PR

NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第32回感想 自慢の息子

スポンサーリンク

雉真家で久しぶりに穏やかな朝を迎えたであろう算太が目を覚ますと、台所の方から安子とるいの声が聞こえてきた。それはかつて、祖父や父が小豆を焚く時に呪文のように唱えていた”おまじない”だった。

懐かしそうにしつつもそっと後ろから見守るだけ…、とカッコつけようとした算太でしたが、結局扉の音を立ててしまっていることがあっさりバレちゃう(笑)。でもこういうちょっと抜けたところが彼らしくて可愛くもあるんだよね~。

安子は出来立てほやほやの”おはぎ”を算太にそっと差し出します。それをゆっくり口に含んだ算太は最初「まずいです」と一言。安子が「え!?」とビックリした後に「嘘です、うまい」と正直な感想を言ってくる。

こういう掴みどころがないところも算太らしいなぁと思うんだけど、最初の”まずい”は懐かしい味に感極まってしまった気持ちを悟られないために照れ隠しで言った言葉だったかもしれないなぁとも感じてしまいました。 意地っ張りなところあるしね。
それでも、安子が”たちばな”の味を継承してくれたことには心から感謝しているようでした。

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー
スポンサーリンク

算太は安子の作ったおはぎを食べながら、実家の”たちばな”を懐かしく思い出している。菓子職人になりたくなくて家を飛び出し、最後まで実家の家業には近づこうとしなかった。でも、ジャングルで生死を彷徨った時…「恋しく思ったのは、たちばなのおはぎだった」ことを回想する。
どんなに反発していても、やっぱり”たちばな”は算太にとって大切な居場所だったんだなと思ったらなんだかすごく泣けてきてしまった…。

算太は安子に一緒に”たちばな”を再建しないかと提案。自分は菓子作りはできないけれど何か手伝うことはできるかもしれない、という兄の言葉に安子は思わず感極まってしまいます。住んでいた町が焼け野原になってしまった戦後、ようやく生きる気力を取り戻した金太が安子に告げた言葉が彼女の脳裏によみがえってきた…。

「たちばなを建て直す。たちばなの菓子で救われる人が、きっといるはずだ」

その話を聞いた算太は胸が熱くなってしまい、思わず安子から目を背けて「まいったのぅ…。親父は何でもお見通しじゃ」と呟きました。なんだかんだあったけど、算太のなかでは金太は尊敬する憧れの対象であり続けていたのかもしれません。
金太は幻のなかで算太と和解して亡くなってしまったけれど、こういうシーンを見ると…やっぱり生きて再会してほしかったなぁと思えて切なくなっちゃいますね(涙)。

スポンサーリンク

ある日、繊維業界の業績が下降気味になってるのをなんとか打開したいと千吉は専務の林や勇と頭を悩ませていました。すると、勇が突然「雉真繊維の野球部を作ったらいいと思う」と提案してきて千吉を驚かせてしまう。野球も会社もチームワークが大切なのは一緒なのだから、野球を通して社員の結束力を高めていけばいいのではないかと勇は真剣に考えていました。しかし、千吉は”野球は道楽だ”という固定概念があるようでなかなかその話を受け入れてくれようとはしません。

ところが、林さんが「なかなか良い案だと思います!」と色よい返事を言ってくれました。彼は勇が中学野球の有力選手として頑張っていた時のことをよく覚えていたようで、「その経験と能力で社員をまとめ導いていくというのはあながち間違っていないと思います」と野球チーム設立にかなり前向きな意見を言ってくれた。林さん、勇が野球で活躍する姿をずっと見守ってくれていたのかもね。

勇は、「わしは兄のようにはなれない。わしのやり方でしか跡継ぎにはなれない」と訴える。兄と同じものを求められても自分には出来ないことを父にハッキリ宣言したんだろうね。勇は勇のやり方で進んで行けばいいと私も思うよ。
そんな息子の言葉を聞き、さらには専務も野球案を推してきたことで千吉は渋々それを受け入れることにしたようです。

一方雉真家の庭では、美都里とるいが仲良くお手玉で遊んでいて和やかな時間が流れていました。そこに自分の作ったおはぎを持った安子がやってきて、算太の心を開かせてくれたことを心から感謝する。美都里はありったけの母性で算太を抱きしめ、兄の素直な感情を引き出してくれましたからね…。家族であるはずの安子ですら初めて見る姿だったからなおさらです。
それに対して美都里は「私は何もしてないよ」と少し素っ気なく答える。安子の方に目線を向けないところを見ると…未だに彼女には複雑な感情が残っているのかもしれないなと思ってしまった。

それでも安子は感謝の気持ちを込めて作ったおはぎを美都里にそっと差し出しました。そして、算太が自分にとって大切な場所だった”たちばな”を再建すると言ってくれたと嬉しそうに報告する。”たちばな”は安子にとってはもうひとつ大切な意味を持つ場所でもある。

「稔さんと出会わせてくれた場所です。ありがとうございました」

美都里が算太の心を開かせてくれたおかげで、またあの大切な場所を再建することができる。その喜びと感謝を伝えると安子はおはぎ売りの仕事へと出かけていきました。美都里はあの時、安子の心も救っていたのですね…。

スポンサーリンク

安子が去った後、美都里はるいと安子が作ったおはぎを半分に分け合って口に含む。そして、るいに”おはぎ”に纏わるエピソードを優しく語って聞かせていきました。それは、失ってしまった大切な息子の稔の思い出でもあった。

「るいのお父さんもおはぎが好きだった。大学予科の初めての夏休みに、おはぎを買ってきてくれた。大阪で買いそびれたから、朝丘町の”たちばな”というお店で買って来たよって言って…」

あぁ…、美都里さん、稔が”たちばな”のおはぎを買ってきた日のことを鮮明に覚えていたんだ…。安子と稔の関係を知って”たちばな”を憎んでいたような時期もあったけれど、本当は”たちばな”のおはぎが大好きだったのかもしれないな…。
安子が作った”おはぎ”を食べたとき、美都里の中でいつも稔の顔が浮かんでいたのではないでしょうか。それはつまり、美都里さんは安子と稔の結婚を認めていたということにも繋がるような気がします…。

帰ってこない息子を想って涙する美都里に驚いたるいは、そっと近くに寄り添って「美味しゅうなぁれ、美味しゅうなぁれ」と何度もその頭を優しくさすってやる。その言葉の意味を尋ねられると、美味しいあんこのおまじないだと答えるるい。
「食べる人が笑顔になりますようにとお願いするんじゃ」と無邪気な笑顔を浮かべる孫娘を、美都里は愛しそうに見つめてそっと抱きしめました…。るいを抱きしめることは、稔を抱きしめることにも通じていたのではないかな。

この二人のシーンがとにかく優しくて温かくて涙が出ました(泣)。と、同時に…、美都里さんとお別れする時も近づいているのかなと感じてしまった。

数日後、勇が提案した雉真繊維の野球部が本格的に始動します。そんなある日、千吉と美都里は二人で息子の応援に駆けつける。美都里さんは久しぶりの外出になったのではないでしょうか。

最初は野球部を作ることに疑心暗鬼だった千吉でしたが、結果的に社員の結束が固まり業績も上向きに転じたようで「野球しかしたことのない勇を跡継ぎにして一時はどうなるかと思ったけれど、たいした奴じゃ」と満足げに微笑んでいました。それを聞いた美都里は「今更何を言ってるの」と夫を諫めます。

「当たり前じゃろう、私が産んだ子なんじゃから。自慢の息子じゃ。稔も、勇も」

このセリフは本当に泣ける(涙)。勇、ちゃんとお母さんからしっかり愛されているじゃないか!美都里さんは稔に愛情のベクトルが寄っているように見えがちだったけど、ちゃんと勇のこともしっかり見つめて愛してくれていたのです。その言葉、彼に直接聞かせてあげたかったよ…。

美都里の言葉に納得した千吉は少し照れ臭そうに「ありがとう、美都里」と感謝の気持ちを伝えました。美都里さんは少し驚いたような表情をしていたから、もしかしたら面と向かっては初めてだったのかもしれません。静かに伝わってくる千吉と美都里の温かい夫婦の愛情がまたさらに泣けてボロ泣きしてしまった(涙)。

勇の活躍に目を細めていた千吉と美都里。それからしばらく経った翌年のクリスマス前、美都里は稔の元へと静かに旅立っていきました…(涙)。ついに体調は元に戻らなかったけれど、孫にも会えたし…最晩年は幸せを感じることができたのではないでしょうか。そう思いたいです。
まさか美都里さんにこんなに泣かされるとは思わなんだ!!YOUさんは「最後まで嫌な感じ」とかコメントしてたけど(笑)そんなことなかったわ~。このことを隠してたんでしょうww。

スポンサーリンク

美都里が亡くなって数日後、安子はるいと一緒に定一のジャズ喫茶を訪れる。大好きだったおばあちゃんを失ったショックでるいは未だに元気がない。そんな彼女を定一は「きっと今頃おばあちゃんがお父さんにるいちゃんのことを話しているだろう」と励ましてくれました。

客席にはバンドマンのみんながくつろいでいる。その中には、いつもこっそり覗いてジャズを楽しんでいた孤児の少年の姿もありました。彼はもしかしたらるいが主人公になった時に重要な役で出てくるのかも!?
ある一人のトランぺッターが「Silent night」の演奏を始めました。その音色は寂しく切ない安子の胸の内を癒してくれているようだった。美都里さんへのレクイエムにも聞こえたな…。

そしてクリスマス当日がやってくる。この年も町にはチラホラ雪が降っていた。相変わらずクリスマス当日のおはぎの売れ行きはあまりよくなさそうですね(汗)。

するとそこへローズウッド中尉がおはぎを買いにやって来た。進駐軍は撤退を始めていて彼自身ももうすぐ日本を離れることになるという。その前に安子のおはぎを食べたいと買いに来てくれたのです。相変わらず優しいジェントルマンでカッコイイよ、ローズウッドさん!

安子は少し寂しさを感じながらも笑顔でおはぎを手渡しました。「無料で良いです」という言葉に最初は遠慮していたローズウッドでしたが、「クリスマスですから」という言葉を聞いてありがたくその行為を受け取ることに。帰り際、彼は安子に英語の勉強を続けてほしいと告げました。

「きっと、あなたをどこか…思いもよらない場所まで連れて行ってくれますよ」

このセリフは今後の安子の運命に大きく関わってくるような予感がしますね。本当に思いもよらない展開になりそう。そこにローズウッドさんも絡んでくるかもしれません。

二人は「メリークリスマス」と言葉を交わして別れました。進駐軍が去るということを聞いて、安子はようやく戦争が終わったのだという実感が湧いてきたようです。でもまだ大きな波乱が待っていそう(汗)。

安子編は12月の3週目くらいまでのようです。だいたい2ヶ月弱ずつ刻むって感じなのか~。岡山編、もう少し長く見たいけどね。

ガイドブックPart1発売中

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました