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大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第18話ネタバレ感想

色々とジェットコースターな展開が多かった第18回。まず最初にビックリしたのがドラマが始まってすぐの右下に現れた”注意書き”テロップ

まさか大河ドラマでこのような文面が踊る日がこようとは。最初に4Kで目撃した時は正直ちょっと構えましたよww。吉原をメインの舞台にする作品という以上はこういう展開も描かないわけにはいかないだろうなというのは覚悟していましたが、『べらぼう』に関してはこれまで全然嫌悪感なかったんですよね。役者さんの熱演やドラマがそれだけ良い内容だからというのが大きい。それでもこの文言を出さざるを得なかったということは…さらに踏み込むんか!?とちょっとビビりました(笑)。

結果的に、終わってみれば号泣ものの神回と思うくらい感情揺さぶられた第18回。ただ予防線としてあの”注意書き”を出したのは正解だったかなとも思ったw。

青本を並べている時に並べてある絵を見てピンときていた蔦重。彼の脳裏に浮かんだのは、かつての相棒だった少年と夢を語り合った夜のことだった。やっぱり唐丸は生きていたのだと確信する蔦重。彼はずっと信じてましたからね、唐丸は生きているって。
さっそく絵の署名にある”北川豊章”を探し当てて賭場へ。ちょっと半信半疑になっていた蔦重が目撃したのは、博打に熱中してる目つきの悪い武家崩れのおっさんでしたw。…っていうか、この豊章って…

加藤虎ノ介くん…虎ちゃんやないのっ!!!しかもOPではピンで名前がっ!!! この日一番の驚きでしたわ。大河は『平清盛』かと思ったけど、あとから思い出したら『八重の桜』以来だった。『八重~』は4Kでべらぼう前に放送中なので要チェック。でも何といっても未だに濃い印象なのは2007年の朝ドラ『ちりとてちん』の四草。大っっ好きだったよ、四草義兄さん!!オンデマンドで見れるので興味のある方はぜひともチェックしていただきたい。
それにしてもまたちょっと体大きくなったなぁ、虎ちゃん。役柄によって体型がよく変わる印象。ちりとての時が一番細かったかもね。

見込み違いでガッカリしていた蔦重のもとに朋誠堂喜三二がやって来る。蔦重の依頼ものは”道陀楼麻阿(どうだろうまあ)”名義で書いているのでw、重三は「まあさん」と呼んでますね。二人の洒落た肩の力の抜けた軽~~いやり取りがツボですw。すっかり仲良しさん。
「”北山”だよぉ(来たよって意味w)」と軽い気持ちで訪れていた喜三二でしたが、そんな彼に「青本の新作10作品書いて」と無茶振りしてくる蔦重(笑)。ビビったまあさんは他の人にも頼んでよ!と猛反論しますが、みんな嫌だって断られたからとシレ~~っと答え全く容赦ない蔦重、鬼www。これは喜三二なら書けるはずだという彼なりの確証あってのことだと思うんですが、まあさんからすれば無茶振り以外の何物でもないですからね(笑)。でもこの反応も想定内だった蔦重には奥の手があった。

「”居続け”なら…もう少し書けたりしません?」

”居続け”とは女郎部屋から帰らないで吉原に連泊することだそうで、吉原通いが大好きな喜三二にとっては願ったり叶ったりな提案(笑)。さらには「一作ごとに女郎部屋を変えられる特権をつける」という”ニンジン”をぶら下げられたら…もうノックアウトwww。
蔦重はそれだけの費用を自分持ちにしなければいけなくなりますが、そうしてでも喜三二の新作10作は売れるはずと見込んだんでしょう。すっかりまあさんの操縦法をマスターしてるw。っていうか喜三二さん、どんだけ吉原好きなのよ(笑)。居続けOKをもらって筆も絶好調やないのwww。

喜三二への投資を心配するりつ。それでも彼の書く青本は正月の縁起物だから当たるはずと予測している蔦重。その傍らでなにやら不自然な格好でそばをすする次郎兵衛義兄さんの姿が(笑)。何をやってるのかと思えば、蕎麦屋の半次郎を後ろに背負って二人羽織状態で蕎麦食べてたwww。仕事はする気ゼロなんだけど祭となると話が別でめっぽう張り切っちゃう次郎兵衛義兄さん。今回も次の俄祭りに備えて張り切っての二人羽織だったらしいww。
もうほんっと、このドラマの超癒しの存在だよ次郎兵衛義兄さんは!毎回登場するだけでほっこりしますわ。

この二人羽織な次郎義兄さんたちのパフォーマンスを見て呆れていた蔦重でしたが、ふとあることが閃きました。そういえば唐丸は他人の描いた絵を真似るのが神がかり級に優れていた…!”北川豊章”の署名のある絵は彼がゴーストライターとして手掛けたものなのではないか。ナイスヒント、義兄さん!

大河ドラマ『べらぼう』感想一覧

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第18回「歌麿よ、見徳は一炊夢」2025年5月11日放送

その頃、「捨吉」と呼ばれていた青年は賭博にうつつを抜かしている豊章の代わりにゴーストライターとして絵を真似て描いていた。この時筆を持つ手が微妙に震えていて彼の体調はあまり芳しくないのかもという心配が過った…。完成した絵を我が物顔でもらいホクホクの豊章が外へ出ていくと、入れ違いに蔦重がやって来た。

ドラマでは描かれていませんでしたが、蔦重が捨吉の家を探し当てたのは賭場から帰る豊章の後を尾行したからということになっています。

蔦重は捨吉の前に立つと確信を持ったように「唐丸…だよな!!」と喜びますが、捨吉は死んだような目つきで表情を変えず「どなた様で?」とそっけない対応しかしない。この時点ではまだ”捨吉=唐丸”かどうかは視聴者も迷いどころでしたよね。私も最初は唐丸は違う有名絵師になるのではと想像していたのでまだ確信が持てなかった。
そうこうするうちに捨吉の元へ妖艶な雰囲気の尼さんが訪ねてくる。「馴染みが来ちまったもので」と追い出される蔦重…。この時悟った。豊章は出ていく時に「今夜は寂蓮さんが来るからよろしく」と言っていました。捨吉は絵の模倣をするだけではなく、体を売る仕事も請け負わされていたのです…。だから彼の手は震えていたのか…。そう思うと切なくてたまらなかったよ(涙)。

早朝、寂蓮が満足げに出て行ったあと(岩井志麻子さんの無言のお芝居が超艶っぽかった)捨吉は扉の前に置いてあった絵を拾い上げる。思わず「これ…あの時のか」と口にしてしまう。

それは、蔦重がヘマをして汚してしまった湖龍斎(鉄拳さんが演じてた)の絵を唐丸が完璧に描き上げた「雛形若菜初模様」の一枚。それを知っているということは…やっぱり捨吉は唐丸だったのです!!

捨吉の言葉を聞いた蔦重も確信して強引に彼の家の中に入っていく。っていうか、蔦重…ずっとそこで張ってたのか(←それ以上詮索してはいけない 汗)。
あくまでもシラを切り通そうとする捨吉に蔦重は「俺はおまえの力になりたいんだよ!」と迫りますが、今の暮らしが自分には居心地がいいと全く取り付く島もない。耕書堂で仕事をしないかと誘ったものの聞く耳を持たれず乱暴に追い出されてしまった。この時の捨吉の背中がとても寂しくて孤独で辛かったなぁ…。彼が背負っている重く暗いものが見えたような気がした。演じてる染谷将太くんやっぱりすごい役者だなと思う。

帰り際、蔦重は長屋の外にいた男から捨吉が男女構わず”客”を取っていると聞かされる。サラリと交わされていた会話でしたが、これ聞いた時衝撃受けたよ…。どうしてそんなことに…。蔦重は動揺を隠しながらその男から捨吉についての情報を聞き出そうとする。どうやら豊章の世話になっているらしくその見返りとして絵を描かされたり体を売らされたりしてるらしい…。”人別”(今でいう戸籍)を持っていない彼はそういうところに縋るしか生きていけない辛い現実があったのです。
もうこのエピソード見ただけでも辛くてたまらなかったよ(涙)。あの消えた時からどれだけ過酷な日々を送ってきたのかと思うとホント胸が張り裂けそうになる。

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重い気持ちで耕書堂に戻ると、松葉屋がやってきてため息をついていた。なんでも、ノリノリだったはずの喜三二の筆が止まってしまったのだという。「書けてないってことですか!?」と驚く蔦重に次郎兵衛義兄さんが「そっちの筆じゃないよ」とニマニマしてるのを見て…

あ、冒頭の注意書きはこのあたりからくるのかと察したww。

あんなに吉原命!みたいにウハウハだった喜三二だったのが…なんと”腎虚”になってしまったという(男性特有の病…としか書けないw)。綾瀬はるかさんの清々しい解説のなかでその流れ弾に当たった小林一茶、哀れ(苦笑)。
この世の終わりのようにぐったりとしてしまっているまあさん。医者に診てもらっていたようですが、「少しお控えになれば戻りましょう」と軽くあしらわれてるしww。蔦重曰く「先生の薬は80の爺さんも元気にしてしまう」という言葉を半信半疑で受け入れ飲み干す喜三二。ところがいなくなった後の種明かしではその薬はただの”眠り薬”だったというオチw。このくだり、お子様に説明するのは難しいよな(汗)。

この”大人のコメディ”展開にNHK攻めたなぁと思った私でしたがw、そのあと蔦重がしみじみといねと「色」の厳しい現実について語り合うシーンがあったのはとても良かったなと思います。彼女は女郎屋を「地獄商い」と言い切りました。彼女もかつて花魁として吉原に身を捧げた経験がある。そして今も女郎屋に関わり続けている。だからこそ響くんだよねぇ…その言葉の重みが。
蔦重は女郎たちが生きるためにこの世界で身を売る仕事をしている現実をずっと見てきたので、好きでこの世界に身を置いている人がいるというのが信じがたい気持ちが強い。彼は男女に身売りをして生きている捨吉が「今の生活が居心地良い」と語っていた言葉がずっと引っかかっていたんですよね。その問いに対していとは「たまにいるのは、罰を受けたい子だね」と語る。

「自分のせいで色や親が死んだりした子は、自分は酷い目に遭って当然だからこの稼業も好きだ、ありがたいって言い出すのはいたよ。自分なんて早く死んじまえばいいんだって、言ってたねぇ」

あぁ…この話は本当に辛い…。吉原へ来る子たちは殆どが心に何らかの大きな傷を負っていたと思います。捨てられたり、親と死に別れたり、恋人を失ったり・・・。その哀しみの気持ちを背負いきれず自らを卑下し責め、最終的には人生を諦めてしまう。いねさんはきっとそういう子たちを何人も見てきたのだろう。
蔦重は彼女の話を聞いて捨吉が「今の暮らしが好きだし居心地がいい」と言っていた言葉を改めて思い返しました。そして、その言葉の裏に隠された本当の意味を察したんだろうね…。

「あいつ…」と捨吉に想いを馳せている時の横浜流星くんの表情がめちゃくちゃ切なくて泣けた(涙)。

このあと、喜三二さんに”どうだろう、まぁ…”な出来事が発生しますww。おそらく最初に出てきた注意書きテロップの大きな要因となったのがこのシーンだったかと(汗)。いやぁ、ひと昔前のNHKさんだったら絶対に描かないよなぁ、あれは。ビックリしたよw。第2章が始まる前の「ありがた山スペシャル」でいねを演じる水野美紀さんが「刀を振り回すシーンがある」って言ってたけど、まさかこういう場面だとは思わなかったですぜwww。
驚いたのは、突然のCG演出。あれ出てきたとき、いきなり中国ドラマが始まったのかという錯覚にとらわれた私ww。ここ数年かなりの本数見てきたので、あの手の映像はけっこう見慣れた光景と言いますか(ちなみに今回とは全く”意味合い”が違う作品のCGですが←強調w)。

え~~、ここのまぁさん大ピンチについては、割愛します(堂々と書けないww)。とりあえず、あの出来事が起こった”おかげ”で新作思いついたのでめでたしめでたし(笑)。

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ある日の夜、蔦重が意を決して再び捨吉を尋ねると荒らされた部屋の中で半裸で気を失っていた捨吉の姿があった。慌てて起こした蔦重に捨吉は淡々と「荒いのが好きな客がいて…」と事情を説明する。
ここ、ドラマでは描かれていませんが(というか、さすがに出せなかったと思う)…小説では何があったのかが記されていました。捨吉が気を失ったのは、”口いっぱいに紙を詰められてしまった”から…。窒息寸前の状態で客に対応し…という事のようです。床に散らばっていた紙屑はその痕跡かと…。蔦重が言うように、一歩間違えれば本当に死んでいてもおかしくない。でも捨吉はきっとそういう修羅場をこれまで何度も体験してきたのだろうと思うと居たたまれなかった(涙)。

背を向け蹲る捨吉に蔦重は「今の暮らしが良いというのは早く死にたいからか?」と確信を突いてくる。図星を突かれたものの心を閉ざし続ける捨吉に、今度こそお前を救いたいと真っ直ぐな眼差しで訴える蔦重…。唐丸にもっと過去の事情をしっかり聴いておけばよかったと悔やむ蔦重の言葉は捨吉の心を揺らしたに違いない。彼はもう、”他人”を装うことができませんでした…。

ぽつりぽつりと過去を告白し出した捨吉…、かつての唐丸。その生い立ちは、あまりにも壮絶で過酷な出来事の連続だった。火事から蔦重に救われる形となった少年・唐丸。彼の過去はかなり重たいんだろうなということは想像できましたが、まさかここまでとは思いませんでした。
歌麿は生年日が不詳とされていて解析されていないことも多い人物なので、このエピソードは森下佳子先生による創作ではあるんですが…、本当にそういう過去があったのではないかと信じてしまいそうになるほど凄まじい内容だったと思います。

唐丸は出生時から不幸を背負っていた。母親は夜鷹(夜の町に出没する下級遊女)で、おそらく望まない妊娠をしたのでしょう。結局おろすことが叶わず生まれてきた息子に対する扱いはあまりにも冷たすぎた。「なぜ生まれてきたのか」と罵られる日々だけでも胸が詰まるのに、7つを迎えた時には金を稼ぐためと”客”を取らされた…。しかも”男”の…。嫌悪感だけしか残らない出来事はその日以降も続く。それでも稼ぎが良ければ母親が一時だけでも優しくしてくれる。唐丸はその”一時”のためだけに自らを犠牲にし続けてきたのかと思うと辛すぎて涙が止まりません(泣)。

彼の悲劇はそれだけにとどまらない。蔦重の前から消える前に現れた謎の男ヤスは、唐丸の母の男でヒモだった。その男が連れてくる”女の客”の相手もさせられることになったという…。それだけではなく容赦ない暴力も加えられていた唐丸…。そんな日々の中で彼は次第に感情を失っていったのだと思った…。
しかし、大きなこぶを作ったある日唐丸はある老人と遭遇しました。地面に奇妙な絵を描いていた老人の名は鳥山石燕。後に“妖怪絵の祖”と称される人物です。

片岡鶴太郎さん”本物の絵描き”感、半端なかった!!!さすがです。あの時代からそっくりそのまま抜けだしてきたかのような雰囲気にビックリしました。

地獄しか見てこなかった唐丸にとって、石燕に促されるまま絵を描く日々は一時の光だったと思います。やがて石燕から自分のところに来て絵を本格的に学ばないかと誘われる。その時の唐丸の素直な笑顔がとても切なく刺さった…。絵を描くのが好きで石燕先生のもとで学びたいと心から望んでいたに違いない。何よりも、あの地獄の日々から抜け出せるという希望すら抱いたはず。
しかし現実は彼の思い描くようにはいかなかった。家には内緒で石燕先生の元へ駆け込めばよかったのにとも思って見てしまいましたが、小説によれば唐丸が母親に逆切れされたあの時がまさに”逃げようとした”日だったようです…(涙)。見つかっちゃったんだよね…。

再び地獄の日常に引き戻された唐丸でしたが、しばらくして第1回で描かれた「明和の大火」が発生。あの日、唐丸は小さな体を生かしてなんとか潰れた家屋から脱出していた。しかしその足を家に取り残されはい出そうとしていた母親の手がつかみ取り、息子に向けたものとは思えないような呪いの言葉を吐いていた…。

「あんたはどうしたって死なない!人の命を吸い取るそういう子だからね!!鬼の子だからね!!」

なんて残酷な言葉を息子に植え付けたのだろうと思いながら見たけど、おそらくあの母親も”夜鷹”となった時点で人間として色々なものが壊れてしまった人だったのだろうとも思いました…。そんな母親から生まれてしまった唐丸があまりにも哀れで言葉がありません…。
唐丸の母親を演じたのは大きな話題をさらったネットドラマ『SHOGUN』に出演されていた向里祐香さん。この役を演じるのは相当精神的にも削られたのではと思います。おそらくインティマシーコーディネーターさんの助けもあったのではないだろうか。

このままでは殺されると危機感を覚えた唐丸は母を見捨てて逃げた。ただ逃げたかった。しかしその時の想いが次第に「母を見殺しにした」という罪悪感に蝕まれていく…。だからあの火事の時、唐丸は独りで火の海の中へ歩みを進めていたんだね…(涙)。

「そもそも生まれてきたのが間違いだったんだって…!」

という捨吉の言葉はあまりにも重く辛く哀しい(涙)。

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それでもあの火事の日、唐丸は蔦重の手によって命を繋ぎ止めた。吉原は過酷な”地獄商い”の場ではあるけれど、唐丸にとってそこは”夢のような場所”でしかなかった。あの当時の彼の気持ちを思うと…それだけで胸が詰まる。蔦重と過ごすなかで芽生えていった子供らしい感情。それがどれだけ尊いものだったのか…今になって痛いほど伝わってきて涙が止まりませんでした(泣)。
しかし、幸せを掴みかけたあの日…唐丸の前にかつての母のヒモだった男・ヤスが現れた。彼は唐丸が火事の日に母を捨てて逃げたことを知っていた…。そして店の金に手を付けたあの日、ヤスとともに命を終わらせることを選んだ。それなのに、また生き残ってしまった…。

捨吉は自らの半生を語った後に自分のことを「ゴミ」だと称し、こんな自分を助けてはいけないと呻きました…。「さっさとこの世から消えてしまったほうがいいんだ」と…。きっと、生き残ってからずっとそう自分を責め続けてきたに違いない。消えてしまいたいけど、それができない。でも消えたい。自分自身をとことん”負の存在”だと追い詰めなければ息ができなかったのではないだろうか。そういう生き方しかできない捨吉がひたすら哀しくて涙しか出ない(泣)。
しかし、この話を聞いた蔦重は意外な言葉を口にする。

「そうだな…。俺はおまえのこと助けられないわ…」

捨吉の壮絶すぎる話を聞いてそれに同調するのではなく、まず突き放すような言葉を投げかけて相手の興味を惹く。予想外の言葉に捨吉は思わず振り向いてしまいましたからね。ちなみに小説では「死にたいおまえを俺が殺したら自分がお縄になってしまう」という蔦重の台詞がありました。彼はこのような言葉をかけることによって、捨吉の気持ちを少しでも和らげようとしたかったんだなと思った。
その上で蔦重は「お前が生きたいのならいくらでも手を貸すことができるぞ」と優しく促します。このあとの彼の台詞が実に秀逸で思わず惹きこまれてしまった。

「俺(捨吉)は死んで償いたいのに”こいつ”(蔦重)に無理やり生かされてるんだって。ごうつくな本屋に見込まれて無理やり絵を描かされているんだって、その言い訳にはなれる」

この言葉を捨吉に伝える蔦重の懐の広さよ!!!彼は捨吉の心の負担にならないよう、気持ちの逃げ道を与えたんですよね。あのセリフは本当に凄いなと思った。それでもなお、母を見殺しにしたことと心中しようとしてヤスだけを死なせたことへの罪悪感に苛まれている捨吉。そんな彼にかけた蔦重の言葉も泣けるほどやさしかった。

「俺はお前が悪いとは思わない。死んだ奴らには悪いけど、お前が生きててよかったとしか思えないんだよ。お前に石投げるのは別のやつの役目ってことだろう?俺の役目はおまえを助ける。俺は、お前を助ける」

もうこのセリフ言ってる時の蔦重、演じてる流星くんのあまりにも誠実な表情に大号泣(涙)。涙無くして見れないよ…!!捨吉は…、唐丸はずっと心の奥底で欲していたんだと思います、「お前が生きていてくれてよかった」という言葉を。蔦重はまっすぐなピュアな気持ちで一番彼が欲していたそれを伝えた。あの瞬間、捨吉は初めて本当の意味で蔦重に心を開けたんじゃないかなと思いました。

捨吉は再び蔦重に救われた。あの大火の日シーンとリンクした土手の上を二人で走るシーンに号泣(涙)。

それにしても、この一連のシーン…、横浜流星くん染谷将太くんの繊細なやり取りのお芝居が素晴らしすぎましたね。流星くんのほうが染谷くんより4つ年下なのですが、ドラマを見ると見事に二人の年齢が逆転して見えた。流星くんの蔦重はしっかりと年齢を重ねた深みが出ていたし、染谷くんも少年唐丸の面影を感じさせた若さを感じました。今回の再会シーンはあの二人だからこそ成立したんだなと改めて思う。

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駿河屋を尋ねた蔦重は市右衛門に「捨吉を養子にするため”人別”(現在の戸籍)をもらえないか」と懇願。それを拒絶した市右衛門は激しくそれを拒むわけですが、久しぶりに蔦重が階段から落とされるシーン見た気がする(音だけでわかるw)。まぁ、訳ありの過去がある唐丸のために尽力したことが知れたら駿河屋の名前に傷がつくのではという気持ちも分からなくはないけどね(汗)。
そんなとき、黙って笑顔で人別を手渡してくれたのはふじさんでした。

血相を変えて降りてこようとした市兵衛の前に立ち一喝したふじ、めっちゃ男前でカッコよかった!!

彼女は今まであまり多く語ってこなかったけれど、ずっと温かい目で蔦重を見守ってきた。彼が唐丸が生きていると信じて待ち続けていた姿もずっと見てきた。あのシーンはここに繋がるための伏線だったのかと気が付いてめちゃめちゃ胸が熱くなりましたよ(涙)。夫を諫めながらも持ち上げる言い方もお見事です。

さっそく耕書堂に戻ると、豊章が捨吉を連れ戻そうとしてひと悶着起こりそうな雰囲気になっている。蔦重は彼に嚙みつくのではなくやんわりと「そいつは俺の義理の弟なんで」と割り込んでいく。この対応とかも実に巧いなぁと思います。
ちなみに、捨吉が豊章の世話になる経緯は小説によると…”豊章は石燕の門人でその繋がりから”とありました。そうだったのか…!捨吉があのようなひどい目に遭ったのは運が悪かったとしか言いようがない(汗)。

蔦重はふじからもらった人別を見せながら、捨吉の本当の名前は「勇助」で自分の義理の弟筋にあたることを飄々と説く。”勇助”は早くして亡くなった女郎の息子で駿河屋に養子に入ったものの脱走して行方不明になっていたらしい。どうかこのまま行方不明のままでいてほしい…(汗)。もし本物の”勇助”が戻ってきたら大変なことになりそうなので(汗汗)。
同席していた次郎兵衛は蔦重の話を聞いてるうちに「そんな子がいた」と合わせてくれるように。あれって分かってないんだけど蔦重の調子に合わせて芝居に乗ったのか、はたまた本当にいたような気分になっていたのか…どっちなのかなww。何はともあれ、ここでも義兄さんはグッジョブでしたわ(笑)!

ちなみに、「勇助」は喜多川歌麿の”幼名”だそうです。このように繋げてきた森下先生の巧みな脚本には驚かされる。

豊章はそれ以上追求せず、それどころか「仕事をくれ」と蔦重に直談判。彼はそれを拒絶せずに「書けるなら」と快く頼んだようでした。そういう懐の深さも蔦重の大きな魅力ですよね。だからこそあれだけ多くの作家に慕われたのかなぁと。豊章は後に蔦重のお抱え作家・志水燕十と呼ばれるようになるようで。虎ちゃんの出番は今後もありそう!
捨吉は自分ことで迷惑をかけてしまったと罪悪感に浸ってしまいますが、「うまくいけば飛んで火にいる夏の武士ってとこよ」と笑い飛ばす。こういうふうに気を遣わせないようにうまく心を寄せるのもすごく素敵だなぁと思う。またいいんだよなぁ、流星くんの裏表のない屈託な表情が。

そして蔦重は初めての人別に胸を熱くしている捨吉にある”名前”を授けます。

「歌麿っていうのはどうだ?お前の画号だよ」

”丸”より”麿”のほうが公家の雰囲気があって彼の暗い過去も華やかなものへとイメージチェンジできる。新しく名付けた名にはそんな蔦重の親心が詰まっていた…。あの時の蔦重と、「耕書堂」という名前を授けた時の平賀源内の姿が重なって見えたのは私だけでしょうか…。なんかそれだけでウルウルっときてしまった。

蔦重の画号への壮大な想いを聞いて「そんなにうまくいくわけあるかよ」と頬を緩ませる捨吉、改め歌麿。蔦重と過ごした楽しい日々の時に見せて以来の笑顔だったんじゃないかなぁ。それだけでもほんと涙が出てしまうよ…。
ピュアな歌麿の笑顔を見た蔦重は”唐丸”と過ごした日々が思わず過ったのではないだろうか。そして過去を抱えながら生きていた唐丸を救えなかったことへの後悔を語る。今まで世話になってきた瀬川や源内を救う力を持っていなかった自分。今度こそ大切な人に報いたいという気持ちが蔦重の中でずっと渦巻いていた。

 「お前を助けることで救われるのは俺でさ…。歌麿、あの時の約束、守らせてくれ。お前を当代一の絵師にする。だから死ぬな!俺のために生きてくれ!」

「義弟が…義兄さんが言うことに逆らうわけにはいきませんね」

もう、この二人の会話シーンはタオル絞れるくらい泣いた(滝涙)。歌麿への想いが溢れ涙ぐみながら「死ぬな、生きろ」と一番伝えたかった言葉をついに口にした蔦重。歌麿はずっとずっと誰かに「生きていてほしい」と言ってほしかったと思うんですよ。その言葉を、彼に希望を与えてくれる存在である蔦重が言ってくれた。こんな泣ける展開ないよ…!!それに対する歌麿の「義兄さんの言うことには逆らえませんね」というフレーズも心底泣けました(涙)。
この熱い熱い二人の絆が、やがてお互いを大きく育てていくことになるんだなと思うと本当に胸アツでしたね。

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ある夜のこと、前回はまだ幼さを残し可愛らしかった誰袖が妖艶な雰囲気で花魁道中を歩いていた。

福原遥ちゃんの外八文字、瀬川とは一味違った妖艶さが出ていてとても素敵でしたねぇ。後ろについている志げさんの笑みがホラーで面白かったww。

誰袖を待つ間、喜三二は蔦重に完成した原稿を手渡しました。どうやら”腎虚”からは無事に復活できたようでよかったです(笑)。出来上がったものを読んだ蔦重の「 どうやったらこんなふざけた話思いつくんですか?」っていう素直な感想に笑ったwww。これ最高級の誉め言葉なんですけどね(笑)。
その内容はというと…”枕を貸して夢を見せる商い、しかも夢から覚めたらそれもまた夢だった”というものだそうで。タイトルは『見徳一炊夢(みるがとくいっすいのゆめ)』。「〇〇のおかげかねぇ」とご機嫌なまぁさんww。このやり取りもちとお子様に説明するのが難しいワードですなww。それから到着した誰袖の「兄さんもご一緒に」っていう意味も深掘りしちゃちょっとね…って言葉だよね(汗)。それを察してさりげな~く傷つけないように逃げた蔦重ww。

今回のエピソードはホント、緩急の振り幅が大きすぎるんですわ(笑)。

一方江戸城では田沼が着々と派閥固めをしていて将軍・家治に進捗状況を報告していました。ところが上様、亡き愛妻とそっくりな鶴姫様に夢中で寝不足なご様子ww。最初は「もう自分には無理!!」と及び腰だったのに、相手がお気に入りになるとそうでもなさそうで(笑)。田沼様の察した豪快な笑いもなんともwwww。

ところが、そんなぬるい展開wを一気に凍らせる事件が発生。家治が通ってこないことで孤立を深めていた側室の知保の方が自害を図ったという。次回はお城の展開にも動きが起こりそうです。

そしてついに鱗形屋にも…。また泣けそうな展開だよなぁ。

歌麿が爆誕した第18回。このタイミングでなんと喜多川歌麿の代表作「ポッピンを吹く娘」の最初期版が再発見というニュースが流れてきました。

運命的なものを感じずにはいられません。是非一度生で見てみたい…。

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