NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第10回 叶わぬ夢

勇は、安子が稔のことを好きなのは知っていたけれど稔が本気で安子のことを好きだとは思わなかったと告げる。

「兄さんらしくないよ、分かっているはずなのに…、いずれ安子のことを苦しめることになるって」

弟の宣戦布告とも取れる言葉を聞いてようやく我に返った稔は、落としてしまった勇からの返球を拾いながら、前の日の晩に橘家を訪れて付き合うことを認めてほしいと両親に挨拶したことを告げる。これはもう、受けて立ったよね。安子のことだけは彼も譲れない気持ちが強い。

安子の両親からは娘を嫁に出せないと言われたし、実家の両親も安子との仲を簡単に認めてもらえないだろうことも悟っているけれども、「誠意を尽くして分かってもらうつもりだ」と凛とした表情で告げる稔。勇は、兄の安子への想いが本気であることを思い知らされしばし言葉を失ってしまう。それでも、やっぱり安子が好きだという気持ちも兄に譲る気はない。

「わし、今年が最後の夏なんじゃ。諦めん…。甲子園も…、あんこも」

だけど勇の願いはきっと叶わないと察してしまったが故に、この二人のキャッチボールシーンはただただ切なかったです(涙)。

これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー
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梅雨の時期になっても、安子のラジオでの基礎英語講座の学習は続いていました。稔に会いに大阪へ行ったあの日以外は毎日欠かさず聴いてるんだろうな。その継続力は素晴らしい。けっこう英語力身についてきたんじゃないかな。

ラジオ講座が終わった直後に旭川のほとりのラジオ体操会場へ猛ダッシュしていく安子でしたが、毎回最初からに間に合わず遅刻してばかり。張り切ってみんなの先頭に立ってラジオ体操に燃えているケチベエこと吉兵衛さんwwは、安子に嫌味をぶつけてくる。

「ラジオ体操はただの健康体操ではないのですよ!?日本全国津々浦々、この時間、この放送に合わせて規律正しく国民総動員で挙国一致の精神を鍛えているんです!!」

吉兵衛のラジオ体操に対する情熱、ハンパないっすね(笑)。でも、戦争の足音が刻一刻と近づいていたこの時代は、彼のように自分が率先して皆の精神を鍛えなければという人もたくさんいたのではないかなと思ってしまいました。

安子は肩身の狭い想いで謝罪しますが、吉兵衛の息子の吉右衛門くんがすかさず「そんなにキツく言ったらあかんで」と父の言動に対して苦言を呈す(笑)。彼は安子が毎朝ラジオで勉強をした後すぐにラジオ体操の現場に駆けつけていることを知っているようで、「ちぃとは大目に見てあげなよ」とこんこんと言って聞かせているw。基礎英語のすぐ後に体操の放送があるんじゃ、そりゃ遅刻しても仕方ないよね。
・・・っていうか、初登場の子供の時から少し大きくなった吉右衛門くんですが、いったい君はどんな人生経験を積んできたの!?と言いたいほど理路整然とした語りっぷりでホントにびっくりしますww。寺田心君も真っ青だよ。

そんな吉右衛門君の指摘に、吉兵衛さんは感極まりただただ感動している様子(笑)。そりゃ、そうなるわなぁ。でも私は、そんな堀部圭亮さんが演じる吉兵衛さん、めっちゃ好きです。なんか憎めないんだよね~。

しかし、安子が勉強しているのが”基礎英語講座”だと知るとビビりまくってめっちゃ動揺してしまう吉兵衛ww。

「敵性語を勉強しているとは聞き捨てなりませんな!?さてはあなた、米英のスパイだな!??」

とトンでもない疑いをかけてきた(苦笑)。まぁ…時代が時代だから、そういう風に思われちゃうのも仕方ないかもしれないんだけど(汗)。再び吉兵衛から厳しい目を向けられて狼狽える安子でしたが、そんな彼女を救ってくれたのは、またまた吉右衛門の助け舟でした。

「お父ちゃん、聴いたらいけんもんじゃったら、そもそも放送すりゃぁせんじゃろう」

なんたる神がかり的な返し技www!!!息子に諭される形になった吉兵衛は「なんでお前はそねん…」と返す言葉を失ってしまった(笑)。これはもしや、清子さんの教育の賜物なのだろうか。隣で息子が父に苦言を呈しているのを冷静に見てたしねww。清子を演じてるのが『ちりとてちん』で達観した考え方をしていた順ちゃんを演じてた宮嶋麻衣さんですから…なおさらそう思ってしまう(笑)。

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やがて夏になり、勇たちの野球部は今年こそ甲子園に出場するぞと気合を入れまくって練習に励んでいました。しかし、時節柄ユニフォームのローマ字表記が禁止となり学校名は「漢字」で書いたものをにしなければならなくなっていました…。それでも、まだ野球はできる環境だったようなのでそれだけは良かった。
野球部監督を演じてたのは、要冷蔵さんですよね。名前が特徴的なのでつい注目してしまいます(BKの朝ドラではけっこう常連さんだし)。

ある日の橘家の夕食時。金太は砂糖が軍用機の燃料に使われることになったことを嘆いている。まさか、お菓子作りに使っていた砂糖が燃料に変わるなんて夢にも思ってなかっただろうからなぁ。そんな彼を住み込みの職人さんたちが「砂糖がなくても菓子は作れますよ」と励まします。
いい関係を築けているんだなとちょっとホッとしたのですが…、一人だけ深刻な表情を浮かべていた職人がいました。菊井さんです。召集令状が来てしまい店を去らなくてはならなくなったという…(涙)。

「店が大変な時にすみません」と必死に謝る菊井さんの姿が切なすぎて胸が痛い…。次の週には入隊しなければいけないと聞いて橘家は重い空気に包まれるのですが、小しずは努めて明るい笑顔で「今週末にはごちそうを作らなければね」と言葉をかける。ひさも、菊井の好物である五目煮を作るからと励ましの言葉をかけました。
でも、橘家から大事な職人の一人だった菊井が戦地へ行くことになった事実にみんな心を痛めていたと思います(涙)。それを悟られないよう、なんとか明るく努めようとしているのが伝わってきて泣けてしまった…。

今まではどこか遠い話と捉えていた戦争でしたが、じわりじわりと橘家にも忍び寄っていた。今後のことを考えると本当に胸が痛む…。

その夜、小しずは洗い物をしながら安子に稔との関係がどうなっているのか聞いてみる。どうやら文通での交流は続いているようですね。その手紙の中で「学生は招集されない」と書いてあったらしく安子は胸をなでおろしていました…。でも、やがて近い将来、学生が招集されてしまう運命にある歴史を知っているこちらとしてはその安心が逆に辛い(涙)
安子は、親の反対を知りながらも稔と交流を続けていることを母に謝罪しました。そんな娘に小しずは優しく諭すように、自分もお父さんもその気持ちは理解していることを告げる。もう見合い話も持ってこないはずだと。でもそのうえで、親としての想いを伝えました。

「ただお父さんもお母さんも心配なんじゃ。安子が傷つくことになってほしくねぇんじゃ」

改めて両親の切実な気持ちを知った安子は、その想いを心の中に受け止め黙ってうなずいていました…。愛情ゆえに稔との関係を認めるわけにはいかないのだという親の想いを安子も理解はしているんだよね。だけど、この恋心ばかりはどうにも変えられない。色々と難しい…。

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金太は職人二人と砂糖の代わりとなる甘味を見つけようと努力を続けていましたが、なかなかいい味が見つからず苦労続きの様子。するとそのタイミングでラジオからドイツとソ連が戦争状態に入ったというニュースが流れてきた。金太たちは大きな不安に襲われてしまう…。

一方、甲子園に向けた勇たち弓岡中学校野球部の挑戦が始まりました。順当に2回戦を突破する好調っぷりでイケイケムードになっていたのですが、数日後に監督から衝撃の言葉を聞かされることになってしまう…。文部省からの通達で、本格的なスポーツの催しが禁止されてしまったのだという。

「今年の夏の甲子園大会は、中止になった」

なんたる非情な通達…。甲子園出場の夢を突然断ち切られてしまい絶望した選手たちが涙してる姿を見るのはあまりにも辛い(涙)。そしてこの言葉を選手たちに告げなければならなかった監督も身を裂かれる思いだったはず(涙)。

仲間たちが泣き崩れるなか、勇はあまりのショックに感情が追いつかない様子で呆然と立ち尽くしていました…。その絶望感があまりにも痛々しすぎて見ているこちらの涙が出たよ…。

その後のシーン、呆然としながら神社の鳥居にもたれ座り込んでいた勇の後ろ姿が哀しすぎてさらに泣けてしまうでないの(涙)。するとそこへ安子がやってくる。憔悴しきっている勇が気になりながらも、あまり深刻には捉えていない様子で願い事を唱えている。

出征した菊井さんが無事に戻ってくるように。砂糖がなくても美味しい菓子が作れるように。そして、最後に願ったのは、「勇ちゃんが甲子園に行けますように」ということだった。元気のない勇を気遣っての安子の願い事だったと思うのですが、彼女はこの時点で甲子園が中止になったことを知らない…。皮肉にも、勇が想いを寄せている安子の願い事は彼の心をさらに大きく傷つけることになってしまった。なんで神様はこういう残酷な展開にしてしまうかなぁ(涙)。

無邪気に「もう準決勝まで進んでいるから私がお願いしなくてもきっと行けるよ」と勇を元気づけようとする安子…。その言葉はどんどん彼の心を抉ってしまっていて、なんかもう、残酷すぎて見ていられない~~(汗)。そんな彼女の言葉を聞いた勇は、フラフラと立ち上がり背を向けたまま無念な想いを吐き出しました。

「甲子園は中止になった。最後の夏は終わったんじゃ」

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衝撃を受けた安子は自分の言葉が勇を深く傷つけるものになってしまったことに気づき大きく動揺してしまう。「ごめんなさい…、私、何も知らなくて…」と謝罪するのがやっとの様子。でも、なんとか元気になってほしいという一心の安子はさらに勇の心を抉るような言葉をかけてしまう。

「稔さんが言ってたよ。勇ちゃんにはとても敵わないと。こうと決めたら曲げない強い信念を持っているって。だから、そんな勇ちゃんだったらきっと…」

安子ちゃん…、このタイミングで稔の名前を出すのはあまりにも酷すぎるわ…。勇としたら今一番聞きたくない名前だったはずだもんなぁ…。本当に、全く気付いてなかったんだな、勇の恋心に…。安子の言葉に「なんでお前はそねぇ…」と哀しい顔をした勇は、自分の気持ちを届けたい想いが昂ってしまったからか突然彼女を抱きしめてしまう。

あまりにも突然勇からハグされてしまった安子は、驚きのあまりすぐに彼の体を突き放し後ずさりしてしまう…。この時初めて、ようやく、勇が自分に想いを寄せていたことに気づいたようでしたが、あんなにすぐに突き放さなくてもねぇ…とか思ってしまった(汗)。それだけ勇が彼女の心に入るスキがなかったということか…。

勇は泣きたい気持ちを必死にこらえながら、今の自分の想いを激白する。

「わしには野球しかなかった。兄さんに勝てるとしたら、野球しか…」

そう告げると居たたまれなくなったからか安子の前から走り去ってしまった。彼女はその背中を見送ることしかできない…。

甲子園出場が決まったら、安子に自分の気持ちを告白しようと決めていたであろう勇(「タッチ」の展開をちょっと思い出すけどw)。本当はあんな形で自分の想いを伝えたくなかったよね。
もしも甲子園に行けることになれば、安子の気持ちも少しは自分に向いてくれるかもしれないという甘い期待があったんじゃないかな…。そして甲子園に出場できれば、両親の興味も自分に向いてくれるのではないかとも思ってたかもしれない。

だけど、無情にもその機会は失われてしまった…。長年片想いしてきた安子の気持ちが全く自分に向いてないことも思い知らされた挙句、親に構ってもらえない寂しさや孤独もそのまま継続してしまうだろうし…。どうにか勇が報われる展開は来ないものだろうか。

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季節は冬。1941年12月8日の朝もラジオの基礎英語講座は放送されていて、安子の勉強も変わらず続いていました。放送が終わり、いつものように慌てて勉強道具を片付けラジオ体操に向かおうとしたその時、臨時ニュースのチャイムが不気味に響いてきた。

「帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋において、アメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり」

それは、太平洋戦争に日本が参戦したことを知らせるニュースだった…(日本軍による真珠湾攻撃)。ついに、恐れていた事態が起こってしまったのです。

安子と小しずとやすは居間で、金太と杵太郎と職人たちは厨房で、吉兵衛たちラジオ体操に集まっていた人たちは旭川沿いで、勇は大阪の下宿先で、淡々と聞こえてくるニュースの声にじっと黙って耳を傾けていました。

これまでも何度か太平洋戦争が始まったことを知らせる12月8日の臨時ニュースシーンはドラマなどで見てきましたが、今回ほど息をつめてこの放送を見たことはなかったかもしれない。当時の多くの人たちが感じたであろう先の見えない大きな不安や恐怖を追体験させられているような気持になってしまった。

この日を最後に、ラジオの英語講座の放送はパタリと消えてなくなってしまいました…。安子は今後、英語にどう向き合っていくのだろうか。そして稔や勇たちのその後の展開も非常に心配です…。

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