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とちラブ朗読劇『コミチャン!』2019.03.17ソワレ

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NHK宇都宮放送局開局75周年を記念して、村上新悟さんの出身地でもある栃木県の小山市にて朗読劇『コミチャン!』公演が行われました。「コミチャン」とは、”コミュニティーチャンネル”の略だそうです。

昨年の栗原英雄さんとの『とちラブトークショー』の最後に突然発表された”朗読劇”の企画がついにお披露目です。

※当時のレポ↓

開催地は「栃木県」であることは予想していたのですが、「たったの1日のみ公演」だったことと「抽選」だったことは想定外でした(汗)。今から考えてみるとこの企画ってNHK宇都宮局の開局75周年の節目による”イベント”っていう意味合いが大きくて、位置づけとしては”舞台公演”の意味合いが弱かったんだろうなって理解できるんですが、最初に聞いたときには正直「なぜ1日のみで抽選!?」って思いました(苦笑)。

「抽選」という方法が取られていたので、ここはいつも通り往復はがきの応募という形に。募集が始まってしばらくするとHPもバージョンアップして豪華になったw。
ただ、局のイベントという立ち位置なので”無料”なのはありがたかったんですが、応募した人全員が行けるわけじゃないので…そりゃもう、ちょっと、生きた心地はなかったです(汗)。「あまり煽らんといてー」と心の中で叫んでたよw。

その結果、何とか私は運よく当選することができました。私が思っていた以上に応募があったようで落選の方の声も多く聞こえてきたのでけっこう肝冷やした。
ちなみに、応募の段階では「1回目か2回目のどちらか1回のみ当選」的なことが書いてあったのでてっきり1人1回観劇ルールがあるんだとばかり思っていたのですが、蓋を開けてみれば2度見た人がけっこういらしたようで。落選した人も多かったのだからやはり1人1回は徹底したほうがよかったんじゃないのかなってちょっと思いました…。

今回の朗読劇は、後日ラジオで放送されることが決まっています。最初に栃木県内のみで流した後、しばらくしてから全国でも聞けるように配慮してくださるようなので、行かれなかった方もその放送で楽しむことができると思います。

このレポはネタバレが相当あります・・・っていうか、満載ですw。ラジオ放送日まで楽しみにしておきたいという方はどうぞご注意を。
あと、いつものごとくかなり長文になってしまったので時間のある時にでも読んでいただければ幸いです。

NHK宇都宮放送局開局75周年記念 とちラブ朗読劇『コミチャン!』

開催日時:2019年03月17日(日)16時30分~18時(2回目を観劇)

場  所:栃木県小山市 中央アートスクール・スカラホール

出演者
栗原英雄
(壬生英雄)村上新悟(小山新悟)小栗さくら(武蔵野真里)高木渉(その他大勢)

演 奏:織田英子(ピアノ)・織田祐亮(トランペット等)

脚 本:大野康広

演 出:吉川邦夫

はじめに

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今回脚本を担当されたのは、大河ドラマ『真田丸』で河原綱家を演じていた大野康広さんです。
昨年のとちラブイベントのラストで「僕が脚本担当することになりました」って自ら発表されたんですよね。大野さんってマルチな才能を持たれているんだなぁと驚きました。

また、演出は予告通り『真田丸』の制作統括をされていた吉川邦夫さんに決定。最後にご挨拶されていましたが、舞台の演出というのは今回が初めてだったそうです。吉川さんにとってもチャレンジだったのですね。

さらには追加キャストとして、真田丸関連イベントの多くで司会を担当してくれていた小栗さくらさんと、「真田丸」で小山田茂誠役としてテレビドラマデビューを果たした声優の高木渉さんも発表されました。

そして朗読劇でありながら”生の”演奏者が加わるという豪華さ(生演奏がかかる朗読劇はこれまで見たことがなかったので)。当初予想していたよりもかなり本格的な強力布陣で「これはかなり期待できそうなものができそう!」と期待値もUP!
真田丸メンバーによるトークショーはこれまでも何度か参加してきましたが、”芝居”として見るのは初めてだったのですごく楽しみにしていました。

その中で特に楽しみにしていたのが、村上新悟さんの”舞台”で演じる姿が見れるということでした。
村上さんはもともと「無名塾」出身の舞台俳優さんです。私は観劇を趣味としていてもう25年以上劇場に足を運んでいますが、無名塾はなんとなく敷居が高いと感じていて一度も観たことがなく、村上さんの舞台姿は知らないままなのです…。

なので、今回はまさに千載一遇のビッグチャンス到来!!とテンション上がりましたよ(笑)。たとえ”イベント”の一環としてのものだとしても、村上さんが舞台に立って芝居をする姿が観れる…念願叶って本当に嬉しかったです。

ホールは小劇場っぽい雰囲気。2階席も設けられていましたが、300人弱規模だったのでおそらくどの席からも肉眼で役者の表情を確認できるくらい近かったと思います。
段差もかなりついていたのですが、前かがみになると後ろの人は見えなくなる構造にはなっていたので…始まる前の諸注意はあった方がよかったかもと思いました。普通の舞台ではだいたい呼びかけがあるのでね…。

開演の15分前には脚本を書いた大野さんがADっぽく登場し前説からスタート。会場入りするお客さんに気を遣いつつの楽しい話術はさすがでした。
さらにこの時間では、劇中で客席にも参加してほしいことがあるということでレクチャーも行われました。物語の最後のほうに出てくるシーンに拍手を要求する場面歌の合いの手を入れる場面があるとのこと。お客さんもノリのいい人が多くて、かなりすんなりとOKが出てました(笑)。大野さんも驚くほどの段取りの良さだったww←たぶん2度目の人も多かったからかもしれないけど。

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あらすじと舞台の雰囲気

ストーリーの簡単なあらすじは以下の通り。

栃木県小山市にある、小さな小さなケーブルテレビ局、「とちラブ」。
地域に密着したコミュニティチャンネル、通称『コミチャン』の制作部で働く、“適当に”が口癖のプロデューサー・壬生英雄(50歳)と職人気質のディレクター・小山新悟(45歳)。

そこへ、アナウンサー志望の新人、武蔵野真里(23歳)が入社してくる。
やる気のない壬生と小山に、遠慮なくズケズケと物申す新人の真里。
そんな真里に振り回されながら、2人はもう一度『コミチャン』と『小山』に向き合うことになっていく。

公式HPより引用

栃木県小山市出身の村上さんの姓は「小山」で、栃木県壬生町出身の栗原さんの姓は「壬生」と設定されているのがまず面白いです。
名前の部分はご本人と同じなので半分”役”で半分”本人”みたいなイメージでしたがw、キャラとしては素のご本人たちとはちょっと離れてましたね。栗原さんは「適当に」っていう人じゃないと思うしw。あ、でも、村上さんの「職人気質」っていうのはちょっと当てはまるものもあるかも!?

さくらさんが演じた「武蔵野」という姓は”東京の武蔵野市”を意識したのかどうかは謎(笑)。

高木さんは役柄が多すぎてwww。これは、声優の高木さんだからこそできる技でしょう。ちょっと山寺宏一さんのこと思い出しちゃいました(山ちゃんも一人で何役もやるCD出したりしてたので)。大野さんは高木さんのことをすごく信頼しているんだなと思いました。「高木さんはちゃんと起きてるのか心配」みたいなことを前説で大野さん言ってましたがww、とんでもない縦横無尽の活躍っぷりでしたよ!

舞台の構造の様子を簡単に図にしてみました。
簡単すぎて分かりづらいかもですが雰囲気だけでも…。

正面中央にはスクリーンがあり、セリフの内容の補足やちょっとマンガチックな解説をするときに活用されてました。あとは、場面転換の時の背景映像としても使われてたかな。思川の桜並木の風景はホンワカした雰囲気が出ていて良かったです。

舞台下手側には物語の中心となるコミュニティーチャンネル・とちラブの事務所のセット。会場に入るときにチラッと見えたんですが、机の上にはなぜか『風雲児たち』のマンガ(昨年のお正月時代劇のタイミングで発売されたやつだったかと)が置かれてたな(笑)。そのほかにもパソコンや書類など・・・けっこうゴチャゴチャと雑然とした感じになってたw。
壬生と小山はこの下手側でのお芝居の割合が非常に多かったので、下手席に座っていたファンの皆さんはかなりラッキーだったのではないかと思います。

上手側には真里がよく訪れるバーのセット。ここはちょっとムーディーな光を当ててトランペット演奏も入っていたのですごく分かりやすかったw。バーのBGMがトランペット生演奏って…かなり贅沢な空間ですよね。

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ステージから一段降りたところの中央部分にはマイクが4本並んでました。
本編のなかで登場人物が「心の声」を発したり、回想シーンになったり、話の中の解説になったりするときに効果的に使われていましたね。特に真里は心の声がけっこう多かったので、そのたびに前のマイクの前に行ったりしてかなり忙しそうにしてました。
つまりは、リアルな場面以外のシーンは別世界を表現するためにステージから離れた場所で言葉を発するというスタイル。役者さんは大変だったかもしれないけどw、ここは上手く演出を考えたなと思いました。

そしてマイクの並びの一番下手が織田英子さんのピアノ、一番上手に織田祐亮さんのトランペットなどの鳴り物ゾーンとなっていました。

役者のマイクはインカム式、片手には台本といったスタイル。朗読劇ということなので皆常に台本を持っていましたが、読んでいるといった雰囲気をあまり出さずに”芝居の小道具”のように魅せていたのが印象的でした。

あと、今回は「黒子」のスタッフさんがかなりいいお仕事をしていました。役者さんたちとのタイミングも阿吽の呼吸のような感じでテキパキと処理されていたのが印象的でしたね。こういった影の力のおかげもあって舞台が成功したのだと思います。

最初に”朗読劇”と聞いたときにはもっと落ち着いた動きの少ないものを想像していたのですが、ほとんど止まっていることがないくらい登場人物たちは普通に舞台を駆け巡ってました。これはもう、ほぼ、ストレートプレイでしたね。違いはと言えば、常に台本を片手に持っていることくらい。
特に複数役を担当していた高木さんはかなり大変だったと思います(汗)。

役者の動きが多い朗読劇は過去に1度見たことがあったのですが、今回ほどストプレ的なものは初めてだったので非常に新鮮でした。想像力を掻き立てるのが朗読劇だとは思いますが、こうやってすべて見せてしまうというのもアリなのかなと。

ちなみに、一番想像力を掻き立てる本格的な朗読劇は個人的には『ラヴ・レターズ』だと思ってます。二人の読み手が台本をそれぞれの感じるままに読み観客の心を一気に惹きつけていく。
あの作品は本当に素晴らしいので、もし再演があったら見ていただきたいし、村上さんや栗原さんにも一度チャレンジしてほしい演目だなと思ってます。

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ストーリーの感想(陽)

まずはすごく良かった点について挙げていきたいと思います。

栃木県小山市の小さなケーブルテレビ局『とちラブ』を舞台に、地域の人たちとの交流を通して社員たちが時にぶつかり合いながらも奮闘し、番組作りの楽しさや喜びを感じていくストーリー。
大野さんは小山市の方ではないのですが、相当綿密に取材をされてこの物語を書かれたんだなということが伝わってくる作品でした。小山市に対するリスペクトが随所に感じられる素敵な脚本だったと思います。地元でご覧になった方も喜ばれたのではないでしょうか。

また、「真田丸」のファンに向けたサービス的なシーンを織り込んできたのもさすが(笑)。
小山評定という有名な史実があった場所でもあることから、上手い具合に「真田丸」に繋げた流れは面白かったし、丸ファンの皆さんも大喜びでした。ほら貝の音まで生で聞こえてきたしww。

この場面は前方マイクを中心に展開されたんですが、あまりにも多くの登場人物が出てきたのでスクリーンに度々「今話してるのは誰々」みたいな名前が出まくっててw。こればかりはラジオでは伝わらないかもなぁ…というのがちょっと残念。特に高木さんがめっちゃ多くの人担当してたのでなおさら(笑)。

ちなみに、栗原さんは「徳川家康」を、村上さんは「本田忠勝」と「直江兼続」を担当。

直江といえば…あの場面ですよ、直江状!!真田丸本放送の時にも村上さんの攻めた読みっぷりが大いに話題となりました。その再現に繋がるシーンを大野さんは書いてくださってた!!しかも、その時の村上さんの”兼続が降りた”芝居が最高でしたわww。

ながーい巻物をバッサーーと横に投げて家康への恨みつらみをぶちまけ始めたのには笑いましたwww。しかも、セリフの内容と抑揚がドラマとほぼ同じww。徹底して「真田丸の直江兼続」をあの瞬間だけは演じてくれてました。
で、これからエンジンかかりそう…ってところで高木さんからすかさず「長いから読まなくていい!!」とツッコミが入り渋々退散ってくだりは爆笑ものでしたwww。ラジオ放送をどうぞお楽しみに。

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ストーリーの中で大きなカギとなってくる高椅(たかはし)神社。とちラブで神社についての番組を作ろうと奮闘していくことになるのですが、最初は壬生も小山も全くやる気がなくて・・・新入社員の真里だけが孤軍奮闘している状況。
しかし、彼女のまっすぐな番組作りへの想いが徐々に壬生や小山の心を動かし、やがて大きなイベントへと発展していきます。

クライマックスでイベントの場面が出てきますが、ここでは客席も参加することになってて。本番前の練習として、村上さん演じるディレクターの小山が客席まで降りてきて「みなさん、拍手をお願いします!!」と大きな声で促します。
前説で大野さんとこの時のために練習していたのでw、皆さん声出しも含めてバッチリ。まるで本当の公開放送直前のような雰囲気になってました。さらにテーマソングの合いの手も練習しましょう!って流れもあるのですが、そこも事前のレクチャーがあったことからタイミングぴたりだし声もバリバリ出てる客席(笑)。

その様子を見てた栗原さん演じる壬生が「なんだ、練習1回で終わっちゃったよ」とか「もうできちゃったよ」とかボヤいてたのが笑えましたww。でもなんか嬉しそうにニンマリした表情だったのが印象的だったな。

このイベント本番直前に”小山名物の雷が鳴って大雨が降ってくる描写がありました。この展開って、小山名物ってだけじゃなくて・・・”雨男”と呼ばれちゃってる村上さんを意識したのもあるのかなってちょっと思いましたw。高椅神社と村上さん演じる小山とは実は因縁があったっていう設定にもなってるので、大野さん、ファンに向けてのサービスで盛り込んだのかも!?

でも最近は「晴れ」ることも多くなったんだけどね、村上さん関連イベント(笑)。

クライマックスでの小山の独白場面はとても感動的でした。このことについては後で改めて振り返ります。

高椅神社のイベント生中継は無事に終わったものの、来場者が来ないまま時間が過ぎる。肩を落とす一同でしたが、しばらくするとテーマ曲を口ずさんだ人たちが大勢列をなしてやってきます。ここは声だけの表現でしたが、その様子が浮かんでくるような演出になっていて良かったです。

そしてさらにいいなと思ったのが、ここの場面が冒頭の3人のシーンに繋がっていたこと。物語の始まりは、3人が遠くの光景を見つめながら胸いっぱいになっている・・・といったシーンだったんですよね。この時点では客席は彼らが何に感動しているのか分からない状況で。
それが、ラストシーンで「そうだったのか」と納得に至るわけです。最近の舞台作品でもこういう”クライマックス場面からスタート”っていうのはよく見かけるのですが、ドラマ性を高める意味でもなかなか効果的なんですよね。「コミチャン!」のこの演出も良い感じにストーリーを盛り上げていたと思います。

ラストシーンでは演者全員と客席が一緒にイベントの主題歌を歌って大団円!前説で練習した合いの手の「おやまぁ!」の入り具合のタイミングもピタリと合っていて大いに盛り上がりました。

主旋律は栗原さんが担当。声色を多彩に繰り出しながらも音を全く外してないあの歌い方はさすがミュージカル俳優!!と唸るものがありました。村上さんとさくらさんは一節ずつ披露。さくらさんの歌声は可憐で可愛らしい。
村上さんは声がしっかりしているんだけど、音程はかなり怪しいww。でも可愛かったから許せるかな←ファンの贔屓目ww

楽しいストーリーの最後を飾るシーンとしてとてもふさわしかったと思います。

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