今回の『西郷どん』は後編の中でもかなり肝になるストーリーだったと思うのですが、折り悪く巨大台風が日本列島を直撃してしまった関係でNHK総合は放送中止になってしまいました。
我が家は毎回大河ドラマは18時からのBSプレミアムで視聴しているため、先に見ることができてしまいましたが…それにしても10月になっても台風の脅威にさらされるとは、やはり異常気象が影響しているのではと思ってしまいます。
ということで、記事のアップも本放送が終わった後ということになりました・・・といっても、いつもかなり遅い更新になってますが。時間帯によっては視聴率がさらに・・・という危惧もあるんだけど(汗)、今回のはツッコミどころを考えても個人的にかなりグッとくることが多かったのでぜひ見てほしいなと思います。
鳥羽伏見の戦いの最中に突然現れた「偽の錦の御旗」効果で幕府軍を撃破した吉之助率いる新政府軍。慶喜が怯えるように軍を置き去りにして江戸へ逃げ帰ったため新政府軍は勝利を得たわけですが、吉之助はまだまだ追撃の手を緩めようとしない。
そこを曲げて勝との対面に応じてほしいという山岡の切腹覚悟の説得に折れはしたものの、吉之助の気持ちはそう簡単には変わってはいないようでした。
江戸城総攻撃の日が間近に迫るなか江戸に入った吉之助は、ひょんな場所で幾島と再会。彼女の手引きで天璋院(篤姫)と対面することに。
薩摩ではお互いに心を通わせ密な関係を築いていましたが、篤姫輿入れの後は会うことはなかった。その時からもう13年もの月日が経ってしまったのだねぇ…。
大河ドラマ『西郷どん』感想一覧
第37回 江戸無血開城
2018年9月30日放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45
※台風で本放送は中止になったためNHK総合は2018年10月7日放送
鈴木亮平・瑛太・堀井新太・錦戸亮・藤本隆宏・林家正蔵・松田翔太・笑福亭鶴瓶・遠藤憲一 ほか
あらすじ
江戸城総攻撃を前に、吉之助(鈴木亮平)は幾島(南野陽子)の手引きで秘密裏に天璋院(北川景子)との対面を果たす。吉之助は江戸城から逃げるように伝えるが、天璋院は徳川の名にかけて戦うと答え、自ら自決する覚悟だと迫る。そして、江戸城総攻撃の前日、吉之助は勝(遠藤憲一)と薩摩藩邸で対面する。江戸の民を救うために総攻撃を中止することを求める勝に対して吉之助は大きな決断を迫られる。
公式HPより引用
吉之助と対面した天璋院が最初に切り出したのは「慶喜の命嘆願」ではなく「慶喜の首と引き換えに戦を終わらせてほしい」というもので・・・これ聞いたときビックリしたよ。そう来たか!と。やっぱり篤姫はロックな人だった。
それにしても北川景子さん、「篤姫」の頃と「天璋院」の今とでは表情が全然違いますね!!回想映像が出てきた時、あまりにも変わっていたので驚きました。天璋院が重ねた年月の重みを感じさせるような芝居が素晴らしいです。
天璋院が「慶喜の首と引き換え」と言い出したのには、落とし前をつけたいという理由もあったようです。
斉彬から「一橋慶喜を次の将軍に据える工作員として徳川に嫁いでほしい」と知らされたあの時から、篤姫と吉之助はその想いを共有して突き進んできました。しかし、結局その時には願いが叶わずで・・・。二人が別々の時を刻んだ後にようやく「慶喜将軍」が誕生した時には、もはや斉彬が望んでいた国造りとは程遠いような状況だった。
つまり天璋院は、自らが推した慶喜を消すことで落とし前をつけようと考えていたわけです。恐るべし!!
嫁ぐときに守り神として斉彬からもらったキツネの置物の前で、天璋院は慶喜が亡き後は自分も命を絶つ覚悟であることを伝えます。そのうえで吉之助になんとか戦を止めてほしいと懇願するわけですが・・・
「西郷(さいごう)!!最後(さいご)の頼みじゃ!!」
というセリフを聞いたとき、狙ったわけじゃないだろうけど・・・「え、ここでシャレww!?」と緊張感ぶち壊しなことが過ってしまったのはここだけの話ww。
天璋院の願いはただ一つ、「徳川家の存続」です。そのためならば自らの命も差し出す覚悟で頭を下げますが・・・吉之助はその願いを受け入れることはできませんでした。
彼の中では「慶喜と徳川家を自分の手で消滅させること」は絶対に曲げられない様子。たとえ敬愛していた天璋院の頼みとはいえ、そこの部分は譲れない頑なさがなんとももどかしい…。もはや、慶喜の首一つで満足できる段階ではなくなってしまったわけだよなぁ。そこまでダークに憎しみを燃やしていったのは、信念というよりも後には引けないという意地の方が強いような気がする。
予想していなかった吉之助の態度に大きなショックを受ける天璋院と幾島。幾島は衝撃のあまり咳き込んでしまい病を悪化させてしまった様子。喀血したということは、前々から悪くしていたんだろうね…。
吉之助が江戸城総攻撃を仕掛けてくることを止められないと悟った天璋院は、「徳川の人間」として城に残り戦うことを決意。あんなに信頼し合っていた二人の絆が、ここにきて対立方向へと向いてしまったのは時代の流れとはいえ切ないことです。
なお通説では、幾島が西郷に直接天璋院からの手紙を届けて交渉したということになっているようです。病を押して薩摩軍の陣営まで出向き届けたそう・・・。
ドラマでは「慶喜の首を差し出す」といった過激な発言をしていた天璋院でしたが(汗)、実際の手紙には「慶喜の助命嘆願」が書かれてあったそうな。たしか、徳川を救うべくこの時期に家茂の御代所だった和宮も天璋院と共に尽力していたはずです。
ストーリー上では吉之助に拒絶されてしまいましたが、彼女たちの働きが無血開城へ大きく貢献したことは間違いないと思われます。
幾島さんは明治維新を見届けた2年後に63歳で亡くなりました。
そして、江戸城総攻撃の前日・・・3月14日がやってきます。
上野寛永寺で静かに謹慎生活を送る慶喜を心配そうに眺めてる山岡さんにちょっとキュンときてしまったw。「侍が主君を信じられなかったら終わりだ」って前回言ってたからな。慶喜のことを本当に親身に想ってるのが伝わってきて切なかったよ…。
出来ればこの二人の関係性をもう少し深く見てみたかったかも。
その日は、江戸の薩摩藩邸で吉之助と勝が面談をすることになっていました。
9月に土スタで遠藤憲一さんが熱くPRしていたシーンがようやく放送!!あの時はまだ先の放送って知って「えーー!?」って苦笑いしてたからね、エンケンさんww。ようやく満を持しての登場ってことで、私もドキドキしておりました。
相変わらず「何としても明日必ず江戸城へ攻撃を開始する」と頑なな態度の吉之助に対し、勝は「こっちは江戸を火の海にさせるわけにはいかない」と一歩も引かない。このままだと時間もかかるし埒も開かないということで、勝はすぐに”停戦の条件”を書いたものを差し出す。
勝が差し出した条件は以下の通り。
- 徳川は降伏し、慶喜は隠居して水戸に謹慎する。
- 江戸城は完全に明け渡す。
- 軍艦や鉄砲などもすべて新政府軍へ明け渡す。
(但し、急に取り上げて暴れ出す輩もいるかもしれないから少し猶予を欲する)
これらを実行する代わりに、慶喜の暴走を助けた者たちへの処分は寛大にしてほしいと付け加える勝。
しかし、吉之助にとっては到底その提案はすぐには受け入れられるものではない。勝もそのあたりの心情は理解しているようでしたが、それでもあえて飲んでもらえないかと頼み込む。
「いつの世でも勝者と敗者というものは、呆気なく入れ替わるもんだ。おめぇさんほどのお人なら、勝者のたしなみをご存じないはずはあるまいよ」
その言葉に吉之助の心が少し動いたように見えました。静かに…それでも熱く真っ直ぐに自らの想いをぶつけてくる勝先生の言葉は頑なに戦に突き進もうとしている吉之助の心に少なからず穴を開けたんじゃないだろうか。
さらに勝は戦をすることで江戸の多くの民が傷つくことを本当に望んでいるのかと問いかける。民に苦しみを強いてまで造る国に本当に未来はあるのかと…。
「西郷どんが背負う、新しい日本っていうのはなんだい!?」
この言葉を投げかけられたとき、今まで遮断してきたであろう「民を守りたい」といったシンプルで真っ直ぐなポリシーが頭の中を駆け巡っていく。
慶喜に対する敵意を向けた時から、吉之助の中でいつの間にか「民への想い」が薄れていったように思えました。ただ躍起になって慶喜を、徳川を捻り潰そうとしていた。そのために多くの血を流してきたわけですが、その上さらに江戸に総攻撃をかけることによって、かつて自分が守りたいと誓った罪のない多くの「民」を犠牲にしようとしていたのです。
そのことに気が付いた時、吉之助の耳には”風の音”や”燕の鳴き声”がスッと入りこんできたように見えました。自然の音が聞こえるようになったとき、吉之助の中で燻っていた憑き物のようだった黒い闘争心がスーッと消えていくのを感じたよ…。
エンケンさんが土スタの時に言っていた印象的な演出っていうのはこれだったわけか!
吉之助は静かに勝の条件を飲むことを了承、翌日に迫った総攻撃も中止させることにします。
「本当に良いのかい!?」と確かめる勝に対し、「よかでごわす」と涙をぬぐいながら答える吉之助…。二人の間には最初とは違う温かい空気が漂っていました。
吉之助が江戸城総攻撃を止める決断をしたことに、勝は大粒の涙を流しながら感謝する。
「・・・よかった・・・!!!」
勝先生、吉之助が答えを出すまでもうずっと目が潤んでて・・・戦をやめる決断をしてくれたんだと確信したら緊張の糸が切れて涙ボロボロ流してたんですよね・・・。もう、この姿を見ただけでもらい泣きしてしまったよ。それだけ真心を尽くして吉之助に向かい合ったってことだしね。
しかし、吉之助のなかで未だに決着をつけられなかったのが、慶喜とのことです。
それに対して勝は、「自分は幕臣筆頭という立場だから慶喜を守らなければいけないけれど、西郷どん贔屓の身としては会いに行くことは止めやしない」と促します。
おそらく、勝は今の吉之助ならば慶喜を傷つけることはしないという確信があったんだろうね。
会談を終えた勝は「江戸が焼けなくてよかった」と笑顔で桜を眺める。改めて礼を言ってくる勝にちょっと気恥ずかしそうにしている吉之助が何だか可愛いw。と思ってたら、勝先生が笑顔で突然…
「こうなったら、江戸におめぇさんの銅像とやらのでも建ててやらねぇとな!」
と言い出してちょっと笑ったww。え、ここでもうその提案ですか(笑)。上野に銅像ができるきっかけになったのはこの一言が発端ではないように思いますがww・・・まぁ、いいや、良い会談だったから。
それにしても、エンケンさんも感動的だったけど、鈴木亮平くんの芝居も素晴らしかったですね!!
会談前に入ってきた時の表情と、勝の言葉を受け入れた後の表情では明らかに吉之助の心境が変化したことが分かりましたもの!!なんか、あのお芝居にすごく感動してしまいましたよ。やっぱり亮平くんは素晴らしい役者さんです。
その後、吉之助はひっそりと夜に紛れて寛永寺の慶喜の元を訪れます。
慶喜は吉之助と対面するに当たり、辞世の句を書き、死に装束を身に纏っていました。あれはもう、完全に吉之助が自分を殺しに来ると覚悟してのものだったな…。
慶喜は「今度こそその脇差でこの俺を刺しに来たんだろう」と静かに吉之助の様子を伺います。決別した日、目の前に脇差を突き刺されたからねぇ…。あれ、結構なトラウマになってると思うわ(汗)。それ故に、遂に来る時が来たと覚悟してたのかと。
しかし、吉之助は今回は脇差を慶喜に向けることなく目の前に置いて使わない意思を示す。そして「戦わずに逃げたのは自分が怖くて逃げたのか」と静かに問いかけます。それに対し、
「俺は、ロッシュから逃げたのだ」
と意外な答えを返す慶喜。
ロッシュは江戸幕府にいくらでも援助すると言いつつ、その見返りとして日本の「薩摩」を割譲してほしいと迫っていました。
「薩摩をよこせと言ってきた」と語る前に一瞬言葉に詰まりながらも、意を決したようにその言葉を口にした松田くんの芝居にグッとくるものがありました。慶喜は吉之助の目の前でこの事実を告げることに対し相当の緊張を強いられていたんだなっていうのが伝わってきたよ…。
慶喜は戦を長引かせないために逃げたと言う。薩摩はイギリスと手を組んでいることから、このまま戦を続けていくと幕府に味方するフランスとの代理戦争ということになってしまうことを危惧していたと。
イギリスとフランスが内紛にかこつけて、どちらが日本を乗っ取るかを画策しているのではないかと慶喜は考えていたわけです。自分が逃げることで戦をなんとか早期に終わらせて、外国に日本を乗っ取らせるような真似だけはさせたくなかったと胸の内を打ち明けます。
えーーーと、これに関しては、「え!?そうだったの!??」っていうのが正直な感想です(笑)。これまでの流れを見た限りだと、慶喜は「吉之助が恐ろしかったから逃げた」っていうのも大いにあったと思うんだけどね。
ただ、イギリスとフランスの代理戦争みたいな形にさせられてしまったというのは本当かもしれないなと。ロッシュから「薩摩を倒すよう」要請されたとき、実際の慶喜はキッパリと断ったという説もあるらしい。聡明な人物であったことも考えると、日本を乗っ取られないための逃亡というのは有りうる話かもしれないなと思いました。
吉之助は、慶喜の話を聞いて素直に感動。どうやら信じてくれたようです。
これ、勝先生との対談前だったら信じてなかっただろうなぁ。確実に慶喜は吉之助にグッサリやられてた気がするだけにホッとしたよ(汗)。
この結末を見ると・・・ふきは、かなーーり余計なことを吉之助に吹きこんじゃったってことになりますよね(苦笑)。あの時、「慶喜さまが薩摩をフランスに売り渡そうとしてる」なんて不確かなことを言わなければ・・・。まぁどちらにしても吉之助が慶喜に見切りをつけたっていうのには変わりないんだろうけど、それにしてもねぇ・・・。
『西郷どん』の真のやらかしキャラは俊斎じゃなくてふきだったのかもしれないわw。
吉之助はおそらく、慶喜と再会する前は「殺してしまうかもしれない」という想いもあったんじゃないだろうか。でも、実際に対面した慶喜は「長州討つべし」と戦に前のめりだった頃の面影はなく、共に日本の将来を見据えて前に進んでいた頃の”ヒー様”としての姿に映ったんだと思う。
慶喜の話を聞いたとき、それが真実かどうかは定かじゃないけど…でも、仲間だった頃と同じようにちゃんと日本を想っていたということが吉之助には嬉しかったんじゃないかな。
最後に吉之助は慶喜の身に同情を寄せたあと、脇差を戻し
「徳川最後の将軍としてのご覚悟、こん牛男しかと見届けさせていただきました!」
と語り、逃げて日本を守ったことをねぎらいます。
徳川家将軍だった”慶喜”ではなく、共に前を向いていた時代の”ヒー様”として接してくれたことは感動的だった。ようやく、吉之助の中で慶喜への黒い感情が払拭されたんだよね…。
そんな吉之助を目の当たりにして、今まで張りつめていたものが切れたかのようにハラハラと涙を流す慶喜にまたまたもらい泣きしてしまった。
あれは、助かったという安堵の涙じゃなくて、吉之助と分かり合えたことへの安堵の涙だよな…。
慶喜は、吉之助と一緒に行動していた時から彼のことを好意的に見てきたと思うんです。薩摩を利用すると言っていた時にも、吉之助なら最後まで自分に味方してくれると信頼を寄せていた。
それだけに、拒絶され決別を言い渡されたときは怒りや悔しさと共に悲しみもあったと思いますよ。吉之助という人間が好きだったから…。戦という形で対立する立場になった時、色々な意味で辛い気持ちを抱えていたと思う。だからこそ、ようやく面と向かって話し合えて分かり合えたことは、慶喜にとって何より嬉しかったんじゃないかなと…。その気持ちを想うと、なんか胸がジーンと熱くなってしまいました。
歴史的背景云々には色々微妙なこともあるかもしれないけど、私はこの時の二人の場面はすごく良かったと思います。ヒー様、よかったね、と素直に感じたので。松田くんの繊細なお芝居もすごく良かったです!!
京へ戻った吉之助は、一蔵や岩倉、桂たち新政府の役職に就く人たちの前で勝との対談の報告を行います。それを聞いた岩倉は「虫のええ話やなぁ」と渋い顔をしましたが、一蔵は吉之助と有栖川宮が誠意を尽くして決めたことだから文句はない、と受け入れる姿勢を示しました。
ところが、猛然と異論を唱えてきたのが桂です。徳川に散々苦い目に遭わされ続けてきたトラウマはそう簡単には払拭できるものではないらしく、「慶喜の首を刎ねないことにわ我ら長州の屈辱は張らせない」と猛反発。ま…まぁ、気持ちは、わからないでもないんだけどね、小五郎さん。
武力で徹底的に徳川を潰すって約束したのに、なんで戦うのをやめると言い出したんだ!とえらい剣幕です。果てには「薩摩はまた長州を欺くのか?」と迫ってきて一気に緊張感が高まる。
この言葉を「聞き捨てならない!」と遮ってきたのが一蔵。「我らはもう薩摩でも長州でもなく天子様の元にある」と反論。恭順の意を示した相手を寛大に許すということを世間に示す必要があると説得します。それでも、慶喜を許したらまた将来戦になるに決まっている!と一歩も引かない桂。まさに一触即発ムードに(汗)。もともとこの二人、ソリが合わなかったからねぇ。
と、そのとき、吉之助は「その時が来たらおいが慶喜を討ちもす」と告げる。その言葉にハッとする一同。ようやく桂も渋々ですが納得してくれたようです。やはり吉之助の一言は大きな影響力をもたらしますな。
その結果、慶喜や徳川の人たちは許される運びとなり、慶喜は水戸の預かりということで決着しました。この時が来るまで、慶喜も生きた心地がしなかったと思いますが、ようやくすべての重荷を下ろすことができそうですね。
1868年4月11日、江戸城の無血開城が行われる朝、慶喜は静かに水戸へと旅立って行きました。これからは趣味のカメラなどで穏やかな余生を送って下され。
粛々と明け渡し作業が進む中、吉之助は天璋院と幾島に会いに行きます。
天璋院は改めて吉之助に「徳川の家を守ってくれたこと」の礼を述べる。そして、大量の徳川の資料を吉之助に託す。その書物の中には、徳川の歴史の中での詳細な出来事が書かれているという。天下をこれから納めるのに役立ててほしい、と・・・これは天璋院からのささやかな別れの贈り物ってことですね。
天璋院の心遣いに感謝した吉之助は、ある1冊の冊子に目が留まり思わず歓声を上げてしまう。
二宮尊徳先生が各地を歩いて記されたという『農村復興御仕方書上帳』
二宮尊徳といえば、有名なのが薪を背中に背負いながら勉強している少年の銅像ですよね。貧しい家計ながらも必死に勉強を重ね才能を発揮していった人物です。「二宮金次郎」という名前の方が親しみがあるかもしれません。
この書には、尊徳が農村を飢饉から救うためのノウハウみたいなものが記されているようです。
実際に二宮尊徳は下野国桜町領の復興を見事に成し遂げ、一気に存在感を増していったそうな。この書があれば新しい国造りで農民たちの助けになる!と童心に帰ったように喜ぶ吉之助。
そんな彼の様子を見た天璋院は嬉しそうに薩摩弁で
「西郷!我らはいつまでもそなたを見ちょって!!」
と言葉をかける。最初は二人の険悪ムードにどうなるかと思ったけど、最後は笑顔で分かり合えて本当によかったです。これがおそらく、今生の別れになってしまうんだろうな…と思うとちょっと切なかったけどね。
しばらくして、なかなか戻ってこない吉之助を心配した信吾たちが探しにやってくる。ようやく見つかった時、吉之助は・・・
本を読み疲れたのか爆睡状態でしたw。見つけた小兵衛が「死んじゃってる!?」と勘違いしてしまうほどの眠りっぷりはさすがですな。
そんな兄の姿を見た信吾が
「ようやく眠れたんじゃ。兄さぁ、おやっとさぁ」
と静かに労いの言葉をかけるシーンは感動的で思わずウルっときてしまいました。
一度は戦の鬼と化した兄への不信感で苦しんだ信吾でしたが、結果的に戦をせずに勝利することを選んだ兄を見て改めて親愛の情が湧いてきたんじゃないのかな。そこに至るまでの苦しみも間近で見てきただろうから、弟としては感慨深いものがあったと思います。
ここで画面はフェードアウト・・・けっこう綺麗にまとまっていたので、まるで最終回を迎えたのかのようでビックリした。とりあえず吉之助的にはここで一区切りってことなんでしょうな。
これで平和な時が訪れる・・・かと思いきや、そういう訳にもいきませんでした。
上野の寛永寺には新政府に不満を持つ輩が次々に集まって武装し始めています。
彼らは「義を明らかにする」ことを掲げ、”彰義隊”と名乗り着々と戦の準備を始めている。
山岡たちは「もう戦は終わった!」と必死に彼らを解散させようと説得しますが、「戦わずして終わったら徳川武士の面目が立たぬ!!」と全く聞く耳を持ってもらえない。勝が心配していたことが実際に勃発してしまったということか…。
この彰義隊の存在は吉之助たち新政府を大いに悩ませることになります。
さらに上野だけでなく、徳川に忠誠を誓う会津や仙台など東北・・・さらには軍艦引き渡しを拒否した榎本武明が江戸を抜け出し北へと向かっていました。
会津の悲劇、函館戦争の悲劇への幕開けか…。特に会津戦争は以前大河ドラマ『八重の桜』でかなり濃く描いてて毎回涙させられてたから複雑です…。
京では桂が「あの時徳川を潰しておけばこんなことにはならなかったのでは!?」と岩倉を責めたてていましたが…この時の岩倉の「え、そんなことまろ知らないし~」みたいなスットボケな表情に思わず吹いたwww。曲者過ぎるやろ(笑)。
どうやら桂は彰義隊を殲滅させるためのある手段を講じている様子…。ここで長州が主導権を取れば後々有利になるとか、そういうところも計算に入れてただろうな、あのドヤ顔は。
江戸の吉之助たちも、彰義隊を討つべし!というところで意見は一致していました。が、問題はいかに早く戦を片付けるかということ。その話し合いを始めようかという時に、「あんたが薩摩の西郷さんですか」とひょっこりと見知らぬおじさんが入ってきましたw。
その男は名乗ることもなく、上から目線で「あんたは戦が分かってない。この戦は半日で片付きます」と平然と言い放つ。しかも、「今から戦の術を知らない皆さんに教えて進ぜよう」とまぁ~~、言い方がかなーーり憎たらしい。
皆の視線に冷たいものを感じたのか、ようやく名乗ってきたその人物は・・・
長州藩士、大村益次郎だったのか!!林家正蔵さんが演じてましたが・・・肖像画の大村と人相がめっちゃ似ててビックリwww。
出典:Wikipedia
かなり寄せたメイク頑張りましたねwww。
桂がドヤ顔で「手は打ってある」と言っていたのは、大村を派遣して指揮を執らせることだったのか。それにしても、この大村、性格悪そうだな~~。桂とは上手くやっていけてたのかはたはた疑問w。
ちなみにドラマにはいませんでしたが、上野戦争の軍議の席には海江田…つまり俊斎も同席していて、大村と一触即発状態になったんだとか(汗)。あ~~~、あの二人、絶対合わなそう。
さっそく吉之助は大村のことを勝に話します。すると、「あの男が来てしまったのか…」と苦い顔をする勝先生。彼の中でも大村は曲者的な存在なのね(苦笑)。
この先も戦を続けるのかと問われた吉之助は、やむを得なくそうなっていくだろうと答えます。今回は勝も「そうかい」としか言えませんでしたが、最後に「死ぬなよ」と声をかける。
「龍馬が夢見た世界を作ってくれ」
志半ばで死んでいった龍馬が夢見た、自由に生きられる世の中を・・・吉之助は戦の果てに見つけることができるのでしょうか。
ということで、次回は悲しい上野戦争が中心になりそうです。
今週の鈴木亮平くんのブログ
🎀「西郷どん」ブルーレイ第三弾(24~35話まで)