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NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第97回感想 8月15日の奇跡

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これまでの『カムカムエヴリバディ』感想レポ

カムカムエヴリバディ
カムカムエヴリバディ
2021年度後期NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の感想レビュー

喫茶店「ディッパーマウスブルース」で健一が注いでくれたコーヒーを飲むるいと錠一郎。安子と稔のデートを思い出しますね(お砂糖入れる?とかジョーがるいに語り掛けてたところとかも重なるし)。

健一は安子を懐かしむように♪On the Sunny Side of the Street♪のレコードをかける。錠一郎と二人でそれを聴きながら物思いに浸るるい。この時点でだいぶ母への感情が変わってきたように見えました。

帰り際、算太のことを聞かれたるいは彼が亡くなったことを告げる。納骨も済ませたということは、岡山にやって来てからだいぶ時間が経過した時点ということになりますね。健一は少し残念そうな顔をしながら、実は算太が同じ小学校の2級上だったことを明かす。そういう繋がりがあったとは知らなかった。
るいが思わず「何かご迷惑をかけたんじゃ…?」と恐る恐る尋ねると、「直接っていうわけじゃないけどね」と少し言いづらそうに苦笑いした健一。ということは、間接的に何かやられたことはあったということか(笑)。でもまぁ、恨みには思ってないようだったから良かったよw。

その頃ひなたは押し入れからある小箱を見つけ中を開けてみる。そこに収められていたのは、ラジオ英会話の古いテキストだった。

どの表紙にも「Yasuko , Rui」という筆記体で綴られた祖母と母の名前が刻まれている。その直筆の文字にひなたは何か感じるものがあっただろうか…。

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喫茶店を出たるいと錠一郎は、いつの間にか大きな神社に辿り着きました。そこは安子と稔の思い出の場所でもある。稔はここで安子にプロポーズをし、彼が出征した後は安子が頻繁に稔の無事を祈るため訪れていた。そこに二人がやって来たのはなんだか偶然とは思えない。

錠一郎は、健一の話を聞いてるいの父と母が子供に”るい”と名付けたことの意味がすごく腑に落ちたと語ります。

それを聞き、幼い頃に母から自分の名前の由来について話をされた時のことを思い出するい。あの時安子は、「お父さんは、どこの国とも自由に行き来できる…そんな世界を生きてほしいという夢を託したのだ」と優しく教えてくれましたよね…。るいの心の中で、忘れたかった優しい母との思い出がどんどん蘇ってくる。

るいと錠一郎が社殿の前に立った時、時刻は正午を迎えました。二人は静かに黙祷をささげる。

甲子園をテレビで見ていた雉真家では、勇と雪衣が神妙な面持ちで立ち上がりサイレンと共に黙祷をささげる。
桃太郎も少し遅れて立ち上がり同じように振舞っていました。恐らくこれまであまり「終戦記念日」を意識してこなかったのだろうけど、今後この夏をきっかけに心に留めてくれるようになってくれたらいいなと思いました。

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ちょうど同じころ、ひなたは押し入れから出てきた古い英語のテキストを興味深そうに音読していました。

どれもカタカナで読み方が振ってあるから英語が苦手なひなたでも読みやすいよね。

すると突然目の前に見知らぬ初老の男性がやって来て「英語の御勉強ですか?」と尋ねてきた。驚いたひなたが顔を上げた先に立っていたのは…”カムカム英語”の講師だった平川唯一さんだった!!

演じていたさだまさしさん、まさかの再登場…しかも生身の姿でとは!!以前出演した時は「声だけの出演なので姿は現しませんよ」って何度もコメントしていたのでビックリしましたw。

ひなたは突然どこからともなく現れた平川先生に特に驚くこともなく、どんなに勉強してもなかなか英語を覚えることができないと浮かない顔で告げました。一度は金額的な理由で諦めてたけど、結局「聞き流すだけ英語」も手を付けたのね(笑)。たぶん、長く続かなかったのではと思われますww。

そんな彼女に平川は「そんなはずありませんよ、みんな英語の赤ちゃんなんですから」と笑顔を浮かべている。その意味をよく理解できないひなたが不思議そうな顔をすると、今度は古いラジオから昭和天皇による終戦の詔が聞こえてきた。電源も入っていない古びたラジオから音声が聞こえてきても、彼女はあまり気にしていませんでしたね。

平川先生が突然現れたのも、古いラジオから突然音が聞こえてきたのも、ひなたは自然と受け止めていた。どう考えても現実の出来事ではない…ファンタジーの世界に没入したということなんでしょうけど、その世界でも動じてないところがすごいなと思ってしまいましたw。
ちなみに、平川唯一さんがこの世を去られたのは1993年8月25日とのこと…。亡くなってからほぼ1年後にひなたの前に幻として現れたということになりますね。

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ラジオから聞こえてきた昭和天皇の声は、やがて聞き慣れない英語の声へと変わっていく。驚いたひなたが振り返ると、ラジオブースの前で英語の原稿を読んでいる平川唯一の姿がありました。

あの音声は、実際に平川唯一さんが昭和天皇の詔を英訳して読み上げた時のものですよね。さださんの姿に当時の平川さんの姿が重なっていくように見えて涙がこみ上げてきてしまった…。

平川の英訳した音声が流れるのと同時に、るいを背負った安子が廃墟となった町を抜けて神社に向かう場面が流れてきた。戦争の終結が発表された八月十五日のあの日、るいは稔との思い出の詰まった神社へ足を運び一心不乱に彼の無事を祈り続けていました(涙)。
るいと錠一郎は、今まさにそれと同じ場所に立ち黙祷を捧げている。すると、るいの頬を優しい風がふと通り過ぎていきました。それに気づき顔を上げ横を見てみると…

海軍の軍服を着た稔が静かに頭を下げていた…。

OPで「雉真稔」の役名の隣に(回想)となかったのでもしかしたらと思っていたのですが、まさかこういう形で登場するとは…!!松村北斗くんの軍服姿もさることながら、目を閉じて頭を下げた横顔のなんと美しいことか。まるで漫画のワンシーンから抜け出てきたかのようでビックリしました。

この時るいが感じた”風”は稔の…父の魂だったんだなと悟った時、涙があふれて止まらなくなった(泣)。久しぶりに岡山へ帰って来た娘の元に帰ってきてくれたんだね…。おそらく、母と向き合いたいと思い始めたるいの気持ちと呼応するように現れてくれたのではないかな。

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時を同じくして、ひなたも”非現実”の世界に身を置いていました。いつの間にか平川の前に座り話を聞いている。彼が何者なのかはよく分かっていない様子でしたが、「細かいことは置いときましょう」と笑う平川先生の言葉に「分りました」と素直に受け入れてたの、すごいなと思っちゃったw。こういうところが、ひなたらしい。

平川は、8月15日に北米向けの英語放送で英訳した終戦の詔を読み上げたことを告げる。その後NHKを退職し、ラジオの英語講師をやってみないかという仕事の依頼を受け即決したのだという。

「あの頃の弱り切った日本を元気づけたかった。ラジオを通して、英語を通して、明るく楽しい暮らしを取り戻してほしかった」

戦争で多くの人の心は傷つき深い悲しみに沈んでいた。廃墟の中から必死に立ち上がろうともがく人たちのなかには、るいを背負いながら働く安子や親を亡くして孤児になった錠一郎もいる…。
この回想シーンを見て、今起きているウクライナ戦争のことが否応なしに頭をよぎりました。ニュースで目にする破壊された町や、理不尽に奪われる一般市民の命…。一刻も早くこんな無意味で残虐な行為が終わることを祈らずにはいられない毎日です。

戦後日本の荒廃に明るさを届けるため平川が選んだのが、童謡♪証城寺の狸囃子♪の旋律だった。安子は何度この音楽に心を救われてきたか知れない。特に戦後心が折れそうになっていた時に聴いた「カムカム英語」の音は、彼女にとっての大きな救いとなりましたよね…。
そして、稔との忘れ形見であるるいと「カムカム英語」に触れる時間は安子にとっての至福の時となった。きっと、あの時間だけは親子三人で過ごしているかのような感覚だったんじゃないかな…。平川先生の放送は確かに、安子の心を救い希望を与えてくれていた存在だったと思います。

すると再び古いラジオから平川の声が聞こえてきた。それは、第1回目の「カムカム英語」の放送音声だった。ひなたは思わずそれに惹きつけられていく。
平川はラジオのなかで「赤ちゃんが自然に言葉を覚えていくように英語と向き合っていけばいい」と英語学習の極意について語っていました。ひなたは夢中になってその声に耳を傾ける。

「全てを急がずに、無理しないで、自然に覚えられるだけ、一日一日と新しいことを覚えていけば」

最後にリスナーに向けてのエールを述べた平川先生。傷ついた人々の心に希望の灯がともることを願いながら「いつまでも明るくお元気で」と笑顔で締めくくりました。

放送を終えた後、万感の想いを込めたように深く頭を下げる平川の姿がとても印象深く思わず涙がこぼれました(泣)。きっと実際の平川先生も一人でも多くの人に笑顔が戻るようにと祈りながら放送していたに違いありません…。

幻であるのに幻ではないような…不思議なシーンでもありましたね。ひなたが平川先生の言葉を必死にメモしたものはちゃんと残っているわけで、夢オチというわけでもなさそう。きっと、彼女にしか聞こえない何かが起こっていたのだろうなと思いました。
平川さんの魂は、英語のことで悩むひなたに優しく手を差し伸べてくれました。安子やるいを勇気づけてくれた平川先生が、今度はひなたにも道を指示してくれるなんて胸アツです(涙)。

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同じころ、神社ではるいが隣に佇んでいる稔に恐る恐る「お父さん…、お父さんですか?」と声をかけていました。すると稔は、静かに娘に向けて言葉をかける。

「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも、自由に聴ける。自由に演奏できる。るい、お前は、そんな世界を生きとるよ」

このセリフはもう、号泣してしまったよ(涙涙)。稔が生きた時代は日本が戦争へと突き進んでいく時で、どんどん自由が奪われていく哀しい出来事ばかりだった。愛する安子と心が結ばれた時、これから生まれてくるであろう子供には「自由な世界」を生きてほしいと語っていました。二人の思い出でもあるルイ・アームストロングの歌を誰に気兼ねすることもなく自由に聴ける世の中であってほしいと…。

召集令状を受け取った時、稔は自分はそんな明るい未来を見ることができないだろうと覚悟したと思います。だからこそ、「お前は、そんな世界を生きとるよ」という最後の言葉はとてつもなく尊く儚い響きに聞こえてきて本当に泣けました(涙)。稔が見ることが叶わなかった自由な世界を、るいはまさに今生きているのです。
稔の魂は、るいが彼にとっての思い出の神社にやってくることをずっと長いこと待ち続けていたのかもしれない。

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サイレンが鳴り終わるともうそこに稔の姿はなく、錠一郎が不思議そうな顔をしながら見つめていました。父の優しい魂に触れたるいは、カバンの中から安子が宝物にしていた稔からもらった英和辞典を取り出し胸に抱く。

稔の魂の声を聞いた時、るいは「もう一度お母さんと向き合ってみて」という想いを感じ取ったのかもしれない。もしかしたら母について誤解があるのではないかという気持ちがどんどん大きくなっていく。そして、意を決して錠一郎にその想いを伝える。

「私…、アメリカに行きたい。お母さんを探しに…、アメリカに行きたい」

やっと安子と向き合う気持ちになることができたるいに涙…。だけど、安子は本当にアメリカにいるのだろうか。まだこの世にいるということなのだろうか。できれば二人には生きて再会してほしい…。

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