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NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第38回感想 I hate you

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今週はちょっと朝ドラ感想を書く時間が取れなかったのですが、なかなかにハードな内容が続いてますよね(汗)。朝ドラというよりもどちらかというとかつての東〇テレビ系昼ドラ(笑)。脚本の藤本有紀さんも演出サイドも思い切ったなぁと思いました。

第38回は「安子編」と「るい編」のちょうど切り替わりエピソードになっていたわけですが…、あまりにもすごいドラマが詰め込まれまくってたのでとても15分とは思えない濃厚さだったかなと(汗)。こりゃ、書かずにはいられないww。

第8週のサブタイトルは「1951-1962」。つまり、10年の間の出来事ということで…。

事の発端は勇の安子へのプロポーズだったな。あれが不幸の連鎖の始まりみたいに思えてならない。でも、算太も別の意味で起点になってるんだよなぁ。”たちばな”の再建を安子と考えていたのは本当のところなんだけど、そこに雪衣と一緒に住むことを想定していたわけで…。彼の新しい店の構想の中に安子はなかったのかと思うとなんともやり切れません。
あ、だけど…、安子とロバートが出会ってしまったことが一番大きいかもしれないのか…。複雑だなぁ。

店のための資金を算太に持ち逃げされてしまった安子は兄を探しに大阪へ急ぐ。しかしこの時、安子はるいに詳しい事情を話すことができなかった。伯父さんが店の金を横領したかも…なんて言えなかったか。でも、深刻な事情があって算太を見つけなきゃいけないということくらいは告げても良かったんじゃないかなと…。その言葉足らずが今回の悲劇に繋がっていくのがなんともヒリヒリしてしまいます。

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー
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雨が降りしきるなか、千吉はるいと一緒に小学校の入学式へ出かけようとウキウキして彼女の部屋を訪ねる。しかし、お気に入りのランドセルが机の上に置かれているだけでるいの姿はどこにも見当たらない…。

その頃るいは、一人、大阪へ向かう汽車に乗っていた。その資金はどこで?と思わなくもないけど(汗)思い詰めた表情で座っているのは気になる。きっと、入学式は安子と一緒にと約束をしていたのでなかなか戻ってこない母に居てもたってもいられず大阪行きの汽車に乗り込んでしまったのでしょう。大好きな母が約束を破るはずないと念じつつ、るいの心は不安でいっぱいだったはず…。

一方、算太を雨の中探し回っているうちに倒れてしまった安子はかつての下宿先で目を覚ます。その傍らにはロバートが心配そうに見守っている。彼の話によれば、1日前から眠り続けていたらしい。
その言葉を聞いて安子はこの日がるいの入学式だと気づき慌てて起き上がり向かおうとする。しかしロバートは「もう間に合わないでしょう」と必死に彼女を止めました…。絶望してその場に座り込んだ安子は「私はただ当たり前の暮らしがしたいだけなのに…」と呟きます。

戦争は、安子の理想の生活を悉く奪ってしまった…。なんとか希望を見つけたと思っても、すぐに別の力が働いて不幸の道へと導かれてしまっている。もしもあの時大阪に千吉がやってこなければ、安子はささやかながらも幸せな未来を描くことができたのではないか思わずにはいられません。雉真に戻った後はそれなりに生活は安定はしていたけれど、ずっと心は満たされないままだった。
そんな時に出会ってしまったアメリカ人のロバート。優しく自分を気遣ってくれる彼の存在はどこか稔と重なる部分も感じたと思う。知らず知らずの間にそんなロバートに心を寄せ救いを求めてしまったことは仕方がなかったのではないでしょうか。人間、そんな強くない。

絶望と哀しみに打ちひしがれる安子を見たロバートは、ついに自分の秘めた想いを彼女にぶつけてしまう。

「あなたは十分苦しみました。十分頑張ってきました。安子、私と一緒にアメリカで暮らしましょう。アメリカに帰ることになったので一緒に来てほしい。Yasuko,I…I love you!」

一瞬躊躇いながらも、まっすぐ熱く安子への愛を告白し強く彼女を抱きしめたロバート。いつかはこうなるだろうなと思ってた…。安子もロバートが自分を愛してくれていることを知り素直に嬉しいと思ってしまう。

ところが…、この決定的な瞬間を、るいは目撃してしまっていた…。二人ともそのことに全く気が付いていない…。

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安子はロバートの好意をありがたいと受け止めつつ、その体から離れ「るいを置いてアメリカへはいけない」と答えました。なぜるいと一緒にアメリカへ来ることはできないのかと問い詰めるロバートに、安子は「るいは稔さんの子です。雉真の家から引き離すことはできません」とキッパリ告げる…。
その考えが理解できないロバートは、「自分の幸せを一番に考えるべきだ」と説得しようとしますが、安子は「るいが私の幸せです。何よりもるいが一番大事なんです」と頑なにそれを拒絶する。

アメリカ人のロバートには、日本の家の事情のこととか理解できないだろうなぁ…。個人的には、アメリカへ渡ったほうがるいの額の傷は治るのではないかと思ってしまうんだけど、安子はそれ以前に「るいは稔の子」として雉真に置くべきだという選択をしてしまっていた。そう言い聞かせて納得させちゃったのかなぁ…。

安子はたとえるいと一緒に暮らせなくなったとしても、近くにいられるだけでいいと涙ながらに訴える。「るいは私の命なんです」という言葉に一片の曇りもありませんでした。安子にとってるいは、稔との愛の証。るいと一緒にいることは稔の魂と一緒にいることと同じだと感じていたのではないだろうか…。だとしたら、離れることなんて到底できないよね…。あんなに愛した人との子供だもの(涙)。

しかし、るいはそんな母の真実の想いを知ることなく雨の中を駅に向かって無我夢中で疾走していました。るいの胸に渦巻いていたのは、母への愛ではなく不信感。自分の入学式よりもロバートとの愛を選んだのだと誤解をしたまま、ただただ絶望と哀しみに打ちひしがれていた。”母に裏切られた、捨てられるのだ”という強い気持ちがるいの中でどんどん大きくなっていく。
あの時、もう少し二人の様子を見られていれば…、もしくは安子がロバートから離れた姿を見ていれば…。そう思わずにはいられない。神様はトコトンいじわるだよなぁ(っていうか、藤本脚本が、ですが 苦笑)。

ロバートは安子の覚悟を知り、これ以上説得することを諦めました。それでも彼女に対する想いは変わらない。一緒になれないと分かっても、算太のことは引き続き捜索すると言ってくれるロバートはとても優しい。
肩を落として帰っていくロバートの後ろ姿を、寂しそうに見つめていた安子…。あの時、彼と一緒にアメリカへ渡れたらどんなに幸せかという想いも彼女の中に渦巻いていたのかもしれないなぁ…。でも、るいの近くにいることが自分の一番の幸せだという気持ちは変わることはない。

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るいは言いようのない哀しみと絶望感に襲われながら雨の中を必死に走っていた。その時、目の前に車が迫ってくる…。クラクションを鳴らされた時、るいの脳裏に母の自転車から落ちて額に大きな消えない傷を負ってしまった日のことが蘇ってきた。

怪我を負った後、訳も分からずに大阪から雉真家に戻されてしまったことをるいはずっと不思議に感じていました。そのことを雪衣に尋ねた時、彼女は「安子さんは女手一つでるいちゃんを育てることを諦めて、雉真の家にお返ししようと決めたのだと思います」と告げた。あの時はその言葉の意味を理解できなかったるいでしたが、今になってそれが彼女の中にじわじわと沁みわたっていきました。

最初から、自分は母親に見捨てられる運命だったんだ…。そう感じてしまったのではないだろうか。今までの優しい言葉もハグも、自分から離れるための母の芝居だったのかもしれない。そんな捻じ曲がった解釈が彼女のなかで「真実」として植え付けられていくようで、るいが雨の中で涙を流すシーンは辛くてちょっと直視できなかった(涙)。

少し落ち着いた安子は雉真家に電話をしてるいと話をしようとしますが、行方不明になっていると知ると血相を変えて愛娘を探しに飛びだしていく。

皆が手分けして必死にるいを探している間、定一が息子の健一を想いながらかけているルイ・アームストロングの♪On the Sunny Side of the Street♪が鳴り響いていた。深刻なシーンの時にこの歌が響いてくると、なんだか皆が色んな運命に操られているような気持にさせられる(汗)。

身重のきぬもるいを心配して店先に立っていましたが、その最中に産気づいてしまった。るいを探しに出ていた力やきぬの両親も彼女の身を案じ部屋へと入っていく。

そして警察が岡山に到着したばかりのるいを連れて雉真家に戻ってきた。ホッと胸をなでおろした千吉。しかし、るいの表情は暗く心を完全に閉ざしてしまったかのようだった…。

勇はるいが戻ったことに安堵しますが、傍にいて髪を乾かしてやっていた雪衣が突然吐き気に襲われ台所へ駆け込む事件が発生…(汗)。

え…!?雪衣さんと勇ちゃんが”そういう関係”を持ったのってつい数日前の出来事じゃなかったっけ??私は妊娠したことがないからわからないんだけど、そんな早くに”悪阻”の症状って出るものなのかな(汗)。それともあれからけっこう時間が過ぎてるってこと??そうなると安子はかなり長い期間雉真家を空けてたことになるよな…。だとしたらるいが不安を募らせるのも説得力が増してしまう。

それか、もしかして、あの日の朝の以前にも…!???そういえば、そういう雰囲気になるのがけっこう自然な流れ…みたいに見えなくもなかったような気が(汗汗)。

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きぬは新しい命を無事に出産。

そして驚くべきことに、定一の息子・健一が突然帰ってきました!!戦争が終わってから長い期間が経っていたこともあり絶望視していた定一さんでしたが、やはり心の隅では諦めたくない気持ちも強かったはず。愛する息子の突然の帰郷に感極まり言葉も出なかったあの時の気持ちは痛いほど理解できます(涙)。
ただ、以前、金太と算太の再会が幻の出来事だったという哀しい展開があったからな…。あさイチの大吉さんも気にしてたけど、私も今回のことは「現実」だと信じたいです。藤本先生、お願いします(汗)。

しかし、幸せに包まれる人々もいれば、不幸のどん底に突き落とされる人もいる。

安子は不安な気持ちを抱えながら大阪から岡山に戻ってくる。雉真家に辿り着くと、るいがそれを出迎える。戻ったことを知らなかった安子は安堵の気持ちでいっぱいになり涙ながらに抱きしめようとしました。しかし、るいはその想いに応えようとはせず暗く冷たい眼差しで母を見下ろしている…。あの表情はゾクっとするほど恐ろしかった。すごいですね、るい役の子役さん。

安子は入学式に行くことができなかったことを必死に詫びますが、るいはたった一言「もう、来てはいらん」と言い放つ。つまり、もう母親は必要ないからと告げたのです…。安子は衝撃を受けてしまったものの、この時点ではるいが入学式までに帰ってこなかったことに腹を立てたのだとしか思ってなかったかもしれないな…。
なんとか事情を分かってもらおうと「お母さんの話を聞いて!!」とすがろうとしますが、時すでに遅し…。

るいは、自らの額の傷を母親に見せつけながら暗い目をして冷たく言い放つ。

「I hate you.」

この瞬間、安子のなかで色々なものが音を立てて崩れ落ちたと思う。愛してやまない存在の愛娘から「Hate」という…最上級の拒絶の意味を持つ単語をぶつけられたことは、英語が理解できる安子にはあまりにもショックが大きすぎた。ギリギリの精神的状況だったからなおさら心を抉られたと思います。それほど、るいは母親に対する憎しみの感情を募らせてしまったのでしょう…。

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安子はあの瞬間からすべての音が聞こえなくなった。稔を失ったと知ったあの時と同じくらいの衝撃だったということか…。全てを失った気持ちに襲われ、呆然自失としながら旭川河川敷に辿り着く。

そんな彼女を、ロバートが見つけ出す。いつの間に岡山に!?と思わなくもないけどw、健一のことを調べていた経緯もあったからその関係で訪れていたのかもしれないし、安子が心配で密かに追いかけてきたのかもしれない。
でも何よりも、ロバートがまたもや、安子と稔の思い出の場所(自転車の練習や英語の辞書を渡された場所)に現れたことの方が私には印象深かったです。

全てに失望した安子は、駆けつけたロバートに縋るように訴える。

「Take me to the United States with you, Robert!Please!」

彼女は、自らの心を守るため、最後の砦であるロバートに身を委ねることを決めてしまいました…。その行動は浅はかだと批判されるべきものかもしれない。もっと娘とちゃんと向き合うべきだとも思う。だけど、あの安子の状態を見たら…、こういう流れになってしまうのも仕方なかったのではないかと私は思ってしまった。もし自分が同じ立場だったら…、もしかしたら安子と同じように自分を守る行動をしてしまったかもしれない。

人間は、頼りなく、そして弱い。どんなに強くあろうとしても、耐えきれず必死にどこかに救いを求めてさまよってしまうものかもしれない。今回の安子の行動は、とても人間臭いと感じた。

そして今回はあの衝撃展開のところでOPが流れました。一つの区切りということでしょう。

そしてラストシーン、安子がロバートに縋った旭川河川敷に一人の女性が立っていました。野球のボールを持った勇が彼女の名前を呼ぶ。

「るい」

振り返り少し微笑んだのは、18歳になった少し大人っぽくなったるいの姿だった…。ついに深津絵里さんにバトンタッチですね。それにしても深津さん、お若い!私と同い年とは思えません(汗)。

母親への恨みを抱いたまま成長してしまったるいが、これからどんなドラマを紡いでいくのか見守りたいと思います。

安子はもう登場しないかな。いやぁ~~、上白石萌音ちゃん、本当に素晴らしい表現力でしたね。登場したばかりの頃はとても幼く無邪気な表情だったのに、母となり、過酷な運命に流されていくにつれてどんどん凄みを増した雰囲気になっていった。ブラボーとしか言いようがありません!!岡山も盛り上げてくれたし、本当に感謝です。お疲れ様でした!来年出演予定のミュージカルも観に行くので楽しみ!!

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