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NHK朝ドラ『おかえりモネ』第92話ネタバレ感想 過去との対峙

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菅波先生渾身のプロポーズの直後、すーちゃんから百音の実家が大きな被害を受けているらしいと連絡が入る。衝撃のあまり動揺して狼狽えてしまう百音…。もはやプロポーズの返事について戸惑っている場合ではない(汗)。菅波に促されるまま実家への連絡に追われることになってしまいました。

前回は”俺たちの菅波”よくやったーー!!と見る者のテンションを爆上げしておいて、百音の実家の一件で彼女の心をかき乱しそれどころではなくしてしまう展開(苦笑)。脚本家の安達さんはずいぶんと罪なことをしますなぁw。

だけど、結婚云々の前に心に抱えている痛みや重みは少しでも軽くしておいたほうがいいですよね。それは百音だけでなく菅波も同じ…。ちゃんと二人が向き合うために必要なドラマが続きます。

これまでの『おかえりモネ』感想レポ

おかえりモネ
おかえりモネ
2021年度前期NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の感想レビュー
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いくら実家に電話をしても一向に誰も出る気配がない。不安ばかりが先走ってしまってコール回数が少ないまま切ってしまう百音(汗)。未知への電話なんて3コール鳴るか鳴らないかくらいのところで「海で作業してるのかも」と言って勝手に電話を切ってしまった。もう少し我慢してコール続けていれば出てたかもしれないのになぁ…と、見ててちょっとハラハラしてしまいましたw。

と思ってたら、未知からLINEもどきに「大丈夫だから、心配しなくていいよ」という連絡が入る。おそらく電話出ようとしたら切れちゃって、着信履歴見て気が付いたんじゃなかろうか。願わくば、もう少し早くに百音からのメールに返信してほしかったぞ(汗)。
未知からの「心配しなくていい」という連絡は来たものの、その言葉を全く信用できない百音。家族の誰も電話に出ないことからかえって不安を煽るという結果になってしまった(苦笑)。

まぁ、遠くにいて現場のことが分からないまま不安が募ると、どうしても悪い方へ悪い方へと思考が向いてしまうことってあるよね…。この時の百音の気持ち、わかる。そんな彼女を見かねた菅波先生は彼女の両肩を掴んで「落ち着いて。どうして自分で行かないの?」と問いかける。

心配なら行って、自分で見て確かめて、あなたにもできることをすればいい」

全くその考えに辿り着けなかった百音は言葉を失ってしまった。こういう時、すぐそばに菅波先生がいてくれて本当によかったよ。これでいったん百音の空回りする気持ちがリセットされたと思う。

さらに菅波はちゃっちゃとこれから行うべき行動について冷静に分析。会社に説明する時間まで計算して新幹線とタクシーを乗り継いでその日のうちに実家まで行けることを確認できてしまうのがすごいw。やはり頭の回転早いよね。

そして、百音が行動に移れるよう最後の一押しをする菅波。

「また言うの?何もできなかった・・って。もうそんなに無力じゃないでしょう。あの時いなかったという想いに押しつぶされてきたのは誰ですか?」

菅波先生は、百音の痛みを少しでも分かりたいとずっと彼女に寄り添ってきていました。百音の投げるものは全て受け止める、とも。きっと誰よりも百音の心の痛みを理解していたからこそ、あえて強くその背中を押すような言葉を告げられたのだと思います。
あの震災の日から様々な経験を経て成長してきた百音。「もうそんなに無力じゃないでしょう」という菅波先生の言葉は彼女の心に強く響いたはずです。トラウマに縛られている百音の心を少しでも軽くしてあげたいという彼の大きな愛情が垣間見えるシーンでもありました。

気を取り直して実家へ帰ることを決めた百音。そんな彼女に「一緒に行こうか?」と声をかけた菅波でしたが、即座に「一人で行きたい」と断られてしまいました(汗)。あそこは菅波先生的には一緒について行って支えたいっていう男心の本音みたいなのはあったかもしれないなぁ。でも一撃でかわされてしまってちょっと気の毒だったw。
ただ、百音としては自分のトラウマともう一度ちゃんと向き合わなければという想いもあっただろうから、一人で乗り越えたい気持ちが強かったと思う。こればかりは仕方ない。

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準備のために急いで走り去って行った百音の後ろ姿を見送った時、思わず「あっ…」と声が漏れた菅波先生。ふと我に返ってプロポーズした自分を思い出しちゃったのかも?でも、状況的にその話に戻すのは不可能なわけで…返事をいつもらえるのかすら分からなくなってしまった(汗)。間が悪かったというか…ちょっとこれは気の毒だったよなぁ。

何とも言えない無力感というかガックリ感に襲われてその場を動けなくなってしまった菅波に、菜津はそっとお茶を差し出しました。二人のやり取りを途中から遠目ながら見てしまったことを謝っていましたが(プロポーズのことまでは聞いてないと思うw)、こういう時に菜津さんがいてくれてよかった。

「二人はいい関係よね」と優しく微笑む菜津さんに対し、菅波は百音の一件に深入りしすぎたかもしれないと自己嫌悪に陥っていました。そんな彼に「先生だから言えるんだし、だからモネちゃんも動くんじゃない。とってもいい関係よ」と励ます菜津。色々と傷心な菅波先生には、こういう優しい言葉は癒しだし救いになるよね。二人の関係をずっと見守ってきた菜津さんの温かさにグッとくるものがありました。

そこへ、ボイラー修繕のために一人の技師が汐見湯にやって来た。私はもう、声を聞いた瞬間に「あの人だ」と気づきましたがww、この時点で菅波先生はそれが誰なのか分からないようでした。

さっそく点検してボイラー不調の原因を察知した技師さん。そのタイミングで、帰るためにすぐわきを通る菅波先生。「ヒューズが切れてるかもしれませんね」という声のする方にふと視線を向けると、見覚えのある人物がそこにいました。

それは、かつて菅波が研修が終わった頃に出会った患者・宮田彰悟だった。

思わず名前を呼び掛けた菅波に対し、明るい笑顔で「菅波先生!」と応じる宮田。まさかこんな場所で再会するとはねぇ…。宮田さんの笑顔を受け取る心の余裕はまだ菅波先生にはないだろうなぁ。百音と同じく、彼も宮田さん案件でのトラウマを払拭できていないことを改めて思い知らされた気がしました。

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その頃百音は、高村の了承を経たあと会社を訪れ、朝岡に事情を説明し休みをもらいたいと告げていました。朝岡は彼女の申請を了解してくれましたが、「でもこれで、永浦さんは引き返せなくなるかもしれません」と意味深なことを言われてしまう。

本気で地域密着の仕事をしたい百音のことは応援したい朝岡。しかしそれと同時に「目の前の人を相手にすること」の厳しさに彼女が耐えられるのかを危惧しているという。もしも判断を誤った時、身近な人たちが自分のせいで傷つく姿を目の当たりにする可能性は大いにありうる出来事です。

百音は震災の時、自分が大切な人の近くにいなかったせいで皆と同じ苦しみを体験できなかったことに大きな壁を感じ苦しんできました。しかし、周りの人を大切に想う気持ちが強い彼女が地域密着予報士として活躍した時に判断を誤った場合、それ以上の重い自己責任や深い罪悪感を感じて苦しむことになるに違いない。その重圧に果たして百音は耐えることができるのか…。朝岡さんはあえてシビアな可能性を提示してくれました。相当の覚悟がないと彼女が希望する仕事はできないことを知っていたからです。これも彼の優しさですよね。

地元の大切な人と本当の意味で向き合う覚悟が自分にはあるのか…。改めて自分の希望する仕事の厳しさと難しさを考える百音。それでもやはり、前に進みたい。

「確かめてきます。私に、それができるのかどうか」

そう告げて百音は地元へと向かう。それを見送る朝岡の視線はとても力強く、彼女を見守っているように見えました。

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汐見湯では、菅波はボイラー修理士となった宮田と複雑な想いで対峙していました。ここで再会するまでの6年間一度も顔を合わせていなかったこともあってか、いやがうえにも緊張してしまう。

恐る恐る現在の体調のことを訪ねてみる菅波に対し、肺がんが再発することもなく5年経過したところだと笑顔を見せる宮田。そのことにホッとはするものの菅波先生はまともに宮田さんの顔を見ることができません…。そんな彼に宮田は6年前と同じ言葉を告げる。

「先生のおかげです」

菅波の脳裏に、かつてこの言葉の魔力に憑りつかれ化学療法を行わず手術のみの選択を決断したことで、有名楽団のホルン奏者だった宮田の将来を奪ってしまった経験が蘇ってくる…。あれ以来、自分を責め、律しながら生きてきた。百音にその経験を語り背中をさすってもらったことで一時救われていた菅波先生でしたが、未だに一人の患者の人生を狂わせてしまったという重い罪悪感は消えることがなかったんだろうね。現に宮田本人に会うことができないまま6年が経過してしまったわけですし…。

菅波が6年前の出来事に囚われ責任を感じ続けていると悟った宮田は、ボイラー士としての今の仕事が好きなのだと笑います。壊れたらそこを修繕して長く使うボイラー装置は、はまるで自分の体のように思えると語る。
「お客さんから直接感謝されるのも嬉しいし」と、今の人生が充実していることをアピールする宮田さんですが、菅波先生としてはその話を素直に喜んで聞くことがなかなかできませんでした。「直接感謝されることが嬉しい」っていう言葉を未だに受け入れられないんだろうなぁ…。

すると宮田は6年前を振り返り、「でも先生のことずっと恨んでましたよ」とその当時感じていた気持ちを包み隠さず告げてきた。ホルン奏者としての未来を奪われたことに対する怒りのぶつけどころも見つからず、訴訟すら考えるまで追い込まれていたという。たとえそれが菅波の責任ではないことは頭では理解できていても、感情はそれに追いつかなかった。
当時の宮田の苦しみを黙って受け止めていく菅波。それはとても辛いことだと思うけど、彼には必要な時間だったのではと思います。かつて自分が担当した患者さんの本当の想いとしっかり対峙しなければ、きっと菅波先生も前には進めない…。

当時の負の感情を吐き出した宮田でしたが、それに続けて「命を救ってもらったことには感謝している」と告げました。

「今私は生きてる。それが大事なんだ」

この言葉がどうか、トラウマに囚われ続けている菅波先生の心に差す一筋の光となるよう祈るしかない…!菅波は宮田の将来を奪ってしまうような治療をしてしまったかもしれないけど、命を救った事実は変わらない。命があるから宮田さんは新たな自分の生きがいを見つけることができたのです。だからもう、自分を追い込みすぎて傷つかないでほしいな(涙)。罪の意識は一生消えないかもしれないけれど、その重荷が少しでも軽くなることを願いたい。

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同じ日の夜、百音はタクシーで新しくできた気仙沼大島大橋を渡り実家へ駆けつける。しかし、到着してすぐ庭先から中へ入ろうとした瞬間、活気あふれる賑やかな人々の声が聞こえてきた。自分が想像していたのとは全く違う世界が繰り広げられていることを察した百音は、体が動かなくなりその場から動けなくなってしまいました…。

恐る恐る物陰から中の様子を伺うと、生き生きした表情の島の人々が永浦家の片付けやカキの出荷作業に追われている姿が目に飛び込んでくる。龍己も耕治も亜哉子も未知も、その表情に翳りはない。亮や三生、悠人も楽しそうに手伝っている。

悠人くんは役場の人間として龍己の役に立つ情報を伝えるという逞しい成長っぷり。これまであまり目立たなかった悠人君の逞しい姿が見れて嬉しかったよ。
みーちゃんはりょーちんと一緒に牡蠣を運ぶ手伝いをしていました。あれから2年ちょっと経過してますが…この二人、どういう関係に落ち着いているのだろうか(汗)。今回のシーンでは今までと変わらない”仲間”としての関係性に見えたけど…モネとりょーちんのことであれだけこじらせてたみーちゃんがどう変わったのか(変わってないのか)が気になる。

まるでお祭りの準備でもしているかのような予想外の光景に圧倒されてしまう百音。
おそらく彼女が心配のあまり電話をしたときもすぐには出れるような状況ではなかったのかもしれない。たぶんもう少し百音が粘ってコールしてたら…、明るい声で「こっちのことは心配しなくていいからね」って答えが返ってきたんじゃないだろうか。

牡蠣棚の件も、島の人たちが集まって一致団結して最善の処置をすることができていた。百音があれだけ心配しておかしくなりそうになっていたのに、現地では逞しく皆でそのことを乗り越えていたのです。それどころか、出荷できなかった牡蠣は保冷庫も壊れているということで自分たちでバーベキューしながら食べちゃおう!と大盛り上がりしてる。龍己さんなんか、高級ブランデーの40年物まで出してきちゃってw、耕治さんが大興奮してテンション爆上げ状態に(笑)。
そんな状況なので、誰も庭先に一人立ち尽くしている百音の気配に気が付く人はいませんでした…。

とても気象被害に遭った家とは思えない明るさとお祭り騒ぎの様子を目の当たりにした百音の頬に、ハラハラと涙がこぼれ落ちていく…。そして見つからないように思わず身を隠してしまったその時、「あの時いなかったという想いに押しつぶされてきた人は誰ですか?」と告げた菅波の言葉が蘇ってきた。それと同時に思い起こされる、震災当時のトラウマ…。

百音が震災から時間が経った後に急いで島に戻り学校へ駆けつけた時、虚ろな表情で自分を見つめた友達の視線と目が合った。あの瞬間、自分と仲間の心の距離を痛感して何も言葉を告げることができなかった。
さらに、不安に押しつぶされそうな表情で泣きじゃくっていた妹を抱き留めた時には、近くにいてあげられなかったことへの罪悪感が強く押し寄せてきた。

でも、今はその時とは全く違う景色が広がっている。百音がいなくても、家族や仲間や島の人たちは悲壮感など微塵も見せずに窮地を乗り越えていたのです。あんなに「わたしがいなかったせいで」と罪悪感に苦しんできた百音を笑い飛ばすかのように、彼女がいない世界でも島の人々は強く逞しく生きていた。

そのことを思い知らされた時、百音の心の中に様々な感情が押し寄せてきました。皆が無事だったことへの安堵感もあっただろうし、逆に自分は部外者になるのではないかという疎外感のような感情もあったと思う。むしろ、そういった負の感情のほうが大きかったかもしれないねぇ…。

 「何のためにここまで来たの…」

怖気ずいて後ずさりしてしまいそうになる自分を必死に鼓舞し、あふれる涙を拭いながら明るい方へ一歩前に踏み出す百音の姿はとても美しく、そしてこれまでよりもひと回り強くなったように見えてグッとくるものがありました(涙)。
自分の居場所はあの中にはないかもしれない、といった恐怖心があったはず。だけど、それでも島の人たちの前に姿を見せる勇気を奮い立たせた百音。すごくすごく頑張ったと思う。

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百音の姿を最初に見つけたのは未知。その後、次々と皆が彼女の名前を呼んで明るく出迎えてくれる。ちゃんとそこに百音の居場所を作ってくれる島の人たちは本当に温かくて優しい。

耕治はただただ百音が夜遅い時間にやって来たことに驚いていましたが、娘が帰ってきてくれたことはやはり嬉しくてたまらない様子でした。

そんな父を目の当たりにしたとき、安堵感からか我慢していた涙が再び百音の頬に止めどもなく落ちてきた。突然の娘の涙に驚き言葉を失ってしまう耕治や島の人たち。みんなの前に現れるまで、どれだけ彼女が勇気を振り絞ったのか島の人たちは誰も知らない。涙を拭い必死に明るい笑顔を作ろうとした百音は

「橋を渡ってきた」

と告げるのでした。そこには、きっと、過去の自分を乗り越えるための”心の橋”という意味も込められていたような気がします。

次回は未知と二人で語る場面があるらしい。どう展開するのかちょっとハラハラしますが、心して見守りたいと思う。

コロナが落ち着いたら一度訪れてみたいです。

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