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NHK大河ドラマ『青天を衝け』第5回ネタバレ感想 栄一、揺れる

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代官の利根からぞんざいな扱いを受けてしまった栄一は、その帰り道でも怒りを抑えることができない。どちらかというと、前回よりも今回の冒頭シーンのほうが「栄一、怒る」って感じだったなと思えるほどw、「承服できんっ!!!」と憤りを顕わにしていました。でも、お百姓さんたちが苦しい生活のなか懸命に働いたお金をあんな軽く扱われたらそりゃ腹が立つよね。

すると、上のほうから「どうした、栄一?」という穏やかな声が聞こえてくる。

惇忠兄ぃ~~~!!!ナイスタイミングやん!!

一瞬深刻な表情を見せた後にすぐ穏やかな笑みを浮かべて栄一の話を聞いてくれようと耳を傾ける度量の大きさが素敵です。こういうところが、皆から慕われるゆえんなんだろうねぇ。田辺さんが実に繊細に演じてくれていました。
それにしても…PR番組で何度か出てきたこのシーンが、まさか怒り狂う栄一を呼び止めるときのものだったとは驚いた(笑)。もっと、和やかなシーンでの一コマかなぁと想像していたのでねw。

栄一は怒りの感情のまま代官の利根から受けた仕打ちを惇忠兄ぃにぶちまけますが、怒りの感情を「胸の中がムベムベする」っていう表現していたのがすごく面白いなぁと思いました。以前嬉しい感情の時には「グルグルする」って表現してたし、大森美香さんの脚本はセリフの言い方もなかなか面白いですね。
もう少しで代官を殴るところだったと興奮しまくる栄一。こんなに激しい感情をむき出しにした吉沢くんの芝居見るのは初めてなのですごく新鮮です。妙に力が入ったところもないし素直な怒りの感情が伝わってくるのがイイ!

そんな栄一の様子を見守っていた惇忠は

「お前もまさに、悲憤慷慨(ひふんこうがい)だな」

と告げます。これまた惇忠兄ぃ、難しいお言葉を(笑)。意味は、”正義の気持ちを持ち、世の不正に憤り嘆くこと”。栄一のみならず、見ている私もとても勉強になります(漢字変換したら一発で候補が出てきてビックリしたw)。
そして自分もまた「この世の中そのものに嘆いている」と告げた惇忠は、懐から一冊の本を取り出し栄一に手渡す。

と、なんと今回はこのタイミングで徳川家康さんが登場(笑)!不意打ちのような登場でビックリしたよ~~。しかも「今日も出てきましたよ」と、まるで視聴者の心の声が聞こえたかのようなお言葉までww。そんなチャーミングな北大路@家康さん、好きですっ!!で、この解説の中で驚きの発言が…(汗)。

「江戸時代の身分制度が“士農工商”と習った方もいると思いますが、もう教科書にその言葉はありません」

え!!!??

私はガッツリ“士農工商”と教えられてきた世代なのですが…今やその記述が消滅していたとはビックリ仰天です!!まさかそれを、徳川家康さんから教えられることになるとは思わなかったよ(笑)。今は、”武士か、その他か”という考え方になっているそうですね。それだけ武士の存在が大きかったということか。
しかし、幕末期に入ってからその雲行きも怪しくなってきた。栄一たちのような「その他」側の人たちの「武士」に対する不満は日に日に膨張していくのでした。

以下、さらに第5回を見て気になったシーンもろもろネタバレあり

これまでの『青天を衝け』感想レポ

青天を衝け
青天を衝け
2021年度NHK大河ドラマ『青天を衝け』の感想レビュー

『青天を衝け』第5回 栄一、揺れる

2021年03月14日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45 ほか

出演:吉沢亮、高良健吾、橋本愛、満島真之介、田辺誠一、草彅剛、堤真一、竹中直人、渡辺いっけい、和久井映見、小林薫、ほか

あらすじ

惇忠(田辺誠一)に薦められた本で、清がアヘン戦争でいかに英国に敗れたかを知った栄一(吉沢 亮)は、開国した日本の未来を危惧する。そんな中、栄一の姉・なか(村川絵梨)は、自身の縁談を、“相手の家に憑き物(つきもの)がいる”という迷信的な理由で伯父・宗助(平泉 成)たちから反対され、ふさぎ込んでしまう。一方、幕府の方針をなおも受け入れられない斉昭(竹中直人)は暴走。老中・阿部正弘(大谷亮平)と斉昭の側近・藤田東湖(渡辺いっけい)は斉昭を必死にいさめる。そんなとき、大地震が江戸を襲う。

<公式HPより引用>

原作本↓

栄一は寝る間も惜しんで惇忠から渡された本を食い入るように読みふけっています。そこには、清国がアヘン戦争で英国にかなり手痛い敗北を喫していた顛末がイラストと共に描かれていました。少し前までは海外に憧れを持っていたようにも見えましたが、この本を読んでその考えも変わってしまったかもしれません…。
そんな栄一を市郎右衛門もゑいも少し不安に思っている様子。少なくともゑいさんは惇忠が事あるごとに栄一に本を提供していることに懸念を抱いているようにも思えました。たしかに、兄ぃは穏やかそうに見えても実は水戸を崇拝する攘夷派だからねぇ(汗)。

栄一が代官の利根に食って掛かったことも両親には心配の種。市郎右衛門は「あいつの理屈には尤もなところもある」と栄一の行動に一定の理解を示していましたが、「治める者と治められるもののバランスが崩れたらどんな目に遭うか分からないし、周りにも迷惑をかけることになる」と複雑な胸中を明かします。

「理屈だけじゃいかねぇんだ」

皆上の者に対する様々な負の感情は抱えていましたが、結局は自分たちの生活や周りの人たちとの調和を考えて泣き寝入りするしかありませんでした…。

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惇忠から借りた本にすっかり感銘を受けた栄一は、さっそく道場にもそれを持ち込んで喜作に自分の知りえた知識を熱弁していました。

”英国が持ち込んだアヘンで清国人が魂を抜かれ、その隙に攻撃し強引に国を開かせた”と目をランランとさせながら解説する栄一に喜作も仲間たちも衝撃を受けまくっている。その様子を伺っていた長七郎も怖い顔で「メリケン(アメリカ)も今日本に入ってきている」と発言。それを聞いた喜作たちは「自分たちもいつ魂を抜かれるか分からない!」と危機感を募らせていきます。
長七郎はギラギラした目つきで藁人形を竹刀で叩き倒すと、

「俺たちは敵を斬るために剣術を学んでいるのだ」

と想いを新たにしていました。前回まではちょっとコミカルなキャラだったのに、時代が移り変わったことで顔つきや思想がかなり厳しいものに変わっていますね。満島くん、カッコイイ!

ところが、喜作には今ひとつその危機感は伝わっていないようで「長七郎め、イキがりおって~!」と悔しがっていました(笑)。栄一は長七郎の気迫に感動してたようですが、喜作は政治的なことに関してはあまり深い関心はないのかもしれないなぁ…。その方が幸せかもしれないけど、でも、いつか変わらざるを得ない時が来るのかも。

するとそこへ油売り帰りの千代と平九郎姉弟がやって来る。喜作は政治的なあれこれよりも、千代のことのほうがよほど気になってるみたい(笑)。そんな千代は近頃本を読んで怖い顔をしている惇忠や長七郎が気がかりのようです。栄一もちょっとその言葉に反応していましたが、自分もそんな恐ろしい顔になっているのだろうかと思ったのかな。
と、そこへ栄一の姉のなかがボンヤリと無表情で歩いてくる姿が見えてくる。栄一たちが手を振っても何も反応がない…。

栄一が帰宅してみると、渋沢家に東の家の伯父と伯母が訪ねてきていて何やら話し合いをしていました。どうやら、姉のなかの縁談相手の家が「憑き物筋」だという噂があるから縁談話を早く断ったほうがいいと忠告に来ていた様子。キツネに憑りつかれた家と関わらないほうがいい、と、口出ししてきたわけか。余計なお節介だよなぁ(苦笑)。市郎右衛門やゑいも「ただの迷信だ」と迷惑そうな顔をして取り合わないようにしていましたが、宗助やまさも「渋沢家にまでキツネが憑いたら一大事だ」と一歩も引かない。
こういう話って、田舎のほうでは信じられてることがけっこうあったのかもしれないですね。今の時代でもこういった「迷信」を信じ切っているがゆえに差別的な目で見られる、なんてこともあるかもしれない。

しかし、なかの様子は以前とはすっかりと変わってしまい魂が抜けたようになってボンヤリすることが増えてきた。いつも元気な姉さまがそんな塞ぎこんでしまうなんて哀しい…。「狐なんて迷信だ」と突っぱねていた母のゑいさんも「もしかして本当にとり憑かれてしまったのでは…」という想いが芽生えてきた様子(汗)。すると、ここぞとばかりに伯母のまささんが「お祓いを呼ぶべきだ」と猛プッシュ仕掛けてきたww。
放送前の番宣で演じている朝加真由美さんが「この役はかなりお節介なおばさん的な感じ」とコメントされていましたが、今回その意味がよく分かりました(笑)。けっこう厄介なタイプのお節介伯母さんだわ、まささんw。

すると、家の中から夢遊病者のようになかがフラフラと出てきました。娘の様子にただならぬものを感じて心配した市郎右衛門は、渋る栄一に強引になかの様子を見に行かせるのでした。

渋々姉の後をついて様子を伺っていた栄一。なかが滝壺に向かって歩み出したのを見て慌てて止めに入った時、これまで一度も見たことがないような哀しげな姉の表情を目の当たりにして衝撃を受けてしまいました…。あれは、キツネに憑りつかれた人の表情じゃないよね…。それから程なくした頃、なかの縁談が破談に(涙)。

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その頃江戸では、黒船が来航した後で疫病(コレラ)が流行し人々がパニック状態に陥っていました。ということは、「JIN」で仁先生がタイムスリップしてきた頃ということですかね。

それに伴い様々な迷信が流行ったそうなのですが…、「疫病除け牡丹餅」は怪しすぎるだろうww。こういう時に乗じて金儲けしようって輩は今も昔も変わらずいるものですな(苦笑)。そしてあるお宅の柱をよく見てみると…ここ最近令和の世の中でもよく見かける「あの方」が掲げられてるではないですか!

アマビエ様ーーーー!!!!

1846年肥後の国(現在の熊本県)海上に出現し「疫病が続くかもしれないから私の絵を描いて色んな人に見せるように」と予言したとされる日本の妖怪さんです。江戸時代に続き、令和の世でもすがられることになるなんて、アマビエ様もビックリですよねw。

それにしても、新型コロナが大流行して世界中がパニックに陥っている現代と、黒船来航がきっかけでコレラ(江戸の人は「コロリ」と呼んでたそう)が流行った1853年が怖いくらいにリンクしていてちょっとゾクっとしました。しかも疫病の名前も「コレラ」と「(新型)コロナ」と似ているところもなんだか怖い(汗)。

人々が迷信に惑わされてパニック状態になっていることを斉昭は嘆いていたようで、慶喜への文の中でも「夷狄(いてき=外国人)の毒が深くなってきた」と危惧する内容が書かれてあります。黒船が入ってきたせいで疫病流行が起こったと考えていることから、もしかしたら清国で起きた「アヘン戦争」を連想している可能性もありますね…(汗)。
父からの熱のこもった手紙を目にした慶喜は「父上がやりすぎねばよいが…」と不安を募らせていました。その不安は的中する確率ほぼ100パーセントといっても過言じゃないと思うわw。

慶喜の心配した通り、アメリカ以外にもイギリスとも和親条約を結び今度はさらにロシアと交渉しているという江戸幕府に対し憤りを抑えきれない斉昭。今は日本国内の統一を最重要視するときで、国を安易に開きまくるのは得策ではないと阿部に猛抗議!しかし阿部の言い分としては、外国の隷属(支配下に置かれてしまうこと)にならないために和親条約を結んでいるのだということで…斉昭と全く意見がかみ合わない。阿部さんも彼なりに色々と日本のことを考えたうえでの政策を行ってるんですよね。

「万が一戦端が開かれたとしたら、今の日本で太刀打ちできると本気で思っているのですか!?」

阿部さんは日本の現状をよく分かっている。だからこそ、日本を守るために苦渋の決断で国を開く政策をとっているのです。しかし斉昭にとってそれは「腰抜け」の政策としか映っていない。「日本を守る」という目的は一致しているのに、その方法論がまるでかみ合わない二人の言い争いはもどかしいです。ちょっと前までは阿部さん、斉昭さんにかなり肩入れしていたのにね…。
二人の言い争いが収拾つかなくなってきたことを察した東湖は、すぐさま間に割って入り仲介を図る。

「伊勢守(阿部)様のご苦労は御老公も承知のこと。ただ、伊勢守様のために何かできることはないかと励んでいるのでございます!」

藤田東湖、何という機転の利かせ方!!どちらも傷つけない見事な仲介っぷりは実に素晴らしい。この東湖のとりなしによってようやく二人の言い争いは収まるのでした。斉昭は本当に良い側近を持ったよなぁ。

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ところが、一難去ってまた一難。今度は下田で大地震が発生して日本と交渉するために来ていたロシアの船が津波に飲まれ転覆してしまったという知らせが入ってきた(安政東海地震津波によりロシアのディアナ号が遭難した事件)

それを聞いた斉昭は「これに乗じてロシアの者どもを皆殺しにせよ!!」と悪魔の発言(怖)。これにはさすがの東湖も声を上げ、いったんは気を収めた阿部も「人の道から外れた発言だ!!」と激しく斉昭を責める。しかも、今そんな悪行を働いたら全世界が黙ってない可能性が高い。斉昭の思想は完全に度を過ぎたものなのです。
再び険悪な雰囲気になる阿部と斉昭の間に割って入ったのはやはり東湖。地震の被害に遭った者はいなかったか確認をとの趣旨の言葉を投げかけると、阿部は「詳しくは別室にて」と冷静さを取り戻す。去り際に斉昭に対してヒートアップしてしまったことを詫び「少々疲れておるので」と告げた阿部は本当に大人だよ。

しかしそんな彼に斉昭は「さっさと床に入って寝てしまえ!」と捨て台詞(汗)。阿部さんのやつれかかった疲れた表情が儚すぎて見てられないよーーー!!斉昭の存在は彼の寿命を縮める一因になっているような気がしてならない。

水戸藩邸に戻ってくると、東湖は「役目を果たそうと苦労してやって来たロシア人のことも慮るべきだ」と斉昭を諫めます。しかし斉昭は「夷狄の親や友のことなど知るか!!」と全く聞く耳を持とうとせずイライラしている。こりゃ一筋縄ではいかんわ(苦笑)。それでもあきらめずに東湖は言葉をかけ続ける。

「誰しも、かけがえのなき者を天災で失うは耐えがたきこと。今は夷狄を打ち祓うよりもいかにして日本を誇りを守るかが肝要でございます」

と必死に説得。今の政策を続ければ異国から敬われる存在になるのだと言葉をかけ続けた東湖、何と素晴らしい人材なのでしょう!さすがの斉昭も最後には「そんなことは分かっておる!」と気持ちの変化を垣間見せましたよ。
さらに苛立って立ち去る背中に「ご老公の心中はこの私が一番分かっております!!」と肯定の言葉を投げかけるのも忘れていない。まさに飴と鞭。しかもそれが上辺だけではない本気の言葉ですから、あの斉昭の心にも届くんでしょうね。藤田東湖はまさに斉昭にとって欠かすことのできない存在だったのだなと改めて思いました。

同じころ、下田にいた川路は遭難したロシアの人たちを救助することに全力を尽くす。下田の町の人たちも救助に参加してロシアの人たちを懸命に介助。この光景を見たとき、なんだかトルコのエルトゥールル号遭難事件(1890年の和歌山沖で遭難したトルコの人たちを日本人が懸命に救助したエピソードが有名。それ以来、トルコは日本人への感謝の気持ちを今でも持ち続けていると言います)を思い出したなぁ。それよりも前に、下田でもこんな救出劇があったんだということを今回初めて知りました。
ちなみにその後、救助に当たった戸田の地で日本人船大工たちがロシアへの帰還用の船を急ピッチで製造。完成した時それを喜んだプチャーチンはヘダ(=戸田)号と名付けて感謝したそうな。以来、現在でも戸田(沼津市)とロシアの友好関係は続いているとのことです。

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疲れ切った東湖が家に帰ってみると…見慣れない草履が並んでいる。藤田家はけっこう質素な暮らしをしていたのですね。と、ここで息子の藤田小四郎が初登場!

藤原季節くんの小四郎、可愛いじゃないか!
しかし彼は後に大きな事件に関わっていくことになるのです…。ちなみに、1998年の大河ドラマ『徳川慶喜』で小四郎を演じていたのは、惇忠役で出演中の田辺誠一さんです。レポも書いてますが、ネタバレ満載になるので(汗)リンクは青天で事件が取り上げられる頃に貼ろうかなと思いますw。

藤田家に訪れていたのは慶喜と円四郎でした。
東湖を訪れていた人物という話の中で西郷隆盛橋本左内の名前も出てきました。この二人は東湖のことをとても尊敬していたそうです。左内は出てきましたが、後に華丸さんが演じることになる西郷の登場はまだ先ですかね。

慶喜は東湖に夷狄について尋ねに来たのだという。日本よりはるかに技術が勝った異国の武器に今後どのように太刀打ちしていくべきかを聞きに来た慶喜。そんな彼を見て「父上もお喜びになるでしょう」と目を細めますが、慶喜はちょっと渋い顔w。
しかし、そんな彼にまっすぐな眼差しで斉昭の想いを熱弁し敬う態度を崩さない東湖。心の底から斉昭のことを慕っていることが痛いほど伝わってきます。慶喜もちょっと嬉しそうにしてましたね。やはりなんだかんだ言っても父のことを理解してくれる人がいるというのは息子として心強く思ったんじゃないでしょうか。

そんな東湖の背中を見ながら平四郎は「諍臣(そうしん)」としてあるべき姿を見た気がしていました。これが最後になるとも知らずに…。

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一方血洗島では、栄一が姉のなかを心配して彼女の後について歩いていました。

喜作や長七郎に遭遇して慌てる栄一に対しても激しく食って掛かるほど情緒不安定になってしまったなか。 その様子を目の当たりにした喜作は「本当にキツネに憑りつかれたのでは…」と感じてしまう。

しかし長七郎は姉を心配して後をついて回る栄一を見て「何という腰抜けだ」と苦々しく吐き捨てる。まぁ、たしかに栄一の腰は引きまくりでしたが(笑)家族を心配する気持ちはやっぱりいつの世も大切にしなきゃいけないと思うんだよなぁ。血気盛んな長七郎の苛立つ気持ちも分からなくはないけどね…。

偶然通りがかりにそんな二人の様子を目撃した千代。栄一と共になかに見つからないよう様子を伺うことにする。ぼんやりと滝を眺めている姉の姿を見つめながら栄一は「自分も父も姉がキツネに憑りつかれたなんて信じていない」と告げます。しかし、立ち直ってもらえる方法も思いつかない。
そんな栄一に千代は「縁談の相手を好いていたのでは」とポツリとつぶやく。たとえそれが短い付き合いだったとしても、出会ってすぐに心惹かれ合うものがあったのかもしれない。それを聞いた栄一は「あの気の強い姉さまがあんなふうになってしまうのだから恋心はおっかない」と苦い表情w。まだまだ彼には人生修業が足らんのぅww。そんな栄一に千代はある言葉を告げます。

「強く見える者ほど、弱き者です。弱き者とて、強いところもある。人は一面ではございません」

これはかなりの名言ではないでしょうか!人間、表向きでは強く見えても実は弱いところがあったりするものです。またその逆も然り。人を知るには上辺だけで判断してはいけないということを、千代はこの時もう悟っていたのですね。聡明な子だわ~~。栄一の心にもこの言葉は響いたようでした。
それにしても、橋本愛さんの柔らかいながらも意志の強さが見え隠れする雰囲気がとても新鮮でいいですね!

魂が抜けたようにぼんやりと縁側に座り込んでいるなかを見かねた市郎右衛門は「たまには、とっさまと出掛けてみねぇか」と誘います。とっさまもきっと、なかが破談のショックから立ち直れないことに気づいているんだよね…(涙)。その翌日、藍玉の集金になかを同行させ旅に出ました。頼りない足取りの娘を見送るゑいさんの表情も泣ける…(涙)。
ちなみに、なかさんの縁談破談のエピソードは実話とのことで、市郎右衛門さんはこの時彼女を群馬方面まで連れ出して保養させたのだそうです。優しいとっさまだね…。

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市郎右衛門となかが旅立った翌日、伯母のまさが突然謎の修験者集団を連れて渋沢家に押しかけてきましたw。なかがいないことを見計らって「お祓い」勝手に頼んでしまったらしい。栄一はズケズケと入ってくるまさに対して「この家に祟りなんかないから必要ない!」と必死に拒もうとするのですが全く聞く耳を持ってもらえません。いやはや、これはもうどうしようもない(苦笑)。あそこまで強引で思い込みが激しいと何を言っても無駄か。まさ伯母さん、その行動はすでにお節介を通り過ぎてますがなw。

栄一の必死の抵抗もむなしく、あれよあれよという間に御祈祷が始まるのですが…「口寄せを行います」とのことにいよいよ胡散臭さが増してくるw。囲いの中に座らされたのは「憑依巫女」とされる女性。彼女に降りてきた”神の言葉”を渋沢家に伝えるというもののようです。たしか今でもこういう術を行うところがあると思いますが、このドラマに出てきた人たちはなんかどこか胡散臭いww

「はーらいたーまえ、きーよめたーまえ」の大合唱に集まった人たちは手を合わせて頭を下げていましたが、栄一だけは「なんだこの茶番劇は?」っていう疑いの眼差しで凝視ww。
で、いよいよ「憑依巫女」に”神の言葉”が降臨したようなのですが…、彼女の口からは「この家は祟られている」と不吉な言葉ばかりが出てくる。それを聞いたゑいさん、「え!??」と本気でビビっちゃってww。まぁ、あそこまでお膳立てされた状況作られたら…信じてしまう人が出てもおかしくないかもだけど、雰囲気にのまれちゃってるゑいさんはなんだかどこか可愛らしい(笑)。

伯母のまさは「やっぱり!」と超ドヤ顔ww。村の人たちもざわつき始める。と、そこへタイミング悪く市郎右衛門となかが帰ってきてしまう。渋沢家が祟られているせいで妙なものがとり憑いたという雰囲気が漂う光景に、思わず目を逸らせてしまうなかが哀しい…。まるで自分が妖怪のように見られている気持ちになっちゃったんだろうな…。市郎右衛門もそんななかが気がかりで仕方ない。
そうとは知らず、祟りを収めるためには祠を建てるべきだと巫女の言葉が告げられさらに場がざわついてくる。ゑいさんも「祠建てなきゃ」ってなっちゃうしww。

この様子を後ろから見守っていた市郎右衛門はついに見かねて言葉を挟もうとしました。が、その瞬間、これまでずっと不信の目で見続けてきた栄一の「一つお伺いしたい!」という言葉が響いてきた。
栄一はまず無縁仏が出たとされる年号を「憑依巫女」に聞き出す。祠を建てるにも年月が分からなければ意味がないというのは尤もな話。60年前だという回答にも畳みかけるように「その頃の年号は?」と問い詰める栄一ww。少し間があった後に「天保3年」と回答がくるわけですが…栄一によればそれは「23年前だべ」とのこと。すなわち、巫女さん、計算ミスという致命的な失態を犯してしまったわけです(笑)。暗算が苦手な人だったんだろうねww。

「人に祀られるはずの神様がこんなこともお判りにならないとは!所詮大した神様じゃねぇだろう!!」

まささんは「天罰が当たるよ!!」と栄一のことを咎めますが、村人の中には栄一の言うことが尤もだという声も多く聞こえてくる。問い詰められて動揺しまくった修験者は「野狐のせいだ」とどうしようもない言い訳ww。それを聞いた栄一は「いたずらキツネに祠なんか必要ないだろう」ととどめを食らわせてTHE END(笑)。この勝負、完全に栄一の勝利ですな。

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最後に「お前には偉大なる神の大いなる罰が下るだろう!」という捨て台詞を吐いて退散しようとする修験者でしたが、栄一はその腕を掴むと

「俺は人の弱みに付け込む神様なんかこれっぽっちも怖くねぇ!うちの姉様だってそんな弱かねぇぞ!!こんな得体のしれねぇもので一家を惑わすような真似は金輪際断る!!さっさと帰れ!!」

と言い放ち追い払いました。そういえば、前の大河でも全く「天罰」を畏れようとしない人物がいたな(ノブナガさんね 笑)。
それにしても栄一、さすがですね。ただ、もしもあの巫女さんが計算得意な人だったらどうなってたんだろう…とちょっとヒヤっとさせられましたが(笑)結果オーライだからいいでしょう。しかもこの栄一が修験者を追っ払ったエピソード、史実だったそうですから。

すっかり神の憑依から抜けてww普通の人になっちゃった巫女さんが置いてきぼり食らいそうになってたのは面白かった(笑)。逃げ方も滑稽でしたwww。

この様子を見守っていた市郎右衛門は笑いながら「栄一のおしゃべりもたまには役に立つ」となかに語り掛けていました。すると、自然とその顔には笑顔が浮かんでいるじゃないですか…!栄一はなかの心を見事に救ったんだね(涙)。

騒動が納まった後、なかは畑の中で水を撒いていた栄一のもとへ。彼の武勇伝を目撃したことは告げず、「とっさまと山の中歩いているうちに気分も晴れたわ!」と吹っ切れた表情。「姉さまに美しいと噂されるキツネが憑りつくはずがない」とイタズラっぽく悪態をつく栄一になかはちょっとムっとしながらも笑って抱きつきます。

 「栄一、ありがとうね…!」

姉さまのこの一言はものすごく泣けたよーー(涙)。いつもは栄一に厳しい言葉ばかり投げかけていたなかさんですが、本当はすごく弟のことが愛しくて仕方ないんだよね。今回の出来事も自分のために必死に抵抗してくれた栄一が嬉しかったと思うよ。
そして栄一もまた、姉のなかさんのことをとても愛している。お礼を言われたことに照れてしまってまた悪態ついちゃってたけど(笑)姉とじゃれ合っている時の彼はこの上なく幸せそうに見えてジーンときてしまった。渋沢家(中の家)は本当に素敵な家族だなって思う。

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そんな平和な雰囲気のクライマックスだったわけですが、最後の最後に大きな悲劇が訪れる。

1855年11月の夜、安政の大地震(安政江戸地震)発生…。

揺れが強まるなか、円四郎に導かれて屋敷の外へ命からがら逃げ出す慶喜。主人のために真っ先に駆けつけてくれる円四郎は実に頼もしい。

江戸城もまさにパニック状態。将軍・家定が逃げ惑う目の前で家臣が柱の下敷きになってしまうことも…。

慶喜は円四郎と共に揺れが収まると同時に真っ先に両親のいる水戸藩邸へと急ぐ。必死に父と母を呼び続ける慶喜はまるで子供のように頼りなかった…。いつもは何を考えているか読めないような慶喜でも、やはり両親の安否となると冷静さを失ってしまうのだなと思いました。
幸いにも斉昭や吉子、そして側近の一人である武田耕雲斎は無事でした。が、もう一人の大切な人の姿が見えません。斉昭は血眼になりながらその人の名を必死に呼び続ける…。しかし、庭先に信じられない光景が目に入ってくる。

藤田東湖、圧死…。

その傍らでは東湖の息子の小四郎が父の名前を呼び続けながら泣きじゃくっていました…。斉昭が信じられない面持ちで駆け寄ると、血まみれになった物言わぬ東湖の姿がそこに横たわっていた(涙)。特に肩からの出血が激しかったのは、母親を助けるために体を張って庇った時に柱が直撃したからだと思われます…。ドラマでは触れられていませんでしたが、藤田東湖は母親を助けるために屋敷へ飛び込み圧死してしまったのだそうです(涙)。

斉昭は泣きながら我を忘れて東湖の名を呼び続けその体を抱きしめますが、彼が目を開けることは二度とありませんでした…。この時初めて、かつてロシアの船が遭難した時に「異国人とて、国には親や友がありましょう。誰しも、かけがえのなき者を天災で失うは耐えがたき事」と忠告した東湖の言葉が斉昭の心に沁みたのではないでしょうか。

「わしは、かけがえなき友を失くしてしまった…!!!」

いくら抱きしめても、いくら名前を呼んでも、それに応えてくれる友の姿はもうありません…。あまりにも辛く哀しい、斉昭と東湖の別れでした(涙)。いっけいさんの凛とした東湖のお芝居がとてもよかったので、早くに退場してしまうのはすごく残念です。素敵なお芝居ありがとうございました!

ちなみに、かつて東日本大震災があった年に斉昭のお墓参りをしたことがありました。

9月に訪れたのですが、あの頃はまだ墓石がたくさん倒れていて…東湖さんのところも手付かずな状態になっていました。今ではもう奇麗に整備されたとのことで安堵していますが、地震で亡くなってしまった東湖がまた再び地震によって墓地に被害が及んでしまったことがなんだかとても哀しくなったのを思い出します。

今回の『青天~』は「疫病」「迷信」「津波」「大地震」と現代の世とリンクするようなエピソードがとても多かった印象が強い。安政期には立て続けに大きな地震が起こったそうですが、今の日本も地震の回数が増えてきています。東日本大震災からはまだわずか10年しか経っていない。改めて防災を見直すときだなと身が引き締まる想いがしました。

どうか、今後の『青天~』放送に影響があるような災害が起こりませんように(祈)。

完全版ディスク発売!

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