大雨の林の中でお互い傘もささずずぶ濡れ状態(汗)。そんな状況で「どうしたんだ?こんな雨の中!?」といち早く声をかけてマヤを気遣う速水さん。いやいや、あなたもいったいどうしたんだ?って言いたいほどの状況ですけどねw。
マヤの手が冷たくなっているのを確認すると、何の迷いもなく自分の羽織っていたコートで彼女をすっぽり包み込み「どこかで雨宿りしよう」と歩き出す真澄。その懐のなかで「私を守ってくれている…、紫のバラの人…」と心が熱くなるマヤ。
どんなにぶっきらぼうな言葉でも、今のマヤにはそれが真澄の優しさであると理解することができる。彼女が素直に彼の想いを受け止めてくれているのが何よりも嬉しい。
そして二人は小さな古小屋で雨宿りすることになります。原作では「社務所」ということになっていますが、ドラマではロケ的に厳しかったからか使い古された小さな小屋というシチュエーションに変わりましたw。
が、原作とは違った切り口の展開が待ち受けていて非常に感動的な場面が満載でございます!
寒さをしのぐために、真澄は小屋にある鉄製ストーブ(焼却炉みたいなやつ)に小枝をくべて火を焚き続けている。その背中を見ながら、マヤは「ずっと昔から、私を影で励まし続けてくれた、紫のバラの人…」と彼に対する想いにこみあげてくるものを感じずにはいられない。
しかし、マヤが自分に想いを馳せているとは全く気付いていない真澄は自分の気持ちを悟られまいとするように「濡れたものを着ていると暖まらないぞ。脱いで乾かしたほうがいい、俺はこっちを向いている」と少しぶっきらぼうに彼女を気遣う。恥ずかしかったらコートを羽織ってろと告げる真澄に対し、マヤはこれまでとは全く違う想いを抱きます。
「どうして、どうして気づかなかったんだろう。その言葉も振る舞いもみんな私のためのものだったのに…!」
速水さんの言葉には何かと反発することが殆どだったパート1と2でしたが、ついにここにきて、マヤはこれまでの彼の行動や言動が「自分のためのものだった」ということを確信するに至るんですよね。たとえそれがどんなにキツい言葉であっても、今のマヤはそれを素直に受け止めることができる。彼女のためとはいえキツイ言葉をぶつけては傷つきまくっていた速水さんの姿をずっと見続けてきたので、彼の本心をマヤが理解してくれてることは本当に感無量…。
この時にマヤはパート2での真澄との出来事を回想するのですが、サンドラの初日パーティでの出来事はわかるんだけど、真夏の夜の夢の宣伝活動でのことが出てきたのは意外でした。
あの時は相当冷酷な態度でマヤに接してしまってたのでマヤからの反発もかなりキツかったんですが、それで彼女は奮起して公演までこぎつけることできましたからね。いつかあの出来事に至った速水さんの想いを彼女が理解してくれればいいなと思いながら見ていたので、この場面で思い起こされていたことは個人的に嬉しかったです。
これらの過去の出来事を思い起こし、マヤは「みんなあなたの優しさだったのに…!」と確信。速水さん…報われたよ、これまでマヤにしてきた出来事が…!!!そしてついに
「私・・・私、あなたが、あなたが・・・!!」
と彼に対する恋愛感情を自覚するに至るわけです。あーーー、長かったよ、ここまで来るのが!!!速水さん、早くマヤの気持ちに気づいてあげてーーー!!
とテンション上がって見ていたわけですが、後ろを向いて薪をくべてた速水さんはその想いを察知することができず(苦笑)。今が一番最大の山場に来ているというのに、「ひどい降りだな、当分やみそうにない」と天気の心配をする速水さん。今そこはどうでもいい時だよww!?
しかし、そのあとふいに「いつか、君の紅天女が見てみたいものだ」と口にしたことで二人の間に大きな変化が訪れることになります。
マヤはすかさず「速水さんに喜んでもらえるような紅天女を演じたい…!速水さんに見てもらいたい!!」と訴える。何とか自分の気持ちを届けたいというマヤの必死の想いが痛いほど伝わります。真澄は思いもよらぬマヤの言葉に大きな衝撃を受け、「君は俺を憎んでいたんじゃないのか?」と問いかける。
パート2の最後で少しは思いが通じ合ったようには描かれていたけど、彼の中ではいまだにマヤの母親を死に追いやってしまったというトラウマは消えていないし、その恨みはマヤの中から消えることはあり得ないという想いも根強く残っていたんですよね。それだけに、「速水さんに喜んでもらえるような紅天女を演じたい」というマヤの言葉は俄かには信じられなかったのだと思います。
憎んでいたのではないのかと問われたマヤは、目を潤ませながら今までは「仕事のためならなんだってやる冷血漢だと思ってた」と答える。でもその言葉には、今はそうは思っていないという気持ちが詰まってて…そのニュアンスを感じ取った真澄は思わず息を飲んでしまう。そして、マヤは意を決して心に秘めていたあることを彼に告げるのです。
「あなたが、紫のバラのひとだったんですね。そうなんですね?どうしてですか?どうして私なんかにずっと花を贈り続けてくれたんですか?」
これは非常ーーーーに大きな進歩であり革命です!!ドラマ版だからこそ言えたセリフですよ!!
原作では未だに真澄はマヤが紫のバラのひとの正体に気づいていることを知りませんからね(苦笑)。ドラマパート2の最後にお互い「紫のバラの人」の秘密を悟ったというところまで踏み込んだからこそ、このセリフを出すことができたんだと思います。
それと、パート2でマヤが紫のバラの正体を知る前に原作よりも速水さんへの気持ちを高めていたことも非常に有効的だったと思います。彼女は「紫のバラのひと」としてよりも「速水真澄」という一人の男性を強く意識している。それゆえに、この小屋の場面でも二人の心の距離が限りなく近づいているように見えて胸が熱くなりました。
マヤから改めて「紫のバラの人」の正体を知ったことを明かされた真澄は、予想外の出来事に一瞬言葉を失ってしまいます。自分からはどうしても言えなかった「紫のバラの人」の真実をマヤ本人から告げられたことで、やはり大きな心の動揺はあったと思う。
でも、そのことでマヤに対して自分の素直な想いを告白しやすくなったのもたしか。なぜ花を贈ってくれたのかと涙ながらに尋ねるマヤに対して、真澄は優しく微笑みながらこれまでの彼女に対する熱い想いを一つずつ回想しながら語っていきます。
『若草物語』で初めてベスを演じるマヤを観たとき。
「可憐だった…。とても40度の熱を押して舞台に立ってるとは思えなかった。こんな小さな少女のどこにそんな情熱が潜んでいるのか、心を動かされた…!」
『奇跡の人』でヘレンを演じるマヤを観たとき。
「君のヘレンは感動的だった。何度見ても飽きることがなかった…!」
一つ一つを懐かしく思い出しながらマヤの舞台を語る真澄…。さらに『二人の王女』のアルディス姫や『忘れられた荒野』の狼少女ジェーンを挙げながら愛しそうに振り返る。いくつか抜けてる作品もありましたがw、この際それは重要じゃない。マヤが出演した作品の全てが、速水さんにとってはかけがえのない宝物なのです…(涙)。
そして、語るうちにマヤへの感情が溢れた真澄は改めて素直な想いを告げる。
「みんな、好きだった…。…好きだった…!」
彼女の頬にそっと片手を添えて優しく微笑みながら見つめる田辺@速水さんの表情の、なんと神々しいことよ!!!あんな表情で、仕草で、顔を近づけられたら、マヤじゃなくてもみんな泣くよっ(涙)。この場面は何度見ても本当に泣けます…!田辺さんが速水真澄役で本当に良かったって心から思いますね。
真澄にとって、舞台の上のマヤは何物にも代えがたい特別な存在なのです。舞台の上で演じるマヤは即ち、彼にとって北島マヤという一人の愛しい女性の存在に他ならない。速水さんの深い深いマヤへの愛情がこれでもかというほど伝わってきて心から感動しました。
ところが、涙を流すマヤを優しい瞳で見つめていた最中に真澄の脳裏に英介の「紫織さんと結婚しろ!それがおまえの仕事だ」というあまりにも残酷な言葉が浮かんでしまう…。
あーーーー、なぜそこでーーー(涙)。
マヤへの愛しい気持ちは誰にも負けないほど熱いのに、想いが募れば募るほど、同時にふと現実が見えてしまいその先まで進むことができない真澄…。いっそすべてを捨ててマヤと想いを添い遂げてほしいと思ってしまうんだけど、会社を背負わなければいけないというトップとしての使命感も捨てられないため二の足を踏んでしまうんだよねぇ…。ドラマでは殆ど仕事してるシーンはなかったけどww、根は真面目だと思うから自分の背負っている会社の大きさのことは常に頭にあったと思う。
でも、あのドラマ版の紫織と結婚することが仕事だなんて・・・これほど残酷なことないと思うぞ(苦笑)。彼女と無理に一緒になったところで、原作以上に全く明るい未来は見えてきませんからね。何せ相手はサイコパスですから(汗)。
マヤへの感情に流されることにストップをかけてしまった真澄はすっと彼女から離れ、ぶっきらぼうに「薪も終わりか。探してこよう。大事な商品に風邪でもひかれちゃ、大変だからな」と告げて外へ出ていこうとしてしまう。今までマヤのことを1ミリも「商品」だなんて思ったことないくせに、彼女が離れていくような悪態をあえてついてしまうところが悲しい(苦笑)。
真澄としては、「商品」と告げることで再びマヤから罵倒されることを予想していたのだと思われます。彼女への気持ちを諦めるにはその方法しか思いつかなかったんだろうねぇ…。
マヤから「商品だから私を大事にしてくれるんですか?」と告げられた時、真澄はおそらく「また憎まれたな」と思っていたはず。それゆえさらに被せるように
「他にどんな理由がお望みだ?おチビちゃん。君は将来性のある金の卵だ。誰でも価値のある間は大事にされる。遠慮は無用だ」
と、わざと突き放すようにクールな物言いをしてしまう。速水さんとしても自分の気持ちを封じ込めようと必死なわけです。マヤに憎まれる存在に再び堕ちることで自分の運命を受け入れようとしてしまうところがなんとももどかしく哀しい…。
ところが、彼の思惑とは違い…マヤは「商品」という言葉に怒りの感情どころか大きな悲しみの感情が沸き起こってしまっている。商品としか思われてないんだと受け取ってしまい、自分の恋が実らないものなのだと痛感して俯いちゃうマヤが切ない(涙)。
このまま二人の感情はすれ違ったままの空気で終わってしまうのか?という危惧が沸き起こった時、マヤは真澄の全く予想もつかなかった言葉で彼を引き留めようとする。
「じゃあ遠慮しません。行かないで!私を暖めてください。手も足も冷えて、背中がゾクゾクします…。だから、だから私を暖めてください!!私は金の卵かもしれないんでしょ?だったら、わがままを訊いてください…!!」
おおおおーーー!!!マヤちゃん、よくぞ言ってくれたーーーー!!
誰よりも愛しい人から「私を暖めてください」って、あんなすがるような眼差しで訴えられたら、速水さんが必死に保とうとしていた理性なんか一発で吹っ飛ぶよw。彼にとってはこのマヤの言動はもう事件としか言いようがなかったでしょうね。あまりに信じられない言葉の数々がマヤから発せられていて、衝撃のあまりその場を動けなくなっちゃいましたから。
マヤの信じられないような言葉の真意を確かめようと、真澄は恐る恐る「本気で言ってるのか?」と彼女に尋ねる。その問いに対し、マヤはまっすぐ彼を見つめながら躊躇なく「はい」と答えた。
これはもう、行くしかないでしょう、速水さんっww!!
「いいだろう、おいで…」
この時の彼の頭の中にはもう「仕事のために紫織と結婚しなければ」といった強迫観念は全くなかったと思います。ただただ、マヤの想いを信じそれを受け止めたいという想いでいっぱいだったはず。初めて自分のことを引き留めてくれた彼女をただただ受け止めたかった、それ以上に離したくないと強烈に想っていたはずです。
マヤに差し出した手はとても優しかったのに、彼女の手を取ったとたんに感情のスイッチが入り思わず強引に自分の元へ引き寄せてしまった真澄…。それでも最後にもう一言だけ彼女の意思を確かめる。
「俺も男だ、責任が持てなくなるかもしれないぞ?」
「構いません…!!」
原作以上にドキドキ度がハンパないです、この場面!!特にマヤの「構いません」はびっくりしたw。速水さんのマヤを想う気持ちと、マヤが速水さんを想う気持ちがこの時初めて一致したんですよね…。それだけでもう、感無量ですよ。
パート1の時には「紫のバラのひと」としてマヤを抱きしめ、パート2の時には想いが通わない状態の時にマヤを抱きしめた速水さん。完結編にきて、ついに、ついに、両想い状態で愛しくて仕方がなかったマヤを抱きしめることができましたよ…(涙)。
「構いません」からすぐに藁へダイブするように抱き合って倒れる演出はちょっとびっくりしたけどww、長年の想いを噛みしめるように…まるですがるようにマヤのことを固く両手で抱きしめて彼女の温もりを刻み込もうとする速水さんの姿が本当に泣ける…。
そしてマヤも「たとえ商品と思われていてもかまわない。今、このひとときだけでいい。このひとときだけ、私にください…!」と真澄への想いを募らせ彼の腕のなかで温もりに包まれていました。そんな心境にまで到達してくれたとはねぇ。あの、いつも速水さんに噛みついていたマヤが…そう思うともう胸アツですわ。
自分に身を預けてくれているマヤを感じた真澄は、ぎゅっと抱きしめていた腕を緩めマヤの顔を熱い眼差しでじっと見つめます。そんな彼の目をマヤもじっと見つめ返している。こんな空気になったら…もう速水さん的には自分の理性に限界感じてしまうよなぁww。
愛しくて愛しくてたまらないマヤへの想いが抑えきれなくなってしまった真澄は、彼女の唇に自分の唇を重ね合わそうとする。そこまで行ってしまったらもう「責任が持てなくなる」状態に突入することは必至ww。
まさに真澄の顔がマヤのほうへ近づいていこうとしたその瞬間、マヤは思わず腕に力を入れて彼の動きを止めました。「構いません」とは言ったものの、たとえ相手が愛しいと思える人であったとしてもやはりいざとなるとちょっと怖いって気持ちが先に立っちゃうよね。
そんなマヤの気持ちをその瞬間に察した真澄はすぐに理性を取り戻します。そして…
「チビちゃん、眠れ。俺の気が変わらないうちに。今夜は君も俺もどうかしてる。目が覚めれば、みんな夢だ…」
と優しく彼女を諭して自分の腕のなかであやすように「眠れ…」と囁きます。
もうこのシーン、ほんとに泣きました、当時(涙)。速水さんのマヤに対するあまりにも優しすぎる愛情に心が震えました…!自分の欲よりも相手の気持ちを思いやることができる人なんだよね、速水さん。それだけ大事に思ってるんだなぁって思うと胸が熱くなります。
いま改めて見て思ったのは、田辺誠一さんだからこそ出せたあの速水真澄だったなと。田辺さんが本来持っている柔らかい優しさがあの場面で速水真澄役の中に投影されていたように思うんですよね。何度見ても泣けます、このシーンは。
翌朝、マヤが目覚めると真澄の姿はそこにはありませんでした…。慌てて外へ出ても彼の姿を確認することができない。
真澄はマヤが目覚める前の早朝、一人小屋を後にしていました。その時に彼が呟いていたのが…
「俺の恋は…、ここで終わりだ!」
あああああ・・・何故そっちへ傾いちゃうのーーー!!!終わらせないでぇぇーーー!!!マヤの矢印、ちゃんと速水さんに向いてるんだよーーー(汗)と、何度心の中でツッコミを入れたことかww。
だけど「君も俺もどうかしてる」って言葉通り、彼の中ではまだマヤの本当の気持ちに確信を持てないでいる。これがもどかしいんだよねぇ。
まぁ・・・原作でも翌朝速水さん、その先には進もうとしなかったからね。マヤが目覚める前に密かにキスをするシーンもありましたが、ドラマはそのまま外へ出てしまったようで…そこはちょっと残念w。でも、その代わり後半にすごいシーンが出てくるんだけどww。
小屋のシーン見てたら書きたいことが募ってしまって思いのほか長くなってしまったのでww前半の続きは次のページに移動しますw。