とうとうこの回が来てしまいました…。ここまでドラマを引っ張ってきた「西郷と大久保の関係」における集大成ともいえるストーリーだったと思います。鹿児島のトークショーで亮平くんと瑛太くんの熱い想いを直接聞いたこともあってか、今回は涙なしには見れなかったなぁ…。
明治6年10月14日、欧米から岩倉を交えた最初の閣議が始まりますが、西郷が「私が朝鮮国へ派遣されることが決まりました」と報告した途端に図ったように大久保が「承服しかねる」とまるで威嚇するような視線でそれを制す。
どうやらこの前日に大久保は岩倉と密談し「西郷に勝ち、今の政府をぶっ壊したいのです」と陰謀を企てていた様子。この言葉は本心だったのか…大久保よ…。
でも、彼は自分の理想を実現させるため後戻りはできないという覚悟を固めていたから…そのためなら何でもやるという事なんだろうなぁ…寂しいけど。西郷の朝鮮派遣の決定を覆すことで、まずは自分たちに勢力を取り戻そうと企んだ大久保と岩倉。二人の黒い結託が成立したわけです。
大河ドラマ『西郷どん』感想一覧
第43回 さらば、東京
2018年11月18日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45
鈴木亮平・瑛太・錦戸亮・玉山鉄二・迫田孝也・村上新悟・瀬川亮・笑福亭鶴瓶・石橋蓮司 ほか
あらすじ
西郷(鈴木亮平)の朝鮮使節派遣はすでに決定したはずだった。しかし、政府に復帰した大久保(瑛太)は、猛然と使節派遣に反対し留守政府を担ってきた西郷らと対立を深めていく。そして、大久保と岩倉(笑福亭鶴瓶)の策謀により、朝鮮使節派遣は延期させられてしまう。その強引なやり方に抗議し、西郷や江藤(迫田孝也)らは政府を辞職。西郷は、鹿児島に帰ることを決め、盟友の真意を知るため大久保家を訪ねる。
公式HPより引用
今朝鮮に行けば必ず戦になると主張する大久保に対し、自分は一人で丸腰で行くから戦になることはないと穏やかに答える西郷。それでも「一人で行けば殺され、それが戦の火種になる」と自分の主張を押し切ろうとする大久保。西郷も「礼節をもって接すれば必ず通じる」と譲らない。
でも、大久保の言うとおり…この西郷の考えは甘いってとられても仕方ないような気がする(苦笑)。今までは通じてきたかもしれないけど、今回は規模が違うし殺される可能性の方がはるかに高い。
しかし、大久保は声を大にして「今は朝鮮国のことなど捨て置けばよい!」と叫ぶ。今は富国強兵…自分の国を強くしていくことが大切なのだというのが彼の持論。
議論がこう着状態に陥ってきた時、西郷は大久保に「朝鮮国や清国と国交を結ぶことが日本国を強くすると信じている」と告げ、何とか自分の想いを分かってもらおうとします。それに対して大久保は「陸軍大将の西郷が行ったら上手く話は進まないのは目に見えてるし、最悪の場合日本は列強に飲み込まれてしまう」と反論。
この論戦は大久保の方が理がある気がしたなぁ。西郷は理想論に偏りすぎているように思えてしまったので。このやり取りの中で西郷の中にも「不利だ」と感じるものはあったのか、しまいには「自分が朝鮮に行くことで日本国内の不満を持つ士族たちの目が外に向き強兵へと繋がっていくのだ」という本音の部分も出してしまい…「それはもはや使節の役割ではない」とバッサリ切られてしまうことに。礼節を重んじて云々っていうのとはたしかに矛盾した考えになるよね(苦笑)。
ここまでの流れでは、どうも大久保の主張の方が一歩リードかなぁ。
しかし、西郷もこのまま言い負かされてるだけではいられず「おはんには見えちょらんもんがある」と切り出す。それは、朝鮮国に居留している日本人の安否のことでした。そもそも、最初はその人たちを助けに行きたいっていうのが出発点だったはず(ドラマの中ではね)。
しかし大久保はここでも「朝鮮が危険だという保証はない」とバッサリ切り捨て。今は助けに行く時ではないと主張すると、西郷はこれまでの中で一番激しい口調で「見殺しにするのか!?」と問い詰める。
「日本の民のことが一番大切」というところに軸を置いている西郷には、居留民の安全を確保しなければならないというところだけは絶対に外せなかった。西郷らしい考え方ですが、それはもはや大久保には届きません…哀しいけれど。
あまりにも激しい二人のやり取りに、参加者の皆さんは一切口を挟めず重い雰囲気に(苦笑)。まぁ、あれじゃぁ割りこめないわなw。
溜まりかねた江藤は太政大臣である三条実美に「これ以上の議論は無駄。おいたちの意見に反対する岩倉と大久保の罷免を正式にお願いします!」と迫る。
これに倣うように大隈や後藤たちも一斉に詰め寄ってくる。「求めますきにーー!!」っていう後藤らしき声がすごかったなww。瀬川君テンション高く頑張ってるっ!!
あちゃーーー、三条さん、これはまた難儀なことになっちゃいましたなぁ~(苦笑)。この中で一番圧倒されてハラハラしてたのはこのお方だからねぇ。その三条さんにそんな重い決断を迫ったら、そりゃもう、酷ってものでしょう(汗)。
案の定、もう消えてしまいたいオーラ出しまくりで涙目になりながらオロオロするばかり。でもこの時の三条さんの気持ち、わかるわ~~。お気の毒としか言いようがない(苦笑)。
あまりにも三条さんが哀れと思ったのか、岩倉はついに「西郷、望み通り朝鮮へ行ってこい!」と折れてしまう。これに憤慨したのが大久保です。密談で結託したはずだったのに、いとも簡単にそれを覆すような発言でしたからね(汗)。岩倉は大久保でも操るのが難しい掴みどころのない厄介な男ですなぁ(苦笑)。
こうして、この時点では西郷の朝鮮派遣は決定事項となりました。が、西郷と大久保の間には埋められないような大きな溝ができてしまうことに…。
西郷隆盛・江藤新平・後藤象二郎・板垣退助・副島種臣
(副島は最初、西郷ではなく自分が朝鮮へ行くと主張していたそうですが、三条に説得されて諦めたらしい)征韓論に反対した人物
大久保利通・岩倉具視・伊藤博文・大隈重信・大木喬任・木戸孝允
(大隈と大木は10月15日に反対表明したようです)
一度は岩倉の発言で救われた三条でしたが…彼の悲劇は終わっていなかった(苦笑)。
今度は岩倉と大久保の言い争いに巻き込まれる形になり、またしても胃の痛い事態となってしまいましたw。
「あのまま岩倉様が粘っていればこちらの思い通りになったのに!」と激しい憤りをぶつける大久保に対し、「あの場は西郷を認めるしかない状況だったじゃないか!」と大反論する岩倉。このオヤジはもう使えないと判断したのか、大久保はついに「辞職させていただきます」と宣言。
「どうか、戦の準備でもなさりますよう…!」
と冷たく言い放つ大久保の言葉に顔面蒼白になったのが三条様。「それは困る、困る、困るぅ~~!!」と必死に思いとどまらせようと大久保にすがりつきますが、それに対して
「困る、困るって、困るばっかりやないかーーー!!」
と猛ツッコミ入れてくる鶴瓶さん…じゃなかったw、岩倉の台詞にちょっと吹いた(笑)。なんかちょっと漫才みたいな雰囲気になってたなw。
全てのことに嫌気がさした岩倉は、ついに自分も辞職すると言い出し、二人はその場を立ち去ってしまい万事休す。「麿を一人にせんでくれ~~」と泣きそうな三条実美さんにこの重荷を背負わすにはあまりにも気の毒だわ…(汗)…と、思っていたら…
ついに、三条さん、胸を押さえてそのまま倒れてしまいました。あれは完全にストレス性だな…。
倒れる音に気付いた大久保と岩倉は慌てて駆け寄り医者を呼ぶ事態に。結果的に三条さんは文字通り体を張って二人を引き留めることに成功したってことになるんだろうけど…あれは相当心的ストレスが強くかかっていたように見えたから心配ですよ(汗)。
そんな事態になっているとは知らない西郷は、さっそく朝鮮へ渡るための旅支度を始めている。小兵衛は「兄さぁはすごかぁ!」って感心しているけど、従道は「もう少し朝鮮の内情を調べてからの方がいい」と兄を引き留めようとする。しかし、西郷の決意はもう変わりそうもありません。
従道は「せめて護身用に持って行ってほしい」と銃を渡そうとしますが、それすらも「おいは話し合いに行っとじゃ。こげなものは不要じゃ」と言って受け取ろうとしませんでした。西郷らしいといえばらしいけど…あまりにも危険すぎるよなぁ。ますます弟たちは心配を募らせてしまうよ。
心配しているのは鹿児島の家族も同じ。朝鮮派遣の知らせを聞いて糸も不安を隠せませんでした…。
10月18日、あの西郷と大久保の激論から4日後に閣議が再び開かれる。その席には大久保も岩倉もなく、江藤たちは大久保と岩倉がいないことにシメシメ感丸出しでこれ見よがしに嫌味を言いまくってますw。そんななか、複雑な想いのまま席に着いていたのが西郷。大久保と激しくぶつかったことを今でもかなり気にしている様子・・・。
しかし、まだこの時点でみんな三条さんがストレス性病で倒れてしまったことは知りませんでした。本当ならこの日、三条さんを通じて正式に天子様に朝鮮派遣の許可を頂くという段取りになっていたので、「まさか三条さんまで仮病使っているのでは!?」という不安が広がっていく。これに対して江藤は
「誰よりも出席だけは律儀やけんな」
と笑ってましたなww。みんなからも軽く見られてしまっていた三条様、哀れ(苦笑)。
と、そこへ血相を変えた岩倉が飛び込んできて三条が倒れたことを告げる。この日の閣議は必然的に中止となってしまいました。
さっそく西郷が見舞いに訪れ「三条様は扇の要のような存在だからゆっくり休んでほしい」と告げると、すっかり体力が衰えゲッソリしてしまいながらも無理を押して会いに来る。「扇の要」と言ってもらえたことに感謝しつつも申し訳ないという想いでいっぱいの三条様…。自分が頼りない存在だと自覚しているからなおさら西郷の言葉に胸が痛かったんだと思う。
そして「岩倉たちが戻ってくるまでの政府は良かった」と留守政府時代を振り返る。その時が一番「キレイな扇として繋がっていた」と…。三条さんも、大久保たちが抜けたあとの政府が一番やりやすかったのかもしれないですね。
そして、これだけは言っておきたいとばかりに西郷に必死に何かを伝えようとする三条。
「大久保が、恐ろしいことを、企んでいる」
その恐ろしいことが、閣議の延期中に裏で起ころうとしていました…。
これを機に太政大臣代理として岩倉がトップに立てば、西郷たちのもくろみを潰せるというのが大久保の本当の目的だった。
さらに大久保は岩倉に「西郷が命を落とすやもしれぬ」と天子様に言上するようにとも伝えていました。それにより天子様が「西郷を朝鮮へ派遣することは危険だから延期にするように」と判断するだろうと読んでいたのです。
そのもくろみは見事に的中。後日改めて開かれた閣議で「太政大臣代理」としてトップに座った岩倉は天子様からの正式な「西郷朝鮮派遣の件は否決する」という決定を読み上げる。
これに対して江藤たちは「閣議決定されたことを踏まえて言上すべきだったのではないか!」と激しく反論。あと一歩のところまで決まっていた出来事を寸でのところで覆されてしまったことになるので、彼らのプライドは引き裂かれたも同じですからね。そりゃ怒りますよ。自分たちがないがしろにされたって気持ちになるのも無理はない。
しかし岩倉も「天子様に任命されて太政大臣代理になっているんだから自分の考えを上奏して何が悪い!!」と開き直り。
これにブチ切れしたのが板垣さん。これまでちょっと地味な存在でしたが、ここで猛然と岩倉に襲い掛からん勢いで飛び出してきてビックリしたよ(笑)。このシーン見て、渋川さんに板垣が配役された理由が何となくわかった気がしましたw。あまりにも激しい詰め寄りっぷりだったので、思わず同郷の後藤さんが岩倉を庇う行動に出てたのがちょっと笑えたww。後藤さんもけっこう血が頭に上りやすいキャラだったけど、この時の板垣さんはそれを越えてたからね(笑)。
むしろ岩倉よりも後藤のほうがビビってる気が(笑)。瀬川くんの表情が可愛くて好きw。
まさに一触即発の異常事態となった時、西郷は岩倉に「我らが尽くして論議がないがしろにされることは、我らのいる意味もなくなるのと同じだ」と詰め寄る。西郷が動くとみんな固まって動かなくなるところがまたすごいよなw。
それに対して岩倉は「天子様の御叡慮や。決まったものは仕方ない」と言い放つ。「決まったものを覆したのはそちらだろう!!」と江藤は激しく抗議しますが、こうなってはどうすることもできない。打つ手がないと悟った西郷は「天子様のお言葉に従う」と苦々しく告げる。
その代り、西郷にはどうしても譲れないことがありました。朝鮮国に残されている日本の居留民たちのことです。「彼らの命が危ういと分かった時はすぐに遣いをやって助け出してほしい」という点だけは岩倉に念を押す西郷。
今回のドラマでは、西郷は「危険な状況下に残された日本の民を救いたい」という純粋な想いから朝鮮へ行くことを決断していましたから、そのことだけはどうしても守ってほしいというのが最後の願いだったと思います。
そして・・・
「おいの役目、ここまででございもすな・・・。後はお任せいたしもす・・・」
江藤や後藤たちが必死に止める声も虚しく、西郷は政府を去る決断をします。さすがの岩倉も、現実に大久保の思惑通りのことが進んだのを目の当たりにして複雑な心境になったのか涙を流していました。西郷との関係も深い人だったから、まぁ、そういう気持ちにもなるのかもね。
朝鮮派遣の話が決定直前で覆されたことは桐野たちの耳にも入る。大尊敬する西郷の気持ちを踏みにじるような決定を下した岩倉に憤りを隠せない桐野は「これから陸軍引き連れて岩倉様のところに行っど!!」とまるで斬り殺さんばかりの勢い(汗)。
それに対して西郷は厳しく「ならん!!」と叱りつける。彼らは政府の人間でもあるから、そんなことよりも自分のなすべきことをするべきだと説得します。
「国造りは一握りの政府の親方だけではできんとじゃ。これからもおはんらの力が入用じゃっで!」
こう言われてしまっては、桐野たちも突撃しに行くわけにはいかないよな。
でも、去っていく西郷の背中はどことなく寂しい…。
明治6年10月24日、西郷は辞表を提出。それに呼応するように江藤、後藤、板垣も政府を去る決断をします(ドラマには出てきませんでしたが、副島種臣も辞表を提出しています)。
この征韓論をめぐる政争は、明治六年の政変とも呼ばれています。
ドラマを見るとあまりそうは思えなかったのですが(笑)、大隈と大木は本音では「反対」だったものの西郷さんの存在に圧倒されて留守政府の時に「賛成」の立場に回らざるを得なくなっていたのでは…という意見があります。
そういえばドラマの中で西郷が「朝鮮に自分が行く」と強く主張した時に「岩倉さんたちが帰ってくるまで待ってみては」と消極意見を出したのが大隈さんでした。それを西郷に一喝されてチンマリしてしまったんだっけw。これが一応伏線になったということかも。
それを待っていたかのごとく、大久保は岩倉に自分が構想していた人事案を提出します。きっと、こうなることを確信して前々から練っていたものと思われる…。大久保利通、おそるべし!!
この中で大久保は自分の地位を「内務卿」とし、実質ナンバー3の座に就くよう設定。抜かりないな!
その下を見てみると…不正を働いて失脚させられていた山県の返り咲きも書かれてあったなw。それなのに、井上馨さんの名前がないということは…こいつは政府に置いておくとまた大きな不正をしかねないと睨まれたからなんだろうか。
岩倉は新たな政府樹立のお祝いとして木戸、伊藤、山県、井上を呼んで宴会を開いた模様。
今回はご機嫌の岩倉さん。伊藤たちもニンマリ顔で宴会に参加していましたが、ただ一人それに積極的に加わろうとしていなかったのが木戸でした。体調も悪いようで気がかりです…。
木戸は岩倉が自分を「西郷たちが去った後に不平士族たちが暴れ出すのを食い止めるため必要としている」と読んでいました。岩倉の思惑はその通りだったようですが、木戸はその考え自体に不快感をあらわにします。
「西郷君はそげな男じゃない!!!」
政府に戻って来いと催促する岩倉の盃を拒絶した木戸はその場を後にする。体調の方もかなり悪そう…。木戸は征韓論には賛成できなかったものの、西郷の人間性は信頼していたようですね。
その後、木戸は西郷の住む長屋を訪れ「東京を去るのは本当か?」と切り出す。
そして自分も政府を去ろうと思うと打ち明ける。使節団として海外へ行ったものの大きな成果を上げることもできず、その上、長州出身の山県や井上の不正も発覚して政府に迷惑をかけることになってしまった。木戸は長州のトップとしてそのことに大きな責任を感じているようで、辞職を思い立ったようでした。正義感の強い木戸さぁらしい考え方ですな。
しかしそれに対して西郷は「異国で悔しい想いをしてきたおはんらの腕の見せ所はこれからだ」と説得にかかる。山県や井上は自分が辞職させてしまったけれど、野に埋もれさせるには惜しい人材だから彼らの為にも政府に残ってほしいと。西郷さん、心が広か~~~~!!
「人はみな過ちを犯すもんじゃ。じゃっどん、そん過ちを認めどう明日へ向かうか。そんでその人の器量が分かるっちゅうもんじゃ」
その言葉に感激した木戸は政府に残る決断をして西郷に握手を求める。
「よろしゅう、頼むぅ!!!」
この場面、あの、第32話での薩長同盟成立シーンが重なります。
西郷が今回「よろしゅう頼むぅ」と真似したのは、あの時の木戸(当時は桂小五郎)の言い方だった。これ、玉鉄くんがアイディア出して実現したそうですね。とても心温まる場面になりました。
子供たちは必死に「行かないで」とせがみ、その様子に西郷の胸が痛む。そこで木戸が「自分が子供たちの面倒を見る」と宣言するわけですが、子供たちからすれば「誰このおじさん?」ってなるわけでww。
慌てた西郷が「この人は木戸さぁといって大層えらいお方じゃ!」と説明しようとしますが、「どう偉いの?」という子供たちの素朴な疑問に「木戸さんのえらいところ」というのがなかなか思いつかない(笑)。「なんぼでもあるじゃろうが!!」とツッコミ入れてた木戸さんが可愛かったよ!!っていうか、この時の木戸が、マッサンに見えたのは私だけだろうか(笑)。
思わず笑みがこぼれた木戸を見た西郷は嬉しそうに
「木戸さぁの笑顔、初めて見もした」
とからかう。それに対して慌てたように顔を隠しながら「やかましいわ」と照れる木戸。このシーン、個人的にものすごく好きでした。西郷と木戸の間にもちゃんと友情が成り立っていたというのが分かって嬉しかった。
おそらくこれが、二人の今生の別れになるだろうから…そこはなんとも切ないんだけどね…。
東京から去る前に西郷は大久保邸を訪れていました。留守の間にゆうに「取り次ぐな」と言っていたにも拘らず「達熊の友達として」と西郷を家に上げていたことに激しい憤りを見せる大久保…。そこまでして西郷に会いたくなかったのか…というか、もう会わない覚悟をしていたんだろうね。
仕方なく西郷と二人きりで語ることになった大久保。張りつめた空気の中、西郷は「一蔵どんに聞きたいことがあってのぅ」と切り出します。閣議の件で、土壇場で覆されることになった黒幕が大久保の仕業なのか尋ねると、大久保はあっさりとそれを認める。その訳を知りたがる西郷…。
「子供のころから秀才だったのに、なぜここまでズル賢い頭の使い方をせにゃならんとじゃ」
その問いに対して「理想とする新体制を邪魔する者は排除するまでだ」と返す大久保。邪魔者とは自分のことかと尋ねても「おはんの人を信じるという考えは甘か!」と切り捨てるのみ…。
ここまで彼は一度も西郷と目を合わせようとしていません。冷徹な言葉を吐きながらも、そうすることで必死に理性を保とうとしているようにも見えてなんだか痛々しくも感じてしまう・・・。
自分を政府から排除したかったのならば、なぜハッキリと伝えてくれなかったのかと西郷は涙ながらに迫ります。周りを巻き込むことなく、自分と腹を割って話せばよかったのに…ずっと今までそうしてきたのに、なぜ今回はこんな回りくどいやり方しかできなかったのか。
西郷は自分が排除されたことというよりも、大久保が周囲を巻き込んで追い込むように自分を排除したやり方をしたことの方がショックだったのです…。
こう告げられたとき、大久保は初めて西郷に視線を向けて
「卑怯者とでも何とでも呼べ。憎め!!すべて覚悟の上だ」
と言い放つ。しかしその言葉に対し、西郷はまっすぐと大久保を見つめながら
「無理を言うな。おはんを嫌いになれるはずがなか」
と返す。その言葉に思わず動揺して再び目線を落としてしまう大久保…。
「ずっと二人でやってきたんじゃ。あん頃から、おはんに何度も何度も助けられた。そん大久保正助をどげんして憎めというとじゃ!!」
これまで「一蔵」と呼んできた大久保のことを、西郷はここで「正助」と呼びました…。若くてがむしゃらだった頃の「吉之助」と「正助」が思い起こされて…思わず落涙してしまったよ(涙)。西郷の、「信頼し合っていた頃の二人に戻りたい」という切なる願いが込められているようで、切なくて仕方なかった…。
そのうえで西郷は自分の負けを認め、「やるなら思い切りやれ!」と励ましの言葉をかける。その表情には一点のやましい気持ちも怒りの気持ちも込められていなかった。そこにあったのは、ただただ、純粋に、大久保のこれからの政治に期待しているというエールの気持ちだけだった。
どんなに罵倒されても、どんなに回りくどいやり方で追い落とされても、どんなに冷たい言葉で突き放されても、どんなに気持ちが裏切られても・・・
西郷隆盛は最後まで、大久保利通を・・・大久保正助を憎むことはできませんでした。
あまりにストレートで純粋な西郷の言葉に、大久保は堪らず「吉之助さぁ!」と声をかけて引き留めてしまう。それは大久保の今まで必死に保ってきた理性が崩壊した瞬間でもありましたね…。この時、大久保利通は「大久保正助」に立ち返ってしまったんだと思います。
目にたくさんの涙を貯めながら何かを伝えようとしている大久保の姿にまた落涙(涙)。自分が切り捨てた西郷との時間をもう一度取り戻したい気持ちに駆られたのではないだろうか…。
が、このタイミングでゆうが軽食を運んできたため、大久保はなにも告げることなく言葉を飲み込んでしまいました。
おゆうさん、あまりにもタイミングが悪すぎでっせ(汗)。もう帰るという西郷とそれを見送る大久保の様子にただならぬものを感じた様子でしたが・・・入るならもうちょっと後にしてほしかったーー!!
でも、大久保的には助かったってことになるのかもしれないけど…。
「一蔵どんが日本中に鉄道を走らせたら、薩摩なんち、アッちゅう間じゃ!そげんなったらみんなで遊びに来てくいやい」
今まさに、鉄道はほぼ日本全国に敷かれて…東京から鹿児島までも新幹線で行ける時代になりました。西郷が大久保に託した夢は、平成という時代に叶ったことになります。ありがたいことです(まぁ、飛行機で行く方が断然便利で早いと思うけどw)。
「一蔵どん!!待っちょるでな!!!」
最後の最後まで、西郷は笑顔で大久保にエールを送り続けて去っていきました。もう会えないかもしれないけれど、心のどこかで「また笑って再会できる日が来る」と信じているようでもあったな…。そう思うと本当に泣ける(涙)。
そしてその背中を見送った後・・・
大久保は西郷への想いを自分の中で絶ち切ることができないことを自覚し、こらえきれずに体を震わせて泣きました…(涙)。
もう…大久保の心中を想うと切なすぎて…号泣(涙)。
大久保だって、西郷とのこんな結末は決して望んでいなかったはずです。それなのに、政治の世界で関わっていくうちにお互いの主張にズレが生じ、その溝は埋められないものになるまで深まってしまった。
そして大久保は自分の理想の政治を実現させる道を選び、西郷への友情を切り捨てたはずでした。
しかし…最後の別れの瞬間、真っ直ぐな心で自分と対峙し応援していると言ってくれた友を目の当たりにしたときにその存在の大きさを改めて想い知ることになってしまった。西郷吉之助という男を、自分の心の中から排除することはできないのだと実感したのではないだろうか…。
鹿児島トークショーの時に瑛太くんが西郷との関係について「まるでラブストーリーを演じているようだった」と語っていましたが、今回のシーンはまさにそれを表しているなと思いました。
この涙の別れが、西郷と大久保にとっての、今生の別れになってしまいます…。
うぅ…辛い(涙)。
大久保と別れた翌日、西郷は熊吉と共にひっそり早朝に長屋を出立しようとしていました。旅立つ前、従道はそれを察していたのか一人会いにやってきて「自分は兄の分まで政府に食らいつく」と宣言します。そんな弟を頼もしく思いつつ、西郷は東京を後にするのでした。
再び後には引けない想いに駆られて政務に打ち込む大久保でしたが、不安の種がいくつも育ってきそうな悪い予感がします(汗)。
次回はついにあの人が反乱を起こしそう…!
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