NHK大河ドラマ『青天を衝け』第29回ネタバレ感想 栄一、改正する

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今回は久しぶりに貫禄ある徳川家康さんの登場からスタート。「維新の主役がこのありさまだ」と薩摩と長州を中心とした政府への恨み節とも取れる愚痴がちょっと面白かったですw。ただ新政府としてもゴタゴタ続きでお金もなくなっているのはキツイですよねぇ。このままではすぐに転覆してしまう。そんな時に助け舟として現れたのが、敗者であるはずの徳川方の人間たちだったのです。
大隈重信が「フランスで大金の利益を得た人物がいる」ことに驚愕し、栄一に目を付けたのにはこういった事情があったわけでした。

さて、今回から渋沢”栄一”と本名に戻しての再始動。前回のラストではやらかしちゃってましたが(笑)、大隈さんと伊藤さんのおかげで何とか窮地を脱することができたようです。この3人、個性的なんだけどけっこう良きトリオになりそうで見ていてワクワクしますなw。

大蔵省に無事到着した栄一は、自らが考えた案「改正掛」について大隈たちに説明を始めました。

今既にある部署とは別個に、垣根を越えて優れた人材を多方面から集めた部門を作りたいと熱弁を振るう栄一。そのためには新政府内部からだけではなく、専門的な知識を兼ね備えた人材がいる静岡藩からも呼び寄せたいという。それに対し大隈が「佐賀のほうが洋学通だ!」と反論すると、「直参なめんなよ、この野郎!」というハングリー精神持った人が静岡藩にはたくさんいると切り返す栄一w。これくらいは言ってやりたかったっていう彼の気持ちがダダ洩れてて面白かったw。

そんな物怖じしない彼に機嫌を損ねてしまった大隈でしたが、伊藤は「もう薩摩や長州のくくりというのはどうでもいいんじゃ」と栄一の肩を持つ。藩や藩主があるから金もかかるし、年寄連中の話はうだうだして退屈だし真新しい意見も出てこないとかなり辟易していた様子。なんかこのセリフ、今の日本政府もこんな内情になってやしないだろうかとちょっと過ってしまったよ(苦笑)。要するに新しい政府を作ったことで満足しちゃう感じの人も少なからずいるってことだよな…。

栄一は「藩や徳川に捉われて人心を一致できないのは恥ずかしい」と持論を展開する伊藤の言葉に惹きつけられていたようでした。っていうか、いっくんの長州弁を駆使した喋りっぷりが実に小気味よく痛快で非常に好感度が高い!吉沢亮くんもそうだけど、ホント、言葉が生きてるって感じるよね。
伊藤と意見が一致していよいよ気分が高揚する栄一でしたが、そんな二人を見て「岩倉さんや大久保さんらに文句言われるのはおいばい」と苦い顔をする大隈さん。中間管理職みたいな立場にありますから、大隈さんとしては頭が痛いと言ったところ(汗)。でも、基本的には栄一や伊藤の意見に賛同してくれる物わかりの良さもある。栄一は今回も魅力的な上司に恵まれたと思います。

以下、第29回を見て気になったシーンもろもろネタバレあり

これまでの『青天を衝け』感想レポ

青天を衝け
青天を衝け
2021年度NHK大河ドラマ『青天を衝け』の感想レビュー
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『青天を衝け』第29回 栄一、改正する

2021年10月03日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45 ほか

出演:吉沢亮、草彅剛、橋本愛、志尊淳、田辺誠一、大倉孝二、山崎育三郎、石丸幹二、和久井映見、小林薫、ほか

あらすじ

明治政府に出仕した栄一(吉沢 亮)は、各省の垣根を超えた特命チーム“改正掛(かいせいがかり)”を立ち上げ、杉浦 譲(志尊 淳)や前島 密(三浦誠己)を静岡から呼び寄せる。改正掛は、租税の改正、貨幣や郵便制度の確立など、新たな国づくりのためまい進するが、旧幕臣の活躍を快く思わない一派との対立が生まれてしまう。そんな中、栄一は、久しぶりに惇忠(田辺誠一)と再会する。惇忠は、新政府に平九郎を殺された傷を抱えていた。栄一は、ひそかに温めていた提案を惇忠に切り出す。

<公式HPより引用>

明治2年(1869年)10月、大蔵省に「改正掛」が設置されることになりました。栄一は発案者として大蔵省の仕事をこなしながら改正掛の取りまとめ役にも抜擢。どんどん出世して存在感発揮していく展開が実に痛快です。

しかし、それをよく思わない人間もやはりいるわけで。「納得できんのぅ!」と技と大声で嫌味をかましてきたのは玉乃世履さん。演じているのは『真田丸』で気の良さそうな笑顔が印象的だった小山田茂誠を演じていた声優の高木渉さんですね。今回はそれとは正反対の、ちょっと保守的な嫌味っぽい人物w。ガラリと雰囲気が変わっていてこれまた面白いです。

岩国藩出身の玉乃は改正掛の取りまとめ役が元幕臣で農民出身の栄一であることに大いに不満を抱いていたようです。でも、敗者側がトップに立つことに対しこういった考えの人は少なからず出てきちゃうだろうなぁ(汗)。栄一もそのことは覚悟していた様子。
と、このタイミングで静岡藩から杉浦愛蔵、改め、譲や、前島密赤松則良が到着。杉浦君、先週栄一と熱い熱い涙の別れをしたはずだったのですが…意外と再会するの早かったですね(笑)。「幕臣の意地をみせにやって来ました」と意気込みを語る赤松たちでしたが、身分がかなり低い扱いなのだけは納得いかない様子でした。それでも杉浦は「徳川の名を辱めぬよう励みたい」と決意を語り、栄一もそんな彼らを頼もしく思います。玉乃さんはますます面白くないようでしたけどねw。

そしていよいよ「改正掛」発足後初めての会議が開かれる。

議長を務めるのは取りまとめ役の幕臣出身、渋沢栄一。でもメンバーをざっと見ると、明らかに旧幕臣出身者のほうが少ないですね(汗)。ただ、理解者でもある大隈さんと伊藤さんがメンバーに入っていたのは良かった。栄一は上下縦横の関係なく闊達に意見を述べてほしいと促しました。

まずは「国に急ぎ入用なもの」についての議論。まず口火を切ったのは伊藤さん。新政府にお金がないことから急ぎ「租税の改正」が必要だと意見します。大隈も続けて「貨幣の整備」を訴えます。しかし、なかなかその後が続かない。特に幕臣出身者は少し委縮してしまっているようだったのですが…栄一はそんな空気を察して何か言いたげにしていた赤松に目配せをしてやりました。それに勇気をもらった赤松は「正しい測量技術」を取り入れることの必要性を熱く語る。大隈もその意見に同調してくれた。それをきっかけに、杉浦や前島も意見を言いやすくなったようで、身分も位も立場も関係なく自由な意見が飛び交うようになりました。

徐々に意見交換はヒートアップ、それぞれの考えが入り乱れるカオスのような状況となり大隈さんは困惑しまくってましたが(笑)、栄一は「いいぞ!!もっとだ!!もっとこい!!」とテンション上げ上げww。次々に飛び出す意見を襖に書き記しながら目をランランと輝かせていました。こういう時はクールダウンさせたほうがいいのかもしれないけどw、栄一としては新しい国造りのために多くの意見が飛び出してくる現場にいることが嬉しかったのかもしれない。

しかし、あまりにも型破り的な会議についていけなかった玉乃らは大激怒!そのとばっちりを受けてしまう大隈さん、お気の毒です(汗)。
玉乃は自分たちが命懸けで新政府を立ち上げたことに大きなこだわりを持っているようで、そこに栄一たちのような敗者側の旧幕臣たちが大きな顔をして考えを積極的に発言して存在感を出していることが我慢ならなかった様子。その気持ちも分からなくはない。命を懸けて作った「俺たちの新政府」意識が強くなるのは人間感情としても仕方なかったと思います。ただ、現実的にはそれを前に進める力がある人材がいなかったから旧幕臣を呼び寄せる羽目にもなってるからねぇ…。複雑ですわ。

大隈は「お前たちの気持ちも分かる」となだめたうえで、何とか納得してもらおうと必死です。ところが折り悪くそのタイミングで栄一がツカツカと「これからやらなければならないことリスト」を携えやってきてしまうww。

玉乃たちの怒号もどこ吹く風の様子の栄一は、チャキチャキと自らの構想を説明。租税や統一通貨を実現するために「藩札の調査」を行うため、赤松の言っていた全国の測量を実行したいという。地図は天保時代のものを改正すればいいとちゃんと対策も考えている栄一。さらに鉄道の整備など先も見通しているようで、そのためにはもう一つ建物が必要なので太政官に進言してほしいと要求。作成した資料を大隈に託すと、風のように去っていく栄一w。今回は大隈さんが口を挟む余地がほとんどなく栄一の圧勝でしたね(笑)。

「さてと、時が足りねぇ!!」

栄一、めっちゃワクワクしまくってる!!水を得た魚だよ。目がキラッキラしてやる気満々。でも「時が足りない」と思ってるのは視聴者である私も同じで…、やっぱりもう少し放送枠伸ばしてほしかったとつくづく思ってしまいました(苦笑)。

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東京に引っ越してきた千代とうた。うたは駿府の時よりも広い邸宅に大興奮の様子。子供はこういうところ正直ですなぁw。それにしても、引っ越しの指揮を執っていた伝蔵くん、腕組しながら作業する人たちを顎で使っていてちょっとビックリしたぞ(汗)。栄一に頭を下げる町人たちを見てちょっと気持ちが大きくなりすぎてるのではないだろうか。あまり彼には傲慢になってほしくないんだけど…。
またそれと並行するように、うたも当然のように使用人に命令していたりして千代は気が気ではない。どうやら引っ越しするにあたって千代たちは輿に乗っていたらしく、そんな楽な想いをさせてもらいながら「疲れた」と駄々をこねる娘を厳しく叱りました。まぁ、千代さんは妊娠中だから乗せてもらって正解だったとは思うけど、百姓の身分でこんな贅沢をさせてもらうのは分不相応だと感じちゃってるんだろうなぁ…。

それにしても、栄一は「渋沢租税の神様」なんて呼ばれてるんだねぇ。えらい出世だわ(驚)。でも栄一は全くおごる様子もなく、いつもの明るくて優しい父であり、夫でホッとします。彼は皆から頭を下げられる存在よりも、国造りの仕事ができることに大いに喜びを感じていたのだと思います。

改正掛の運用も玉乃たち反対勢力はありながらも、おおむね順調に動いているようでした。

杉浦や赤松もいつの間にか髷を落として散切りヘアになっていました。杉浦君はピッチリ真ん中分けスタイルで可愛らしい。

夜には大隈邸に集まって意見交換を交わしていたという改正掛の面々。相当の大人数を受け入れられる大隈邸って本当に旅館みたいに広かったんですね。
その席で大隈はフランス商人から「日本の生糸は質が悪すぎる」と文句を言われたと嘆いていました。この当時生糸は国産品髄一の輸出商品だったこともあり、それに信用を得られないのはかなり悩ましい問題のようです。ところが、大隈もその話を聞いて溜息をついていた杉浦も、生糸がどうやって作られるか全く知りませんでした。そのことにビックリ仰天してしまった栄一(笑)。「工学であるか?化学であるか?」と的外れなことを言ってくる大隈に「何を言っておるのですか!!?」と思わず大きな声を上げてしまいますww。

「お蚕様を育てたことがないのですか!?」と食って掛かる栄一の言葉に二人ともぽかーーん状態(笑)。栄一は蚕が糸を吐き出し繭を作るしくみから熱心に説明してみせる。農家育ちの彼にとっては日常の風景だったため、それを知らない人間がいたことに衝撃を隠せなかったと思います。
蚕が口から糸を吐くという話を聞いて「ホラを吹く気か!?」と信じようとしない大隈に「ホラなどではありませぬ!!」と食って掛かる栄一のやり取りがめちゃめちゃ痛快で面白かった(笑)。でも、栄一の態度に腹は立てるものの結局最後にはその知識を認めて養蚕事業を任せてくれる大隈さんは、最高に懐の広い素敵な上司だと思います。この時は悔しさのほうが大きかったと思いますけどねw。でも、大隈はそんな栄一のことが好きでもあったんじゃないかな。

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さっそく養蚕のための工場をどこに作るかの相談にかかる栄一たち。

工場の立地などについてはフランス人商人のガイセン・ハイメル(カイゼナイモ)に相談することで話がまとまったようです。

するとそのタイミングで鹿児島から戻った大久保利通が血相を変えた様子でズカズカと踏み込んできた。大久保は自分が東京を離れている間に太政官とろくに相談をしないまま勝手に様々な改革を行ったことに腹が立って仕方がない様子。しかもその中心にいたのが旧幕臣たちだったことがなおさら我慢ならないようです。大隈は丁重に頭を下げて謝りつつ、一日も欧米に近づくためのことだったと弁明しましたが、全く聞く耳を持とうとしません。
大久保は中央集権国家を目指していたため、勝手に新しい部署を作って好き勝手やられることに大きな危機感を抱いていました。彼には彼なりの理想があるわけですが、見方によっては頭の固い敵対勢力というように見えてしまうものですよね(汗)。でも、演じてる石丸さんが素敵なので「悪」に見えないんですがw。

怒り心頭の大久保でしたが、そんな彼に物おじせず意見をしたのは栄一でした。相当上の立場である大久保さん相手にも全く引いてないところがすごい(汗)。栄一は明治も2年が過ぎたというのに「新政府に金がないのは周知の事実。税収が安定せず太政官札の信用も薄い」と痛烈に批判を展開。

「建武の中興の二の舞にならないようにするには新政府の懐を守るのが肝要。我らはそのために粉骨砕身しておるのでございます」

いや~~、政府のトップ相手になかなか下の立場の者はこんな大胆なこと言えないよなぁ(汗)。でも、真に国の為を思って働いている自負があるわけで、やみくもに批判されるのは我慢ならなかったという気持ちは分かります。

「建武の中興」とは、元弘の乱の時に鎌倉幕府を倒した後醍醐天皇が中心となって行った政治のこと。「建武の新政」とも呼ばれています。しかし、公家統一国家の実現への道は険しく武士への恩賞問題の不満なども重なり足利尊氏が離反。それにより3年で崩壊してしまいました。
足利尊氏はその後室町幕府を開き、後醍醐天皇は吉野に移転。こうして南北朝混乱の時代が始まります。

新政府にお金がなくて困っていることは大久保も承知だったこともあり、「これ以上出過ぎたマネはするな」と捨て台詞を吐いて立ち去っていきました。ただ、ここで大隈さんの立場が非常に微妙な状態になっちゃったかもしれないんだよね(汗)。胃が痛んでそうでお気の毒だった…。

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明治3年(1870年)春、栄一のもとに血洗島から市郎右衛門とゑいがやってきてくれました。想像していたよりもずっと立派な邸宅にビビっている二人が可愛らしい。さぞかし驚いたと思いますよ、ほんとに。

この頃には二女のことも生まれていたことから、市郎右衛門はすっかり好々爺の顔になってデレまくっていました。千代は栄一が生糸の仕事まで任され忙しくあまり家に帰れない日が続いていると話す。でもそのことに対してあまりストレスには思っていないようだし、市郎右衛門もゑいも忙しいのはありがたいことだと感じていた様子。
しかし、市郎右衛門は急に落ち着かない様子で「これからは栄一と呼び捨てにできない」と神妙な表情になってしまう。さらに千代のことを急に「奥様」と呼び、お茶は自分が入れると遠慮しまくるとっさま(笑)。千代と急須の取り合いになるシーンは可愛らしくて面白かったww。

その夜は栄一も家に戻り久しぶりに両親を交えての一家団欒の時間。弟を失くしたショックから尾高の家を出ていた惇忠もようやく家に戻ったようで、村のために色々と尽くしてくれているらしい。
特にお蚕様の研究にも熱心に取り組んでいるとのことで、村の人たちからも頼りにされている。この話を聞いた栄一はこの時あることを考えていたようでした。とりあえず、惇忠兄ぃがまた生きる気力を取り戻してくれてよかった。自分の家族の存在が大きかっただろうね。

惇忠の近況について、やたら敬語で説明してくる市郎右衛門に栄一はこそばゆくて仕方がない(笑)。

「殿さまも奥様も、故郷のことは何一つ心配なさらぬよう」

と、息子のことは”殿様”呼びしてくるとっさまwww。これには思わずツッコミせずにはいられないよねぇ(笑)。なんで以前のように呼んでくれないのかと問い詰めても「天子様に仕えている方を軽々しく名前で呼べるものか」と自分を曲げようとしない市郎右衛門に、ゑいは呆れたように「いいんだよ、勝手に言ってるんだから」と苦笑いww。とっさま、こういうところはめちゃめちゃ律義ですね(笑)。

それでもやっぱりしっくりこない様子の栄一たちを見かねた、ゑいは「皆嫌がってるんだから」と市郎右衛門を窘めます。そのことにすっかり拗ねてしまうとっさま、可愛い(笑)。かっさまはイジける夫を見て「親孝行だと思って勘弁してやって」と栄一たちに微笑みかけていました。妻は強し!ですねw。
そんな父の姿を見て「とっさまの強情にはかなわねぇ」と楽しそうに笑う栄一。ところがそれを目の当たりにした市郎右衛門は「お前に強情呼ばわりされてたまるか!」とついついいつもの調子が表に出ちゃった(笑)。そのあとすぐに「殿さまに云々…」と言い直してましたが後の祭りww。とっさま、可愛すぎるでしょーー!!!

栄一も、千代も、市郎右衛門も、ゑいも、楽しそうに笑みを浮かべている。当たり前の、懐かしい団欒の時間。最初に見たときにはとっさまが面白すぎて笑いながら見ていたのですが、2回目に見たときはなぜか切なさを感じてウルウルきてしまいました…。だって、最後、みんなの笑顔がスローモーションになってる…。それは、この時がどんなに貴重な愛しい時間だったかということを雄弁に語ってる演出に見えて仕方がないのです(涙)。
市郎衛門とゑいは宿泊を断り血洗島へ戻っていきました。「百姓の身分であんな贅沢な布団に眠れるか」とやっぱり頑固なとっさま。それでも「気持ちのいい夜じゃねぇか」とゑいと二人で夜空を見上げる市郎右衛門は満足そうに笑ってました。おそらく、もうすぐ、その日は近いんだろうな…(涙)。

両親が帰った後も仕事に励む栄一を千代は心配する。そんな彼女に栄一はふと「兄ぃは、俺が新政府で働いていると知ったらどう思うだろうな…」と呟きました。おそらく、父から惇忠の話を聞いた時に浮かんだ案を切り出すことに迷いが生じていたのだと思う。惇忠は飯能の戦いで平九郎を死なせてしまったというトラウマからまだ完全に立ち直れていないだろうしね…。

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改正掛では相変わらず忙しそうに働いている栄一。養蚕のことを頼もうにも、一番知識があるのは自分しかいないため他の人に任せられない事象もでてきてかなり大変そうですw。

そんな時、突然前島が興奮気味に政府が飛脚問屋に支払った通信費の記録を見せてくる。ひと月にかなりの大金を支払っていることに驚く栄一たち。それに対し、前島は自分が考える飛脚便制度だったらもっと安くできると胸を張る。毎日一定の時間に一便の政府の飛脚を仕立て、一般の郵便も一緒に運べば”送達料”の徴収もできて残ったお金を他の事業に回すことができるという算段です。
この制度を発展させれば、日本中に配達の道を広げられると意気揚々と語る前島密。この話に感動した栄一は、さっそく建議書を書くよう前島に命じました。

ところが、岩倉たちは「政府が飛脚の商いを横取りするなんて」と渋い顔。それでも大隈はそれに負けじとその制度の必要性を説く。三条さんもその意見に同意してくれたようですし、伊達さんは「改正掛は仕事が早いですなぁ」と感心することしきり。大久保達反対派はそれ以上何も口を挟めなくなりました。ここは大隈さん、頑張りましたね!

ということで、前島密さん草案による”飛脚制度”の計画が本格的に動き出しました。その話し合いのなかで西洋の「飛脚印」(後の切手)が出てきたのですが、その上にある黒い印がなんだかわからない一同w。この時の栄一の答えが…

「汚れじゃねぇか?」

には思わず笑ってしまったww。そこ、もう少し追及してみようよww。それけっこう大事なやつよw!?

さらに新事業の名前をどうするかで頭を悩ます前島。色々考えた中で彼が使いたいと考えた漢字が、公用所の中継ぎを行う宿場を意味する「郵」の文字でした。するとそれに続けて杉浦が「便りの”便”をつけて”郵便”はどうだ?」と提案してきます。この意見にみんな賛同。こうして、飛脚の新制度の名前が『郵便』と決まりました。名前ひとつ決めるのにもドラマがあるものですよね。見ていてワクワクしました。

「私は郵便の父になる!!」

前島密さん、自分の案が採用され名前も決まってテンション上げ上げです。それに呼応するように周りも「戸籍の父」だの「測量の父」だの「造船の父」(赤松さん)だの、色んな父が誕生(笑)。いい雰囲気の職場ではないですか!ここにいる皆さんのおかげで今の世の中があるんだなと思うと、本当に頭が下がる想いがします。

ところがその数日後、前島さんに悲劇が…。いよいよ郵便制度事業が動き出すという時に、鉄道借款の処理のためイギリスへ渡らざるを得なくなってしまったのです。このタイミングで外されてしまうとは…さぞかし悔しかったと思うよ(涙)。ちょっとコミカルな描き方だったけど、前島さんの気持ちを考えるとホント切ないです。でも間違いなく、あなたは『郵便の父』ですから!!1円切手の顔は今も前島密になってます。

前島の後を継いだのは杉浦でした。途中離脱せざるを得なかった前島の分まで張り切る杉浦。この頃にはすでに「切手」という名称も誕生していたようですね(前島密がつけた名前だそうです)。

ところがこのタイミングで大隈が民部省から追い出されてしまうという悪いニュースが飛び込んでくる。これまで改正掛の政策を支持し話を通すべく頑張ってくれていた大隈さんでしたが、とうとう排除されてしまったのか…。この事件により今後栄一たちの事業も上手く運ぶかどうか不透明になってしまいました。栄一は「国をまとめねばならない時にイタズラに争って威信を失くすとは!なにが八百万の神だ!!」と憤慨する。こういうことって、現代にもありそうなのでなんとも複雑な気持ちになってしまう。

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その日の午後、今後について暗い気持ちになりながら家に戻ると渋沢家に惇忠が訪れていました。しかし、二人ともやはりどこか顔を合わせづらいようなぎこちなさがある…。

惇忠は横浜の商いの途中に立ち寄ったとのことでしたが、栄一の顔を見るなり「驚いたぞ、お前が新政府に出仕したと聞いて」と告げる。その後流れるしばしの沈黙時間がなんとも重い…。惇忠がそのことに納得いかない気持ちを抱いていることがひしひしと伝わってくる。
泊まっていけばいいとうながされましたが、「すぐ村に戻らなければならない」と出されたお茶にも手を付けず逃げるようにその場を後にしようとする惇忠。そんな彼を必死に呼び止めようとした栄一は、「兄ぃも新政府に来てくれないか?」と切り出しました。大蔵省で製糸場を建てるにあたり、惇忠のような知識のある者に来てほしいと考えていたのです。これを言い出すことにはかなり勇気がいったと思う…。

そんな栄一に「平九郎は新政府に殺されたんだ!」と憤りを露にする惇忠。この時はまだ、平九郎の亡骸を発見できていなかったようでなおさら新政府に対する憎しみは深い。そう簡単に新政府のために働くことはできないっていう兄ぃの気持ち、すごくよくわかるよ…。大事な弟を失った責任は自分にもあるってまだ責めてただろうし、その怒りの矛先は新政府に向けるしかなかったと思う。兄ぃもまだ苦しんでるんだよね…(涙)。

「お前は良くても、俺にはそんなことできねぇ」と栄一の申し出を拒絶する惇忠。そんな彼に栄一は「俺たちだって異人を焼き殺そうとしたじゃねぇか!」と反論します。彼が兄ぃに面と向かって反論したの、初めてじゃないだろうか。ずっと師として慕ってきた存在の惇忠に栄一が言い返したのは少し驚いてしまった。
栄一は惇忠の心の痛みを承知の上で、戦の愚かさについて懸命に語る。「もう、侍の世はごめんだ」という栄一の言葉は重い。そして、諭すように続ける。

「壊すんじゃねぇ。作るんだ。俺は平九郎に顔向けできなくても、できることをする。己の手でこの国を救えるのなら、なんだってやる」

真っ直ぐな視線で自らの意思を伝えた栄一の言葉に、惇忠は胸を突かれた想いで立ち尽くしてしまいました。そのひとことひとことが、彼の心に響いていたに違いない…。未だ自分の生き方を見いだせていなかった兄ぃが立ち直るきっかけになる出来事だったと思います。栄一も自らの仕事をこなしながら、きっと惇忠は自分の声に応じてくれると信じていたはずです…。

それからしばらくして、伊藤は「バンク」(銀行)の仕組みをどうしても学びたいからアメリカへ行けるよう建議書を書いてくれと栄一に迫っていました。早口な長州弁をもこなすいっくん、すごかったな!どうやら音楽を覚える要領でセリフ回しを覚えているらしい。さすがだわ。
すると奥から「また異国に行くんか」という声が聞こえてきた。その人の名は、井上馨!!なんと演じている福士誠治くんはこれが大河ドラマ初出演だそうです。ビックリ!!NHKでもけっこう色んな時代劇に出演してたし、若い頃から時代劇がめちゃめちゃに会う役者としての評価も高かったのに、なぜ今まで大河ドラマに呼ばれなかったのか、そのことが不思議で仕方ないです。

伊藤博文と井上馨は身分が大きく違っていたにもかかわらず、お互い意気投合し合う親友でした。イギリス公使館焼き討ちの翌年、長州五傑として共にイギリスへ密航しています。

それにしても、今回の井上はかなり豪傑な印象が強いですねぇ。大隈に代わり今度はこの人が栄一の上司になったようです。大隈さんの時のようにはいかないかもなぁ…w。

かなりのクセの強さにさすがの栄一もたじたじの様子(笑)。この井上は…将来色々やらかしそうな匂いがプンプンしてますねww。

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明治4年(1871年)、ついに郵便制度がスタートしました。この当時の”書状集箱(ポスト)”は木製の台の上に木箱が乗っている感じだったようですね。

栄一と杉浦もドキドキしながら箱に書状を投函。それと同時に、構えていた飛脚が書状が入った箱ごと回収して運び出していきました。杉浦は「うまく届けば3日後に弟から返事が来る」と呟いていましたが、すぐ返信するようにとでも書いたのかな。

それにしても、当時は郵便番号なんてなかったわけですから仕分け大変だっただろうなぁ。誤配送っていうのもあったんじゃなかろうか。ただ、消印めいたものはちゃんと押してましたね。ただの「汚れ」だけで処理されてなくてよかったw。
ちなみに、当時は『郵便』という文字になじみがなかったこともあり、そこを”トイレ”と勘違いする人もいたらしい(汗)。これはあまり想像したくないけどw、始まりには色々なイレギュラーな出来事も多かったと思います。

そして3日後、やきもきしながら返事を待つ栄一たちのもとに、少し遅れて杉浦の弟からの手紙が届きました。切手も、判も、間違いなく押されている。ちゃんと届いたのです!!これは感動するよね!!っていうか、杉浦譲の弟さんが律義にすぐ返事を書いて出してくれてよかったー。もしも放っておいたら「失敗だった」みたいなことになりかねない(苦笑)。
あぁ…でも、この場に前島密さんの姿がなかったのは非常に残念です。彼あってこその『郵便事業』だと思いますので…、本当なら一番にこの喜びを感じてほしかった。

その頃惇忠は、静かに考え事をしながらふと自分の掌を見つめていました。大切な弟たちを失ってしまったことが脳裏をよぎる…。特に死期にあった長七郎から「俺たちは何のために生まれてきたのだろう」と告げられたことは惇忠の心の深い傷跡になって残っていました。しかしそれと同時に、パリから戻ってきた栄一が「生きている限り、この恥を胸に刻んで今一度前に進みたい」と号泣しながら訴えた姿も浮かんでくる。
自分だけ生き残ってしまったことに深い罪悪感を感じ生きてきた惇忠。生きている意味を、彼はずっと探し求めてきたのではないかと思います。新政府で働く栄一に複雑な感情を抱きつつも、自らの足で前に進み日本の国のために邁進している姿は羨ましいとすら感じていたのではないだろうか…。

「壊すんじゃない、作るんだ」

あの時の栄一の言葉は、惇忠の心を動かす原動力になったのではないかと思います。

数日後、栄一に反感を抱いていた玉乃が少しバツが悪そうな表情でやって来ました。そして「認めたくなかったが、認めざるを得ん」と告げるのでした。玉乃さんは初めこそ栄一の存在ややり方に強い反感を抱いていましたが、ずっとその働きぶりを間近で見て徐々に心を動かされていたんですよね。「実に得難い徳川の秘蔵の臣じゃ」と言ってくれたのはちょっと胸が熱くなりました。
初めは気難しい厄介そうな印象が強かったけど、認めるべきところは素直に受け入れ今までの無礼について謝罪もしてくれるとは…、なんと出来たお方。現代の政治家や役人ですら自らの非を認め謝れる人はほとんど見かけませんよ。「これからは力を合わせたい」という玉乃さんの言葉に栄一も感動します。分かり合うことができて本当に良かった。

するとそこへ惇忠がやってきた。自分の言葉が兄ぃの心に届いたのだと感じた栄一は思わず胸を熱くします。私も一緒に涙ぐんじゃったよ…。よく、決意してくれたよね。これからは過去を振り返り憎み続けるよりも、未来を見据え国のために励む道を選んだ惇忠。時間はかかったけど、最終的に彼が前を向いてくれたことは本当によかったです。失った弟たちの想いも背負い、兄ぃには前を向き続けてほしい。

栄一はさっそく製糸所顧問のフランス人・ブリュナを呼び出し惇忠と引き合わせます。快く握手を求めてきたブリュナに、一瞬ためらいを見せた惇忠。かつては異人を憎しみの対象として見ていましたから、躊躇してしまう気持ちは分かります。それでも、過去の自分を振り払うように惇忠は力強くその手を握りました。

たどたどしく「よろしく」という意味のフランス語を返し笑顔を見せた惇忠のシーンはとても感動的でした。田辺さんの繊細な心の動きを表現した芝居が最高でしたね!

それにしても栄一、激務続きで目の下にクマができていたのが気がかり…。倒れなきゃいいけど(汗)。

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同じころ、栄一が投函した手紙も駿府の慶喜の元に届いていました。そこには、新政府で奮闘する栄一の様子が生き生きと綴られている。まるで弟を想うような表情で笑顔を浮かべた慶喜の姿がとても印象的でした。彼は、栄一に返事は…出さなかったのかなw。

一方、大久保は「改正掛は潰してしまわなければならない」と岩倉に訴えていました。国家の大事を栄一たちのような経験の浅い若者たちがどんどん決めていってしまうことは、大久保の理想の国造りの大きな邪魔になっていたのです。

ところが岩倉は、西郷が未だに出てこないことのほうが気がかりだと返してくる。薩摩も長州も混乱続きでまとまらず、思うような政治運びができないことに岩倉は苛立ちを感じていたようでした。しかも「徳川はよくもまぁあんなに長いことやってこれた」と称賛するようなことまで言い出してくる。焦った大久保は必死に「我々もまとまってみせます」と訴えますが、岩倉はうんざりしていたからか聞く耳を持とうとせず、自分が前に出ると宣言してきた。

「このままいけばお上の世はまた潰れてしまう」という捨て台詞が大久保の胸にプレッシャーとなって突き刺さる。大久保さんも彼なりに理想の国造りがあってそれを実現させようと必死なんだよねぇ…。でもそれは栄一たちのやり方とは相反するもので対立してしまう。新しい国を作りたいという想いは一緒なのに、方向性が違うというのがなんとも切ない。

と、こんな緊迫したシーンで終了してしまった(汗)。来週またさらに色々事件がありそうなのですが…、個人的にはとっさまと栄一のシーンが一番気になります。土スタの時に吉沢くんが芝居を越えて泣いたと話していたので…もう、そのことが浮かんできちゃって、あの最期の予告の場面見ただけで涙がこぼれちゃったよ(泣)。ノベライズで先読みした時も泣いたし…、色々覚悟して見ないとだなぁ…。

青天を衝け 三 (3) 単行本 – 2021/8/10

完全版ディスク発売中!

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