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『西郷どん』最終回感想 敬天愛人

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その知らせは内国博覧会に出席中の大久保の耳にも届くことになります。

衝撃を受けて思わず固まってしまった大久保…。西郷が条件を飲んでくれることを願っていただろうけど、そういうことはしない男だというのも心のどこかで分かっていたとは思うんですよね。それでもあれだけ動揺してしまったということは、もう、彼の中で西郷を失いたくないという気持ちを制御することができなくなってしまったのではないかと…(涙)。

このタイミングで、来賓への挨拶をしなければならなくなってしまう大久保…。

ちなみにこの時に演奏されていた音楽は、第1回放送の上野の銅像が除幕式を迎えたシーンと同じなんですよね…。なにげにここでもリンクしてた。

気持ちを奮い立たせて演説を始める大久保。最初はいつも通りに冷静なコメントをしていましたが、その声は徐々に震えだす…。泣くまいと気持ちを抑えながら平静を装うことに必死になっている大久保の姿に胸が痛む…(涙)。

そして、ふと視線を移した先に目に映ったのは…

戦争中で出品することが叶わなかった「鹿児島縣」の文字と、空のスペースでした…。

大久保にとって、鹿児島は西郷吉之助そのものだった。あの空のスペースに彼が見たのは、これまで積み上げてきた西郷との思い出だったのかもしれない…。その西郷の命の火を消そうとしているのは、ほかならぬ大久保自身…。

西郷のことが頭から離れなくなってしまった大久保はついに言葉を詰まらせ、それ以上語ることができず逃げるようにその場を立ち去ってしまいました。
この時の瑛太くん演じる大久保の表情があまりにも痛々しすぎて涙が止まらなかったよ(泣)。

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西郷軍は洞窟の前で人生最後の宴を楽しんでいる。西郷もおどける桐野の姿を見て思わず笑顔を向けて穏やかです。

そしてみんなをねぎらいながら

「百姓や町人の政府軍はなかなか強かなぁ!これなら外国がいつ攻めてきても十分に戦えっど!」

と語る。これは実際の西郷も同じようなことを口にしていたという記録があるそうですね。この戦いの中で西郷は新しい日本に希望を見出していたのかもしれません。武士の時代は終わるのだということを肌で感じたんだと思います…。

久武は「若い者たちにはもっとマシな死に場所を与えたかったな」と呟きますが、桐野たちは「ここが最高の死に場所だ!」と笑う。それに呼応するように辺見や宗介たちも「薩摩武士の本懐だ!」と笑いだす。
誰の顔にも悲愴感は浮かんでいない。むしろ、明るく・・・そして楽しそうな彼らの姿はどこか清々しくて爽やかでした。

新八は西郷から「その外套はいつまで着ている気なのだ?」とツッコミを入れられると「これは女子の想いがしみ込んでいるんだ!」とドヤ顔。よく見ると…裏地にはフランス人の女性の写真が貼りついているではないですかww!
新八、フランスで恋もしてたのかーーー(笑)。その人が今も忘れられないなんて、純情な奴だねぇ。まぁ、新八は結婚もしてたし子供もいるんだけどね(西南戦争にも従軍しています)

おそらくこの新八とフランス人女性とのエピソードは、『武士の碑』という小説をベースにしたものかと思われます。

このなかで新八はフランス留学中にラシェルという女性に恋をし、彼女が死の間際にコンサーティーナを託したという展開になっているそう。
ドラマでもきっと、その路線で描かれていたのかもしれないなと。

史実ではなさそうですが、新八の知られざる一面が最後に明らかになってホッコリしました。仲間たちに冷やかされて追いかけまわされてる新八が愛しくて仕方なかったよ。それだけに、ホッコリしながらも泣けて泣けて…(涙)。

皆が寝静まった頃、西郷は短刀を見つめて斉彬から「侍の時代は終わる」と諭された少年時代のことを回想する。あの時に斉彬が言葉にしたことが実現しようとしていることを想い感慨にふける西郷…。
でもそのために、西郷は自らの命を捧げようとしている。行き場を失った士族たちと一緒に消えていくことで武士の世を終わらそうと考えた西郷。それ以外に方法はなかったのだろうかとも思うけど、おそらく西郷はそのことに使命感を持っていただろうし、自分が終止符を打つということに誇りも持っていたんじゃないだろうか。

だからきっと、このドラマで描かれているように、西郷たちには「死への悲愴感」というものは無かったのかもしれません。

そして、明治10年(1877年)9月24日がやってきます。

総攻撃が始まる午前4時になる前、西郷たちはこれまで掲げてきた『新政厚徳』(万民に平等な新しい政治)の旗を燃やします。

泣けたのが、新八がアコーディオン(コンサーティーナ)と外套を燃やした場面です(涙)。炎に包まれていくそれらを見つめながら「モナムール」と呟いた姿はグッとくるものがありました…。「モナムール」というのは、”愛する人よ”という意味。愛したものを焼いて葬ることで自分自身にけじめをつけたんだね、新八…。

実際の村田新八も最後の出陣前に大切にしていたコンサーティーナを焼いたそうです(涙)。

その火を見つめながら、思わずお腹の虫が鳴ってしまった新八。最後の最後までお腹を空かせた可愛い弟キャラだなんて…反則だよーーー(涙)。

勝手な願いだけど・・・新八には生きていてほしかった…って気持ちが強いです(涙)。

新八の腹の虫に緊張していた心が解きほぐされた一同。そんな彼らに西郷は最後の言葉を告げる。

「おはんらが侍の最期を務めるんじゃ!日本の誇りじゃ!!」

その後ろには、まるで最後の花道を飾るかのように赤い彼岸花が咲き誇っていました…。

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そしてついに政府軍による最後の総攻撃が開始されました。

絶えず鳴り響く銃声や大砲の轟音を聞きながら、山県は何を想っていたのだろう…。その音が西郷の命を奪うものだと感じながら、自分ではもうどうすることもできない虚しさを覚えていたのではないでしょうか…。銃声が鳴りやんだ時は即ち西郷の命が消える時ですから…鎮まってほしいようでそうならないでほしいといったような複雑な心境だったと思います。

従道は兄の命を奪う銃声を聞くことに耐え切れず、官軍の本営から東京へと戻って行きました。その背中を静かに黙って見送る山県の視線も切なかったです(涙)。

「いっど!!!」「チェストーーー!!!」の気合と同時に西郷たちは降り注ぐ弾に向かって突っ込んでいく。西郷も「きーばれーーーー!!」の掛け声と同時に笑顔を見せながら突進していきました。

銃声が鳴り響く中、糸たち西郷家は息をひそめて耐えている。
久光と海江田のところにもその音は届いていて、西郷たちの行く末に心を痛めていました。久光は静かに時が終わるのを見守ろうという構えでしたが、幼い頃からの親友だった西郷や新八の命が散っていくこと感じていた海江田はあふれる涙を止めることができませんでした(涙)。

殿を務めた久武は狙い撃ちしてくる官軍に向かって矢を放ち見事に仕留めますが、その直後に銃弾を体に受けて絶命…。

立派な最期でした(涙)。ハンバーグ師匠がこんな重厚な芝居できるなんて思ってなかったよ!もっと出番があればよかったのにとすら思った。井戸田さん、お疲れ様でした。

そして、久武の死を目の当たりにして駆けつけようとした琴の息子・宗介も直後に狙い撃ちされて命を落としてしまいました(涙)。

桐野は抜刀隊と斬り合いとなり次々と相手を倒していく。その様子を下から見ていたのが川路です。かつて想いを同じくして共に歩んできた仲なだけに、桐野が今どんな想いで戦っているのかが彼には分っていたのだと思う。その覚悟を感じ取っていた川路は

「俺が葬ってやっで!!」

と呟き桐野に銃口を向ける。

「半次郎ーーーーー!!!」

自分の名前を呼ぶ叫び声に振り返った桐野。その先には、かつての親友の姿があった。それを確認した瞬間、川路の放った銃弾が桐野の額を貫きます…。この時初めて、これまでポーカーフェイスで感情を表に出さないことを貫いていた川路の表情に涙が浮かんでくる(泣)。
自分の手で親友の命を奪うことが、どんなにか辛いことだったか…。その心中を想うだけでもう号泣でしたよ・・・。あまりにも哀しい二人の別れ・・・。

しかし、桐野は川路に撃たれたことに喜びを感じていたように見えた。

死の間際に笑みを浮かべ、桐野は川路の親友だった「中村半次郎」の顔でこの世から去りました。悲しいけれど、親友に送ってもらえたことはやはり桐野にとっては幸せなことだったのではないかなと思います。

実際の桐野は、西郷が亡くなったのを見た後に突撃して額に銃弾を受けて亡くなったとされています。ちなみにこの戦場に川路は参戦していませんでした。

大野くん、大熱演でした!お疲れ様でした!

そして、何回りも大人になったと感じた泉澤くんの熱演も忘れられません!お疲れ様でした!!

同じころ、新八は降り注ぐ銃弾をかいくぐり、必死に死に場所を求めていました。そして壁の向こうに倒れ込むと・・・握っていた刀を自らに突き刺して命を絶ってしまいました・・・(号泣)。
このシーンはもう、本当に、ひたすら悲しすぎました(涙)。

村田新八さんは自刃されたんですよね…。とても優秀な人物だったそうで亡くなったことを誰からも惜しまれたそうです…。

今回の大河ドラマで特に成長を感じたのが堀井くんでした。今まで見てきた作品よりも心打たれる芝居をしてた。堀井くんがこの大河に参加してくれて本当によかったと思います。おやっとさぁでした!!

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政府軍の銃弾は容赦なく西郷たちめがけて襲ってくる。そんななかでついに辺見も命を落としてしまいます。いつも強気でイケイケだった辺見も、逝ってしまいました・・・。

そして、ついに、西郷の足にも銃弾が命中。しかし、一度は倒れ掛かったものの再び前に向けて前進する西郷。

と、そのとき・・・

西郷の腹に一発の銃弾が命中しました・・・。なんか、ズボっとすごいリアルな嫌な音がして・・・それがまるで西郷の命を食い尽くしているかのようにも聞こえてしまった。

これが致命傷となり、西郷はその先の道を前進することができず倒れてしまいました…。

実際の西郷さんも、足と腹に銃弾を受け自分の命の期限を悟ったとされていますね。

場面はここで暗転したので、その後には定説通りのことが行われたんだろうなと・・・この時は想像していました。

午前4時に始まった城山の戦いが終わったのは、陽が上った頃の午前7時頃だったそうです…。銃弾の音が止んだ後、糸は庭先に出て城山の方に向かって「おやっとさぁでございもした」と頭を下げます。

ちなみに、糸さんのエピソードとしては、洞窟に籠っていることを知って新しい着物を西郷に届けた(届けに行ったのは熊吉)というのがありますね。糸が仕立てた新しい着物で西郷は戦いに臨んだそうな…。今回その描写がなかったのは、糸が延岡まで来たというエピソードを優先させたからかと思われます。

その時、後ろから犬の鳴き声がしてくる。延岡で西郷が死を覚悟して解き放った2匹の犬が西郷家まで戻ってきたのです…!ツンゴジャ・・・本当によく戻ったよ(涙)。まるで、西郷の魂が戻ってきたかのようにも感じられる演出にまた泣けてしまったではないか…。

糸はこの時改めて、愛する人がもうこの世にはいなくなってしまったことを悟り涙を流しました(涙)。

ちなみに、西郷さんが延岡で放った犬のうち、1匹は本当に西郷家に戻ってきたという言い伝えがあるそうです。あとは行方不明になってしまったそう…。

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