岡崎衆の悲愴な叫び声を背に連行されてしまった信康。直虎はこの一部始終を目撃しながらもその沙汰に口出しすることはありませんでした。若い頃の彼女だったら真っ先に異議申し立てをしたかもしれませんが、辛い経験を重ねてきたこともあり井伊谷に影響が及ぶのを恐れ今回は何も言わずに立ち去るしかなかった…。これまで苦労して築いてきた平和を崩したくない想いは誰よりも強いのかもしれませが、瀬名のことを考え胸を痛めている様子…。
信康を斬る決断をしたはずの家康ではありましたが、「殿が何とかしてくださるはず」と家臣たちを諭していた信康の姿を目の当たりにしてその決断が揺らいでいる様子。表では織田の言うとおりに動いていると見せかけておいて、裏では万千代たちを使って信康の監禁場所を大浜城から堀江城へ移し時間稼ぎの策を講じることに。
万千代は信康に現在北条と密約を交わす準備を進めている事を報告します。北条と徳川が結べば武田にとっては大きな痛手。そうなれば織田の心象もよくなり信康の助命も切り出しやすくなるといった算段ということ。その交渉のために力になっているのが今川氏真お坊ちゃんってことなんですね。何とか頑張ってくれ~~~。
以下、さらに第46回を見て気になったシーンもろもろ(ネタバレあり)。
これまでの『おんな城主直虎』感想レポ
『おんな城主直虎』第46回 悪女について
本放送:2017年11月19日(日)放送 NHK総合 20:00~20:45 ほか
CS放送:2021年06月09日(水)放送 チャンネル銀河 08:00~08:45
主な出演者:柴咲コウ、菅田将暉、井之脇海、菜々緒、阿部サダヲ、小林薫
あらすじ
家康(阿部サダヲ)は嫡男・信康(平埜生成)の首を差し出すよう信長(市川海老蔵)に要求される。織田に逆らえない家康は信康の幽閉先を移しながら時間を稼ぎ、裏では北条と結ぶことで武田を追い詰め、その代わりに信康の助命を願い出ようと奔走する。織田がいらだち始めた頃、瀬名(菜々緒)は武田との密通の証しである書状を残して姿を消す。直虎(柴咲コウ)は瀬名が信康の罪を一身に引き受けようとしていることに気づくが…。
<NHKオンデマンドより引用>
サブタイトルの元ネタ:「悪女について」(有吉佐和子の小説・ドラマ化)
しかし、信康は万千代に「父上にあまりご無理をなさらぬようにと伝えてほしい」と静かに言伝を頼む…。これって、自分はもう処刑の覚悟ができているから自分のためにお家を危うくするようなことはしなくていい…って意味ですよね…。家臣の前では「必ず疑いは晴らしてもらえる」と語ったけど、彼の中ではもうあの時すでに死ぬ覚悟ができていたんだと思う・・・。そう考えると本当に切ない(涙)。
しかし、万千代から信康のその言葉を聞いた家康はおそらく息子からのねぎらいの言葉程度くらいにしか思ってなかったように見えました…。「失ってはならんのぅ」と、信康の真意とは逆に救出作戦に突き進んでいく。
「待っていろよ、信康」
「待っていなされ、信康」
それと時を同じくして、岡崎の瀬名はある悲愴な覚悟を持って息子を救出する行動に打って出ることになります。このとき、家康の策を瀬名が知っていれば…。家康が瀬名に伝えていれば…。あんな悲劇の結末にはならなかったのかもしれないと思うと…このすれ違いがなんとも哀しくて…。
数正を呼んだ瀬名は、信康救出のための段取りを話し協力を仰ぐ。
一方、浜松にももう一人家康の策を知らされていなかった人物が…。今回の事件の決定打を与える結果になってしまった酒井忠次です。城を移されたことや家康が浜松へ戻ったことを初めて聞かされて腰を抜かさんばかりの驚きっぷりがちょっと面白かったww。もう何がなんやらな動揺からその額は脂汗でいっぱいになってて…挙句その報告にまた安土城へ行かされてますからね。今までの嫌味っぷりからすればザマミロな展開ではありますがw、ちょっと今回は同情もしちゃうかな。
まぁこれは家康からのお仕置きだってことだという事で・・・忠次、頑張って時間稼ぎのお遣い頼むよ~w。
北条との話がまとまるまで何とか粘ろうと家康たちが耐え忍んでいたある日、瀬名が武田との密書の証拠を残して数正と出奔したという一報が飛び込んでくる。武田と通じていたのは瀬名だという決定的証拠を見た家臣たちは「お方様の首を差し出せば信康さまは助かるという事かも…」との考えが過りますが、万千代は「こんな見え透いた狂言はありえない」と必死に反論。
しかしその言葉もむなしく、家康は瀬名に追手を放ち見つけ次第首をはねるようにとの沙汰を出す。家康はたぶん、瀬名の魂胆をこの時に察していたよね…。そしてきっと、自分の考えを早くに彼女に伝えなかったことを悔やんだと思う…。それ故、万千代を瀬名の元へ密かに走らせたんじゃないかなと。意思の疎通がもっとスムーズな時代だったら、こんなすれ違いは起こらなかっただろうに(涙)。
その頃、覚悟を決めていた瀬名は井伊谷に立ち寄っていました。
井戸の前で直虎への想いを馳せ、数正と静かに語らっていた時その本人が現れる。驚きつつも直虎に本心を悟られないよう「信康が許されることになったからこれから顔を見に訪れて驚かせてやろうと思って」と咄嗟に嘘をつく瀬名…。しかし、直虎はそれがすぐに偽りの言葉だと察してしまう。「自分の首を差しだしてことを収めようと考えているのでは?」と問い詰める。そう勘づく根拠というものが彼女にはあったからです。
「そなたと同じことをやったやつをよう知っておるからじゃ!!」
そう・・・それは、井伊を守るためにすべての泥をかぶって死んでいった政次のことです・・・。ここで政次の面影を出してくるとは・・・・。
しかし数正は「ならばお方様のお気持ちも分かるはず」と直虎を突き飛ばし瀬名を逃がそうとする。その二人の前に立ちはだかったのは…家康からの言伝を頼まれていた万千代と万福でした。
家康は信康を救うための策として北条との密約話を進めており、全てのほとぼりが冷めるまでは井伊谷で瀬名と数正を匿ってもらえないかという話になっていると。なるほど、これは万千代にしか頼めないことでもあるわな。「井伊は逃げる隠れるには慣れております」と直虎も承諾。そうだよね…逃げたり隠れたりしながら必死に「井伊家」を守り続けてきた歴史があるから、上手いこと隠してくれそうですw。
数正はその言葉に心から感謝し、ホッとした様子で「良かったですな」と言葉をかけますが、瀬名の顔色は冴えない。彼女には大きな懸念がありました。それが…
「殿の策は必ず実るのですか?」
という事です。確かに家康が考えた策は有効かもしれない。しかし、それで本当に信長が信康の命を助けるという結果に結びつくのが確実であるという保証はどこにもないのです。一縷の望みにかける為の策で「必ず」という約束を安易にできるものではない。万千代が口を濁してしまったのも理解できます。瀬名にとっては、信康が確実に助かるという確証がない限り他の案を受け入れることができなかったのです…。それは愛する息子を想う母親ならば当然の想い…。
瀬名は自分の命を犠牲にしたほうが信康が助かる率が高いと思った、というのもあるかもしれないけど、万一それが実を結ばなかった時に自分がそれを目の当たりにしなくても済む方法としてもこの決断をしたというのもあるかもしれない。愛する息子が処刑されるという身を斬る以上に辛い体験をしなくても済む方法を…。
それでも直虎は瀬名の命を失わせるようなことをしたくない。たった一人の古くからの友達だから…。
以前、今川館に閉じ込められ瀬名が殺されそうになった時、寸でのところで家康の助けが入り命が助かったことがありました。直虎はそれを引合いにだし「ここは徳川殿の運の強さを信じてみぬか?」と必死に説得しますが…瀬名は
「あの時あそこで死んでいてもおかしくなかった。故に、その命は、殿と、愛する息子のために使いたいのです!徳川家の妻として、母として…」
もうすでにその命を徳川に捧げる決意に揺るぎがないことを語る。誰かのために命を捧げる…、そうして犠牲になっていった者たちを見送ってきた直虎には瀬名の言葉がそれと同じ響きに聞こえてしまう。同じような言葉を遺し散っていった彼らとの哀しい別れを何度も経験してきた直虎には、瀬名の言葉はどうしても受け入れることのできないものなんですよね(涙)。
「残されたもののことを考えたことがあるか!?助けられなかった者の無念を考えたことがあるか!!もう二度と、私はあのような想いをしとうない!!!」
涙ながらに瀬名に向けて放ったこの言葉…、それは同時に政次へ向けても放たれていたのかもしれない。一番辛い別れ方をしているから…。彼に告げられなかった言葉を瀬名を通して伝えているようにも見えてしまって…ものすごく切なく哀しく涙がこぼれました(泣)。
でも、それでも、瀬名の想いを覆すことはできなかった…。信康が解放された後、徳姫との子宝祈願をしてほしいと頼む瀬名。頑なにそれを拒む直虎でしたが、「その子は、わたくしにございます」と告げる・・・。自分はいつもそばにいるから、悲しまないように伝えてほしいと語る瀬名の顔は
とても神々しく、美しく、そして哀しかった・・・。
最後に自分の使っていた紅入れを形見代わりにと直虎に託す瀬名…。受け取りながらも最後まで瀬名を行かせまいとした直虎…。泣きながら睨みつけている直虎に、優しく微笑みながら
「おいとまいたします、姉さま・・・」
と告げて瀬名は数正と共に井伊谷を旅立っていきました。これが、直虎と瀬名の今生の別れとなってしまった…。ただただ、哀しくてたまりませんでした(号泣)。
追手がうごめく山中、瀬名は数正と別れる決断をします。数正は瀬名を途中まで送って、そのあと自分も後を追う覚悟だったのだろうか…。信康の無事を見届けたら自分も…って言ってたから、もしかしたら…。
巻き込んでしまったことを詫びる瀬名に、数正は意を決したかのように向かい合い秘めていた想いを告白します。
「私は、お方様ほど美しいお人を、知りませぬ」
その言葉に瀬名は「なにをいまさら」とちょっといたずらっぽく微笑む。それにつられて笑顔を見せた数正は「一度お伝えしとうございました」と照れながら告げます。
死を決意している瀬名の想いを、おそらく誰よりも痛いほど理解していた数正。だからこそ、今この時しかないと思ったんだろうね…気持ちを伝えるのは。彼はずっと瀬名の元についていて、きっといつの間にか彼女に恋をしていたのではないだろうか。でもそれは決して表に出してはいけない想い。だから最後の別れ際にも「美しい人」としか言葉を発しませんでした。でもきっとその言葉に、ありったけの想いを込めたよね…数正…。
さらりとした場面でもあったけど、とても優しく…温かく…そして哀しい愛の告白だったと思います…。この数正なら、将来家康の元を出奔してしまうのがものすごく納得できてしまうよ…。
そして自ら追手の前に姿を現し、あっという間に刃に囲まれる瀬名。この先の運命を知りながらも「息子の命乞いをしに浜松へいくだけ」と訴える。その後連行されるも、佐鳴湖の前に立った時、瀬名の命はそこで潰えてしまいました…(涙)。
それからしばらくした夜、氏真が北条との話がついたと駆け込んできます。が、家康の前に瀬名の首桶が佇んでいたのを見て愕然とする…。交渉が遅れてしまったが故に瀬名を死なせてしまったと涙ながらに悔む氏真、井伊谷で止めることができなかったことを悔やむ万千代・・・それぞれが後悔の念に押しつぶされそうになっていましたが、一番自分を責めていたのは家康でした…。
「わしは瀬名に信じてもらえなかった。もっと頼りがいのある夫であればおとなしく岡崎に座ってくれておったはずじゃ」
すぐに連絡する手段がなかったこの時代だからこその悲劇ですよね…。悔やんでももう瀬名は還ってこない。せめてその命を無駄にしないように動くしかありません。
家康は瀬名の首を持って信長に面会。武田と通じていたのは瀬名で信康にはかかわりがなかったこと、さらに徳川は北条との関係を結んだので武田滅亡は遠い話ではないということを必死に訴えます。徳川は武田滅亡後も織田と良い関係を続けていきたいと語る家康の表情は、以前までのビビリではなくまっすぐ挑むような強い意志が感じられました。ただただ、瀬名の想いを無駄にしないという想いと愛する息子・信康の命を救うために…。
これに対し、信長はため息をついた後「好きにするがいい」と受け入れてくれたかのような反応。想いが通じたと一瞬安堵した家康でしたが…その直後の言葉に戦慄が走ります。
「その代り、余も好きにするがのぅ」
決して恫喝するような言動ではないのに、なにこの圧倒的な恐ろしさ!!!海老蔵@信長恐るべしすぎる。信長が好きにするってことは・・・「徳川ごと捻り潰すから」って意味ですから、家康が何も反論できずその場で凍り付いてしまったのも無理はありません…。
結局、徳川を守るためには織田に従うほかはないという最悪の結末となり…信康は幽閉先で自刃して果ててしまいました(涙)。彼はきっとこうなる運命だという事をもっと前から悟っていたかもしれない。それでもあまりにも哀しい最期だった…。
瀬名と信康が逝ってしまったことを知らされた直虎は無念の思いから「いっそ大名が一堂に会して盟約を結んでしまえばよいのです!」と叫ぶ。全ての大名が盟約を結んでいけば戦が起こることもなくなるのに…と。でもこれは理想中の理想で不可能に近いことを知っている。何もできない自分に腹が立つばかりの直虎。
しかしそんな彼女に南渓はまた「やってみればいい」と焚き付ける。できるわけがないと返されても「頭なら、出来ることしかやらないなんてしみったれた女子だと言うぞ」と挑発。南渓和尚はほんと、寺に置いておくには勿体ない人物だよなぁ。瀬名は「母として、妻として」命を使い切った。しかし直虎はそのどちらでもない。
「母でも妻でもないそなたは、何にその命を懸けるのじゃ?」
南渓はそう問いかけながら、政次が遺した白い碁石を直虎に託す。まるで、政次がそう問いかけているぞと言いたげだったよなぁ…。彼ならばきっと同じことを直虎に問いただすに違いない。その時、ふと彼女の脳裏に浮かんだのは虎松の顔でした。
「虎松を使い、徳川にさような世を目指していただくよう、持っていく」
今は何も使いどころがない自分の命を、虎松を通して彼女が目指す途方もない夢を賭けていこうと決意します。いよいよここから直虎は少しずつ徳川へと関わっていくことになるのでしょうか。
一方、岡崎は信康事件の一件で統率が大いに乱れており、逃げ出すものや浜松に深い恨みを抱く者たちで溢れかえっているとのこと。それは無理ないよなぁ…。敬愛してやまなかった信康をみすみす見殺しにする結果に持っていったのは浜松側でしたから。理不尽な言いがかりに屈し信康を死に追いやったことへの恨みはそう簡単に消えるものではないと思います。
忠勝はそれを鎮めるために兵を率いて乗りこむことを提案し、周りもそれに賛同する。しかし、その会話の中に家康の意思は一切入っていない。そこに居ながらも自分を通り越してどんどん物事を先に進めていく家臣たちを目にした家康は堪らず「勝手に決めるなと申しておる!!!!」と怒鳴って自室に独り籠ってしまう。万千代はそんな家康にかける言葉の一つも見つからない。
そんなとき、万千代を訪ねて直虎が浜松にやってくる。二人がまともに対面するのはあの激しい言い合いをして以来ですね…。あの時の万千代は直虎の言葉を何一つ受け入れようとはしませんでした。が、信康・瀬名の一件で彼の気持ちも変わってきている様子。
直虎は瀬名の形見の紅入れを家康に渡してほしいと頼みますが、「今はとてもそんな様子ではない」と力なく語る。理不尽な命のやり取りがいつまで続いていくのかと呟く万千代に大きな変化を感じました…。以前だったらそんな女々しい考えと切り捨ててしまいそうなことを口にしてただろうからね。哀しい経験を経てグイグイ前に突き進むだけではない何かが芽生えたのでしょう。
そんな万千代に直虎は直親が死んだ後に自分ができたことは「その代り身となって生きることであった」と告げる。女だてらに井伊家当主に座る覚悟をしたのは、自分が直親の代わりとなって家を守っていかなければならないといった決意からでした。
「生き残った者にできることは、せめて、その志を宿すことだけじゃ」
言い争ったあの日と違って直虎の言葉が素直に万千代の心に沁みてくる。彼が宿すべきは、信康の志ではないのだろうか。自分のことより家のことを第一に考え、誰からも慕われていた信康・・・。家康も信康には大いに気を許し、共に碁を囲んでいた。そんな信康の無念の想いを継げるのは、万千代しかいないのではないか。
直虎のそんな言葉に思わず「そんな不遜なことよう言えますな」と返してしまいますが、意外な万千代の反応に彼女は吹き出してしまいます。以前の万千代なら絶対そんなこと言わなかっただろうからねw。
信康の代わりとなって家康のそばにいることこそ万千代の今後のあり方ではないか
とだけ告げて、直虎は静かにその場を後にしました。
何かを決意した万千代は家康の部屋に強引に入っていく。そして、並べてあった碁石を取り払う。その瞬間、家康は思わず「せ…」と呼びかけてしまいました。いつも家康が碁石に向かって考え事をしていた時、決まって瀬名は自分の話に耳を傾けさせるために碁石を払い落としていました。万千代の行動は図らずも家康に瀬名との思い出を呼び起こさせる行為となったわけです…。
あ~・・・この場面に繋げるために、瀬名にいつも碁石を払い落とさせていたのか…!!なんたる伏線…。
万千代は信康の変わり身となるべく、再度家康に碁の相手を志願する。しかし家康にとってはその行動は悲しみに塩を塗るようなものでしかなく、碁石を激しく万千代に投げつけ怒りを顕にする。しかし万千代は全くたじろがず激しく取り乱す家康の言葉を受け止める。
「皆の話を聞いた!!挙句の果てがこのザマじゃ!!わしはもう、誰の言う事も聞いてはやらん!これから、すべてわしが決める!!!」
常に家臣の言葉を聞いて、どちらかというと主体性がなく受け身で流されているように見えた家康。周りの言葉に耳を傾けることが良い方向に繋がっていくと信じていたからなのかもしれない。しかし、周りの声に流されていった結果、最も愛する二人を同時に失ってしまう悲劇に襲われてしまいました…。
かつて徳川が絡んでいた井伊家の悲劇が、ここにきて徳川にも返ってきてしまうという結果になってしまったなぁと・・・。因果応報といえばそうなのかもしれないけど…戦国の世の宿命でもあるのかもしれない。家康は今回の一件で初めて、自分が生きている時代の非情さを思い知らされたのではないでしょうか。この経験が後の天下泰平の世への布石になっていたとしたら…それまでに起こる様々な出来事にも納得がいくような気がしました。
自分の情けなさに打ちひしがれる家康に、万千代はかつて直虎が一人で碁を打っていたことを語ります。幼い自分には一人で打っているように見えていたけれど、南渓は「見えぬけれども相手がいる」と告げられた。その相手から碁を教わったと…。万千代が語っていたのは、政次です。そう、万千代の中にも確実に政次は生きているのです。
「そのものは教えてくれました。負け戦になってしまったらそもそもどこで間違えたかを確かめよと。次に勝つためには・・・!!」
政次の教えである、「負けた意味は次に勝つためにある」ということを必死に家康に訴える万千代。政次・・・見えているかな・・・。万千代はこんな立派な青年に成長したんだよ…。そして万千代は直虎から託された瀬名の形見である紅入れを家康に渡す。
「お方様が、見ておられます!!!考えましょう!!この先の徳川のために!!」
もうこの一連の場面は号泣に次ぐ号泣でございました(涙)。あのタイミングで瀬名の形見を手渡すとか・・・反則過ぎるよ、万千代ぉぉぉ…!!
あの紅入れを手にしたとき、家康は思ったはずです。徳川のために犠牲になった瀬名、そして信康のためにも・・・もう情けない生き方はできないと。今の混乱状況をどうにかすべく、ついに家康は動きます。その手始めに忠勝を岡崎へ向かわせました。岡崎の浜松への恨みはまだ根深いものがあるはず。どのようにまとめていくのか…次回に期待です。
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