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NHK朝ドラ『おかえりモネ』第113話ネタバレ感想 新しい人生

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『おかえりモネ』いよいよ大詰めの第23週。サブタイトルは「大人たちの決着」ということで…、これまで時間がかかっていた問題がついに区切りを迎える時が来ました。この作品のなかで最も重くクローズアップされていたのが、新次と亮の及川親子問題。あまりにも哀しすぎる過去がのしかかっているため、二人の関係は一筋縄とはいかずにずっとスッキリしないままだった…。でもついに、お互いの想いを直接語り合う時が来ました。

この113回はもう…溺れるくらい涙が出た(泣)。新次を演じる浅野忠信さんの芝居を越えた繊細な心情表現に、15分間、ただただ圧倒された。なんていうか、しばらく言葉が出てこなかったな…。「おかえりモネ」のエピソードの中でも特に忘れられない回になったと思います。

永浦家にやって来た及川親子。新次は亮が嵐で遭難しかけたときに「美波に亮を連れて行かないでくれと願った」と打ち明けました。イチゴ農家の手伝いに精を出しているうちに知らず知らず美波さんの死を受け入れていた新次…。それに気づき、亮の船を買う資金を作るため彼女の死亡届を提出する決断をしたという。
その話を聞いた耕治は「あとは親子二人で話し合うように」と席を外しました。ここから先は及川親子だけの時間の中で解決したほうがいい。

ところが、亜哉子たちも席をはずそうとした時に亮はそれを引き留め「居てください。聞いててもらいたい」と告げる。この時亮の視線が未知に向いていたので、おそらく自分に想いを寄せてくれている彼女に見届けてほしいという気持ちが強かったのかもしれません。
百音と亜哉子は及川親子が直接見えない隣の部屋へと移動しましたが、未知だけは亮の想いを汲んで台所に残り自分の目でその行く末を見届けることに…。改めて彼と向き合うために未知にとっては必要な時間だったのかもしれない。

これまでの『おかえりモネ』感想レポ

おかえりモネ
おかえりモネ
2021年度前期NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の感想レビュー
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少し話しづらそうな時間が流れていましたが、亮はこれから購入する船について会話を切り出しました。譲ってもらえることになった船は中古ながらも性能が良く、値段も抑えてくれたとハニカミながら嬉しそうに語る。その話を聞いた新次は息子が漁師仲間から愛されていることを悟りほっとしたような表情を見せました。これまであまり亮と海の仕事については成すことがなかっただろうから、こういう話を聞けたことは嬉しかったと思います。

そこで少し空気が和んだことを察した亮は、意を決して「一緒に船に乗ってくれないか」と切り出しました。ずっと言いたくても言えなかった言葉をついに父に告げた亮…。すごく緊張したと思う。でも新次は「その船はお前の船だ」と言って俯いてしまう。亮にとっては、その姿が未だに美波との思い出に縋り過去ばかり振り返り立ち止まったままの父と映ってしまい苛立ちがこみ上げてくる。

「立ち直らないって?いいよ、それでも。でも立ち直らないまま前を向くことだってできるだろう!?みんなそうだろう!??」

たぶん亮のなかで美波の十八番を歌った時に拒絶された時のことが過っていたのかもしれないねぇ…。また今度も自分のほうを向いてくれなかったらと思うと不安で仕方なかったと思う。
しかし、新次は前を向いてほしいと訴える息子に対しあの時とは違う反応を見せる。亮の言うことも理解できるとしたうえで「元の戻ることだけが良いことだと思えない」と本音を打ち明けました。予想とは違う言葉を告げられ、少し動揺してしまう亮…。

「元に戻ろうとすると全部止まってしまうんだよ。ごめんな、ホントお手上げなんだよ」

どんなに力を尽くしても元に戻らないことがあるんだと訴える新次。初めて父の心の内を知った亮は一瞬言葉を失ってしまいますが、それでも、自分にも譲れない想いがあった…。それは、自分の新しい船に父と一緒に乗って漁をしたいということ。
漁師をしている新次のことが大好きだった亮。彼にとってヒーローでもあっただろうし、何より父があんなに熱を注いでいた漁師を諦めるなんてどうしても考えられなかったのではないだろうか。新次が本当に前を向いて生きるためには、再び漁師に戻ることだとずっと信じてここまで来た。いつかそれに気づいてくれるの待ってたと思うんだよね…。

「親父を元に戻すことだけが俺の生きてきた目的だよ。わかんないのかよ!」

という亮の悲痛な叫びは聞いていて本当に胸が痛みました(涙)。新次さんも息子のそんな想いを直接聞くことは辛かったんじゃないかな…。でも、息子にはいつまでも父親のことに囚われ続けてほしくないという想いは強い。「それではお前の人生ではないだろう?」という言葉は、息子の気持ちを救いたいが故の父親としての優しさ。もう自分のことで苦しまずに生きてほしい。
そして、新次は漁師を続けてることの本当の意味を初めて息子に打ち明ける。

「俺が漁師をやるっていうのは、美波がいるというのが大前提でな。どうしたってそれが叶わないのなら、俺が海で生きるのはあの日で終わりにしたい。だから俺は、船には乗らない」

あぁ…、それで新次さんは立ち直るための第一歩に海の仕事ではなくイチゴ農園の仕事を選んだんだね…。彼にとって漁師を続けるモチベーションは、美波さんがいることだった。だけど、もう愛する人は戻ってこないことを悟ってしまった…。それは同時に、漁師との決別を意味していた。その固い決意はもう覆ることはない。
亮は父のそんな気持ちを知り、自分の願いはもう実現しないことに傷ついていたようでした。やっぱり、立ち直ってほしい云々という気持ちの前に、憧れの存在だった父と一緒に漁に出たいという想いも強かったと思うからな…。そんな涙を流し言葉を失う息子に、新次は優しく声をかけた。

「お前はよく頑張ってるよ。もうあの時のお前じゃない。一人前だよ。お前は自分の船でやりたいようにやれ。俺がそれ見てるよ。俺はそれだけで十分だから」

亮はこの時、やっと心の呪縛から解き放たれたのかもしれない。一緒に海に出れないのは残念だという気持ちもあるけど、それ以上に漁師としての自分を父が面と向かって認めてくれたことが何よりも嬉しかったんじゃないかな。そして、息子としての自分としっかり向き合うと言ってくれたことも大きな救いになったに違いありません。きっと、亮が心から望んでいたのは父との絆を取り戻したいことだったと思うから…。

色んな気持ちを受け止めたうえでの「分った」というセリフは本当に泣けました。りょーちんがこれまで苦しんできたこと全てがあの涙で浄化されていくように見えたな…。永瀬廉くん、とても繊細な良いお芝居だったよ。

この一連の会話シーンを見て、実は一番過去に囚われていたのは亮だったのかもしれないと思った。色んな意味で、新次と腹を割って語り合えてよかった…。

この一部始終を未知はじっと見守り続けていました。亮の傍にずっといると決めたからね…。その言葉通り、父親と向き合う亮の姿をしっかり見届けた。そんな彼女の姿がもしかしたら亮の心の支えにもなっていたのかもしれません。

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亮とようやく腹を割って話ができた新次は、別室にいた耕治と龍己を呼び寄せる。百音や亜哉子、そして未知も及川親子の近くに座ることに。机の上には、美波の「死亡届」が置かれていました…。

集まった永浦家の面々に新次はこれまで心配をかけてきてしまったことを謝罪します。そんな彼に対して「いや、いいんだよ」と微笑みかける龍己さんの優しさがものすごく沁みました(涙)。これまでの新次さんの苦しみを全て理解し受け止めてきたからこそのあの微笑みだったんだろうなと思うと…、その器の大きさが温かくてホント泣けます。

そして、記入済の「死亡届」にいよいよ判を押す時が来た…。これを押したら、本当に美波の死を受け入れることになる。亮の船のためにと覚悟はできていたつもりでも、いざとなると恐怖心のようなものがこみ上げてきて手が止まってしまった。

この9年間、ずっとその死を受け止められずに生きてきた新次さん。亡くなったという確証もなく「行方不明」だったこともあり、どうしても心に区切りをつけることができなかった。彼女への愛情が深ければ深いほど、失ったと認めることが怖くてたまらなかったんじゃないかな…。どんなに割り切れたと思っていても、いざそれを形として認める時に怖気づいてしまうのは当然の心理だと思う。

新次は心の中に渦巻いている不安を思わず耕治に打ち明ける。

「俺がこれにケリを付けたら、全部なかったことみたいにならないか?」

そんな彼に、耕治は顔を上げて周りの人たちを見るように促す。みんな、同じ気持ちでその場に座っている。そのことを感じた新次は何度も頷きながら自分を落ち着かせているようだった。見守っているみんなも、そっと優しく寄り添い続けてくれている。新次さんは独りじゃない。
さらに耕治は「なかったことになるわけないだろう」と告げました。美波さんは形の上では亡くなったことになるけれども、彼女と過ごしてきた愛しい時間は新次さんのなかで永遠に生き続けるはずです。それだけは間違いない。きっと美波さんも新次さんに自分の人生を生きてほしいと願っている。

「新次、お前は幸せになっていいんだよ」

耕治は美波さんの言葉を代弁するように優しくその背中を押しました。以前、亮が自分の心の内側を曝け出した時に「幸せになっていいのかな」と呟いていましたが、その答えとなるような台詞がここでくるとは…。新次さんも亮くんも、過去の色んなことを受け入れながらもちゃんと前を向いて幸せを掴みに行っていいんだよ(涙)。幸せになってほしいよ…!

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現実を受け止められずこれまで何度も自分を傷つけ続けてきた新次。でも、周囲の人たちの優しさに触れていくなかで、少しずつ前を向いて生きていく気持ちを持つことができた。亮とも本心を打ち明けて語り合うことができた。

皆が固唾をのんで見守るなか、ついに判を手にする新次。そしてそれを押す前、彼は美波の十八番だった♪かもめはかもめ♪を口ずさむ。かつて亮がそれを歌った時には「俺は歌なんかでは立ち直らない」と固く心を閉ざしていましたが、本当は、ずっとずっと心の中に大切にしまい込んでいたんだろうな…。そう思ったら涙が止まらなかった(泣)。
そして歌を口ずさみ最後のフレーズを呟いた後、美波に語り掛けるように別れの言葉を告げる。

「ありがとう…、さようなら」

”さようなら”の言葉と同時に届けについに判を押した新次(涙)。”さようなら”というフレーズを口にしなければ判を押せなかったのかもしれないと思うとさらに泣ける…。
判を押した後、様々な想いが駆け巡ったように俯き涙を流す新次さん…。それは別れの寂しさだったかもしれないし、死を受け入れてしまったことへの後悔だったかもしれない。判を押した行為が正しかったのかなんて誰にも分らない。でも、生きている者たちはそういう複雑な気持ちを受け止めて前に進んでいくしかない。

涙で顔を上げられない父の気持ちを察したように、亮は机の上に置いてあった携帯電話を取り「おやじ、これは持ってろ…」と手渡してやりました。

新次は美波の声が録音されているその携帯を肌身離さず持ち歩いてきましたが、死亡届に判を押す決意をした時にそれを手放すつもりでいました。だけど、亮は父がどれだけ深く母のことを愛しているかをずっと目の当たりにしてきた。過去ばかり見つめる父をもどかしいと何度も思ってきたけど、本当の胸の内を知った今ならその手に戻してやることができる。そこに彼の成長を感じました。
携帯を父の手に渡した時「さようならなんて言わなくていいんだよ」という気持ちを込めていたように見えた。及川親子の絆が確かに結びついたのをこのシーンを見て感じました。

これから先、ぶつかることもあるかもしれない。だけどこの二人ならもう大丈夫だと思う。美波さんも優しく天国から見守ってくれてるはず…。心に残る親子の再生物語だった。亮は未知とこれでもう一度向き合うことができるかな…。ただ、彼女に対して恋愛感情があるかどうかはまだ定かではないのですが(汗)。

そして次回は耕治さんの一件。私個人的には、銀行をやめて海の仕事を継ぐという彼の選択肢は今の時点では理解できないし受け入れられない。龍己さんも「海の仕事をなめるな」と怒鳴ってましたからね。果たして、耕治さんの本当の想いはどうなのだろうか…。

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