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『西郷どん』第46回感想 西南戦争

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とうとうここまで来てしまいましたか…。舞台で言うなら「前楽(千穐楽の前日)」にあたる第46回。次回でもう最終回というのがなんとも寂しいです。

正直言うと、これまでの大河のように全50回だったら…と思う部分はあります。たぶん、これまで泣く泣くカットされてしまった展開などもあったと思うので。特に今回の「西南戦争」については2回で描くにはあまりにも時間が短かったなぁという印象は拭いきれない。

ただ、今回の大河ドラマは『歴史の流れ』ではなく『西郷と大久保の関係』『西郷と家族』についてに重点を置いて描かれていたし、制作側もそれを重視していたと思うのでこれでもよかったのかなと。描きたいテーマの部分はブレてなかったと思います。その趣旨に乗れるか乗れないかで意見も分かれてしまったのかもしれないけど(苦笑)。

大河ドラマ『西郷どん』感想一覧

第46回 西南戦争

2018年12月09日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45

鈴木亮平・瑛太・黒木華・大野拓朗・錦戸亮・玉山鉄二・北村有起哉・青木崇高・笑福亭鶴瓶 ほか

あらすじ

「政府に尋問の筋これあり」。50年ぶりの雪の中、西郷(鈴木亮平)は私学校の生徒たちと共に政府の真意を問いただすため東京へ向けて進軍する。西郷が立ったことに衝撃を受けた大久保(瑛太)たちは直ちに征討令を発する。賊軍となった西郷たちは戦う覚悟を決めるが、激しい戦闘の中、小兵衛(上川周作)は戦死、菊次郎(今井悠貴)は足を銃弾で撃ち抜かれ、次第に劣勢となる。敗戦が色濃くなる中、西郷は軍の解散を宣言する。

公式HPより引用

西郷が不平士族と共に鹿児島を出立したことは木戸の知るところにもなりました。
彼も西郷のことは信頼していたし親しみも感じていたので、この事実をなかなか受け入れることができず戸惑ってしまう・・・。

三条はオロオロするばかりだし、岩倉も何も策が浮かんでいない様子(苦笑)。ここで冷静な判断を下したのが、大久保でした。
一報を聞いたときには激しく動揺してしまっていた大久保ですが「日本を見捨てる気か!」という岩倉の言葉に失いかけていた理性を取り戻したようですね。彼の中でも腹をくくった…ということなんだろうか。

大久保が打った手は、天皇に「西郷討伐の詔」を願い出ることでした。

それはつまり、西郷を天皇に逆らった「賊軍」として徹底抗戦するということを意味していました。表向きは冷静な顔をしてましたが、心の中では本当に断腸の想いがあったと思うよ…。

明治10年2月18日、まず目指していた政府軍の守る熊本城の手前にある川尻に到着した西郷たち。しかし、宿でゆっくりと腰を落ち着けようとしたその瞬間、菊次郎が「城が燃えている!」と血相を変えて飛び込んできました(実際に燃えたのは翌19日)

外を見てみると、熊本城やその城下が燃えて火の海になっている!思わずその光景に息を呑んでしまう西郷たち…。

熊本城天守閣の炎上については、鎮台自らが火をつけたという「自焼説」・台所から火の手が上がったという「失火説」・薩摩のスパイが火をつけたという「放火説」があるそうです。今もその真相はわかっていないとか…。謎ですね。

熊本城周辺が燃えたことについて考えを巡らせる西郷たちでしたが、篠原たち武闘派色の強い者たちは「向こうが何してきたってこっちの方が圧倒的に有利!早くやっちまおうぜ!」みたいに盛り上がってる

西郷軍が約1万3000人だったのに対し熊本鎮台側は3000人ちょっとだったこともあってか、彼らにはだいぶ油断があったようですね。
実際、熊本鎮台司令長官の谷干城は対抗手段として籠城戦を決めその準備に取り掛かっていたそうです。

イケイケなテンションの鼻息荒い集団を一喝したのが新八。「こっちから手を出してはいけないといっただろう!!」と叱り飛ばす姿になんか感動…。あのいつも腹空かせて戦にもビクビクしてた新八くんがこんな立派になって…と、なんか親の気持ちになっちゃったよw。

ところが、その二日後に西郷たちの宿が夜襲される事件が起こる。

桐野たちの手で捕えられた政府軍の兵士。襲撃されたにもかかわらず西郷はやはりどこか落ち着いていてその兵士のことも「よか、離してやれ」と寛大です。その様子からも西郷には戦闘意欲があまりないように思えましたね。

しかし、捕えた兵の口から出てきたのは

「私が聞いているのは、西郷さまとその後一行様は国家に弓引く賊軍ちゅうことやと」

という衝撃的な内容でした。この時初めて自分たちが「賊軍」になったことを知った新八や久武、桐野たちは言葉を失ってしまう。自分たちは正しいと信じてここまで突き進んできたから「天皇に逆らう立場」にされてしまったことは相当ショックだったと思います。

政府に尋問するという彼らの大目的は「賊軍」とされてしまったことで叶わぬ夢と成り果ててしまい、残されているのはもう戦うことしかなくなってしまった…。

しかし、そんな状況下で一人だけ違う想いを抱いていたのが西郷でした。

「一蔵どん、そういうこっか」

桐野たちが「大久保めーーー!!!!」と憤りを見せる中、西郷は「さすがだな」ってむしろ大久保の策に感心している様子だったのがとても印象的でした。好敵手として嬉しく思っているようにも見えたな。
でも、いきり立つ桐野たちにそんな想いは告げられるはずもなく、彼らのために西郷は徹底抗戦で戦う決意を固めます。

こうして、後の世にいう西南戦争へと突き進んでいくことになりました。

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ドラマには登場してきませんでしたが、熊本城では、籠城する政府軍と攻撃する薩摩軍とで激しい戦闘状態となっていました。
最初は平民の多い政府軍に対して武闘派集団だった薩軍のほうが有利だと考えられていて勢いがあったようですが、彼らの想像以上に熊本城が堅固で攻めあぐねるようになっていったとか。

徐々に疲弊していった薩軍は作戦を「熊本城攻撃」一辺倒から「援軍阻止」へと移行していくことになりました。桐野たちが「政府軍が高瀬あたりに集結している」と報告にやってきたのはそんな時だったかと思います。つまり、熊本城への援軍が高瀬にまで来ていると報告したわけですね。

高瀬に集まった援軍は吉次峠田原坂を通って熊本城まで行くに違いないと読んだ西郷。しかしそれ以上はあまり積極的に策を出す様子もない。
そんな西郷の心を読んだかのように、桐野と篠原は「自分たちが政府軍を食い止めてみせる!」と主張。ギラギラした目を輝かせていた2人に西郷はフッと微笑みを漏らしながら

「おいの体、おはんらに預けたで」

とだけ告げます。
あーーー、ここでこのセリフを出してきたのか。もう出てこないかと思ってしまったw。

「おはんらにやった命」という言葉は鹿児島を発つ決断をしたときに西郷が私学校の生徒たちに告げた言葉だと史跡コーナーにあったので、前回登場してこなかったからカットされたのかなって懸念していました(汗)。
けっこう有名な言葉ですから、タイミングは違えども出てきたことはちょっとホッとしましたw。

同じころ、小兵衛の隊にいた菊次郎は初めての戦闘経験ということで震えてしまっていました。無理もないよ…死を覚悟した戦だっただろうし、いざ戦場に出たら本当に怖かったと思う。

そんな彼に声をかけリーダーシップをとっていた小兵衛。逞しくなったよね、小兵衛。西郷の一番下の弟で母親のまさから可愛がられていた姿が目に浮かんでしまう・・・。

ちなみに、小兵衛と菊次郎たちが陣を張っていた場所は援軍の政府軍が集まっているとされていた高瀬付近でした。この高瀬の戦いも両軍ともに壮絶な死闘が繰り広げられたそうです…。

一方東京の政府には、薩軍に次々と不平士族たちが加わり勢いを増しているという報告が入り厳しい状況に置かれていることを知って皆一様にテンションが低い。
官軍は「徴兵制」によって集められた平民が多く編成されていたため、武闘派集団が多い薩軍には苦戦を強いられることが多かったようです。

さらに、薩軍が斬り込み戦術を使って戦いを優位にしている事態を深刻とみた川路は、「こちらも受けて立つのみ」と覚悟を決めて警視庁警視隊を編成して戦場に乗りこむことを決断します。官軍の補給路を断つという作戦の元、吉次峠と田原坂では激しい戦闘が始まりました。

官軍が熊本城に大砲などと一緒にたどり着くためには田原坂というルートしかなかったとされています。この田原坂では17日間にわたって両軍の死闘が繰り広げられることとなり、西南戦争でも最も苛烈を極めていたと伝わっているそうです。

田原坂については史跡巡りをしてきたのでもしよかったら参考にしてみてください。

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田原坂の戦いは薩軍による斬り込み策が功を奏し、最新式の武器を使う政府軍と中盤までは互角に戦っていましたが、川路が中心になって結成した「抜刀隊」の投入によって形勢が大きく官軍に傾く結果となりました。

刀を主力とする「抜刀隊」の投入については、官軍の総指揮をとっていた山県有朋が最初は難色を示していたと云われているそうです。武士の魂でもある刀を戦の中で導入することが時代に逆行するという考えがあったからだとか。
しかし、結局は戦局打開のためやむを得ないということで許可したそう。

この戦いのシーンの中で最も悲しいシーンだったのが、庄内藩から西郷を慕って私学校にやってきた伴兼之と榊原政治の戦死です(涙)。

ドラマには出てきませんでしたが、伴と榊原に関しては鹿児島を出立するときに「お前たちは残れ」と西郷と篠原は止めたそうです。にもかかわらず、二人は泣きながら「連れていってほしい」と懇願して行軍に加わったと…。

伴は田原坂の戦いの中で、顔見知りと思われる官軍の兵によって命を落としていました…

榊原の手によって伴を斬った相手も共に倒れることになりましたが…、

この官軍の兵は、伴の兄である鱸成信だったそう(涙)。

戦場で見合った時に衝撃を受けた表情をしていたことや、死の間際に二人で何かを告げようとしていたシーンがあったことから特別な関係だったのではと思っていたのですが…お兄さんだったとは…哀しすぎます(泣)。
おそらく、榊原もそのことを知っていたのではないでしょうか。だからこそ、彼の手で兄を斬ったのかなとも…。

二人の死を呆然と見つめていた榊原も銃弾に倒れることになりましたが、それでも戦場では伴の亡骸を最後まで守ろうとしたそうです。その後、撃たれた傷が元で榊原も命を落としてしまいました(涙)。

伴は享年20、榊原は享年18でした…。

官軍による最新式の武器の力や抜刀隊の投入によって追い詰められ敗色濃厚となった薩軍

このとき、桐野の目にかつての盟友である川路の姿が映ります…。
桐野は川路に斬りかからず退却を命じていたのが印象的。おそらく西郷が大久保をあっぱれと思ったあの時の感情と似たものが桐野の中にも芽生えたのではないかな…。「あいつ、やるな」と。

ちなみに、ドラマでは田原坂のみでの戦いに焦点を当てたような感じになっていましたが(汗)、篠原は吉次峠で戦って戦死しています。

篠原は今、南洲墓地の西郷の傍らで静かに眠りについています。

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そして、もう一つ悲しい別れがありました…。

高瀬の戦いに敗れた小兵衛たちは退却する途中で倒れた兵士の側に銃弾が残されているのを発見します。菊次郎は弾不足だったことからそれを拾いに行ってしまいますが、その途中で脚を撃たれて動けなくなってしまう。

それを必死に助け後方に連れて行こうとしたとき、小兵衛の体を銃弾が貫いてしまいました…。

死を覚悟した小兵衛は仲間に菊次郎を託し、最後の力を振り絞って時間稼ぎのために自らが盾となる。

「西郷隆盛が末弟、西郷小兵衛じゃ!!!チェストーーーー!!!」

泥だらけになって叫ぶ小兵衛の体を複数の銃弾が襲い、菊次郎の悲鳴が響く中で小兵衛は命を落としてしまいました(涙)。

「兄さぁ、すまん…!」

その一言を残し絶命してしまった小兵衛に涙が止まりませんでしたよ(涙)。
小兵衛には、生き残ってほしかった…。南洲墓地に行ったときに西郷隆盛の後ろにあった小兵衛のお墓を見た時、思わず涙が溢れたほどショックでした…。

西郷小兵衛の墓(南洲墓地)

負傷した菊次郎はその後、野戦病院へと運ばれました。

そこへ西郷が現れますが、彼の視線の先には可愛がっていた末弟の小兵衛の亡骸が横たわっていて…。

物言わぬ姿になった弟の顔を愛しそうに両手で包みながら涙する西郷の姿は涙なくしては観れませんでした(涙)。
実際の西郷はショックのあまり号泣したとされているようですが、ドラマでは「自分もすぐ後から行くからな」という気持ちが伝わってくるような静かな涙でグッとくるものがありましたよ(泣)。

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同じころ、磯御殿(仙巌園)の久光の元に天皇からの勅使がやって来て「西郷に今すぐ戦闘をやめて降伏・恭順を示すよう働きかけてほしい」と伝えています。

この時訪れた柳原前光は、朝ドラ『花子とアン』で仲間由紀恵さんが演じて大きな話題となった柳原白蓮の父親だそうです。

一度は勅使の申し出を受け入れたように見えた久光でしたが、そのうえで「最初にこちらを刺激してきたのは政府側だったと聞いていますが?」と切り出します。

「”シサツ”というのは、『視察』でございもすか?それとも『刺殺』…どちらの意味でございもすか!?」

西南戦争の発端となったといっても過言ではないあの「ボウズヲシサツセヨ」という政府からの電文を突いてくる国父様。その問いに勅使の柳原は答えることができない。そもそも柳原さんはどのくらいそのあたりの内情を知っていたのかもよく分からないんだけど(苦笑)。でも、

「この答えが出せない以上、道理の通らぬことだけは断じて承服するこつはできもはん!」

とキッパリと撥ね付けるところは素敵です!!西郷たちがどんな覚悟で政府軍と戦っているのか、まるでその想い全てを受け止めていたからこその回答のようでしたよ。久光も西郷たちと共に戦ったんだなと思うと胸が熱くなりました。

田原坂で敗戦を喫した西郷軍は北上することを諦め、山中をさまよいながら人吉方面まで逃げ延びることになってしまいました。

負傷した菊次郎も必死のそれについて行きますが、熊吉だけでは長い道のりを支えるのに限界があり倒れこんでしまう。
「足手まといの自分はここで殺してほしい」と嘆願する菊次郎でしたが、そこへ追いついた西郷は黙って息子を背中に背負い前に進みます。

もうこれ以上、若い命を犠牲にしたくなかったと思うし…愛加那との大切な息子を失いたくないという気持ちが強かったんじゃないかな。

絶望感が漂う敗走劇のなかで、西郷は菊次郎に一筋の希望を見出したかったのかもしれない…。

その頃、京では木戸が病の床に伏していました。明らかに病状は深刻で、今にも命が消えてしまいそう…。死因は胃がんだったのではないかと云われているようですね…。

死の間際、木戸は

「なんでじゃ…!西郷くん、いいかげんにせんか!」

と叫び息を引き取りました。これは史実として残っている木戸の最期の様子だそうですが、彼の中で西郷の存在というのはとても大きかったことが伺えます。

最期の瞬間まで、玉鉄くんの木戸孝允(桂小五郎)は美しく聡明だった…!!

ちなみに、ドラマでは木戸の手を握り最期をみとったのが奥さんの松子(幾松)ということになっていましたが、実際は大久保の手を握りながら「西郷、いいかげんにしないか」と言葉を遺したそうです。

一方、鹿児島県令の大山綱良は、西郷たちを支援した罪で東京の牢に投獄されてしまっていました。そこを訪れた大久保は「なぜこのような事態になっているんだ」と問いかける大山に対し、

「西郷隆盛は、友である前に大罪人です」

と冷たく言い放つ。西郷が立つことで多くの不平士族たちがそれに従い日本が治まらないという考えの大久保。その言葉を聞いて「おはんの中に何があったかが聞きたいんじゃ!」と言い返す大山。建前ではなく、本音が聞きたいってことなんだよね。

しかし大久保はそれには答えず、「日本で最後の戦にするために西郷を撃ち滅ぼすのみだ」と告げて心の内を見せようとはしませんでした。

「おいが政府じゃ」

あくまでも、政府の考えは自分の考えと同じだという答えを崩さない大久保に失望した大山。ため息をついた後、「おはんとも、これがお別れかの?」と尋ねる。それに対して静かに頭を下げる大久保…。それはつまり、これが大山と大久保との今生の別れであることを意味していました。

立ち去る大久保の背中に、大山は「先に逝って有馬と待っちょるからな!!」と思いの丈をぶつける。

「おまんだけ極楽に行こうとしてたら、足引っ張ってズイーーーっち引きずりおろしてやっで!!」

相変わらず独特の言い回しが面白い大山さぁですがw、この別れもとても切なかったです。

大山は格之助と名乗っていた時から孤立しがちだった一蔵のことを気にかけたりしてくれてましたからね…。大久保も彼らと共にいた時代のことが心に過っていたんじゃないかな。決して本気で大山を、かつての仲間を罪人だとは思っていなかったはずです。
でも、西郷が立ったことで自分ももう後には引けない立場にいる。そんな大久保の苦しい本音の想いを大山も感じていたようにも思えました。

大山の出番はこれで終了ということになりそうですね…。北村さんの独特の存在感がとても印象に残りました。撮影、おやっとさぁでした!!

大山綱良は西郷軍への支援を続けたことで捕えられ、西郷軍が敗北したのち長崎で斬首されてしまいます(涙)。

南洲神社で眠る大山綱良。西郷隆盛の斜め向かい側にそのお墓はあります。
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激戦が続く中、従道の配下が鹿児島の西郷邸を訪れ「家族を保護するために来た」と告げる。

今や賊軍となってしまった西郷の家族はこれから危ない目に遭うことが予想されます。それを見越しての従道のせめてもの計らいだったと思うのですが、糸と琴はそれを「敵の世話にはなりもはん!」キッパリと断り追い返します。

強い薩摩おごじょの心意気を見せた糸と琴でしたが、兵たちが引き上げた途端に「怖かった…」と腰を抜かしてしまう。彼女たちも必死だったんだよね。

その直後、農民に扮した久武が西郷邸へとやってくる。

久武は、戦の最中に小兵衛が命を落としてしまったことを断腸の想いで家族に伝える…。姉の琴が泣き崩れるのを見てまた悲しくなって涙が溢れてしまった…(泣)。一番末っ子の弟のこと、ずっと可愛がってたもんね…。

さらに、菊次郎が脚を撃たれて負傷したという話を聞いた糸は久武に「菊次郎さぁのところへ連れて行ってください」と懇願。戸惑う久武でしたが、糸の熱意に負けて連れて行くことにしました。

このあたりの井戸田さんの抑えた芝居がとても良かったですね!もうこのドラマではハンバーグ師匠とは呼べないw。

菊次郎は前線を離れ、延岡の野戦病院で手当てを受けていました。そこに献身的に寄り添っていたのは熊吉でした。延岡といえば宮﨑ですが、当時の延岡は鹿児島に併合されていたそうです。

延岡ということは…西郷が自ら指揮を執った「和田越えの戦い」の頃ですかね。それまではずっと桐野に全権を委ねていたようですが、この時だけは西郷が直接の指揮を執ったと云われています。

しかし、政府軍の攻撃をかわすことができず敗北。この戦いで西郷と対峙する政府軍の山県はお互いの姿を認識できたのではと考えられているそう。二人とも、どんな想いで対峙していたのでしょうか…。山県にとっても西郷は恩人でもあったわけなのでとても複雑な心境だったと思いますよ。
このあたりをドラマでも見たかった気がしますが、時間の関係上カットになってしまったのがちょっと残念でした。全50回だったら描けたかもしれないのに…ほんと惜しい。

目を覚ました菊次郎は自分の負傷した片足を見て愕然とします。命が助かるには切断するしかなかったという熊吉の言葉が切ない…。

その後も西郷軍は転戦を続けますが、はじめ2万近くいた兵士も3500にまで激減してしまいました。

絶望的な状況の中、西郷たちは延岡の近くにある俵野にまで追い詰められていきます。
本陣(児玉熊治の邸宅)に到着した西郷たちのところへ、近くの農民が飯の差し入れをしにやってくる。目の前にいたのが西郷本人だと知った時の驚きようは笑えたけどw、実際もそれだけカリスマのオーラというものがない素朴な雰囲気だったのかもしれないですね。

差し入れの飯を食べた薩軍の兵士たちは「まだまだ戦える!」とテンションが上がる。その中には琴の息子・市来宗介の姿もありました。

しかし、西郷は全く別のことを考えていたようです。

連れてきていた愛犬2匹の縄を解いて放した西郷。
とても犬をかわいがっていたそうなので、それを手放す決意をしたということはつまり、自分の命もそう長くはないということを見越したんでしょうね…。「達者で」と送り出す西郷の少しさみしげな笑顔が切なくて泣けました…。

本陣に戻った西郷は駆けつけた菊次郎や他の兵士たちを集めてその労をねぎらいます。そして・・・

「おいたちは今この時を以て解散する」

と解散宣言を告げます。
桐野や辺見たちは「まだ戦える!」と反論しますが、「自分たちが行くところは全て戦場となり、握り飯の礼すらできないでいる」と言う西郷の言葉に返す言葉を失ってしまう。

口には出さなかったけれど、桐野たちも心の中では自分たちの本来の目的を達成することはもう不可能だということは痛切に感じていました。それが叶わない以上、兵を解散するという西郷の提案を否定することはできない…。

「生きたか者は降伏してでも生きろ。死にたか者は死にやんせ。皆自分の欲するところに従ってくいやんせ」

それが、西郷の出した結論でした。ここまで自分を慕ってついてきてくれた者たちに対する思いやりがそこには詰まっていました…。それを感じたからこそ、あの桐野や辺見でさえも黙って受け入れたのではないでしょうか(涙)。

そして解散を告げた日の夜、西郷は自分の軍服を燃やします。

天皇から授かった軍服を燃やしたのは、賊軍になってしまったことへの贖罪の気持ちがあったからかもしれない、というエピソードを聞いていたのでものすごく切なかったですね…。西郷自身が望んでこうなったわけではなかったけれど、結果的には天皇に弓引く立場になってしまった。この後悔の念は生涯消えなかったのかもしれません…。

と、そこへ久武に連れられた糸がやってくる
実際に糸が延岡までやってきたという記録も残っているそうで…これは本当に驚きますよね。その道中は決して安全ではなかったと思います。それでも、菊次郎の元へ行きたいという強い想いは薄れることがなかったのでしょう。
そんな糸を守り抜いて延岡まで連れてきた久武さんもすごいと思います。

たぶん、そこに西郷がいるという情報もどこかで入っていたのかもしれません。

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糸は菊次郎にすがって「生きちょってよかった」と涙を流す。
しかし、菊次郎はそれでもまだ父と共に戦う道を選ぼうとしていました。自分の目で最後まで見届けたいという彼の想いは強い。それがたとえ命を落とすことに繋がっていたとしても、菊次郎は父と共に生きたかったのだと思います。

しかし、西郷はそんな息子の想いに対し野戦病院に残るよう説得する。これに対し菊次郎は「父上と共に死にます!」と強く直訴。他の負傷兵たちも「降伏はできない!」と死にに行く覚悟を口にしていきます。

その様子を見た西郷は血相を変えて「おはんらはならん!!」と一喝。桐野も「足手まといだ」とあえて突き放すことを言って残るよう説得に加わります。以前の桐野だったら「死ぬまで戦え!」と言ってもおかしくなかったけれど、そういう方向に行かなかったことは精神的に成長したんだなろうなって思いました。

若い者たちは生きてこれからの日本国を造ってほしい。

西郷の切なる願いに、菊次郎たちはそれ以上「一緒について行く」とは言えなくなる。

「母上や熊吉のこと、頼んだぞ」

優しく息子の頬を撫でながら、まるで遺言のように思いを託す西郷の姿にまた涙…。菊次郎は断腸の想いで父と別れて投降する道を選ぶことになります。

これがお互いに今生の別れになるだろう、と予感しての別れなので見ていて本当に切なかったです(涙)。

その夜、久し振りに糸と再会した西郷は少しの間だけ二人きりの穏やかな時を過ごす。

「もう行かないといけないのですか?」と尋ねる糸に、追手が迫っているから出立しなければいけないと告げる西郷。これが二人にとっても最後の時間となる…。

「これが最後なら言わせてくいやい」

さし迫る時間を惜しむように、糸は西郷に自らの想いをぶつけようとする。西郷も「どんな文句でも受け止める」と構えますが、糸が伝えたかったのは西郷が想像していたものとは違うことでした…。

「私の望みはひとつだけ。ダンナさぁが、西郷隆盛じゃなかったら、どんなによかったか…。吉之助さぁが、ただのお人じゃったら、どんなによかったか…」

糸の切実な率直な想いに触れた西郷は、こみ上げるものを抑えきれず彼女を抱きしめる。

糸さんの気持ち、痛いほどわかるよ…!もしも西郷隆盛が普通の人だったら。カリスマ性もなくて、家庭を大事にしてくれる普通の良き夫だったなら。

彼女の中でいくつの「もしも」が浮かんでいたかと思ったら、切なすぎて泣けて仕方なかったです(涙)。きっと、西郷自身も「普通の人でいられなかったこと」を心の中で糸に詫びていたのではないでしょうか…。
西郷の腕の中で泣きじゃくる糸の姿は胸に刺さるものがありました…。

そして、次回はついに最終回。

予告見ただけで涙が…。これは号泣必至だ…(汗)。驚くほど明るい展開って言ってるけど、それが逆に泣けて仕方なくなるような気がしてなりもはん。

今週の鈴木亮平くんのブログ

鈴木亮平『西南戦争(西郷どんこぼれ話46 vol.1)』
西郷どん第46話『西南戦争』観ていただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか。今回は有名な田原坂(たばるざか)での戦いも描かれましたが、僕も昨年、同…

朝の情報番組「あさイチ」に出演した時の想いも綴られてますね。熱く楽しいトークでした!

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