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NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第59回感想 暗闇を照らす人

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これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー

「気になって卒業どころやあらへん!」とちょっとトガった言い方をしていましたが、実のところはるいの様子が気になって心配して竹村クリーニング店を訪ねてくれたベリー。かつては同じ人を好きになったライバルとして敵視してたけど、今では二人の仲を応援してくれるようになりました。イケイケっぽいけど、本当はとても優しい女性なんだよね。

そんな彼女にるいは真っ直ぐな瞳で「ジョーさんとの幸せを諦めないって決めたから」とはっきり答える。そんな凛とした姿にベリーは「あんた、変わったなぁ。強なった」と驚きを隠せない。「ベリーさんには敵いません」とるいは笑いますが、以前はそんなこと口にしたこともありませんでしたもんねw。

錠一郎を愛することでるいも変わったのだと確信したベリーは、ますます彼女に親近感を抱いたようで「何かあったらいつでも連絡して」京都の連絡先も教えてくれました。ベリーさん、京都に実家があるんだ。住所は書いてなかったけどね。それよりも、注目すべきは「氏名」の欄ですw。ついにベリーの”本名”が明らかに!!

「野田一子」

るいの反応が「誰・・・??」だったの笑ったwww。そりゃそれしか言葉出てこないよねぇ。目の前にいる人を”ベリーさん”としか呼んだことがないわけだから(笑)。

私は彼女はずーーっと”ベリー”のままでいくのかと思っていたので、こんな形で本名が明かされる展開になったのは意外でした。「一子(いちこ)」だから”ベリー”って呼び名になってたのね。由来を知るとますます彼女が可愛く見えてきた!

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るいは手作り弁当を持って錠一郎の部屋を尋ねる。しかし、そんな健気な彼女を錠一郎は受け入れることがどうしてもできない。どんなに拒絶してもその場所に居続けようとする彼女に耐えられず「もういい、僕が出ていく」と暗い目をしてそこから立ち去ってしまった。
るいの気持ちも分かるんだけど、心が弱り切っている錠一郎にはかえって逆効果な行動だったかもしれない…。だけど、無理にでもああやって寄り添おうとしないとどんどん彼の気持ちがどん底に向かって行くだけという危険な状態でもあるからなぁ。微妙な時期だけに難しいところですよね…。

錠一郎のたまった洗濯物を持ちかえったるい。洗濯が終わったあと、平助に教えてもらいながら自らの手で彼の衣類にアイロンをかける。錠一郎との未来を諦めていないるいは、祈りを込めるような気持ちで皴を伸ばしていたのかもしれない…。
そんな姿を、和子と近所の西山さんが黙ってじっと見つめていました。あえて余計なことは言わず静かに見守る優しさが本当に素敵で泣けてしまいます(涙)。

その頃、小暮さんやミュージシャンたちは錠一郎のために「喉に良さそうな蜂蜜」を買ってきたり、診察してくれそうな大きな病院を探すため奔走したりと精力的に動いてくれていました。みんな、なんとかしてもう一度錠一郎にトランペットを握らせてあげたいという一心だったと思う…。

しかし、日常生活は問題ないのにトランペットを吹くときだけ症状が出てしまうという”奇病”を治す有効な情報は見つけることができない。1960年代は心療内科的なお医者さんも少なかっただろうし、原因を探る研究も活発には行われてなかったのかもしれない。今の時代だったら救いの手があったかもしれないと思うと本当にやりきれない…。

そんな中でもトミーはなんとか一つ良さそうな病院を見つけたらしく、錠一郎の部屋を訪れ「来週の予約が取れたから一緒に診察へ行こう」と告げました。場所は少し遠いから自分の車で連れていくとまで言ってくれて…、トミー、君はなんて友達想いの良い奴なんだ!!必死に自分で色んなルート探って見つけ出した病院なんだろうね。
錠一郎もそんなトミーの優しさが心に沁みたようで、素直に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えました。でも、あれは「行く」という意味の返事には聞こえなかったんだよなぁ…。

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錠一郎は自分の病院のことよりも気がかりなことがありました。それは、トミーが自分の代わりに東京行きを打診されていたことです。小暮さんあたりから情報を聞いたのかな…。トミーは「誰が行くか!!」と吐き捨てますが、錠一郎は「行ってよ」と促します。

「僕は見たいよ。東京で…、世界で活躍しているトミーを」

この言葉に、トミーは言葉を返すことができなかった。奈々から誘いの言葉を掛けられた時は、錠一郎の面倒は最後まで見るべきだとしてスカウトを断ったトミー。しかしあの時、内心「自分にもチャンスがきたのかもしれない」という気持ちも過っただろうね…。世界に羽ばたく夢をずっと持ち続けていた彼が、ササプロの話に心揺れないわけがない。

錠一郎の謎の病が回復して、再び東京で活躍してほしいという気持ちも本当。友達として、最高のライバルとして今は錠一郎のことが第一だと思ったことも本当。でも、東京へ行きたいと思ってしまったことも本当だったと思います。トミーはそんな心の迷いを錠一郎に見透かされたような気がして言葉に詰まってしまったのかもしれない…。

答えに窮したトミーは、とっさに目に入ったるいが持参した弁当の重箱を見て「食べたれよ」と促す。しかしそれに対して錠一郎は「食べられへんよ…」と力なく答えました。るいの気持ちを受け入れられない彼の気持ちをなんとなく察してしまっているトミーは、それ以上何も言うことができなかった。

その日の夜、一人になった錠一郎はそっと重箱を開いてみる。

中にはるいが愛情をこめて作った料理がきれいに並べられていた。しかし、今の彼にはその気持ちを受け止める心の余裕がない…。すぐに蓋を閉じてしまう錠一郎がとても切なかった(涙)。
うーーー、でも、あんなに愛情こもった豪華な手作り弁当を無駄にしてしまうのは本当にもったいないよなぁ…。トミーに持ち帰って食べてほしかったくらいだよ(でもあの弁当にはるいの錠一郎への愛情がびっしり詰まってるから食べづらいかもなぁ 汗)。

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その翌日も、るいはお弁当と錠一郎の洗い上がった洗濯物を持って彼の部屋を訪れる。自分の手でアイロンし丁寧にたたまれたシャツを置きながら、ケチャップのついたシャツじゃなくて残念だったと笑うるい。しかし、そんな彼女の声さえも錠一郎には煩わしく聞こえてしまう…。

 苛立ったように「洗濯も弁当もいらんのや」とあくまでもるいを拒絶しようとする錠一郎。それでもるいは「私は一緒に泣きたいの、一緒に苦しみたいの」と訴える。しかし、彼女が寄り添おうとすればするほど錠一郎の気持ちをどんどん追い詰めていってしまう…。

「君に、僕の苦しみなんか分かるわけないやんか!」と心に溜まっていた負の感情を吐き出す彼に、「分るよ…」と答えるるい。それが引き金となり、錠一郎は「軽々しく言うな!!!」と怒りを露にして傍にあった衣類を窓の外へ放り投げてしまった。

「僕はもう、半年苦しんだ。お願いや…。もう、解放してくれ」

苦しそうに自らの心の内を吐露し背を向ける錠一郎を目の当たりにしたるいは、それ以上何も言葉を掛けられず旅館を後にしてしまいます。「解放してくれ」という言葉が一番堪えたかもしれないね…(涙)。彼の近くに寄り添おうとすればするほど、その心を傷つけてしまうと悟ってしまったるい。

だけど逆の見方をすれば…、これまで誰にもあんなふうに自分の本心をぶつけることがなかった錠一郎がるいにだけはそれを曝け出すことができたとも受け止められるかなと。苛立つ気持ちは、実はるいへのSOSだったのかもしれない。表向きでは彼女の存在を拒絶しようとしていますが、心の底ではそれに抗う気持ちも確かに存在していたのではないだろうか。

自分と一緒にいたら、るいは確実に不幸になってしまうと思い込んでいる錠一郎。しかしそう思いながらも、本当は「一緒にいたい」という気持ちが何度も顔を出しているはず。それを打ち消そうとしていることが、るいへ辛く当たる結果に繋がっているのかもしれないなと思いました。

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竹村家に戻りぼんやりと座り込んでしまったるいを和子や平助は心配そうに見つめていました。堪りかねた和子が「大丈夫か?」と言葉をかけると、るいは「どこかホッとしてます…」と意外なことを口にする。

「ホンマのこと言うたら…ちょっと怖かったんです。家庭を持つということが。母に捨てられて、父の顔も見たことがなくて…、そんな私が家庭を作ることなんてホンマにできるんやろうかって…ずっと不安やったんです」

幼い日の強烈な経験が未だにトラウマとなってるいの心を苦しめていたんだなと思うと本当に切ない…。母との幸せな思い出が、あの雨の日の出来事で一瞬にして壊れてしまった。それ以来心を閉ざして生きてきたけれど、大阪に来て竹村夫妻や錠一郎たちと出会ったことによってようやく人間らしい感情が巡ってきたるい。だけど、やはり”捨てられた”という気持ちだけはどうしても拭うことができないんだよね…。それが彼女の足枷となっているとしたら悲しすぎるよ。
悟ったように「これでよかったんです」と幸せを諦めてしまったるいに、さすがの和子も何も言葉をかけてやることができませんでした…。

季節は春。世間ではビートルズの曲が大流行しているようでラジオDJの磯村もテンションが高い。そこでさっそくビートルズのヒット曲をラジオで流すのか…と思いきやフェイントで「かけません」とシレっと言い放ってて平助さんがズッコケてました(笑)。ビートルズファンの人たちも同じようにコケてラジオに向かってツッコミ入れまくってただろうなwww。

ビートルズをぶっちしてまでDJ磯村さんが聴きたかったというその曲は…、ルイ・アームストロングの♪On the Sunny Side of the Street♪だった。るいは、作業する手を思わず止めてラジオから流れてくる聴き馴染みのある曲に耳を傾ける。同じころ、錠一郎もボンヤリしながら同じ曲に耳を澄ませていました。

二人の脳裏に、海を見つめながらトランペットの夢を語り合った日のことがまざまざと蘇ってくる。

「いつかアメリカで、 ♪On the Sunny Side of the Street♪を吹いてみたい」とるいに嬉しそうに夢を語った錠一郎。るいも海の向こうのアメリカを想いながら彼の夢に胸を熱くした。その時に二人で聞いた”波の音”。それに導かれるように歌った♪On the Sunny Side of the Street♪あの時確かに、二人の心は共鳴し合っていた。それは、何よりも大切で、幸せな時間だった。

どんなに忘れようとしても、忘れられるはずがない。るいの目からも、錠一郎の目からも、自然と涙がほろほろと零れ落ちている(オダジョーくんの涙があまりにも儚くてもらい泣き… 涙)。ラジオから流れるルイ・アームストロングの歌は、離れゆこうとする二人の心を引き戻そうとしているかのようにも思えた。

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るいは居てもたってもいられなくなり、クリーニング店を飛び出し錠一郎の宿へ向かいます。しかしそこにいたのはトミーでした。ちょうど病院の予約をした日だったらしく、車で迎えに来ていたところだったのです。
その時、るいはつけっぱなしになっているラジオに気が付きました。錠一郎も♪On the Sunny Side of the Street♪を聴いたはずだと確信したのでしょう。そして、彼が向かったであろう場所がふと思い浮かぶ。

トミーの車で向かったその場所は、二人で夢を語り合ったあの海岸でした。慌てて砂浜に出てみると、錠一郎がどんどん波の向こうへ進んで行こうとしている姿が目に入る。るいは無我夢中でそれを追いかけ、腰まで水に浸かったところでしっかりと彼を抱き留めました。それ以上、絶望の向こう側へ吸い込まれて行かないようにしっかりと…。

るいに抱き留められた錠一郎は、自らが抱えているどうしようもない不安な気持ちを包み隠さず告白する。

「暗闇なんや。歩いても歩いても…暗闇しかないんや。どこへ向かって歩いていいんか分からん…。サニーサイドが見えへん」

まるで怯える子供のように泣きそうな声で先が見えない不安を打ち明けた錠一郎。回復する見込みがない病を発症し、生きがいだったトランペットを失ってしまったことで人生の道しるべを見失ってしまった。思い出の海岸に来れば何か答えが見つかるかと思ったのだろうか。それでも希望を見いだせず、海の向こうに行けば明かりが見えるかもしれないと進んで行ってしまったのかもしれない。
あまりにも苦しく身を切るように辛いその心情を想うと、見ているこちらの胸も苦しくて涙が出てくる(泣)。

しかし、るいはそんな彼の背中を優しくさすりながらそっと言葉をかける。

「怖がらんでいい。私が守る。あなたと二人で、ひなたの道を歩いていきたい」

錠一郎はまるで母親のように優しく温かいるいの言葉に涙し、その身を彼女の体に預けていきました。そんな二人の姿をトミーは驚いたように見つめてた…。彼には壮絶な光景に写ったのかもしれない。

るいは例えこの先なにがあっても、錠一郎の傍を離れないと決めただろうね。彼の道を常に明るく照らす存在であり続けると強く心に誓ったと思います。そんな彼女に身を預け、子供のように泣き崩れる錠一郎の姿が儚くて切なくてたまらなかった…(涙)。
恋人…というよりも親子のようにも見えてしまうシーンだったけど…、るいと錠一郎はそれが一番心地いい関係なのかなとも思いました。「愛のカタチ」は色々ありますからね。

それにしても、久しぶりに海の中に突入していく人を止めるっていう熱いシーン見た気がする。一昔前は色んなドラマでちょいちょい見かけたけど、最近はベタすぎるからかご無沙汰だったw。今見ると、なんだかとても新鮮で心揺さぶるドラマチックなワンシーンになってるなと思えました。

あと、淡路島の海がかなり深いこともちょっとビックリ。少し進んだだけで相当水に浸かってましたから(汗)撮影はかなり大変だったのでは。ちょっとドキドキしながら見てしまった。

それから、錠一郎が一時的に泊ってた宿の部屋。華丸さんも指摘してたけど…私も2階だと思い込んでました(笑)。投げた衣類がすぐそこの庭に引っかかってたので、ようやく1階だったんだと気づいた次第ですww。

さて、次回からはかなり心穏やかにるいと錠一郎の二人を見ていくことができそうです。何はともあれ、二人の心がもう一度共鳴し合うことができて本当に良かった。

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