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NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第109回感想 涙の放送事故

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これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー

今回も2022年から物語がスタートしていたので、おそらく今週はしばらく2003年の年末と2022年を同時進行で進めていくスタイルなんだなと思いました。

ひなたはキャスティングディレクターとして世界を股に活躍しているようでしたね。おそらく今後出てくると思うけど、予想するに…アニーさんから何らかの提案があって今に至っているのではないでしょうか。

それにしても、企画書を見てビックリ。「KIBINOJO」ってあの”黍之丞”シリーズのやつですよね!?ついに海外進出したのか!でも主演の2代目モモケンさんはもうこの時には御存命かも分からないわけで…、3代目とかいらっしゃるのでしょうか。気になるなぁw。

海外スタッフとの打ち合わせをリモートで終わらせひと段落着いたひなた。するとその直後突然、NHKの小川末来という女性からメールが舞い込んできました。数日後に会いに行くひなたですが…、小川さんを演じてたのが紺野まひるさんでまたまたビックリ!しかも、ラジオで英語の話題になると「父が家族でカムカム英語を聞いていたそうです。どこかの子連れのお母さんと一緒に」と語っているではないですか。そのシチュエーションで思い出すのは一つしかない。

第23話。幼いるいを背負いながら商売を始めたものの上手くいかず心が折れかけた安子は、偶然『カムカム英語』のラジオ音楽が流れてきたのを耳にする。以後毎日同じ場所で家の中から聞こえてくる音声に耳を傾けていた安子を気にかけてくれたのは、小川澄子さんという優しい女性でした。彼女を演じていたのが、紺野まひるさん。

安子の救いとなってくれた澄子さんの親族である未来さんがこうして登場されるとは…、なんという胸アツな展開!父親から「英語はラジオで勉強すればいいのに」と言われたことがあると未来さんは語っていましたが、その父親というのはもしかしたら…、安子がセーターの肘の部分を縫ってあげた澄子さんのご子息かもしれませんね。

まさか目の前にいる人の祖母が”子連れのお母さん”だったなんて未来さんは思いもしないし、ひなたも安子が未来の親族と関わりを持っていたなど夢にも思っていない。人の縁とは不思議なものです。

未来はひなたに、2024年度に新しく開設するラジオ英語講座の講師になってくれないかと依頼してきました。これはなかなかいい着眼点ですね。海外を知っているひなたならば生きた英語をリスナーに届けることができるかもしれません。

ちなみに、五十嵐文四郎くんも「BUN IGARASHI」としてアクション監督として大いに活躍しているようでした。

ロマンスグレーの髪色がちょっとセクシーでカッコイイね。色々あったけど、文ちゃんがちゃんと海外でひなたの道をまっすぐ進んでいるのは嬉しいよ。ひなたのページの隣に掲載されていたのは運命のいたずらみたいなやつですかねw。

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さて、OPが明けると時代は2003年のクリスマスまで遡ります。ひなたは『サムライ・ベースボール』のPRのためラジオにゲスト出演しているアニー・ヒラカワの声に耳を傾けていました。出演していた番組は「みんなあつまれ磯村吟です」、いつもドラマで流れてきたDJ磯村さんの番組名がやっと明らかになりました。これは、磯村を演じている浜村淳さんの関西で放送されてるラジオ番組がモデルになってる感じですかね。

で、今回は音声だけでなく放送中の姿もということで…、生身のDJ磯村さんが登場!!

浜村淳さん、もう80代後半だそうですがお元気そうで何よりです。前回は後ろ姿だけでしたが、今回はがっつり映ってお芝居されてました。

話題はまず、キャスティングのことから。虚無蔵を推薦したという話題が出てきたので、ホテルで「あの人頑固だから」とボヤきながら電話を掛けていた相手は虚無さんだったという解釈でいいということでしょうかね。

その後はいよいよアニー本人についてのインタビューへ。磯村さんはまず生い立ちから尋ねていきます。公になっているのは、彼女が1925年にアメリカのシアトルで生まれた日系二世であるということ。ワシントン州立大学では演劇を専攻していたらしい。でも、このあたりからなんとなく声のトーンに動揺の色が見え始めていたような…。

初めて観た映画の話になると、少し戸惑ったように『風と共に去りぬ』と答えるアニー。初鑑賞映画のはずなのに、なぜか言いづらそうにしているように聞こえてきて一般のリスナーは「あれ?」と思ったんじゃないかな(汗)。本当に見たというよりかは、必死に絞り出したみたいな言い方だった。

しかし磯村さんはそんなアニーの変化を気に留めず、「風と共に去りぬが公開された1939年は映画の当たり年で、日本でもモモケンの黍之丞シリーズ第2弾”棗黍之丞  仁義剣”が公開されてるんですよ!」と興奮気味に言葉を続けました。
この時、アニーの脳裏にある過去の光景がハッキリと蘇っていた。それは、親からお見合いを勧められた安子が、稔と会うのはこれが最後と覚悟を決めて一人で大阪に向かい彼と束の間のデートを楽しんだ日のこと…。

そう…、1939年のあの日、安子と稔は初代モモケンの黍之丞シリーズ第2弾「棗黍之丞  仁義剣」を一緒に見ていたのです。それは忘れがたい、甘く、温かく、幸せな夢のような時間だった。

これを思い出してしまうということは、もう、アニーさんの正体は明かされたも同然です。

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磯村さんから「この映画ご覧になりましたか?」と問われたアニーは何も答えることができなくなってしまう。何度問いかけてもダンマリになってしまったアニーさんを目の当たりにして動揺を隠せない磯村さんがなんだかちょっとお気の毒だったな(汗)。

スタッフも慌て出し、ここは番組を繋ぐためにもということで急遽音楽を入れるということに。ところが「曲は…」と紹介を始めたその瞬間、突然アニーが流暢な日本語「見ました」と声を絞り出す。

「1939年、昭和14年に、私は、”棗黍之丞  仁義剣”を見ました」

突然日本語で答え出したアニーの音声を聞いて、ひなたは驚きを隠せない。

でも、それ以上に混乱したのがDJ磯村さんをはじめとする番組スタッフ全員(それからアニーの通訳さん)だったと思います。「後に夫になる人と」というアニーの言葉に磯村さんは慌てて手元の資料を見て「御主人は戦後シアトルの大学で教鞭をとられていた…」と確かめようとしますが、アニーはその言葉を遮るように「大阪の映画館でした」と答える。
現地の皆さん、もう、みんなびっくりしすぎて言葉が出てこない状態でしたね(汗)。あまりにも想定外のことが起こりすぎて対応できなくなっちゃってる。これ、現実世界だったらどう対処してたんだろうかとハラハラした気持ちになってしまったw。

ちなみに、磯村さんが紹介しようとしたアニーの旦那さんの経歴ですが…、これってロバートさんのことだったのかな??そもそも安子は彼と本当に一緒になったのだろうか?そのあたりがとても気になりましたが、この時はそれを語る余裕がなかったみたいで持ち越しかな。

現場は動揺が走り絶句状態になっていましたが、アニーはそれに構わずこれまで心に溜めこんできた想いが溢れだしたからか、堰を切ったように一気に言葉を紡いでいく。英語ではなく、日本語で。

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大阪で一緒に映画を見た想い人と結婚できたこと、でもその人は1ヶ月経たないうちに戦争に取られてしまったこと…、そして彼が、娘を授かったことも知らずに遠い海へ行ったきり二度と戻ることがなかったこと…。

この話が聞こえてきたとき、るいはラジオの音声に釘付けとなっていきました。アニーの話が次第に”娘”との生活に及んだ時、彼女の中でどんどん確信めいたものが大きくなっていく。

朦朧としながら自転車で行商をしている時に車と衝突しそうになって転んでしまい、娘の額に大きな傷をつけてしまったことも告白するアニー。この話を聞いた瞬間、錠一郎も驚いたようにラジオの音声に耳を傾けていく。

大切な娘の額に傷をつけてしまったことの罪悪感から夫の実家へ戻らざるを得なくなったものの、そこで自分の居場所を見いだすことができなかった。「家業の和菓子屋を再建したい」という想いと「娘の傷は義父の力に頼らずに何としても自分の力で治してやりたい」という意地だけが彼女の支えだった。でもそれは誤った考えだったと涙ながらに後悔を語るアニー。

「若かった私は自分の気持ちばかりで、大切なことを見失っていました。幼い娘の胸の内を本当には分かっていませんでした…」

そしてついにアニーの口から娘の名前が告げられる。

「るい」

そう…、アニー・ヒラカワの正体は、やはり、安子だったのです…!!

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娘の名前を呼び掛けたのをきっかけに、その語りが岡山弁へと変化する。この時彼女は…アニーから”安子”に戻ったんだなと思いました。優しく柔らかい語り口で娘への懺悔の気持ちを告白する安子に胸が痛んで仕方なかったです(涙)。

「わたしは、ただ、るいと二人、当たり前の暮らしがしたかっただけなのに…」

その言葉を耳にしたるいの目に、見る見るうちに涙が溢れてくる。きっと、心臓が止まりそうな想いで独白を聞いていたに違いない。こんなにも母が苦しんでいたことをるいは知らなかった。
その脳裏に、あの雨の日に目撃してしまったロバートと抱き合った母の姿と、「I hate you」と冷たい言葉で拒絶し扉を閉ざしてしまった時のことが蘇る。大好きだったが故に、裏切られたというショックの大きさは計り知れなかった。その記憶を消さなければ生きることができなかったほどだった。

だけど今、母の本当の気持ちを聞いて、あの日とは全く違う感情がるいの中で渦巻いていたに違いない。今ならわかる、安子は、母は、ひと時も変わらず自分を愛してくれていたということが…。

るいに拒絶されたあの日、安子は心の支えを失い「消えてしまいたい」と絶望していた。でもそれと同時に「るいの前から消えることが、るいにしてやれるたった一つの詫び方で、そして祈り方だ」と思ったと告白。

「るい…。おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅう……。るい……」

この時に言葉にした”おまじない”は、娘のるいへの後悔と謝罪と「幸せであってほしい」という願いだったと思います。安子は本名を捨てて新しい人生を歩み始めてからもずっとるいへの想いを抱き続けて生きてきたに違いない。

母の祈るような想いを受け止めたるいは、弾かれたように立ち上がりその声が聞こえてくるラジオを見つめながら静かに涙を流しました…。この時彼女は、決別したあの日からもずっと母を求め続けていた自分の本心に気が付いたのかもしれません。
ラジオから聞こえてくる母の声に耳を傾けながらどんどん感情が動いていく深津絵里さんの繊細な表情は圧巻でした。演出からも特に注文はなかったそうで、その場の深津さんのるいとしてのリアルな感情があの芝居の中に詰まっていたとのこと。素晴らしい表現力でした。

だけど、ラジオ放送の現場の人たちは大変ですよね。あのグイグイ喋る磯村さんが、「えぇとぉ…あのぉ…」と言い淀んで苦し紛れのようにコーナーを終わらせ曲を流していたのは面白かったけどw、非常に気の毒だったなとも思いました(汗)。
冷静に考えると、アニーさんはリスナーに向けてではなくてるいに向けてしか言葉を発していませんでしたから、これは完全に放送事故レベルw。るいとその家族、関係者にしか分からないことだらけの放送だったわけだしw。

アニー…もとい、安子は自分の溜まっていた想いを全て吐き出して少しスッキリしたかもしれないけど、ラジオ制作の現場としてはあの後かなり混乱したのではないかと思われます(汗)。そのあたりのドタバタもちょっと見てみたかったかもw。

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ラジオのコーナーが終わり、ひなたはアニーが自分の祖母だったことを知り大きな衝撃を受けていました。そして後ろを振り向くと、るいが「お母さん、お母さん…」と何度も母を呼びながらまるで子供のように泣いている。この時彼女が、ひなたの母でも錠一郎の妻でもなく、雉真安子の娘の顔をしていたのはとても印象的でした。

パニック状態になったるいは居てもたってもいられず母の姿を探しに行こうとしてしまう。錠一郎は不安定になった彼女を優しく受け止めますが、るいは正常に物を考える余裕がない。
するとそんな母を目の当たりにした桃太郎が、ひなたに「アニーさんをすぐに引き留めよう」と進言する。彼はアニーに直接会ったことがないから冷静にその後の対処法を考えることができたのかもしれないね。桃太郎、逞しくなったね。トミーも事情を察して「放送局に聞いたほうが早い」と助言してくれました。こういう時、本当に頼りになる。

ひなたは桃太郎と一緒に旧偕行社を飛び出し、ひなたは安子の後を追いかけるため大阪へ向かう。

※先日、旧偕行社に行ってきました。ひなたと桃太郎が飛びだした場所などレポしてますw。

榊原くんによると、安子は13時40分の飛行機でアメリカに戻ってしまうという。彼女がもう二度と日本に戻らないつもりでいることを知っているひなたは大きな焦りを感じてしまう。何とかジョージの連絡先を聞き出して引き留めてもらおうと考えているようですが(教えてもらえてなかったんか!)、果たして間に合うことができるのか。

既に安子は関空に到着していた模様。これが何時なのかはわからないけど…。ひなたは新大阪からの行き方をタクシーの運転手さんに尋ねていましたが、遠いんですよね、関空(新大阪からだと1時間半くらいかな 苦笑)。車だと混雑にハマる可能性もあるので、新大阪から電車のほうがいいのかな。

なんて思ってたら、吉之丞を演じている徳永ゆうき君が行き方について解説してくれてましたw。

果たしてひなたはどの方法で関空に向かうのか!?

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