私はご当地キャラクターが好きで、イベントにもよく足を運んでいます。元気で可愛い彼らに会うと癒されるし楽しい気持ちになる。
しかし、2019年が明けた後に「しんじょう君」と「ちぃたん☆」周辺の間に何かトラブルが起こったような報道が表に出てきて・・・正直とても驚きました。
「しんじょう君」は2013年4月、高知県須崎市で最後に発見された「ニホンカワウソ」をモチーフにしたキャラクターとして誕生しました。
「ちぃたん☆」が登場したのは2017年12月。
SNSにしんじょう君と仲睦まじい姿の写真がいくつか上がってきて、当時は「妹キャラかな?」的な微笑ましい目で見ていました。秋葉原のキャラってことだけど、”須崎市のことも一緒に仲良く応援してくれる子”として認識していたし、そう思っていたしんじょう君ファンも多かったと思います。
この時は、まさか決裂するような事態にまでいってしまうとは思いもしなかった…。
2019年1月、突然「ちぃたん☆、須崎市観光大使を解任される」というニュースが駆け巡りました。報道は”ちぃたん☆の過激映像の苦情が須崎市に殺到したから”といったような内容のものが多かった。[ちぃたん☆vsしんじょう君]の対立構造を煽るようなものばかりだったんですよね。
初めてこのニュースを見た時は「残念だけど、キャラとして目指す方向が違うというのは感じていたから別れる選択もやむを得ないのかな」程度の認識でした。「須崎市観光大使」としての活動もほとんど見られなかったし、解任されることで自由に行動できるからむしろ好都合なのかもしれない、とも思いました。
ちぃたん☆の行動は『ご当地キャラ』としてのものではなく『体を張る芸人』という次元の違うものになっていたし。
しかし、ネットには「須崎市がちぃたん☆を捨てた」だの「須崎が上から目線でちぃたん☆を切った」だのといった批判的意見がたくさん出ていた。あれよあれよという間に、キャラ同士の対立といった面が強く出ていく事態にとても悲しい想いをしました。
それと同時に、しんじょう君のアテンドをしている守時さんが苦しい胸の内を吐露するツイートを投稿。
そもそも今回のコツメカワウソのちぃたんの観光大使解任とキャラクターのちぃたんの過激な動画へのクレームは「全く関係ありません。」何回も何回も何回も関係無いと申し上げているのにメディアさんはどうしても「キャラクターちぃたんの過激な動画へのクレームに屈する須崎市」にしたいみたいですが。
— 超公務員 守時健さん(33歳) (@kissXD) January 18, 2019
これを読んだ時に、問題の根っこは違うところにあって、しかもかなり深刻な事態になっているのだということを察してとても不安な気持ちになりました…。
その後、次々と「ちぃたん☆」に関する知られざる裏事情がSNS上に出てくるようになりました。私が知らなかったこと、気づかなかったことばかりで・・・愕然とさせられることが多かった。
一番の問題点は、ちぃたん☆の運営会社・クリーブラッツが「しんじょう君の著作権を侵害した状態で」須崎市に無断で好き放題活動を展開させていたことだったのです。
そのあたりの事情については、以下の記事を見ると分かりやすいかもしれません。
そして、2019年2月6日、須崎市が定例会見で正式に「ちぃたん☆」を運営している母体会社のクリーブラッツに対して異議申し立ての発言をしました。
これに関してのニュース報道がSNSで一斉に飛び交ったわけですが、タイトルになんとなく悪意を覚えたのは私だけでしょうか。須崎市が権力かざしてちぃたん☆を潰そうとしていると捉える人が出てしまうのではと危惧していたら…案の定そういう意見も多く目にすることとなりました(涙)。
問題の根幹にあるのは『著作権侵害』の件です。
しんじょう君をデザインした方は、その著作権を須崎市側に譲渡しているそうです。なので、しんじょう君のデザインに関しての権利は須崎市にあることになります。
ちぃたん☆運営母体は、須崎市に何の相談もなく勝手に同じデザイナーに依頼し、しんじょう君と酷似したキャラクターを作ってしまったらしい。そもそも、パクリと認定される恐れがあるのになぜ「しんじょう君とそっくり」なキャラクターを作って世に出すことを考えたのかが個人的には謎です…。
それでも、「須崎市のPRをいっしょにやってくれるなら」ということで須崎市側はキャラクターが活動することを”黙認”していたそうです。つまり、最初からもろ手を挙げて仲良くタッグを組んでいたというわけではなかったのかと…。こういう事情があったことに私は正直驚きを隠せませんでした。
しかし、ちぃたん☆の運営は「須崎市PR」よりも自社の利益拡大優先に舵を切り、過激動画で多くの人の興味を惹きつけ商売につなげていってしまったと。しんじょう君と外見がそっくりなこともあり、誤認されることも多くなってしまった。
観光大使に任命されたのは動物のカワウソ「ちぃたん☆」でしたが、キャラ運営母体はその前から「ちぃたん☆」の商標権登録の申請を出して「そっくりすぎるから」との理由で蹴られていた経緯があったらしい。
それが判明したのはおそらく最近だったのではないでしょうか…。商標登録の動きがあることを知った須崎市は何度かちぃたん☆運営のクリーブラッツ側と話し合いのテーブルを持とうとしたようですが、無視をされ続けていた状況だったようです。
ちぃたん☆は「著作権侵害」しているという立場のままで、テレビ出演をしたりグッズを出したり、果ては著作権所有者の須崎市に黙ってアニメ化することまで決めてしまったことになります。「有料」の会員制ページを作ってもいるし…やりたい放題…。
このあたりの事情については、イーサキングさんが詳しく動画で解説しています。
さらに大きな問題になっているのが、日本での商標登録ができないと分かった「ちぃたん☆」運営側が、海外にその目を向け商標登録の動きに出ていることです。
しんじょう君は、高知県須崎市のPR活動のために海外に出ることも多いです。他のキャラさんたちも海外遠征する話はよく聞きます(うちの県のうどん脳くんも先日台湾へ出張してました)。
しんじょう君は、今年の秋に中国などでアニメ化放送されることが決まっています。
もしも、ちぃたん☆がその地域での商標権を認められてしまうと、しんじょう君は「パクリ」と認識され活動できなくなりアニメ化も白紙に戻されてしまう危険性が高い。もしも活動できたとしても、ちぃたん☆運営側に多額のお金を支払わなければならなくなる恐れがあります。
追記
2月8日、クリーブラッツ側が声明を出したようです。「しんじょう君とちぃたん☆の双方セットで商標登録しようとした」と反論されてます。
が、正式な書面での約束があったわけでもないようで、やはり闇を感じる…。このあたりの一番詳しい解説をイーサキングさんがしてくれていますね。
高知県須崎市は小さな町で、限られた予算の中でやりくりしながらしんじょう君を通じて一生懸命PR活動を頑張ってきました。今回のことは、単にキャラクター同士が争うことになったという単純なものではなく、須崎市が今まで地道に積み重ねてきたことが崩されかねない恐ろしい出来事なのです…。
私は、ちぃたん☆のことも応援していました。
体を張った動画にちょっと心配することも多いけど、何があってもへこたれない姿は応援したいという気持ちにさせられる。そんなちぃたん☆にファンが付くのも分かるし、元気づけてくれる愛しいキャラって思う気持ちもよく分かる。
ただ、ちぃたん☆の運営会社クリーブラッツは、そんなちぃたん☆の表の姿を隠れ蓑にして、しんじょう君の活動に水を差すようなことを行っていたわけで…。そこはもう、穏便に済ませて仲良くさせてあげたいっていう次元を超えてると思うんです。
今の状況は、他人のふんどしで相撲を取ってることと同じ。堂々と運営が顔を出してオリジナルのキャラクターで相撲を取るべきところを、彼らはコソコソ隠れて裏でお金を稼ぐことに夢中になっていたということではないだろうか(現に、最近まで会社名を表に出していませんでした)。ちぃたん☆はクリーブラッツの金儲け主義の片棒を担がされているとしか思えません。
そもそも、クリーブラッツはちぃたん☆に愛情を持っていないのではないですか?単なる金儲けの道具、としか思っていないのではないですか?
私は、キャラクター「ちぃたん☆」も今回の事件の被害者だと思っています。
しんじょう君は、高知県須崎市が愛情込めて育てたキャラクターです。試行錯誤しながら、須崎市のために、ファンのために、これまで一生懸命頑張ってきた姿を私は何度も目にしてきました。だから、金儲け主義の会社にしんじょう君の今後の活動を邪魔してほしくないのです。
別に、しんじょう君はちぃたん☆みたいに知名度あげて派手な人気者になろうなんて微塵も想っていないはず。ちぃたん☆の活躍に嫉妬したしんじょう君が逆切れした・・・なんて悲しい言葉もたくさん目にしたけど、そんなことはありえないと私は思ってます。
ただこれまで通り、須崎市と共にPR活動やキャラ友達と仲良くして、一人でも多くの人に笑顔を届けたい。しんじょう君が求めているのはそこだけだと思うんです。
今回ここまでこじれてしまったのには、私は須崎市側にもちょっと注意が足らなかったのではないかなとも思ってます。
ちぃたん☆の運営母体であるクリーブラッツという会社は、以前から黒い噂が上がっていました。所属してる地下アイドルとのトラブル問題はニュースにもなっていたし…。最初に持ちかけられたときは「動物のカワウソを」という話で、バックにそこの事務所が絡んでいることに気が付かなかったのかもしれないけど、やはり協力すると約束してしまう前に「本当に信頼できる所なのか」もう少し確認するべきだったのかもしれないなぁと…。
活動を「黙認」していた優しさがかえって仇になってしまった感も否めません。過激な動画が続きだした頃(最初は普通に可愛いキャラでアピールしてた)からアクションを起こしておけば…とも。
本当は、しんじょう君もちぃたん☆も、残ってほしい。でも既に信頼関係が崩壊しているし、これまで通り一緒にというわけにはいかないと思う。
仲良くやっていくためには、やはり最低限のルールは守らなければなりません。「ゆるい中にも礼儀あり」だと思うんです。ちぃたん☆の運営は、一番大切な信頼関係を築くということを怠っている。
事態解決には、ちぃたん☆の運営母体であるクリーブラッツが改心して須崎市に配慮した行動を起こしてくれない限りは無理じゃないだろうか(商標権申請を取り消し、無断で行ってきた事業を白紙にする等)。それに応じないなら、私は強硬手段の「訴訟」という方法もやむを得ないと思っています。
しんじょう君サイドの戦いを、私は応援しています。
どうかどうか、これまで通りしんじょう君が安心して活動ができる環境が戻りますように…!