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NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第20回感想 いじわる

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安子は千吉に金太の弔いと祭壇を手配してくれたことに関して感謝の気持ちを伝えました。あぁ…、金太さん、本当に亡くなってしまったんだなという実感がこみ上げてきてしまい本当に寂しい(涙)。

千吉が聞いた医者の話によれば、金太の心臓はかなり弱っている状態だったという。戦争でのあの苛烈な経験がその命を縮めてしまっていたのですね…。戦災関連死ということか…。ずっと臥せっているうちにどんどん体は弱ったのだろうけど、安子の作ったおはぎを口にしたあの瞬間にようやく生きる気力を取り戻した金太さん。

新たに目標として掲げた”たちばな”の再建、それだけが心の支えだったのかもしれない。でも、その気持ちに体力が追いついていけなくなったんだろうね…。哀しいなぁ、本当に(涙)。

安子は金太が店の再建を夢見て始めた”たちばな”の片付けをするため焼け跡の地を訪れる。鍋を見ると、父と一緒に小豆を炊いた時のことが蘇り気持ちが沈んでしまう安子…。一人で片付けも辛かろうに(涙)。その時、店の外に金太がおはぎ売りを託したあの少年がやって来た。

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー
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金太が倒れているところを発見し医者を呼んでくれたのは、少年だったことが判明する。安子がその時の様子を彼から聞いたところによると、金太が少年の声に反応して扉を開けるまではまだ元気だったものの少年の姿に算太の姿を重ねた瞬間に倒れてしまったらしい…。そうか、あの扉を開けた時に…(涙)。倒れた後も、金太はずっと「無事じゃったんか」とか「待っちょったんじゃ」などうわ言を口にしていたという…。

この話を聞いた時、安子は金太が最後にあれだけ待ち焦がれていた算太と再会することができたのだと想いを寄せて胸を熱くしました…。

少年に教えてくれたことのお礼を言うと、おはぎを売って稼いだお金を差し出される。金太が見た幻の中の算太と同じように、少年もかなりの金額を稼いできた様子。「高く売れたんだね」と感心する安子に、少年はおはぎを託された時の気持ちを正直に打ち明けました。

最初は持ち逃げするつもりだったものの、中に入っていたおはぎを2つ食べたら元気が出て盗むことよりもどうしたら一銭でも高く売れるかという考えがこみ上げてきたのだという。

「面白かった!商いというのは楽しいものだと思った。だからちゃんと売り上げを渡そうと思ったんだ」

金太の祈るような気持ちが彼に通じたんだろうな…。彼は一人の少年のこれからの生き方に目標を与えてあげることができたのです。あの時おはぎを売ることを強いていなければ、少年は誤った道をすすんで行くことになったかもしれない。

安子は感慨深そうに「お仕事ご苦労様でした」と頭を下げ、そのうえで渡された売上金を全て少年に返してやる。驚く彼に「お腹いっぱい食べて、それから、どんなことでもいいから商いを始めて、しっかりと生きていくんだよ」と力強く言葉をかけた安子。彼女はこの少年に父が本当に伝えたかったであろう想いを告げたんだろうな…。
深々と頭を下げた少年はそのままどこかへ走り去ってしまった。おそらく今後は盗みを働くことはせず商売の道に進みながら成長していくのではないでしょうか。

「菓子は苦しい時ほど必要なものだとわしは思う。たちばなの菓子で救われる人がきっといるはずだ」

店を再建すると決めたときに金太が安子に告げた言葉が、今改めて深く深く胸の奥に沁み込んでくる。たちばなの菓子は、一人の少年の心をちゃんと救ったのです。彼には、金太さんの分まで強く正しい道を生き抜いていってほしい。
もしかしたら、今後時代が進んだあとに成長した姿で現れる日がくるかもしれないですよね。元気な姿でもう一度登場してほしいな。

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終戦から3か月半が経ったある日の朝、ラジオから『基礎英語講座』の再開を告げる声が突然流れてきた。戦争が激しくなり突然放送が打ち切られたあの日から実に4年ぶりの再開。講師は堀英四郎さんという方だったのか。ご無事で何よりです。

堀英四郎さんは実在する英語学者です。愛媛に生まれ徳冨蘆花の英語塾を学んだ後、明治21年に上京し今の早稲田大学(当時は東京専門学校)に入学した後は坪内逍遥から英語を学んだのだとか。大正7年~昭和16年までNHKラジオの「基礎英語講座」を担当。戦後の昭和20年11月より再び再開し、翌21年3月まで続けられました。

安子の脳裏に、稔がラジオの英語講座があることを教えてくれた日のことが鮮やかによみがえってきた。初めてラジオから流れてくる英語講座に胸を躍らせた時のことを思い出した安子は、居てもたってもいられず、るいを背負いながらテキストが売っている店へと走る。

中止前に放送されていた時のテキストよりもだいぶ簡素で薄いけれど、表紙にははっきりと「ラジオテキスト 基礎英語講座」という文字が刻まれていた。これを手に取り流れてくるラジオ講座に耳を傾けることは、安子にとっては稔を想うことと同じ意味を持っていた。

就寝時、遅い時間までるいの隣でテキストを開きながら一つ一つの英語を読み上げ聞かせている安子。彼女は、一つ英単語を覚えるごとに稔が帰って来る日が近づいてくると信じるようになっていました。英語を学ぶことは、安子にとって稔と再会するための希望そのものだったのです。

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少し賑わいを取り戻してきた岡山の町ではありましたが、道端で「リンゴの唄」をハーモニカで吹く人や、読経を唱える人など…まだまだ生活改善には遠い状況でした。あと変わったことと言えば、アメリカの進駐軍の兵士の姿がチラホラ増えだしたことでしょうか…。

そんなある日、安子が玄関先で英語を唱えながら掃除をしていると…一人の復員兵が入口に立っている姿が目に入る。

そこに立っていたのは、勇だった!!よかった…、無事だった(涙)。成長したるいの姿に目を細める勇に安子は感極まり、興奮しながら千吉たちの名前を叫ぶ。元気そうな姿の息子を確認した千吉、美都里、そしてお手伝いのタミさんは感激のあまりほとんど言葉が出ませんでした。

さっそく勇にあるだけの分でのご馳走をふるまう美都里たち。本当はもっと豪華にしたかったと残念がる母に勇は「立派なご馳走だ」と感激して美味しそうにそれを頬張ります。

勇は小笠原のほうに派遣されていたらしく、穴掘りばかりさせられて爆弾よりも暑さで死にそうになったと語る。そこに終戦の知らせがきたと話すと、美都里は息子が戻った安堵感からか「それはよかった」とつい呑気なことを口走ってしまった。
その言葉を聞いた瞬間、穏やかだった勇の顔色が一変し「良くはない!!戦場に良いことなんて一つもない!!」と声を荒げる…。きっと、言葉で語ることができないような悲惨な光景をたくさん目にしてきたのだと思う…(涙)。

その後ハッと我に返り声を荒げてしまったことを謝る勇でしたが、千吉は息子が苛烈で悲惨な体験をしてきたのだろうことを悟り「もう話さなくてもいい」と告げる。勇が無事に帰ってきたことが嬉しい、ただそれだけなのだと。

「早う兄さんも帰ってくればいいのぅ」

美都里はその言葉に期待を込めながら何度も強く頷いていましたが、千吉と安子は不安の方が勝るような表情をしていました…。

その夜、勇は安子の部屋にある家族の祭壇にお参りをしてくれた。戦争中の安子の気持ちを思いやる優しい子だよね…。話題を変えて稔から手紙があったか尋ねますが、安子は少し不安そうに「まだ」と首を振っている。その姿を見た勇は「終戦の頃に遠い所へ行ったから復員が遅れているんだろう」と彼女を励ましました。安子も「勇ちゃんが言うと説得力あるわ」と少し笑顔を見せ、優しい配慮に感謝します。

その後、姪っ子のるいと玉転がしで遊ぶ勇。すると「この子は筋がいい。さすがは”塁”という名前じゃ」とドヤ顔になっているww。安子は”本当は違う意味なんだけどなぁ”というような苦笑いを浮かべていましたね(笑)。久しぶりにホッと笑える和やかなシーンでした。

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数日後、勇が庭先で素振りの練習をしていると…、一人の復員兵が彼の元に近づいてきた。演出的には稔が帰還した…みたいに思わせているところがまたニクいよなぁ。

安子は外でいつものように洗濯物をしている。すると、血相を変えた勇の父を呼ぶ声が雉真家全体に響き渡ってきた。安子は胸騒ぎを覚えながら千吉と美都里がいる部屋に駆けつける。そして勇は、緊張の面持ちで復員兵から受け取った一枚の紙を父に差し出しました。それを目にしたとき、千吉の顔色が変わり愕然としてしまう…。

「稔が…、稔が、戦死したて」

勇のもとにやって来た復員兵が手渡したのは、稔の戦死広報だったのです…(涙)。

それを聞いて一瞬なんのことか理解できないように無表情となる安子。ゆらゆらと確かめるように千吉から紙を受け取ると、その内容を確認し呆然自失となりながら後ろに下がっていく…。
安子の手から奪い取るようにその紙を呼んだ美都里はショックのあまり「嘘じゃ、嘘じゃ!!!」と狂ったように泣き叫ぶ。 美都里さんは他の誰よりも稔が帰ってくることを確実視していた節がありましたから、その衝撃は誰よりも強かったに違いない…。

美都里の悲痛な泣き叫ぶ声が響くなか、安子は感情を失った表情で少しの間立ち尽くしていました…。この時の萌音ちゃんの表現がすごくリアルで見ているこちらも言葉を失いました。
心のどこかで稔の悲報を予感してはいただろうけれど、実際にそれを目の前に突き付けられた時、そのショックはどんな感情も全て停止するほどの想像を超えたものだったのだろうということが伝わってきて胸が締め付けられるようだった…。

一人亡霊のようにゆらゆらと部屋を出ていった安子は、おぼつかない足取りで岡山城を抜け、ある場所に向かっていた。心の中で、愛しい人の名前を何度も呼ぶ。その人への想いが強まるに従い、安子の足取りが急に早くなっていく。

このシーンで聞こえてくるのは、安子が心の中で何度も呼び掛けている稔の名前だけ…。足音も、木々のそよぐ音も、町の人の声も、一切彼女の耳には入ってこない。存在していたのは、安子が呼ぶ「稔さん」という心の声だけ。ここの演出がすごい衝撃的だった…。

いつの間にか駆け足になっていた安子が辿り着いた場所は、稔と結婚の約束をした思い出の神社だった…。彼女はこれまでこの場所で何度も何度も稔の無事を祈り続けていました。しかし、切なるその願いは叶えられなかった…。神社の拝殿の前で倒れ込みそうになった安子は、すがるような眼差しで泣きながら稔に語り掛ける。

「稔さん…、いじわるせんで…。帰ってきて…!!稔さん!稔さん!!稔さん……」

何度も何度も繰り返し愛しい人の名前を呼び続ける安子の泣き叫ぶ声が、あまりにも悲痛すぎて涙が止まらなかったよ(泣)。どんなに泣いても泣き足りないほど…辛いなんて言葉ではとても言い表せない心境だったと思う。

稔が戦死してしまうことは事前に悟ってはいましたが、やはり現実として付きつけられると本当にキツいです…。安子を温かく包み込んでくれたあの優しさがさらに尊く感じられる。稔にはせめて、娘のるいの顔を見てほしかった…。
ただ、個人的には…、あの勇の前に現れた復員兵は本当に稔の死を目の当たりにして知らせに来たのかということがちょっと気になります。ただ戦死広報を持ってきたということだと…、ほんのわずかな期待もなくはないかなと。

たぶん暫く某事情で再放送されないであろう(苦笑)名作朝ドラ『ごちそうさん』も、戦死したと最後まで思わせていた悠太郎が帰ってくるサプライズがありましたからね。
だけど、藤本有紀さんはそんな生易しい期待を持たせる物語は書かないだろうからなぁ(ごちそうさんの森下佳子さんも攻めた内容を書く脚本家さんですが)。

稔さん…、生きていてほしかった。松村北斗くんが好演していただけになおさらね。来週からは安子の”幻”として登場しながら彼女の心を支えていくことになるのかな。出来るだけたくさん出てきてほしいですw。

それよか、YOUさん演じる美都里さんの今後が恐ろしいわ(汗)。

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