不平士族6人により惨殺されてしまったと…。ドラマでも気難しい融通の利かない強引さが際立つように描かれていましたから、いつかはこんな日が訪れてもおかしくないという覚悟みたいなものは見る側にもありました。特に元士族たちは多くの恨みを抱いたようで、かなり苛烈な方法で暗殺が決行されたと伝わっています…(郵便の父・前島密は大久保暗殺後に現場に駆けつけ、この時の様子を詳細に記録しました)。
大久保暗殺の知らせを受けた五代は、数年前に共に碁盤を挟んで笑顔で語り合った日のことを思い出しているようでした。
朝ドラ『あさが来た』の時には、親友である大久保の暗殺に大きなショックを受け思わず密かに想いを寄せていたあさに抱きついて号泣してしまった五代さんでしたが、今回は一人静かに碁盤を前にしてその死を受け止めようとしているように見えました。
同じ作家さんのドラマですが、描き方によってこうも五代さんのイメージが変わるものだなぁと。心はざわつきながらも、大久保の志は継いでいかなければいけないという覚悟のようなものも、ディーンさんの演じる五代の表情から感じ取ることができました。その姿はとても儚く、そして美しかった…(涙)。朝ドラとは違う側面をもつ五代さんがとても印象深かったです。
大久保の死を聞いた栄一はどんなことを感じたのでしょうか。もっと早く蚕卵紙の一件の時のように協力し合うことができていればと思わずにはいられない。対立することが多かったけど、日本を良くしたいという想いは同じでしたからね…。ただその道筋が違っていたという悲劇…。
大久保利通は私利私欲のために金を使わなかったことでも知られていて、死後に残された借金はすべて国のための事業につぎ込んだものだったのだとか。国のために私財をなげうつような政治家でもあった大久保。果たして今現在、それと同等の気概を持ち国を動かしている人たちはいったいどれだけいるのだろうか。
渋沢栄一は、ことごとく対立することが多かった大久保に対し「嫌いな人物だった」と振り返りながらも「偉大な人物だった」と認める文章を綴っているそうです。
自分に大きな影響を与えた人たちが次々に世を去ってしまったものの、栄一は彼らの分まで歩みを止めるわけにはいきません。引き締まった表情で銀行を出立する彼の脳裏に、三野村の「さぁて…、どんな世になりますかねぇ」という言葉が蘇っていました。
そのあとすぐに、現代日本では衆議院選挙の開票速報番組が始まりました。ドラマの展開ともリンクしているように思えて、なんだか見えない意思が働いているように感じるものがあった。「金中心の世の中になってしまった」と嘆いていた三野村さんは、果たしてどんな想いでこの顛末を天から眺めていたのだろうか。ひたすら国のことを考えそのために私財までなげうっていた大久保さんは、今の政治家たちの姿勢を見てどう感じているのだろうか。
色んなことが頭を巡ってしまい、なんだか後から感情がこみ上げてきて涙してしまいました…。維新編を大いに盛り上げてくれた三野村さんや大久保さんの退場は本当に切ないです(涙)。
ただ今、大久保利通さん、クランクアップしました!大久保のいろいろな面を描いていただき、感謝。と、アップ後の取材で。石丸マネ#青天を衝け#石丸幹二#大久保利通 pic.twitter.com/FkulFv3vTP
— 石丸幹二 (@team_kanji) August 4, 2021
大久保役を演じた石丸幹二さんがクランクアップを迎えたのは、ちょうどコロナ禍で大変だった8月上旬の頃でしたね。本当に魅力的なお芝居でした。お疲れ様でした!石丸さんの二度目の大河出演、嬉しかったです(どちらも幕末モノだったし)。また数年後に出演が叶うと嬉しいな。
完全版ディスク発売中!