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NHK大河ドラマ『青天を衝け』第8回ネタバレ感想 栄一の祝言

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信州から戻った栄一はその足で千代の元へ走り、近くの神社でついに自らの想いを打ち明けました。その直後にタヌキが現れてちょっとアタフタしちゃう栄一は可愛かったww。タヌキさんにもその行く末を見守らせてあげればよかったのにねぇ(笑)。

もちろん千代の返事は「YES」だとばかり思っていたのですが、なんと最初に出た言葉が「ごめんなさい」(汗)、しかも千代ちゃん、泣いてるし(汗汗)。あんな姿見たら栄一としては「突然すぎて困らせちゃったのかも」と不安になるよねぇ。
でも、千代は「ずっと嫌われてたと思ってたから、ホッとして…」と感極まっていたのです。栄一が喜作に遠慮して千代から距離をとったことを、千代は「嫌われてしまったのかも」って思いこんじゃったんですね。それは確かに辛かったよねぇ。だからなおさら「お前が欲しい」とハッキリ告白されて嬉しさと共に安堵の気持ちも沸き起こってきたのか。栄一の前で涙する千代は何ともはかなげで可愛らしい。

千代の気持ちを確認した栄一はホッとしたのか「もっと話してもいいか?」と少し遠慮気味に尋ねます。こういうところがなんとも初々しい!千代は、ようやく栄一と密に語り合える喜びで胸がいっぱいの様子。二人でこういう時間が取れるのを心待ちにしてたからなおさらだろうね。

栄一は信州への旅の途中の険しい山の上から見た青空の美しさを見たときの感動を千代に熱く語ります(新型コロナ禍だからか、微妙に二人の座る位置が離れてますな 汗)。

「俺は、己の力で立っている!そして、青い点に拳を突き上げている!霧が晴れて道が切り開かれているような気がした。俺は、この世を変えたい!」

目をランランと輝かせながら将来の夢を熱く語る栄一。その夢を千代と一緒に見たいと改めてプロポーズしたその時、後ろから喜作の声が聞こえてきた。一番いいところだったのに~~、すごいタイミングで入ってきたね(笑)。

喜作は長七郎からの手紙に「千代が欲しければ 栄一と勝負しろ」と書かれてあったことを告げ、真剣なまなざしで栄一に勝負を申し込みます。長七郎は栄一には「お前が千代と結ばれると思っていた」と書いて、喜作には「千代が欲しいなら栄一と勝負しろ」と書いて焚きつけてたのか~。いやはや、策士だねぇ(笑)。
栄一は喜作からの勝負の申し出を受けることにします。愛する千代を巡って、従兄弟で親友同士の二人の勝負が道場で始まろうとしていた。

以下、さらに第8回を見て気になったシーンもろもろネタバレあり

これまでの『青天を衝け』感想レポ

青天を衝け
青天を衝け
2021年度NHK大河ドラマ『青天を衝け』の感想レビュー

『青天を衝け』第8回 栄一の祝言

2021年04月04日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45 ほか

出演:吉沢亮、高良健吾、橋本愛、満島真之介、田辺誠一、岸谷五朗、草彅剛、堤真一、竹中直人、和久井映見、小林薫、ほか

あらすじ

ついに、栄一(吉沢 亮)は自分の思いを語り、千代(橋本 愛)に結婚を申し込む。と、そこに待ったをかけたのは喜作(高良健吾)。栄一と喜作は剣術で勝負をすることに。一方、幕府では、大老になった井伊直弼(岸谷五朗)が「日米修好通商条約」を結ぶが、調印は違勅だと大問題に発展。井伊に意見した慶喜(草彅 剛)や斉昭(竹中直人)には処分が下され、安政の大獄と呼ばれる苛烈な弾圧が始まる。

<公式HPより引用>

栄一と喜作は竹刀を振りかざし、これまでにない気迫を剥き出しにして激しくぶつかり合います。二人の本気モードの打ち合いは本当に迫力満点だった!一歩間違えれば大怪我するんじゃないかくらいの勢いがあったから見ていてドキドキしちゃったよ。この撮影に当たってはすごく準備重ねただろうね。

ふたりの殺気だった勝負は熱を帯びていきますが、その最中、見知らぬ女性が嬉しそうに駆け込んできて「喜作さん、気張って!!お気張りくださーい!!」と黄色い声援を送ってきた。その声に気づいた栄一が思わず「誰だい、あれは?」って素に戻ったのが可愛くて面白かったww。喜作は少し気にしたくらいで集中力切らせてなかったのがすごいよ。
さらに熱が上がった喜作は恐ろしい形相で栄一をさらに追い詰めていきます。その光景を目の当たりにした千代は思わず、「栄一さん、気張って!!」と声援を送る。これはちょっと、喜作にとっては残酷なシーンでしたよねぇ…。千代の気持ちは栄一にあるのではというのは薄々感じてはいただろうけど、心のどこかで望みがあると期待もしてたと思うんだよねぇ…。

そして二人の勝負は”相打ち”という形で収束します。この勝負を見届けた惇忠は、僅差ながらも喜作の勝利を告げる。栄一も頑張ったけど、集中力と剣への執念みたいなものはたしかに喜作のほうが上だったからね。これは納得の結果です。しかし、惇忠はこの勝負が何の目的で始まったのかまでは理解していなかったよう(笑)。
喜作は勝負に勝ったにもかかわらず苦い表情をして千代に向かい合い「栄一は弟分みたいなものでまだまだの男なのに、国を変えたいなどデカいことを言う奴だ」と批判するようなことを言いつつ…

「あいつには、おめぇのようなシッカリ者の嫁がいたほうがいい!!」

と告げるのでした。おそらく、千代が栄一を応援した声を聞いてしまった時に諦めの気持ちが固まったのかもしれないね…。「あいつの面倒を見てやってくれ」と千代に告げた喜作、辛かったと思うけど、よく決断したよ!そして栄一には「幸せにしろよ」とだけ告げて黙って道場を後にしました。切ないけど…こればかりはどうにもならないよね。喜作、君はいい男だよ!!
そんな彼の後を、先ほど黄色い声援を送っていた女性が複雑な表情で黙って追いかけていきました。

で、この一連の顛末を見ていた惇忠兄ぃですが・・・「どういうことだ??」と全く状況が把握できていないご様子(笑)。そんな兄ぃに平九郎が「兄さん今、ちょうどその話が済んだとこだに」と事態を悟らせようとしてたのが可愛くて笑えたwww。
そんな惇忠に栄一は「お千代を俺の嫁に下さい!!」と頭を下げます。それを聞いた兄ぃの反応は…

「えぇぇ!??栄一がお千代と????」

と、ただただ驚くばかり(笑)。淳忠兄ぃ、こういう他人の色恋沙汰にはトンと疎いようですなww。ずっと喜作と千代がイイ感じのまま進むと信じ込んでいた節があるし、栄一、危ないところだったよ(笑)。
懸命に千代への想いを伝える栄一と、そんな彼と一緒に頭を下げて許しを請う千代。ここでようやく「お前たち、想い合っていたのか!」と事の次第を把握した惇忠兄ぃww。そんな様子を見て嬉しそうな顔を浮かべた平九郎も可愛かった!

「栄一は俺の同士であり、可愛い弟分だ。そういうことなら、認めぬわけにはいかぬだろう!!」

千代の父親代わりでもある惇忠の許しを正式に得ることができた栄一は、無事に千代と結ばれることができたのでした。

一方、勝負には勝ったものの恋に破れて意気消沈する喜作にも春の予感が!!

「実に見事な腕前でした!喜作さんに惚れ直しました!」と嬉しそうに話しかけてきたのは、 前回喜作が「けんかの仲裁をした際にその姉から惚れられて縁談話が進んでる」と話していたよしさんだったのです!この時彼女がその人だとようやく気付いた喜作w。でもこれを機に二人の仲は急速に進んでいった模様。

恋に破れてしまい気の毒だった喜作に、すぐに救いの手が差し伸べられるようなこの展開は心が温かくなりました!切ない思いをさせられた彼でしたが、ちゃんと想ってくれる人の存在がいてくれて本当に良かったよ。

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平和な血洗島のエピソードが10分続いた後のOP。その直後に登場の家康さん。今回は”井伊の赤備え“の説明からスタートです。

この”赤備え”の兜を見ると、4年前の大河ドラマ『おんな城主直虎』で登場した菅田将暉くん演じる井伊直政を思い出すなぁ~。あと、ゆるキャラの「ひこにゃん」もね(笑)。
井伊直弼は14男として生まれたがゆえに最初は当主の座はあまりにも遠く、茶の湯や和歌などを好んでひっそり暮らしていたので「茶歌ポン」というあだ名がつけられたほどでした。しかし、次々と兄たちが他界してしまったことで15代井伊家当主となったわけです。

将軍・家定は正式に直弼に大老職を申し付けます。前回「大老になる日が待ち遠しいのぅ~~」とウキウキで待ち構えていた松平慶永さんは「なぜこいつが!!」とかなり衝撃を受けていたご様子(笑)。
直弼としても、家定の口からお菓子をパクリしたことがきっかけでまさか「大老職」に任命されるとは思っていなかったので戸惑いの気持ちを隠し切れませんでした。それゆえ、「掃部守様は大老の器ではございません!」と猛然と抗議する岩瀬の姿を見てたじろいでしまう。個人的にはここで川口覚さん演じる岩瀬が登場してくれたのが嬉しくてテンション上がったのですがw、直弼としては生きた心地がしない様子だったよなぁ。

こんな気弱な井伊直弼像を見たのは今回の大河ドラマが初めてだったので非常に新鮮でした!これまでは大御所系の俳優さんが演じることが多くてめちゃめちゃ貫禄あるキャラでしたからね。ちょっとやそっとの抗議や陰口では全く動揺しないドンみたいなタイプの人物として井伊直弼がインプットされてきた感がある。
しかし、もともとは”茶歌ポン”というあだ名をつけられてしまったり、「埋木宿」という質素な館で目立たず生活をしてきたような人物だったのだから、急に表舞台に立てられてビビってしまうということが妙に納得できてしまうのです。「自分では柄でないのは分かっておる」と自らに言い聞かせて気持ちを落ち着かせようとする直弼に思わず感情移入してしまいました(向かう方向まで間違えちゃったりしてたのが可愛いw)。

円四郎は新参者の井伊が突然大老職に就いたことが納得できずブツクサ文句を言いまくっていましたが、慶喜としては「家柄的に問題ではないじゃないか」とあまり不快に思っていない様子です。

あくまでも将軍職に就くことに関して超消極的な慶喜に、円四郎は「皆あなたさまに日ノ本をまとめていただきたいと望んでいるんですぜ!」とここはもう、推して推して押しまくりと言わんばかりに大熱弁w!すると慶喜はこれ以上円四郎の大演説を聞かされるのは堪らんといった感じで一言・・・

「もうよい、分かった」

と答えてしまいました。最初は「またかよ~」みたいにガックリきた円四郎でしたがw、その直後に「分った」という言葉に「え!!?」と逆にビビってしまう(笑)。いつもみたいにノラリクラリかわされると思ってただろうから不意を突かれた感じになったんだろうねww。
それでも、初めて慶喜が将軍職に就く意欲を見せてくれた(慶喜本人は微妙な感じでしたがww)ことにテンション爆上がりした円四郎は「水戸のご老公に知らせを!」と部屋を飛び出していってしまいました。

一方、再び家定の茶会に招待された直弼は「このような大役は恐れ入ったことで、某自身はまだ拙く皆の信を得ておりません」と大老職辞退を申し出てしまう。今までこんな弱気なキャラの井伊直弼を見たことがなかったのですごく新鮮!しかも、むしろこちらの方が自然と思えてしまう。
ところが、直弼が「斉昭にも嫌われているし…」と言葉を濁した時、家定は不機嫌そうに立ち上がって「斉昭は公儀を我が物にしようと図っておるのじゃ!」と苛立ちを隠さない。

家定は周りから「無能の将軍」として見下されていたことに強いストレスを感じていました。外国への対応の協議の折も、阿部は家定を無視して話を先に進めていたからね…。家定は政に全く無関心ではなかったのです。それゆえ、将軍の自分が蚊帳の外に置かれていることに孤独感を募らせてしまい、余計にお菓子作りなどへ熱中してしまった…。
そしてもう一つ家定の心の傷となっていたのが、前の将軍で父親でもあった家慶が慶喜を養子に迎え我が子のように可愛がったことでした。家慶は慶喜が養子に入った時「水戸の壮健な体を持つそなたが一橋に入ったことを何よりと思っている」と告げてた。実子よりも養子に愛情を注いだ父の態度が家定の心に大きな影を落としていたのです…。家定はずっと、寂しかったんだろうね…。

そのトラウマがいつしか慶喜憎しの感情へと変わっていった家定。家定自身が一橋を毛嫌いする理由がここにあったというのは今までの歴史ドラマにはなかった斬新な視点だと思います。
家定の心の孤独を感じ取ったであろう直弼は、その境遇を自らと重ね共鳴したのかもしれません。改めて大老職を引き受ける決意を固めました。そして跡継ぎは紀州の慶福がふさわしいと宣言。初めて自分の意見を真正面から聞いて受け止めてくれた直弼のことを家定は高く評価します。「そうよのぅ」と感極まった様子の家定の気持ち、よく分かるよ…!直弼はきっと初めて心から信頼できると感じられた家臣だったと思う。

家定の想いを汲んだ直弼は、話し合いの席で毅然と「将軍世継ぎは紀州様を推したいと思う」と宣言。この時はまだ大老首座の立場だった堀田は「今日の状況を乗り切るには年長者(慶喜)を立てるほうがふさわしいのではないか」と意見しますが、直弼はそんな彼を「我々は君(将軍)の命に背くことがあってはならない」と一喝し、強引に次の将軍は紀州の慶福であると定める。自分を信頼してくれる人が一人でもいると思うと、人間、強くなれるものですよね。

この後、井伊直弼の舵取りが本格的に始まり…一橋派の排除の動きが加速していきました。

一橋派で動いていた勘定奉行の川路聖謨も、西の丸留守居役(将軍様の留守を守る役職)に左遷されてしまいました。円四郎はあまりにも理不尽な人事だと悔しさを隠し切れませんが、川路本人は「もういい年だから」と諦めたように笑います。
それにしてもこのシーンでの雨…、演出じゃないような気がしたんですが実際どうだったんでしょうかね。けっこうな土砂降りだったので気になってしまった。役者さんも大変だ。

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強権を振るい始めた直弼でしたが、実は周囲の反応にとても怯えている一面もありました。ある晩などは、自分を無視してほかの者たちがどこかへ消え失せてしまい「茶歌ポン」などといった陰口があちらこちらから聞こえてくる悪夢に魘されてしまうことも(汗)。こういうところがすごく等身大の人間ぽくてとても共感できますね。
自分と同じような心の孤独を感じた家定に共鳴して一橋派の排除を始めたものの、その一方では自分に対する評価に常に怯えてもいた直弼。身の丈以上の役職だと自覚しながらも引き受けたゆえに心労も大きかったと思います。

1858年6月19日、ハリスたちと交渉を重ねていた岩瀬忠震井上清直が天皇や朝廷の許し(勅許)を得ることなく日米修好通商条約の締結をしてしまいました。孝明天皇は「攘夷論者(外国が大嫌い)」だったため、断固として開国を認めるこの条約に調印することを認めようとしませんでした。それゆえ、岩瀬さんたちが勅許を得ないまま話をまとめてしまったのは許されない行為だったわけです。
ちなみに、条約の内容には「日米の友好」と「更なる港の開港」のほかに明らかに米国に有利な貿易条件が加えられていたので、後に「不平等条約」と呼ばれるようになったそうです(汗)。

展開的には「違勅」となってしまう事態に発展しているので由々しき事態なのですが、ここでようやく川口覚さん演じる岩瀬がクローズアップされてテンション上がりました(笑)。やっぱりカッコいい!!思いのほか出演時間が長くて嬉しかったです。

天皇の許しなく日米修好通商条約を結んでしまったことは直弼も寝耳に水の話で大きな衝撃を受けてしまう。これまでの井伊直弼が出てくるドラマでは、彼が率先して条約を結んでしまったという解釈で描かれていることが殆どだったので、「天子様はまだお許しになってないのに!?」と動揺を隠せない展開になっていたのはとても斬新だなと思いました。

これまでは天皇の意思を無視して直弼が強引に条約締結をしたように解釈されていたようですが、近年の研究では「勅許が出てから調印すべし」という考えを持っていたことが明らかになったそう。条約締結は欧米列強の脅威を考えて止む無しと思っていたものの(ハリスから相当脅しかけられたらしい 汗)、天皇の許しだけは何としても得なければと考えていたというのが本当のところだったようです。
しかし、岩瀬たちから「どうにもならなかった時にはどうしたらいいか」と尋ねられた直弼は「その時は仕方がない(でもそうならないよう努力して)」と伝えたそう。で、「これはGOサインなんだな」と判断した岩瀬たちが思い切って調印に踏み切ってしまったんだとか。解釈の食い違いによる悲劇でしょうねぇ(汗)。

そんな内情など知る由もない(いや、知ったとしても同じ結果か 汗)斉昭は「天子様の御英慮に背いて条約締結するとは不届き千万!!」と大激怒。一刻も早く井伊を大老から引きずり下ろし、慶永を大老に据えて政を正常に戻すべきだと鼻息が荒い。
それを黙って見守るしかできない水戸家当主で慶喜の兄の慶篤さんは「また厄介の種が…」みたいにゲンナリしておられましたなw。お父ちゃんの暴走劇がまた始まりそうで心配してもしきれないでしょう。

一橋邸でも円四郎たちが井伊のやり口を非難。斉昭と同じく慶永を大老に据えるべきと慶喜に進言していましたが、当の慶喜はそれよりも孝明天皇への扱いがないがしろにされていることに関して大きな懸念を抱いていました。
条約調印の知らせを手紙でのみで行ったと聞いたことで井伊に対する怒りが沸き起こってきたようです。父・斉昭からは「天子様を必ず敬うように」と教育されてきたゆえに、大事な出来事を手紙だけで済まそうとするやり口が許せなかったんでしょうね。

慶喜は直弼をすぐに一橋邸に呼ぶよう強く求めました。大老を呼びつけるなど前例がないと一度は反対されますが、慶喜としては父の斉昭が直弼に対して暴挙に出る前に自分が先に会って話をつけたいと強く望んだのです。たしかにあの父ちゃんなら直弼襲撃計画企てても不思議はないからな(汗)。
円四郎がいつになく政局に対して本気モードになった慶喜が嬉しかったようで、張り切ってその手配に走っていきました。ついに将軍への目覚めがきたなと興奮しただろうねw。

結局対面に際しては慶喜が登城すれば可能というところで決定。しかし、直弼の心には余裕がありませんでした。必死に「一橋慶喜、恐れるに足らず」と言い聞かせ落ち着かせようとしていて…、彼もぎりぎりのところで戦っているんだなぁと感じました。

慶喜は直弼に条約調印のことを「承知のうえだったのか、それとも不承知だったのに押し切られてしまったのか」と尋ねる。それに対して直弼は「仕方なく同意をした」と答えてその場を凌ごうとしたようですが、これを聞いた慶喜は突然「天子様の御英慮に反したうえに、ただ手紙だけで知らせようとするとは言語道断!」と激しい口調で糾弾。さすがの直弼もけっこうビビってしまったようで、明日にでも誰かを朝廷に向かわせ弁解すると約束しました。
草彅くん、ここのセリフはけっこう難解な言葉が並んでいたからちょっと苦労したかもしれないですね。一瞬危ういような個所もありましたがw、無事に言い切れたのはさすがです。

必死に謝る直弼を見た慶喜は、自分を落ち着かせるように「うん」と大きく首を縦に振ります。この仕草がなんだかちょっとかわいくて笑ってしまったw。柄にもなく感情を剝き出しにしてしまいましたから、ああすることで冷静になるよう自分を抑えようとしたのかもしれないですね。
頭を下げたままの直弼に慶喜は「すべては徳川のためじゃ」と告げました。その言葉に意外性を感じ思わず狼狽えてしまう直弼。彼としては、慶喜が自分を陥れるために呼びつけたのだと思ってた節があったでしょうから「徳川のため」と聞いた時驚いてしまったんでしょう。

話を変えた慶喜は世継ぎの問題について言及。それに対して直弼はただただ「恐れ入り奉る」と頭を下げるばかりで核心に触れようとしない。実際に直弼は違勅の件を責められたときに殆ど「恐れ入り奉る」という言葉で乗り切ったという記録があるそうなw。
すると慶喜は、直弼が答えたがらないのはもしかしたら自分以外の人物が将軍継承することで話が進んでいるのではないかと直感!

「いよいよ紀州殿に決まったのだな!それは大慶至極ではないか!!私もなんやかんや言われて案じていたが、安心した」

この時のそれぞれの心境は…、

慶喜 ”やった、ラッキー!!(これで煩わしさから解放される)”

直弼 ”マジで!??ホントにそれでいいの!?(ほっ)”

円四郎 "オーー、マイ、ガー!!ホワーーイ!?(将軍やる気になったんじゃないの!?)”

って感じでしょう(笑)。慶喜はまだ若いながらも聡明で礼儀正しい紀州の慶福に好感を抱いていたようです。

磯村勇斗くんの紀州慶福(のちの家茂)初登場!初々しくて可愛らしい。雰囲気に合ってて好印象でした。

慶喜は、直弼が大老として補佐すれば立派な将軍になれるだろうと大絶賛。まさかそんな評価がくるとは思ってなかった直弼は「紀州様でよろしいと…?」と動揺しながら再確認w。「さもありなん」というはっきりした肯定の回答を聞いてまさに肩の荷が一つ下りた心境になる直弼さん、その気持ち、よく分かるよ。そりゃ、誰もいなくなった畳の上で大の字に寝たくもなるよねw。
しかし円四郎は納得がいかず詰め寄りますが、慶喜は「これ以上この問題を長引かせるのは公儀を混乱させるだけだ」と聞く耳を持ちませんでした。

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慶喜と対面した翌日、直弼のもとに斉昭が鬼の形相で訪ねてきました。慶喜が危惧していた通りでしたな(汗)。これに対して違勅の件は人を派遣することで話が付いたと告げる直弼。これに関しては斉昭も納得したようでしたが、将軍継承問題を公にする時期に関しては譲れない様子。しかし、直弼はこの件に関して慶喜の了解をちゃんと得ていることを告げました。これには斉昭だけでなく兄の慶篤や尾張藩主の慶恕(のちの慶勝)は驚きを隠せません。
斉昭は直弼が強引に慶喜にそう言わせたのだと思い込み、慶永を呼べと騒ぎ立てる。しかし、直弼は全く取り合おうとせずその場を立ち去ってしまいました。こういう彼の冷たい一面を見ると、これまで気弱な面がフィーチャーされてきただけにゾクっとしますね。

一方の慶喜は、その夜妻の美賀にだけは複雑な本音を打ち明けていました。

「おかしなものじゃ…。ホッとしたような、どこか寂しいような…、不思議な気持ちじゃ」

あれだけ将軍職に就くことを頑なに拒んできた慶喜でしたが、心のどこかでは「将軍となり世の中を動かしたい」という欲も芽生えていたのかもしれません。円四郎に将軍に就くよう詰め寄られたとき「分った」と答えてしまったあの時がまさにそんな状況だったのではないかなと。
それにしても、いつの間にか夫婦仲はかなり改善していたようで安堵しました。美賀君は第一子を宿していらっしゃいましたしね。「将軍になる道は断たれた」と聞いても「おやまぁ」と答えるだけで慶喜の想いに寄り添うような態度を示していたのも良かったです。

しかし、慶喜は自分のことよりも父・斉昭のことのほうが気がかりだった様子。

「父上は、さぞガッカリされたことだろうのぅ…。私は父上の最後の望みまでも摘み取ってしまった…」

父を想う息子の言葉がとても切なくてウルッときました…。父の夢を奪ってしまったという罪悪感が慶喜の心に影を落としてしまいます。その頃斉昭は生気を失ったように縁側に座っていて、相当な落胆ぶりが明らかです。

正式に慶福が将軍世継ぎと決まり万事うまく収まったと思われた直後、将軍・家定がついに重い病に倒れてしまいました(脚気の病との説とコレラとの説があるそう)。
苦しい息のなかで直弼を傍に呼びつけた家定は、最後の力を振り絞るように自らの強い想いを告げました。

「水戸や越前を皆処分せよ!慶喜もじゃ!頼むぞ…!頼む…!!わしの願いを叶えよ…!」

自らの死期を悟った家定は初めて心から信頼できる相手となった直弼にすべてを託したかったんでしょう…。最後の最後まで、水戸…特に父の愛情を奪った慶喜への激しい恨みの感情は消えることがなかった。自分を見下した相手を根絶やしにしたくなるほどの激しい復讐心がなんだかとても切なく哀しかった…。幼いころから体が弱かった故に名ばかりの将軍としてバカにされてきた悔しさは、相当なものだったと思います。
直弼自身も周囲から見下されていた経緯がありましたから、家定の孤独や劣等感は誰よりも理解できた。だからこそ、死の床の将軍からの最後の願いは是が非でも叶えなければならないという使命感に駆られてしまうのは自然な感情だったかもしれません…。

これをきっかけとして、井伊直弼は臆病だった自分を脱ぎ捨て「鬼」と化します。

”徳川斉昭は謹慎、松平慶永は隠居の上謹慎、水戸藩主の慶篤と、一橋藩主で一番のキーマンだった慶喜は登城禁止”

家定の頼みを忠実に実行した井伊直弼。その決定に多くの非難の声が飛びますが、彼の中にもう迷いはありませんでした。一度は理解しあえたように見えた慶喜にすら冷めた眼差しを送る直弼の表情にはゾクッとさせられた…!そして、それを受けた慶喜の何とも言えない怒りの表情がとても印象的でした。

草彅くん、素晴らしい表現力でしたね!!言葉を一言も発さず極力表情を抑えながらも、心の底から沸き起こる悔しさと怒りの感情が溢れかえり血管がピクピクしていたお芝居はかなりの鳥肌ものでした!!

一橋派の徹底排除を宣告した翌日、家定はこの世を去ります。これから始まる「安政の大獄」は、家定の怨念から生まれたものだという解釈にすごく説得力がある展開だったなと思いました。
円四郎のもとを訪れていた橋本左内は慶永隠居謹慎の報を受けて復讐心に燃えていました。しかし、こののち「赤鬼(井伊直弼の俗称)退治をする」と息巻いていた彼に大きな悲劇が襲い掛かることを、まだ誰も予感していませんでした…。

そして、大橋訥庵の「思誠塾」で学んでいた長七郎たちも斉昭隠居の知らせを受けて怒りの感情が渦巻いていました。彼らはこの後、過激な行動に拍車をかけていくことになります…。

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季節は冬、血洗島では栄一と千代の婚礼の儀が行われようとしていました。奇麗にお化粧した千代ちゃん、本当に美しかった!そして父親代わりとして共に歩く惇忠兄ぃですが、まんま父親って雰囲気だったなw。貫禄ありあり。

婚礼の宴は大盛り上がり!で、この席で明らかになったのが…喜作が栄一よりも先によしと結婚していたことでした。喜作のほうが早かったとは意外(笑)。明るくサバサバした雰囲気のよしさんはたまに喜作を尻に敷くようなことがあるようですがww、喜作自身はそれを不快に思っていないようで、二人とも仲良く暮らしているとのことで安心しました。手痛い失恋をしてしまった喜作が幸せになれたことが何より嬉しいよ。

久しぶりの嬉しい行事に宗助伯父さんも酒が進んだようで、すでに3曲目じゃないかとまささんに必死に止められてたのが面白かったww。 結局喜作が音頭を取ってさらに盛り上がる宴。江戸の不穏な空気とは正反対の平和で穏やかな血洗島。栄一と千代の結婚生活は最高の雰囲気でスタートしました。

しかし、暗い顔をした長七郎が江戸から血洗島に戻ってきた。彼はおそらく、大きな事件に巻き込まれているのではないだろうか…。血洗島の平和も、そう長くは続かないかもしれません。

今回は栄一サイドよりも慶喜サイドが中心に話が進んでいてとても見応えがあって面白かったです。ドラマ的にはやっぱり、幕末の江戸のほうが重要事件目白押しなので動きがあってドキドキしますね。ここに栄一たちがどのようにかかわって来るのか…。次回からも期待したいと思います。

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