とうとう、おわってしまいました…!
今回はいつも以上に集中して見たんですけど・・・号泣に次ぐ号泣で終わった後はロス状態に(汗)。改めてこの一年、自分が今年の大河にどっぷりハマって見ていたんだなということを実感しました。
最終回は語りの西田敏行さんが再び「西郷菊次郎」の姿で登場。あぁ、いよいよ終わるんだなって空気が伝わってきて、しょっぱなからウルウル状態になってしまった。
助役の川村鉚次郎が部屋に掲げた『敬天愛人』の書を見つめながら、菊次郎は父・西郷のことを振り返る。
「父・西郷隆盛は、あの大きな体で、熱い心で、御維新から取り残された侍たちを、抱きしめ、飲み込み、連れ去りました…」
まさにその言葉を体現した西郷を演じた鈴木亮平くんに、心からの拍手を送りたい。
大河ドラマ『西郷どん』感想一覧
最終回 敬天愛人
2018年12月16日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45
鈴木亮平・瑛太・黒木華・大野拓朗・錦戸亮・堀井新太・村上新悟・青木崇高・笑福亭鶴瓶 ほか
あらすじ
西郷(鈴木亮平)は残った兵士と共に包囲網を突破し、薩摩の城山に到達する。一方、大久保(瑛太)は内国勧業博覧会の準備にまい進していた。そのころ、従道(錦戸亮)は、片足を失い政府軍に投降した菊次郎(今井悠貴)を西郷家に連れて帰る。政府軍総攻撃の前日、大久保は、降伏すれば西郷の命を助けると指令を出すが、西郷は拒否。城山から最後の戦いに向かう。そして、糸(黒木華)は夫西郷の真意を息子たちに語り始める。
公式HPより引用
時は遡って明治10年8月17日、西郷は「侍としての生き様を貫きたい」とする者たちを従えて延岡を出発します。
これが今生の別れになると悟っていた菊次郎は思わず父の背中を追いかけようとしますが、それをグッと押しとどめた糸と熊吉に涙が出た…。辛い気持ちは同じ…いや、それ以上かもしれないのに、彼女たちは西郷の想いを受け止めて気丈に振舞っていましたよね(涙)。泣き叫ぶでもなく必死にこらえながら西郷たち死にゆく者たちを見送る菊次郎たちの気持ちを想うと切なすぎて泣けましたよ、ほんとに…。
それにしても、あの山道はすごいところでロケしましたね!実際の西郷たちも相当な山道を越えていたようですから、まさにあんな感じだったのかも。
でも、彼らの顔には悲壮感は全くなくて…まるで冒険を皆で一緒に楽しんでいるかのよう。重そうな西郷を支えようとする桐野や新八の表情も極めて明るい。ちょっと大野くんや堀井くんの素が垣間見えるかのような可愛い笑顔でここは和んじゃったなw。
ちなみに史実によると、この道中は西郷さんは病気がちで殆ど輿に乗って移動していたそうな(直前に放送された迫田さんの特番で言ってました)。急激な山だけは自力で登らざるを得なかったようですが、ドラマほどの元気はなかったかと思われます。
その頃、延岡には官軍の総大将だった山県有朋が訪れていて糸たちに西郷の居場所を聞き出そうとしていました。
と、そこへ従道も到着し、菊次郎の片足が切断された様子を目の当たりにして愕然としてしまう。思わず「すまなかった」と頭を下げてしまうのは、やはり身内としての申し訳なさが押し寄せてきたからだろうね。従道は若い時はヤンチャしてたけど、根はすごくまじめで優しい男だもの…。
そんな従道の苦しい胸の内を感じ取った糸は「政府軍のえらいお方が私たちに頭を下げんでよかです」と想いやっていました。前回は毅然として従道の部下たちを追い返していたけれど、今回は従道の立場を尊重するような度量の大きさを見せたのが印象的だったな。
西郷との辛い別れを経験して、彼女の中でも何かが大きく変わったのかもしれません。
すると、偵察から西郷たちが南下しているという情報が入る。それを聞いて「鹿児島」だと直感した従道は「おい達も帰りもんそ、薩摩へ」と糸たちを鹿児島の家まで送ります。
西郷たちは官軍を避けるように山道をひたすら歩き鹿児島へ向かいます。その距離はなんと約450kmというから驚きです!何度か敵と遭遇して戦いながらの道中ですからね…、本当に昔の人の精神力と体力には頭が下がる想いですよ。
そしていくつもの危機を乗り越えた西郷たちは、とうとう鹿児島の城山へ到達!延岡から14日でというのがすごすぎる!!
目の前に広がる桜島の光景を見て思わず叫んだ桐野にグッと来てしまった…。生きてそこにたどり着けるかもわからない状況だったと思うから、その心中は察して余りある。
西郷はその場に立った時にふと何かを思い出します。この場面を見た時、私もふと脳裏に「もしかして…」という想いが過りましたよ…。
西郷が見つけたのは、子供の頃、仲間たちと一緒に「cangoxina」と文字を刻んだ大きな石です。
まさか初回に出てきたあの「石」が、最終回にこんな形で再登場しようとは…!!思わぬ展開に感極まって号泣(涙)。あの時のことを一緒に懐かしいと笑い合える仲間は、今この場には新八しかいないというのが切ない…。
俊斎は国父様と一緒にいる立場なのでよかったと思えますが(ちなみにあの中では一番の長生き)、有馬、吉二郎はもうこの世にはなく、大山も翌年には斬首される運命にある。そして大久保とはもう一緒に語り合う機会を失ってしまった…。37年の時を経て変わってしまった運命というのが悲しすぎます。
ちなみに、たどり着いたときに葉っぱを加えていた新八くん。これも初回とリンクしてるんですよね。
山の上から政府軍に占拠されている光景を見た桐野たちは「おい達の薩摩を取り返したか」と西郷に直訴。その様子を見て笑顔で「おはんらともうひと暴れしようかい」と、まるで引率の先生のような度量で彼らの想いを受け止める西郷。
死を覚悟していることには変わりないけど、失うものは何もないわけで…その表情は皆極めて明るいのです。だから、厳しい戦場の中にあっても彼らは生き生きと躍動しているように見える。最後の花道をまるで楽しんでいるかのようだった…。
西郷も彼らと一緒に戦いに参戦。銃を手に取りテンポよく撃ちまくる姿は何だかカッコよかった。久しぶりに西郷が戦をしてるシーン見たな。
しかし徐々に形勢は逆転していく。抜刀隊も投入され敗色が濃厚となったところで、西郷軍は山の中へと退却せざるを得ませんでした。ここで死に花を咲かせなかったということは、まだ「侍」としての自分たちに未練があったのでしょうか。おそらく、もっと思う存分侍魂で戦いたいという欲の方が大きかったのかもしれません。
その頃大久保は東京で内国博覧会の準備にまい進していました。生か死かの境目で戦っている西郷に対し、大久保は静かで平和な自宅で奥さんや子供と会っている。この落差が逆に刺さる…。
妻の満須は思わず「本当は鹿児島へ飛んでいきたいのでは?」と大久保に迫ってしまいますが、「口が過ぎる」とその言葉をシャットアウトする。一見冷酷な対応のようにも見えますが、私は大久保が必死に理性を表に出さないよう、西郷のことを記憶から締め出そうとしているように思えて仕方なかった。
こんな結果になったことを誰よりも望んでなかったのはきっと大久保だったと思うんだよな…。
それでも、日本の発展のためにと邁進し続ける。自分の信じた方法で日本を世界に対抗しうる国へと変えていこうと前を向き続ける大久保…。「自分は間違っていないんだ」と心の中で奮い立たせているかのようにも見えた。
それだけに、今は西郷よりも大久保の方が痛々しくて見ていられない(涙)。
糸たちは従道の案内で無事に鹿児島の西郷邸へ戻ってきました。片足を失った菊次郎を温かく出迎える雪篷さんたちに泣けた…。
琴は自分の息子が西郷と運命を共にする事になったと糸から聞かされて愕然とします。ドラマには出てきませんでしたが、琴さんは息子を戊辰戦争の時にも亡くしてますから…ここでまた大切な息子を失うことになると知った衝撃は計り知れないものがあります(涙)。
海外留学も経験させた宗介が命を落とす道を選んだと知った琴は正気を失い、弟の従道を責める。
「兄さぁを撃つつもりか!??小兵衛を撃った!!今度は兄さぁまで!!!」
琴さんのこの叫びは辛くて切なくて思わず涙してしまった…。でも、従道にはもう戦を止めることはできない。本当は今すぐにでも止めさせたい気持ちはあったけど、ここまで来てはどうにもならないのです。誰よりももどかしい想いをしていたのは、従道かもしれません…。身内を失うことへの辛さは彼も同じだったと思うから…。
ただならぬ琴の様子を目の当たりにした西郷の息子・寅太郎は思わず従道に「父上を殺さんでくいやんせ!!」と泣きながら頭を下げる。きっと、事の重大さをこの時に初めて認識したんだろうね…。
しかし琴はそんな息子に「命乞いなどしては、西郷家の恥になりもす!!」と厳しく叱責する。
この時の糸さんの鬼のような形相にゾクっとさせられるものがあった…!黒木さん、顔つきも声も「覚悟を決めた薩摩おごじょ」って感じになっててすさまじい気迫がありましたね。
そして、糸は静かにその場を立ち去ろうとした従道に「胸を張って最後までお役目を全うしてくいやんせ」と声をかける。相当の覚悟で政府に残ると決めた従道の心の内を糸は分かっていました。そう思ってくれる人がいるだけでもなんだか少し救われた気持ちになります…。
官軍から逃げ延びた西郷たちは洞窟のなかでその身を休めていました。残っている仲間の数も300人余りにまで減ってしまった・・・・。ここで彼らは5日間を過ごします。
実際に鹿児島へ行ったときにこの洞窟を見てきましたが、かなり狭い印象がありました。今は2つしか残されていませんが、当時はもう少し多かったようです。
洞窟の中では新八がアコーディオンを奏でていましたが、その音色がなんとも悲しい…。
第44回の時にちょこっと新八が弾き語りするシーンが出てきましたが、それはきっと最終回への伏線だなぁという予感はずっとありました。これが最後に出てきたら絶対泣くと思っていたけど…やっぱり号泣モノでしたよ(涙)。
生き生きと戦っていた西郷軍ではありましたが、新八の奏でるアコーディオン(コンサーティーナ)の音色に思わず涙を流してしまう人が続出…。まるでそれがレクイエムのように聞こえていたに違いない…。
と、そこへ西郷が「もっと賑やかなやつも聴きたかなぁ」とやってくる。そこで新八が思いついたのが・・・「ラ・マルセイエーズ」。フランス革命の時に生まれた歌で、現在のフランス国歌としても有名なあの曲。
新八がこれを選んだのは、パリに自費で留学したときの事を思い出したのかもしれないし、また『革命』というところに共鳴してのことだったのかもしれない。
実際の村田新八も、よくこの曲を演奏していたのだそうです…。
「ラ・マルセイエーズ」の音色に今まで沈んでいた仲間たちの心も明るくなり笑顔が増える。そして瞬く間に宴会のような騒ぎにまで発展。
桐野は辺見に「おーい、なんかやれー」と声をかけて音色と全く合わないような歌を歌い出しちゃってww。ここは少し吹いた(笑)。あれって、もしかしたら大野くんのアドリブで持永さんにムチャぶりしたとかw!?
西郷さんなんかは踊り出しちゃってましたが、あの動きは奄美大島で覚えたやつだろうかw。動きが相変わらず可愛らしくて少し和みました。
「お気に召したら投げ銭を」と新八が置いたシルクハットの中にはたくさんの「札」のようなものが投げ入れられていきます。
あれはたぶん、西郷札ですね。
堀井くんはこのシーンのためにかなり練習したようですね。最終回前に堀井くんが新八さんのお墓の前で演奏した動画が上がりましたが、これ見て私は思わず涙しました(泣)。
曲名 ヴェルディ作
— 堀井新太 (@horii0626) December 16, 2018
「われらの山へ」
天にいる新八殿が喜んでくれるといいな。我が殿 西郷吉之助様にも届くといいな。同志の皆にも癒しの声として届けという想いを込めて弾かせていただきました。
今夜最終話。
スーパー素敵な60分是非お楽しみください。#西郷どん pic.twitter.com/EynGcvrtVL
その頃、静寂の中一人政務に励んでいた大久保は、ふと引出しの中にあった小さな袋に目が留まります。それは、戊辰戦争が終わった後に吉之助から「後を頼む」と託されて渡された「cangoxina」の包み紙…。
それを目の当たりにしたとき、大久保の心の中でどうしようもない感情が湧き起ってくる。国造りのために今まで必死に抑えに抑えてきた『西郷吉之助への想い』が遂にここで目を覚ましてしまった…。もうその気持ちを押し込めることが大久保には出来なかったのか、ある行動に走ります。
鹿児島の本営では、なかなか総攻撃に踏み切れず苦悩する山県や従道たちの姿がありました。「早く総攻撃をするべきだ」と主張する者に対し「今まで西郷さんの恩恵を受けなかった者があるか」と問いただす。それを言われると誰も何も反論できない…。
そうです、山県さんにとって西郷さんは恩人でもありましたからね。ここで迷いが出てしまうのは自然な感情だったと思いますよ(村上@山県さぁについては別ブログにて)。
その様子を見た川路は「降伏を呼びかけましょう。条件は、西郷先生以下隊長連中の自裁」と提案。砲撃で死んでしまえば「賊」の汚名は消えないので、せめて「名誉の死」を与えるのはどうかということ。それを言いだす川路は一見すると冷酷なようですが、これがせめてもの彼にできることだったと思う。川路だって、相当な覚悟で今の立場にいるのだから…。
と、そこへ大久保からの電信が入ったという知らせが届く。
従道は即座にその知らせを使いをやって城山の西郷に届ける。大久保からの知らせとは…
「総攻撃は明朝4時。ただし、本日夕刻5時までに降伏すれば、賊・西郷隆盛の命は助ける」
というものでした。西郷だけの命を助けるというところがなんとも大久保らしい提案だなと。本当はそこに新八も入れてほしかったけど…。
最後の最後にきて、ついに大久保は西郷を失うという現実に耐え切れなくなってしまったのだね(涙)。
その手紙を受け取った西郷は思わず笑みを浮かべ「甘かとはおはんじゃ、一蔵どん」と呟きます。
この、ちょっとホッとしたかのような笑顔が非常に印象的でした。西郷はこの時、自分は大久保から拒絶されていたわけではなかったんだと悟ったんじゃないのかな…。まだ彼との友情の絆は切れていなかったということを感じて嬉しくなっていたのかもしれない。
そのうえで西郷は「おいに情けを掛けることは、自分で自分の首を絞めることになっど」と口にする。大久保を想うからこそ、それに従うことはできないと改めて自らの覚悟を決める西郷。この時彼は、日本の未来を改めて大久保利通に委ねる気持ちを新たにしたんだと思います…。かけがえのない親友だから…。
しかし、桐野は必死に「先生だけは生きてくいやんせ!!」と懇願する。幼い時に自分の心を救ってくれた西郷のことを熱く厚く慕ってきたからこそ、生きてほしいという気持ちが湧いてきたんだろうね。敬愛してやまない西郷には生きてほしいと…。その気持ちを想うと泣ける(涙)。
桐野の言葉に呼応するように他の仲間たちも西郷には生きてほしいと懇願する。
彼らの「生きてほしい」という言葉に感謝の気持ちを述べつつも、「じゃっどんここは死なせてくいやい」と語り出す西郷。
「こん国から戦を無くすためにも、おいは死なねばならんとじゃ」
自分が死ねば、士族たちが新しい生き方を見つけることができるだろうと穏やかに話す西郷の言葉に桐野たちは黙り込んでしまう。西郷は自分が生きている限り、また旗頭にされて士族たちがまた戦に繰り出してくることを予想していたんですね。
大久保が創ろうとしている新しい日本のためには、戦をすることとは違う道を士族にも選んでほしいという願いが込められているように感じました。
そして新八も・・・
「吉之助さぁが、おはんらだけを死なせるわけがなかとが!」
と付け加える。運命を共にする覚悟を決めた新八の言葉は清々しくすらあったけど、悲壮な想いも垣間見えてなんだかとても切なかったよ…(涙)。
「戦をなくす」という想いは大久保も抱いていました。
しかし彼はそのために強引な政治手腕を取り逆に士族の怒りを買って戦を引き起こしてしまった…。西郷と到達したい目的は同じだったのに、その道のりが違ってしまったことがなんとも虚しく切ない。
降伏の期限である午後5時まで残り15分…。なかなか回答が来ないことに従道は焦りの気持ちを隠すことができない。そんな従道を目で追う山県も、心中は穏やかではなかったのではないかと思います。
そして、ついに刻限が過ぎても西郷側からは何も返答がありませんでした…。それは即ち、降伏は受け入れず「死」を覚悟したということになるのです。
大久保の提案に一縷の望みを賭けていた山県は、無念の想いで懐中時計から目を離す…。こうなる可能性が高いことは感じていただろうけど、いざそれが現実になると落胆の気持ちは何よりも重く心にのしかかってきていたと思います。
山県や従道が絶望感に襲われているなか、川路だけがキリっと前を見据えてその場を立ち去りました。西郷への大恩があったのは川路も同じ。むしろ山県よりも西郷とは深い関わりがあったくらいです。でもだからこそ、川路は西郷たちの想いを正面から受け止めたんだろうね…。毅然とした態度で戦場へと向かって行った姿がとても印象強かった。