大河ドラマ『麒麟がくる』第18回感想 越前へ

撮影がストップしているためストックが残り少ないとのニュースが流れましたが、このほど、6月7日の21話でいったん放送を中断することが正式決定となりました。今の状況では撮影はまだ困難だろうし、何よりも俳優さんやスタッフさんたちの健康が一番大切ですから致し方ありません。

が、ストーリーを短縮させて年内で無理やり終わらせるかもという話には断固反対。これだけクオリティの高い大河ドラマは中途半端で終わらせてはいけないと思います。私と同じ想いの人も多かったようで、NHKにも多くの意見が寄せられた模様。
どうなるのか気になっていたら、越年してでも予定通りの話数を放送していくことが決まったようです。次の大河ドラマも楽しみにしていますが、まずは『麒麟がくる』をしっかりと最後まで放送してほしいと思っているのでとりあえずほっと一安心。

撮影再開は6月を予定しているとのこと…。色々な制約はあるかもしれませんが…何とか最後まで今のクオリティを保ったままのドラマ作りをしていってもらいたいと思います。頑張れ、大河ドラマ!

今回から第2章に突入していくわけですが、第18回の作者は池端俊作さんではなく岩本摩耶さんだったな。HPを改めてチェックしてみたら池端さんのほかに2人の脚本家さんが担当することになっていました。ちなみにもう一人は前川洋一さんのようです。

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以下、第18回を見て気になったシーンもろもろネタバレあり

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『麒麟がくる』第18回 越前へ

2020年05月17日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45

長谷川博己、染谷将太、川口春奈、木村了、木村文乃、門脇麦、間宮祥太朗、ユースケ・サンタマリア、石川さゆりほか

あらすじ

高政軍の追手から、命からがら美濃を脱出する光秀(長谷川博己)たち。帰蝶(川口春奈)の取り計らいで現れた伊呂波太夫(尾野真千子)に導かれ、隣国・越前の地へたどりつく。領主・朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)に謁見し、明智家をかくまってもらえないかと交渉する太夫に、義景は値踏みをするように光秀を見つめ、渋々ながら了承する。

<公式HPより引用>

光安から「明智家の主となり再び城を持つ主となってもらうためにも逃げろ」と説得された光秀は脱出の準備を急ぐ。そこへ自らの出自を確かめるために菊丸とともに美濃へ向かっていた駒が駆け込んできて、尾張方面は見張りが厳しくて無理だと伝える。菊丸の助言で仕方なく北へ向かうことにした光秀…。

脱出する直前、光秀は燃え盛る明智城の光景を目に焼き付ける…。牧もその光景を目の当たりにし、左馬助の話から光安が城と運命を共にしたことを悟り激しいショックを受ける(涙)。
断腸の想いで城に頭を下げた光秀は、叔父の想いを胸に毅然と前を向き美濃を旅立つ…。

追手の目から隠れるように険しい山道を進む光秀たちの前に突然伊呂波太夫が現れる。帰蝶から明智を救うように頼まれたと話し越前へ案内すると話す彼女でしたが、面識があるわけではないのでその言葉を信じていいものか少し迷いが生じてしまう光秀。
しかし、駒の「太夫は私の親しいお方です」という言葉を聞き伊呂波太夫の後について越前へ向かう決断をする。彼女が付いていてくれてよかった。

しばらく進んだのちに小さな小屋を見つけた一行はひとまずその場で一夜を過ごすことにします。菊丸は伊呂波太夫と目を合わそうとしていませんでしたが…この二人、お互いに忍びの役目もあることから何か因縁があるのかもしれませんね。

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小屋に着いたとき、煕子の手首の傷に気が付いた駒は手際よく治療の準備を始める。そんな彼女を複雑な表情で見つめる菊丸…。彼は駒が光秀に片想いしていることを知っていますから、胸中複雑でしょう。駒は動揺する素振りひとつ見せていませんでしたが…実際のところはどんな気持ちなんだろうね…。

水を汲んでくるよう頼まれ外に出た光秀に菊丸は「越前は良い国と聞きますよ」と元気づけようとする。素破だから色々と内情に詳しいんだろうけど、その素性はまだここでは言えない。今は駿河で薬屋の仕事をしていると話したうえで「これ以上長く店を空けられない」としてこれ以上一緒に旅をすることができないことを告げる。
少し残念そうな顔をした光秀に菊丸は「どこまでもついていきたかったと駒に伝えてほしい」と少し恥ずかしそうに告げました。光秀は菊丸が駒に想いを寄せていることを悟っていることもあってか、穏やかにその言葉を受け止めているように見えてちょっと和みました。

手当てをしてもらったことを駒に感謝した煕子は「何故私たちを助けてくれるのですか?」と疑問を投げかけてみる。駒と明智家との関わりについて彼女はまだ知りませんからね。
駒は一時期美濃で明智家に大変世話になったからだと告げる。そしてもう一つ、幼い頃に自分を助けてくれた命の恩人のことが気にかかっていることも…。その人はよく「麒麟の話」をしてくれたと嬉しそうに語る駒の言葉に耳を傾ける煕子。すると突然、血相を変えて牧が駒のところへ駆け寄ってくる。

牧に「火事の時の傷が腕にあるか」と聞かれた駒は驚いて袖をまくりそれを彼女に見せる。駒の火傷跡を見た牧は感極まってその腕にすがり涙を浮かべました…。

「亡き夫、光綱様が話してくださいました…」

牧の夫であり光秀の父であった光綱は、かつて土岐の供で京に上るとき火事に遭遇し、小さな女の子を救い出していた。そしてその後、旅の一座にその子を預けていたのです。光綱は助けた女の子のことを常に気にかけ、京へ行くたびに行方を捜していたという…。

やっぱり、駒を救ったのは光秀の父・光綱でした。かなり早い段階からそうじゃないかと思って見てきましたが、こうして改めて牧さんの口からその事情を語られると…なんだかこみ上げるものを感じてしまいますね(涙)。

初めて自分の命の恩人が光綱だと知った駒はあふれる涙を止めることができない…。再会した時にお礼を言いたいとずっと思ってきたその相手はこの世にはいない。さぞかし無念で切なかっただろうよ…(涙)。ぼろぼろと涙を流しながら悲しみに暮れる駒を、牧は自分の娘のようにきつく抱きしめます。きっと、駒の中に光綱の姿を見ていたのかもしれない。

「私も信じます、いつの日か必ず戦は終わる!麒麟がくると…!!」

おそらく牧さんも光綱さんからずっと「麒麟」の話を聞いていたんだと思います。彼女の中でとても大切に温めていた話に違いない…。駒も同じ話をずっと大切に想っていてくれたことが牧は嬉しかったんじゃないかな。きっとこれからは駒のことは”家族”同然という気持ちで接していくのではないでしょうか。
それにしても、石川さゆりさん…今回も本当に素晴らしい表現力。それに、美しい…!!

二人の話を陰からそっと見つめていた光秀は静かに外へ出て、光安から受け継いだ”明智の旗”を見つめます。

「明智家の当主となって再び城を持つ身になってもらいたい」という光安の遺言を思い返しながら刀を振るう光秀。叔父の言葉を深く噛みしめつつ、自分はこの先どのように「明智家」を背負っていけばよいのかと自問自答しているように見えた…。心の迷いを振り切ろうとするかの如く刀を振るう光秀の姿がとても印象的なシーンでした。

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その後、光秀一行は越前の一乗谷へ無事に落ち延びることができた。町は活気に満ちていて、店先には様々なものが豊富に並べられていました。

越前…ということでちゃんと「越前ガニ」もならんでましたねw。久しぶりに平和でにぎやかな町に出た一行は少し心を躍らせているようでした。

光秀はさっそく伊呂波太夫の案内で越前を治めている朝倉館へあいさつに訪れる。約束の時間からだいぶ遅れていたようでしたが、ついに登場です!

ユースケ・サンタマリアさんの朝倉義景、キターーー!!
なんか、見た目ちょっとだけ麻呂っぽいww!?髭の形が何とも言えない(笑)。飄々としていて表向きはちょっと軽いテキトー男のようなキャラクターがユースケさんにハマってるww。

義景はまず光秀ではなく伊呂波太夫と会話を始める。話題は近衛家から来た義景の妻のことが中心。どうやら太夫は彼女のことが嫌いみたいですなw。っていうか、今その話どうでもいいような気もするのですがww。光秀はこの話題に全くついていけません(笑)。
それにしても伊呂波太夫、朝倉と嫌味まで言い合えるような仲とは・・・いったいどれだけの人脈があるのだろうか!?逆に怖いよ。

近衛家についての話題がひと段落着いたところでようやく話題が光秀のことへ。伊呂波太夫から明智を越前で匿ってほしいと告げられた義景でしたが、それを聞くと途端に渋い表情でとある文を彼女に見せてきた。それは、細川藤孝からのもので「明智という者が落ち延びてきたときには良しなに取り計らってほしい」という旨のことが書かれてある。
藤孝は朝倉家以外にも方々の知り合いに同じ内容の文を書き送り明智家を救おうとしてくれていたようです。めっちゃ良い人、藤孝さん!!!彼は光秀のことをすごく慕ってたからね~。

しかし、義景は「争いごとには巻き込まれたくない」と言って光秀を匿うことに不安を感じている様子…。それに対して太夫は「明智は尾張に嫁いだ帰蝶の縁者でもあるから、万一美濃が越前を襲うことがあったとしても尾張が背後から美濃を刺し越前を守るでしょう」とシレっと恐ろしいことを口にして義景を安心させようとする。それを横目で見ていた光秀も「怖い女…」って表情してたなw。

すると義景は不敵な表情を浮かべながら光秀の前にしゃがみ込み「太夫の申したことは真か?」と迫ってくる。最初のちょっと軽そうな印象とは全く違った得体のしれない雰囲気を出してきた義景。こういうちょっとゾクっとさせるような芝居がユースケさんは巧いよね。

「そちのために、尾張は動くと思うか?」とさらに光秀に切り込んでくる義景。すると、光秀は意を決して彼の目をまっすぐと見据えたうえで「私に、尾張を動かすほどの力はござりません」と、道三に接してきたように正直に答える。おそらく彼は、義景が自分の回答にどういう反応を見せるのか探りを入れていたのかもしれません。
義景はしばし厳しい表情を浮かべていましたが、「このまま美濃へ帰すわけにもいくまい」と諦めたように告げ光秀たちを越前に匿うことを了承。義景も光秀という人物に興味を持ったのかもしれません。

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さらに義景は光秀たちが当面の金銭や食べ物に困っているだろうと慮り、「くれてやろうぞ!!」とドヤ顔で援助を申し出てきた。光秀はこれまでの主君とはまるで正反対のことを言ってきた義景に面喰ったようでしたね(笑)。道三は超ケチでこんな大盤振る舞い的な発言は絶対しない人でしたからw、いとも簡単に持ってけドロボー的に援助を申し出てきた義景に驚きを隠せなかったと思います。

そのうえで、光秀はきっぱりと「いただく理由がございません」と援助の申し出を断ります。ここでもらってしまっては、命を救うために奔走してくれた帰蝶や藤孝の顔に泥を塗ると思ってのことだったよう…。まじめな光秀らしい。

しかし、義景としては自分の権力を光秀に誇示したい目的もあったでしょうから、予想外の光秀の態度にプライドを傷つけられた気持ちになったんじゃなかろうか。「そうかぁ…」と呟いた時の顔、めっちゃ不満げだったしw、そのあとすぐに伊呂波太夫との会話に切り替えちゃってたし、何ともわかりにくいようでわかりやすい人物だなと(笑)。でも、この断ったことが後々光秀に不利に働かなければいいけど…という不安はあります(苦笑)。

で、光秀が去った後のシーンがちょこっと出てきたのですが・・・義景が家臣に光秀が座っていた場所を念入りに床拭きさせてるではありませんかwww!!しかも「もっと、抉るように拭こう」とかなり神経質になっている様子(笑)。今このシーンを見るとウィルス対策で除菌しているようにも見えてしまうわけですがw、それにしても義景さん、やはり一筋縄ではいかない人物のようですな。
これまで朝倉をここまでクローズアップしてきたドラマは見たことがなかったので、ユースケ@義景が今後どう動いていくのか非常に楽しみです。

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光秀一行は義景から与えられた住処の場所へさっそく赴きますが…

庭は草ぼうぼう、扉もまともに開かないし、屋根にも大きな穴が空いているような…かなーーり年季の入った家でした(汗)。竈には先客の蛇までいたようで駒も思わず悲鳴を上げてしまう。これだけのボロ屋しか提供されなかったところを見ると、義景は光秀のことを「気に入った」わけではなさそうですねw。

掃除をしたくても道具がないことに途方に暮れていると、駒が質屋を見つけたのでそこでお金を調達して買ってくると提案。そこで質に出すものが問題となってくるわけですが、光秀が母の反対を押し切り父の形見である数珠を差し出すことに…。生きるために、明智家再興のためにという気持ちからだったと思うけど、それにしても大切な思い出の品を出すしかないというのがなんとも切ないです…。
それを見た煕子は、駒に「質屋がどういうところか知っておきたいのです」と同行させてほしいと頼み、一緒に質屋へ出かけていきました。ボディガードには左馬助が。間宮君、民放のドラマが中止になってる分、ここでお仕事してるのねww(4月期ドラマでボディガード役やるはずだったからね)。

で、次のシーンでは駒さんが質屋の店主がケチだったことに文句を言いまくっているw。どうやらお金の工面はできたようですが、思うようなお金を得られなかったらしい。
質に出したのは…光秀の渡した父の形見の数珠ではなく、煕子が持っていた帯だった。彼女は光秀が大切なものを差し出したのを見て、自分の質になりそうな帯をお金に換えてもらわねばと一緒についてきたわけですね。

「帯の代わりはあっても、この数珠の代わりはありませんから」

デキた奥さんだね、煕子さん。これまではどちらかというと地味な存在だったけど、ここにきて大きな役目を果たしました。駒はそんな彼女を見て少し微笑みました。自分が愛した人の奥さんが本当に夫のことを大切に想ってくれていることへの安堵感と、そこにいるのが自分ではないことへの寂しさと…。二つの感情が入り混じった笑顔のように見えたな…。
煕子さんは、駒の光秀に対する気持ちにいつ気づくのだろうか?もしかしたらもう薄々感じているのかもしれませんが。

母と二人きりになった光秀は「私は戦が好きではありません」と静かに語りだす。それでも、武士の定めだからと釈然としない想いを抱えつつ何度も戦場を経験してきた。しかし、長良川の戦いで道三側に着いたことで敗北者となった今、すべてを失い「己の無力さ」だけが残ってしまったと嘆く…。そのなんとも言えない惨めさからか光秀の表情は冴えないままです。

そんな息子に、牧は光綱から聴いていたという言葉を伝える。

「人には浮き沈みがある、武士には勝ち負けがある、沈んだ時にどう生きるか、負けた時にどう耐えるか、その時に、その者の値打ちが決まる」

その言葉を聞いた光秀は、幼い頃に父と共に馬で駆け抜けた日のことを回想する。このドラマのなかで光秀の子供時代が登場するのはこれが初めてではないですかね。

光秀の父・光綱を演じていたのは、尾関伸次さんではないですか!尾関さんといえば、NHKでやっていたドラマ「新撰組血風録」の斎藤一役がめちゃめちゃカッコよかったんですよねぇ。そのあともちょいちょいほかのドラマでお見掛けしていましたが、最近では朝ドラ『半分、青い』で方言指導もしていました(岐阜出身の方なので)。

光秀は野駆けした折に父から聞いた言葉をはっきりと覚えていました。

「十兵衛、馬は誇り高き生き物ぞ。勝っても負けても、己の力の限り走る、遠くへ。それが己の役目だと知っておるのじゃ。我らもそうありたい」

ドラマのオープニングで馬の映像がけっこう印象的に出てくるなとは思っていましたが、光秀と父親との絆を繋ぐような存在だったからなのかなとこのシーンを見てふと感じました。幼い頃に父から馬の話を聞いて以来、光秀の中では馬は特別な生き物だったのかもしれません。

「誇り高く…!!…誇り高く…!!」

明智家を背負っていく者としての覚悟がこのセリフの中から痛いほど伝わってきた…。
そんな息子の様子を黙って笑顔で見上げる母・牧と、父の教えを改めて胸に刻み込む光秀の姿に自然に涙がこぼれてしまいました(涙)。とても美しく、印象的なシーンだった。

そして、片付けも落ち着きひと段落着いたのを確認した駒は一人京へ帰っていきました。女の子の一人旅、この時代は大変だったと思うけど…それを何度も体験してる駒はすごいよね。

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その頃尾張では大事件が起ころうとしていました。反・信長勢力が増してきた頃、信勝の重臣・柴田勝家がある決意をもって信長の元を訪れる。

柴田勝家を演じているのは安藤政信くん!!前クールでは『テセウスの船』で怪演を魅せてくれていましたが、今回は打って変わって知将といった雰囲気の柴田勝家でめっちゃカッコイイ。これまでは猛将といったイメージでいかつい人が演じることが多かったように思いますが、安藤君はそれとは違った魅力を出してきそうで今後がとても楽しみです。

勝家は主君である信勝を裏切り信長の元へ密告しにやってきた。信長は「首を撥ねられるかもしれないのだぞ」と念を押しますが、それも覚悟の上だという。
彼が危機感を抱いていたのは、信勝が今川義元とも通じている高政と手を結び、尾張を挟み撃ちさせようと目論んでいる計画があることでした。信長を排除するために尾張を滅亡へ導こうとする信勝の動きを勝家は見過ごすことができなかった。

勝家の話を聞いた信長は冷たい表情で「かつて一度自分に背いた信勝を母の嘆願で許した」ことを思い出し、ひとこと「わしは愚かじゃなぁ」と呟く。その時に見せた”情”が今に繋がってしまったことを悔いていたのかもしれません…。
この経緯はドラマでは描かれていませんが、おそらく信長と信勝が家督争いで衝突した稲生の戦いのことを指しているものと思われます。この時、勝家も信勝側として参戦していて信長とは敵対関係にありました。そんな彼が今回寝返っているわけですから…これはかなり大きな事件です。

その話を聞いた帰蝶は、「信勝は周囲に踊らされている哀れな男」と評する信長の言葉に対して「哀れならお許しになりますのか?」と意味ありげに問いかける。哀れな男のせいで何人もの兵を失っているのではないかと指摘してくる彼女に、信長は苛立ちを隠せない。「どうしろというのだ!」と混乱する彼に、帰蝶は「信勝様にお会いなされませ」と告げる。

「なんとしてもお会いなされませ。お顔を見て、どうすればいいかお決めになればよろしいのです」

帰蝶、相変わらずシレっと恐ろしいことを口にする!!これは暗に「邪魔な存在の信勝を抹殺してしまえばいい」と焚きつけているわけです。さすがマムシの娘。
逆にこの頃の信長はまだ身内への情を捨てきれない男として描かれているのが面白い。それゆえに、後々の信長像を作っていくのは帰蝶ではないかとすら思えてしまいますね。そう考えると、光秀は帰蝶と一緒にならなくて正解だったのかもしれないw。

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数日後、信長が病に伏していると聞いた信勝が見舞いの品を持ち清州城へやって来る。
信勝は信長の病を全く疑っていないようでしたが…見ているこちらとしては少し前に同じようなパターンの場面を目の当たりにしているだけに悪い予感しかいたしません(汗)。病と称して呼び出されることほど危険なことはないぞ、信勝!!しかし、あの時と少し違うのは・・・信勝が信長の病のことを露ほども心配していないということですかね(苦笑)。

供に訪れた土田御前は別室に待機させ、信勝だけが信長の部屋へ案内される。この時点ですでに不穏な空気が漂いまくり。

信長は表向き低姿勢で病の心配をしてくる信勝を暗い目で見つめる。

さらに信勝は見舞いと称して持参した”万病に効くという霊験あらたかな水”を信長に差し出してきた。もう、見るからに「怪しい水」といった雰囲気が漂っているではないかww!!こんなもんおもむろに差し出したらなおさら不信感を招くだけだよ。

信長は笑顔で近づいてきた信勝に、あっさりと「病というのは偽りじゃ」と種明かしをする。意外な返答に面喰う信勝に対し「そなたを呼び出して討ち果たすために偽りを申した」とシレっと言い放つ信長が恐ろしい(厳密にいうと帰蝶に焚きつけられたんだけど)。この言葉を聞いてようやく事の次第を飲み込んだ弟は思わず恐怖心から生唾を飲み込んで身構える。
以前もあったけど、今回のドラマの演出では役者が生唾を飲み込む音を見事に拾い上げて緊張感を出してますよね。信勝役の木村了くんはけっこう飲み込む回数が多かったので、なおさら彼の恐怖心が伝わってきました。

しかし、信長は弟の顔を見て討ち果たす気は失せたという。母の悲しむ顔は見たくないと語る信長…。しかし、「母」というワードが出たことで、彼がこれまで抱えてきた黒い感情が沸々と湧き上がってくる。
母の愛情を一身に受けている弟・信勝が羨ましくもあり、疎ましくも感じてきた信長。姿形も弟に及ばず、何かと母の期待することに応えることができなかったことで遠ざけられる存在になってしまった。やがて屈折した想いに支配された信長は信勝への憎しみの感情が増幅し「殺してやりたい」と思うようになったという…。その感情を洗いざらい弟に語り聞かせる信長がなんだかとても切ない…。

兄の本心を聞いた信勝は、目に涙を浮かべながら「兄上を妬ましく思っていた」とこれまで打ち明けなかった心の内を語りだす。常に自分よりも前に進んで行動し、戦にも強かった兄に信勝は嫉妬心を募らせていたのです…。「私がせんとしたことを全て成し遂げてしまわれる」とその想いをぶつけた信勝の言葉がこれまた切ない…。おそらく信勝にとって信長は本来憧れの対象でもあっただろうに…それが周りの影響で「憎しみ」の感情のほうが大きくなってしまったのでしょう。

「兄上が疎ましい…!!兄上さえいなければ…!!」

涙ながらに心の内を訴える信勝に対し、信長は冷たく「それゆえ高政と手を結んだか…」と問い詰め、図星を突かれ何も言葉が出てこない弟を見て涙を流す…。

「我らは似た者同士ということか…」

もはや分かり合うことはないと悟った信長は、信勝に見舞いと称して持参した水を飲むように強要する。しかし信勝はなかなかそれに手を付けようとしない。やはり彼が持ってきたのは「毒」だということがこれで明白になった。信勝は信長を毒殺するつもりでやって来たのです…。
おそらく最初からそれが「毒」だということは悟っていたと思うけど、改めて弟の怯えた様子を見て確信した信長のショックは大きかったと思います。涙を流し「そうか…」と呻くように呟いた姿が痛々しくて泣ける…。彼の中に残っていた僅かな”情”が砕かれた瞬間でもありましたからね(涙)。

「飲め…!飲むんじゃ…!飲め…!お前が飲めーーー!!!」

怯える信勝に水を飲むよう恫喝する信長。彼の狂気がむき出しになるゾクっとするシーンでもありましたが、その感情の裏に、弟の裏切り行為への哀しみのような気持も見え隠れしていて胸が痛くなりました…。帰蝶に焚きつけられる前までは弟を殺すという選択に踏み切れないでいたくらいでしたからね。
もっと違う育てられ方をしていたら、最強の兄弟になれたかもしれないのに…と思うと本当に無念でなりません。

信長は自らの手を下すことはせず、強制的に自害に追い込むという形で弟を抹殺しました。事切れた信勝を見下ろしながら、一言「信勝…、愚か者…」と静かに呟いた信長の場面がとても印象的でした。そこにあったのは、おそらく”虚しさ”という感情だけだったのではないかと。

次回はついに母・土田御前と対峙する信長。どのような決着をつけるのか見守りたい。