いよいよ前半最大のクライマックスが近づいてきました。ドラマも盛り上がりを見せていますが…新型コロナ問題で撮影がストップしている影響がとうとうのしかかってきてしまったようです…。
現在ストックされてるのが6月7日の21話分までということで、撮影再開の見通しが立たないなか放送を一時中断せざるを得なくなったと…。キャストの皆さんやスタッフの皆さんの健康と安全を考えれば致し方のない決断だと思います。健康であってこそのドラマ作りですから…!
でも、たとえ越年してもいいですから…必ず、必ず最後まできっちり描き通してください。ここ数年のなかでは本当に最高に面白い作品だと思っているので(円盤購入も本気で考えてますw)。どうかどうかそこだけはお願いしますっ!
これまでの『麒麟がくる』感想レポ
以下、第16回を見て気になったシーンもろもろ(ネタバレあり)。
『麒麟がくる』第16回 大きな国
2020年05月03日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45
長谷川博己、本木雅弘、染谷将太、川口春奈、西村まさ彦、門脇麦、伊藤英明、岡村隆史、堺正章ほか
あらすじ
高政(伊藤英明)を討つべく出陣する道三(本木雅弘)。国を二分する戦に、明智家はどちらにつくべきか光安(西村まさ彦)は思い悩む。一方、光秀(長谷川博己)は戦を回避すべく、尾張の信長(染谷将太)と帰蝶(川口春奈)の元へ向かった。道三に肩入れして戦に手出しをしないこと、その代わりに織田との同盟を破棄せんとする高政を一命をかけて押しとどめると訴える光秀。しかし弟・孫四郎(長谷川 純)に手を貸さず死に追いやったとして光秀に対する不信感が拭えない帰蝶は、光秀を厳しく突き放す。
<公式HPより引用>
高政に二人の息子を殺された道三は怒りに震え、稲葉山城から大桑城へ移り戦準備に入ろうとしていました。これまで道三の信頼が厚かった明智家ですが、二人が争うことになった時どちらについたらよいものかと頭が痛い。
なかなか答えを見いだせない光安が助けを求めると、光秀は美濃へ行かせてほしいと頼みます。戦になるかどうかは帰蝶の動き次第だと読んでのことのようです。彼女は弟の孫四郎に近づいて信長に批判的であった高政を排除しようとたぶらかしてた節がありましたからね(苦笑)。
帰蝶は光秀と会うなり弟たちを殺した高政への憎しみをぶちまける。しかし光秀は「孫四郎様に高政様と敵対するよう様々に言い含められたことが発端」と鋭く指摘。そのうえで、高政をこれ以上煽るのはやめてもらいたいと厳しく告げる光秀。「美濃のことは美濃に任せ外から口出しするのをやめてもらいたい」と。そう、帰蝶はもう美濃の人じゃないからね。
しかし帰蝶は「そうは参らぬ!」と反論。尾張と手を組んでこそ美濃は栄えることができるのに、高政は信長を敵視し尾張との縁を切ろうとしていると指摘。あ~…これを言われちゃうと苦しいよなぁ(汗)。
光秀は必死に高政が尾張と手を切らないよう努めると訴えますが、その言葉はもはや帰蝶の心に響かない…。光秀が孫四郎を追い返したことで、帰蝶は彼に対する信頼を失ってしまっていたのです。今回の事件で二人の間に大きな溝ができてしまったのが悲しいな。かつては想い合っていた仲だったのに…。
光秀が苦い想いを抱えたまま立ち去った後、帰蝶は隣の部屋で聞いていた信長の元を訪れ意見を聞く。信長はけっこう冷静に話を聞いていたようで光秀の言い分も理解できると告げます。その言葉にムッとしてしまう帰蝶でしたが、道三が今挙兵しても数の上で勝ち目はないと信長は考えていました。道三のことは気に入っていたようですが、しっかりと密偵を放って内情を探ってるあたりはさすが抜かりないですよね(たぶん相手も同じことしてるだろうけど)。
道三に加勢したい気持ちはあるものの、信長もまだ危うい立場のためにそう簡単には動けない。
「親父殿は今、戦をするべきではない!まず、御身を守られることが肝要ぞ!」
しかし、帰蝶から「どうやって身を守ればいいのか」と問われると憮然としたまま「分らん!」と立ち上がってしまう。道三を守る術が分からないのかとこの時は思っていたのですが…彼の言っていた「分らん」は「古今和歌集」の内容が”分らない”ってことだったらしいww。
「冬になぜ花が散るのじゃ!!」と逆ギレ気味な信長に、帰蝶も苛立ちながら「雪を花にたとえているのですっ!!」と言い放ってその場を出ていってしまった。でももしかしたらこのシーンが後に何かの伏線になっているのかも!?信長も道三を救う手立てを自分なりに考えようとしてるようだったしね。
その頃駿河でも大きな異変が起こっていました。今川義元の軍師だった太原雪斎が亡くなってしまった。あんなに強そうだった雪斎さん・・・まさかの「ナレ死」(汗)残念です。
東庵と駒は雪斎の死の秘密を洩らされたくないということで臨済寺に足止めされていました。東庵は「仕方がない」と諦めた様子でしたが、駒はかなりストレスが溜まっているようです。
と、そこへ今川の人質となっていた竹千代あらため松平元信がやって来る。
ずいぶんと大きくなりましたね~!幼い頃の聡明さも残しつつ、どこかちょっと儚げな雰囲気が印象的です。
で、元信くん・・・煮物を分けてくれた駒ちゃんにどうやら一目惚れしてしまった様子(笑)。いや~~、駒さん、将来の秀吉に続いて将来の家康にも惚れられてしまうなんてww、思わぬモテ期到来じゃないっすか!しかも二人とも将来超大物になる人物ですよ!?
とはいえ、彼女には全く自覚がないのですがね(笑)。
そこへ薬を届けるという名目で菊丸がやって来る。
菊丸役の岡村さん、ちょっと世間をざわつかせる出来事があったことで色々と大変な目に遭っているようですが(自業自得とは思いますけど…)とりあえず麒麟の出番は全うしてほしいなと思ってます。
菊丸が周囲に内緒で薬屋に成りすましていたのは、どうやら元信の様子伺いをするためだったようですね。駒は未だに菊丸の本当の正体を知らないので、元信と知り合いだと知って驚いていました。彼女がいつ菊丸の正体を悟るのかも今後の見どころかも。
さらに菊丸はさりげなく美濃で内乱が起こる予兆があることも伝えてきた。その話を聞いて駒は胸騒ぎを覚え薬を納めるためその場を離れた菊丸の後を追う。
戦が起これば光秀も戦乱に巻き込まれてしまうと察した彼女は、その前にどうしても彼に会いたいと切望する。自分を助けた侍が「明智縁の者」というところまでは分かったものの、実際にそれを確かめられたわけじゃないからね。それにやっぱり初恋の人・光秀に会いたいという気持ちはあったと思う。
駿河に閉じ込められたストレスも限界に達していたことから、駒は菊丸に美濃へ連れていってほしいと懇願。最初は渋っていた菊丸でしたが手を握られて「私をここから連れ出してください!」とじっと見つめられると…ついに陥落(笑)。惚れた弱みってやつだねぇww。無自覚な駒ちゃんも罪な女だw。
東庵は寂しげな様子の元信が気になり、将棋の相手をすることを約束して喜ばせていましたが…東庵さんが好きなのって双六じゃなかったっけ!?っていうか、元信の相手になるかどうかすら怪しいなww。双六で負けてばかりだったので、おそらく将棋も勝負にならず飽きられてしまう確率が高い(笑)。
東庵としては元信に近づいて色々探ろうっていう腹もあったのかもしれませんが…あまりうまくいく予感はしないかもw。
失意のまま尾張から戻った光秀が稲葉山城を訪れると、光安が高政や稲葉たちの前で道化の真似事のようなことを必死にやっている姿があった…。彼らに乗せられ笑われても必死にそれに応えようとしている叔父の姿に胸が痛む光秀…。そんな彼と目が合ってしまった光安の複雑な心中も切ない。
光秀の姿に気が付いた高政は二人になれる場所へ彼を誘い出す。
光秀は帰蝶に会いに行き信長サイドはあまり動く気配が見えないことを高政に伝えると、高政は安堵したかのように「わしとて戦をしたくはない」と告げる。しかしその言葉が今ひとつ信じられない光秀は厳しい態度で「何としても戦は避けるように」と彼に釘を刺す。かつて友情で結ばれていた二人の間にはいつの間にか不穏な空気が流れるようになっていました…。
さらに、高政が「土岐家の子供だ」と吹聴しまくっていたのは将来何かと有利に働くと睨んでの策略だと種明かしをしたことで、光秀の彼への不信感がさらに強まってしまう。高政にとってどちらの息子かというのは対して重要なことじゃなかったのか…。もっとこだわりがあるかと思ってたけど、周囲を欺いて自分を大きく見せようという意図のほうが強かったとは…なんだかちょっとショックだった。
そして光安が明智の所領を安堵してほしいと願い出てきたことにも触れる高政。道化のように振舞ってまで必死になっていたのは、今まで通り明智荘を安堵してもらうためだった…。光秀は高政がどうこたえるのか身構えますが、「領地替えを考えている」という答えに衝撃を受けてしまう。しかも、光安は隠居して光秀が跡を継ぐようにとまで告げられた光秀は言葉を詰まらせる。
この話だけ聞いていると高政は人でなしだな、と思えてしまうのですが・・・彼は彼なりに明智のことを考えてくれてるんですよね。もっと広い良い土地で大きな仕事をしてほしいと期待していたのです。それが彼なりの友情でもあったわけですが…光安の「明智荘への想い」を痛いほど知っていた光秀はその話を受け入れる気にはなれませんでした…。
その日の夕食時、暗い顔で領地替えがあるかもしれないことを煕子に伝えた光秀。しかし彼女は「美濃にとって良いことなら十兵衛様について行くのみ」と笑顔を浮かべる。さすがは武士の妻!こんな風に言ってもらえたら光秀も少しは気が楽になるよね。
ところが、食事中に光安の息子・左馬助が「父の様子がおかしい」と血相を変えてやってきた。光秀は急いで明智城へと向かいます。
間宮君、出番は少ないけどセリフの活舌もいいし武士の姿も似合ってる!今後に期待したいです。
夕暮れ時、光安はずっと可愛がってきた籠の中のメジロをそっと外に放していました…。その後ろ姿があまりにも哀しすぎて思わずウルっときてしまった(涙)。そんな叔父の姿を見た光秀はそっと傍に寄り添います…。
光安は高政から領地替えのことを聞かされていたようで大きく落胆してしまっていた。
「兄上から、お預かりしたこの領地を…守れそうにない…。わしが非力ゆえ…手を尽くしたが、そなたにも…牧殿にも…面目がない…」
そう言って涙を流す姿が切なすぎて見ているこちらも涙涙…(泣)。光安のシーンで涙させられる日がくるなんて思わなかったよ!!
光安は新しい美濃になることは受け入れようとしていたものの、これまで大切に守ってきた領地を手放すことだけはどうしても耐えられなかった。その想いを吐露していくうちに、高政への憎しみがどんどん募っていく光安…。
「道三様のためなら、心置きなくひと踊りできる!!!」
戦になれば道三サイドが圧倒的不利だということは光安にもわかっていました。それでも、領地替えを強要してきた高政よりも、これまで慕ってきた道三についていくことを彼は選んだ。それはイコール死を覚悟してのことだったがゆえに、光安は大切にしていたメジロを手放したんですよね…(涙)。
しかし、戦となれば明智の家の存亡にも関わる一大事。光秀はあと2日間だけ決断を猶予してほしいと必死に懇願し、大桑城の道三の元へ馬を走らせる。
仏の前で戦支度をしたまま瞑想する道三は戦支度をしていない光秀を静かに責めますが、それに怯むことなく光秀は「戦を止めに参りました」と毅然とした態度で言い放つ。国衆同士が争う事態だけは何としても避けるべきだと必死に説得しようとした彼に、道三は「一度は戦を思い留まろうとした」と告げる。しかし、仏の声を聴こうとしても何の言葉も返ってこなかったと失望感を漏らします。
仏の道に入ったものの、仏教と真摯に向き合おうとしていたとも思えないので(汗)まぁ、声が聞こえないのは仕方がなかったのかなともw。
さらに道三は高政について静かに語り始める。
高政が道三が実の父親だと知りながらも土岐の子の名を語りそう思い込もうとしたことを分かっていました。そんな息子を道三は危ういと感じていたのです。
「人の上に立つ者は正直でなくてはならぬ。偽りを申す者は、必ず人を欺く。そして、国を欺く。決して国は穏やかにならぬ」
まるで父が息子に説くかのように光秀に語る道三。「わしはケチであることを隠したことがない」っていうセリフがちょっと面白かったけど(たしかに隠してなかったww)、それも心を許せる光秀だからこそ言えたことなんじゃないでしょうか。
きっと道三のなかで「十兵衛が跡を継いでくれたらどんなに良かったか」という想いがあったと思えて仕方ないです。
「そなたは正直者だ。それでよい」という言葉に、道三の光秀に対する熱い信頼が読み取れます。道三は、自分と同じ香りを持つ光秀のことが好きだったんですよね…。どんな無茶ぶりをしようが、それは彼のことを心から信用していたからであって、たとえ「嫌い」と言われても、まっすぐに正直な想いをぶつけてくる光秀のことが本当に好きだったのだと思います。
そして光秀もまた、苛立つことも多かったけれどもいつの間にか道三の人柄に大きな魅力を感じるようになっていました。彼もまた、斎藤道三という人が好きだったのだと思えてなりません…。
さらに道三は、自らの老いを痛感したことをきっかけに家督を譲ることを決断したと語る。前回光秀に「家督を譲った理由はタダでは教えない」とイケズしていましたが、こんな形でその種明かしをしてくるとは…なんとニクイ脚本でしょう。
そして家督を譲った相手を「間違えた」と…「間違えは正さなくてはならぬ!」と自らに言い聞かせるように告げた道三。高政はトップに立つ器ではなかったことを父である彼が一番分かってしまっていた、ゆえに、それを戦という形で落とし前をつけるのが親の定めだと心に決めていたのです。もはやどんなに光秀が戦を止めようと懇願しても、答えは変わらないでしょう…。
道三が大声で「集え!!!」と号令をかけると、どこに隠れていたのか一斉に味方の兵たちが中庭に集まってきました。鶴山に陣を張るという道三の命令に彼らは勢いよく駆け出していった。ここまで来たらもう光秀にはどうすることもできない…。
愕然とする光秀に、道三は自らのルーツについて語り始める。
油売りだった父親は「美濃も尾張もない、皆一つになればよい。さすれば豊かな大きな国となり誰も手出しはできぬ」と常に息子に語り聞かせていた。この時代ではかなり革新的な考えを持った人だったのですね。そして父はその想いを道三に託した。しかし、結局道三は美濃一国しかまとめ上げることができなかった。そのことはきっと大きな心残りだったに違いない。
その夢を託せる人物として、道三は信長の名前を挙げます。
「あの信長という男は面白いぞ!あの男から目を離すな。信長となら、そなたやれるやもしれぬ。大きな国を造るのじゃ!誰も手出しのできぬ、大きな国を!!」
この道三のセリフは、涙なくしては見れませんでした(泣)。これは、光秀に対する「遺言」だったと思います。
おそらく彼は戦に勝てないことを予感していたに違いない。そのうえで、自らが果たせなかった「大きな国を造る」という夢を信長なら果たせるだろうと告げた。そして、そのパートナーとして光秀が必要になるだろうことも予感していたのです。つまり、道三は光秀に自らの想いの全てを託そうとしたんじゃないかと…。その言葉を一つも逃すまいと身動きせずに聞き入っていた光秀の姿も胸打たれるものがありました。
そして、道三が光秀に後を託す言葉を語るなかで朝日が昇り周囲が眩しくなっていく演出もとても印象的でした。道三は勝ち目のない戦へ向かうことになりますが、そこに悲壮感はなくむしろ希望すら感じさせられた。光秀ならきっと自分の想いを汲み取ってくれるという道三の期待が、あの光の演出に込められているような気がしてなんだか泣けました。
まるで父が息子に後を託すような…そんな雰囲気すら感じさせた素晴らしいワンシーンだったと思います。光に当てられたモックン@道三は神々しく、力強く、そして美しかった…!
光秀が今後信長に近づいていく展開になるにあたり、道三の言葉は大きな影響力を持ってくるような気がします。そういう意味でも、すごい伏線撒いてたなぁと感動。
道三は高政との決戦の場へ向かい、光安もその後を追いました。光安は2日待ってほしいと言われていましたが、道三が発ったことを聞いて居ても立ってもいられなくなったのでしょう。明智の家の存亡よりも、道三と運命を共にすることを選んだ光安さんの気持ちは痛いほどわかる…。
光秀には光秀の考えがあると尊重してくれていたのも叔父の優しさ。彼もそうすることで明智の将来を光秀に託したのだと思います(涙)。
戦支度で騒がしくなるなか、光秀は「どちらにも味方しない」というスタイルを貫こうとします。しかし、手元にある一丁の銃を眺めるうちに様々な想いが彼の脳裏を去来する…。
道三と高政に思いを馳せたとき…どうしようもなく光秀の心の中で想いがこみ上げてきてしまったのは、幼馴染の親友だった高政ではなく、常に心の中をさらけ出し無茶ぶりをしながらもいつも自分を受け入れて認めてくれた道三のほうでした。
目先のことばかり考え自分を欺いて大きく見せることで国を治めようとした高政よりも、常にまっすぐ未来を見据え大胆な考えを持っていた道三のほうに光秀は人間的魅力を感じてしまっていたのでしょう。
しかし、二人とも光秀にとって大切な人だったゆえにとても辛い決断だったと思います…。
鎧を身に纏った光秀は、行き先を尋ねた伝吾たち家臣を前に決意を伝える。
「叔父上の後を追う!鶴山へ!!敵は…高政様!!!」
こ…このセリフは…!!!まさに今後物語のクライマックスで出てきそうなやつじゃないですかっ!それを応用してここに出してくるとは、やっぱり面白いドラマです。
そして次回はいよいよ長良川の戦い。さんざんネタバレPR番組見てしまってますがwそれでも泣いてしまう予感がしてなりません。