NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第14回 一杯のお汁粉

稔の出征が決まってしまったことを知った安子は、毎日のように近くの神社で無事に戻ってくるよう祈っていました(ちなみに神社のロケ地は滋賀県だそうです)。帰ろうとした時後ろを振り向くと、勇が立っていた。きぬちゃんが居場所を教えてくれたらしい。

彼が安子とこうして会うのは…あの、甲子園への夢が奪われて絶望した日に勢いで告白してしまった時以来だよね。安子としては勇とはその時の思い出の時点で止まったままなので、普通に接することができずどこかぎこちない様子になってしまってた。
勇にとってもあの思い出は辛いトラウマでしかないと思うんだけど、東京の大学へ進んで野球ができたことで少しは落ち着いて安子と向き合えるまでになっていたのかも。

「東京の大学へ行ってたんじゃ…」と戸惑いながら話しかける安子に、勇は二十歳以上の徴兵猶予停止の影響で大学野球がなくなってしまったことを告げる。やっぱりもう、野球ができなくなって岡山に戻るしかなくなってたんだな…。
安子は「おめでとうございます…。お兄様のご武運をお祈りしています」と震える声で頭を下げますが、勇はその言葉が偽りであることを見抜いていました。

「嘘をつくな。毎日ここへきて兄さんの無事を祈っているんだろう?兄さんだって今でもお前のことを想っている。このままでいいのか?」

勇ちゃん、本当に優しい子だよ…(涙)。大阪で会ったあの日に、稔がまだ安子に熱い想いを抱いていることを思い知らされちゃったんだよね。だから、自分の気持ちを抑えて安子に兄の本当の気持ちを伝えて励ましてくれてる。そのイジらしさがなんとも切なくて泣ける…。

でも安子は「私には関わりのない人です」とだけ告げるとその場を立ち去ってしまいました。悲壮な覚悟で別れを決めた安子。稔の幸せのために自分が身を引くことを自分で決めたため、もう後戻りしてはいけないと自分に言い聞かせているようだった。
だけど、必死に涙をこらえながら去っていく安子の後ろ姿を見て、勇は彼女がまだ稔に熱い想いを寄せていることを強く感じてしまったと思う…。自分が入り込む隙など、少しもないことも…。

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー
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そのころ橘家では、杵太郎が腰痛の悪化に加えて肺を病んでしまい重い病の床に就いてしまっていました…。安子は必死に看病しますが、好転する様子が見られない…。
ふと目を覚ました杵太郎は、職人に戻ってあんこを「美味しくなれ」と煮詰めていた夢を見たと少し嬉しそうに告げました。きっとその頃が彼にとって一番幸せな時間だったのかもしれない。

そんな話を聞いて優しい笑顔を向けた安子。すると杵太郎は必死にその手を伸ばし安子の頭を抱きしめるように優しくさすってやりながら一番伝えたかった想いを告げる。

「安子…、幸せになれ。幸せになれ…。幸せに・・・なれ」

杵太郎さんは安子が断腸の想いで稔と別れてしまったことをずっと気に病んでくれていた。幼いころから安子を溺愛していたから、なおさら安子が失恋をして悲しんでいる姿を見ることが辛かったんじゃないかと思います…。
何度も何度も、振り絞るように「幸せになれ」と必死に安子に訴えようとする杵太郎さんの姿に号泣してしまった(涙)。安子は祖父の愛情を一身に浴びてその体に縋るように泣きました…。

それからほどなくして、杵太郎は天国へと旅立っていきました…。

ひさは雉真繊維が作った足袋を履かせてやろうと、永遠の眠りについた杵太郎の傍に寄り添う。二人は恋愛結婚と公言するほど仲が良く息ピッタリのご夫婦でしたものね…。愛する人との別れに一人伏して涙するひささんの姿に見ているこちらも号泣でした(涙)。
深刻になりそうな場面の時に杵太郎とひさのコンビがやんわりと割り込んできて場を和ませるシーン、温かくてすごく好きだった。もうそれを見ることができないと思うと本当に寂しいです…。

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一方雉真家では、稔の出征が決まってしまったことで急いで縁談をまとめなければということとなり、千吉は頻繁に銀行の頭取と会うようになっていた。
しかし、戦死した家族の葬列を目の当たりにすることも多くなるうえにラジオで学徒出陣のニュースを聴くにつれて、出征しなければいけない息子を案じる気持ちの方が強くなっているように見えます…。だけど会社のためには縁談話は進めなければいけないわけで…、千吉さんも辛いところかもしれない。

そんな時、父の部屋に勇が「兄さんの祝言を取りやめにしてください」と頼みにやって来た。安子と稔の結婚を認めてほしいと必死に訴える勇…。しかし千吉は「結婚は家同士がするもので個人の気持ちだけでするものではない」と反論。この時代はまだそういう考えの人が多かったかもしれないよなぁ…。その父の言葉を聞いた勇は驚きの提案をしてきた。

「家のための結婚は、わしがするから…!だからお願いだ、父さん!!」

なんということを、勇ーーーーー(涙)!!!こんなに愛情深い弟を持った稔は本当に幸せ者だよ…。もう自分が安子と結ばれることはありえないという諦めもあったかもしれないけど、この時はそれ以上に、稔と安子の幸せだけを切に願っての純粋な気持ちから出た言葉だったと思うよ。大好きな二人が幸せになれるのなら、身軽な自分は政略結婚の道具に使われても構わないなんて…哀しすぎる。

勇の提案にさすがの千吉も驚き動揺を隠せない。それでもまだ渋る父に勇は必死に「とにかく安子に会ってくれ、会えばわかるから!!」と訴え続ける。しかし、大東亜銀行の頭取の娘と稔の結婚は雉真繊維のためのみならず「お国のため」でもあると千吉も動こうとはしなかった。

そんな父の言葉に溜息をついた勇は、「父さんの工場で作る軍服を着て兄さんが戦争に行くことをどう感じている?」と詰め寄りました。これはすごい痛いところを突いた発言だったよなぁ。千吉は「学生服を着て学校へ行くことと同じだ」と答えましたが、稔が戦場へ向かう姿を想像するととてもまともな気持ちで告げることはできなかった…。
父親として、大切な息子が雉真産の服で戦場へ行くことが学校へ行くことと同じだなんて考えられるはずがない。あのとき勇はそんな父の本音を見たと思う。そして、きっと安子に会ってくれると思ったかもしれない。

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勇の言葉に心を揺さぶられた千吉は、ある日そっと”たちばな”を訪ねる。人の気配に気づいた安子は店先に出て千吉を接客しますが、彼が稔の父であることには全く気付いていなかった。胸のところに名前が貼ってあるものの、安子はそこに目を向けることはなかったのかな…。

千吉は「おはぎ」を所望しますが、材料不足でもう長らく作っていないのだと申し訳なさそうに伝える安子。千吉は彼女の顔を見る義理は果たしたとばかりに諦めて帰ろうとしましたが、そんな彼を安子は引き留め店の奥に走り去ってしまった。

するとそれと入れ違いに店先にやって来た金太は、そこに立っている人物が稔の父親の雉真千吉であることを察した様子。稔のことについて少し話をしようとしましたが、そのタイミングで安子が一杯の「お汁粉」を手に戻ってきた。

それは、希望通りのものを提供できない代わりに、せめて温かい「お汁粉」を飲んで元気を出してほしいという安子の温かい気配りでした。母と調達してきた僅かな小豆で杵太郎さんの初七日にそれを作ったんだね…。
予想外の出来事に千吉は動揺。父と知り合いのおじさん、という認識のまま安子は笑顔で挨拶しまた店の奥へと立ち去っていきました。

金太は千吉に、安子が差し出した「お汁粉」は先代である自分の父親が大好きだったものだと告げる。そんな家族にとって大切なものを、なぜ見ず知らずの自分に安子が差し出してくれたのかと疑問に思う千吉。そんな彼に金太は娘の気持ちを代弁する。

「何か、気落ちしていらっしゃると感じたのでしょう。甘いお汁粉を飲んで、少しでも元気になってほしいと思ったんだと思います」

確かに千吉は稔の出征のことで沈んでいました。そんな心の内を安子は敏感に感じて「せめて甘いものを口にして元気になってほしい」と家族の大切な思い出の「お汁粉」を出してくれたのです。たしか稔が安子に惹かれるきっかけになったのも「甘いものを食べる人はみんな笑顔になる」っていう言葉を聞いたからだったよね。親子して安子の優しさに心を動かされる日がこようとは…。
金太から促された千吉が恐縮しながら「お汁粉」を口にすると、甘さと温かさが口の中に広がり自然とその顔には笑顔が浮かんでいた。

金太は千吉の隣に座り、母のひさが作った「お汁粉」が父・杵太郎の菓子作りのの原点になったことを語りました。あぁ、そうっだったんだ。杵太郎さんは愛するひささんの作るお汁粉が本当に大好きだったんだね…。
さらに金太は、杵太郎が亡くなった時にお気に入りだった雉真繊維で作られた足袋を履かせたことを語る。杵太郎が生前から雉真繊維の足袋を気に入って履いていたことを知った千吉は、「うちは、足袋づくりが原点でした」と感慨深そうに告げました。この時彼は、事業拡大のことばかり考えてしまっていたことについて少し反省する気持ちが湧き上がっていたのかもしれない…。何事も「原点」…初心は忘れないようにしたいですよね。

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汁粉を食べ終わった千吉は感謝の気持ちを伝え店を後にしようとする。金太は、稔が学徒出陣で出征する運命にあることを知ると…、前年に出征した息子の算太のことが過りその時の自分を改めて振り返る。

「うちの息子は昨年出征しました。どうしようもない悪たれで、勘当した息子でした。私は意地を張って最後まで家に入れてやらず、見送りにも…」

これが最後かもしれないと悲壮な覚悟をしながらも、勘当した息子だからと意地を張って算太の出征の見送りにすら顔を出さなかった金太…。その時の自分を思い返すと、後悔の念しか沸き起こってこない。「見送りに…」の後の言葉が続かなかったところに、金太さんの哀しい複雑な心境を感じて胸が詰まりました(涙)。
だからこそ、千吉には自分と同じような気持ちになってほしくないという想いが強い。

「どうぞ…、悔いのないように、息子さんを送り出されてください」

金太さんは安子との仲は反対していたけれど、稔に対しては好印象を持っていたと思います。だからこそ、最後の見送りまで家族との時間を大切に過ごしてほしいとも思っていたんじゃないかな…。

千吉は金太の父親としての願いを少し頷きながら黙って受け止めてその場を後にしていきました。すると、安子が慌てて外まで見送りに出てきてその背中に「お気をつけて」と言葉をかけた。

驚いて振り返った千吉の目に、優しそうな温かい笑顔を浮かべている安子の顔が映る…。もしかしたらこの時、彼の心に大きな変化と決断が沸き起こっていたのかもしれない。

それから数日後、稔が大阪から岡山へ向かう汽車に乗り込んでいた。出征も決まってしまい、さらに望まぬ縁談話をまとめるためだと思っているのでその表情は暗く、目は虚ろです…。でも次回は、奇跡が起こるような予感がします。

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