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大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第19話ネタバレ感想

蔦重の仲間に歌麿が加わっていよいよ新章が始まった感が出てきた大河ドラマ『べらぼう』。

冒頭では上様と田沼が「お励みのようで何より」とホクホクした雰囲気でしたがww、家治の側室・知保の方が自害を図った事件が発生し一気に事態は緊迫。しかし、奥女中である大崎はなぜか目立たない場所でニヤリとした笑みを浮かべている。これは何か企みがあるなと。気になるのは、大崎が元々は一橋治済の嫡男である豊千代の乳母だったという点です。

2年前くらいに放送されていたNHKドラマ『大奥』を見ているからか、治済が絡んでいるだけで不穏なものを感じずにはいられない(苦笑)。既に生田斗真くんのお芝居からも異様なオーラ出てますからねw。

知保の方の一件は田沼と大奥筆頭の高岳が見立てた通り、どうやら権力維持のための彼女たちなりの悪あがきだった様子。種姫というのは鷹狩で謎の死を迎えてしまった跡取り・家基の妻。種姫の養母は白河様(後の松平定信、心くんが演じてましたね)の親でもある法蓮院です。家基の生母である知保の方と結託して事件を起こし、将軍に自分たちの存在を知らしめたというわけ。生き残るため彼女たちも必死だったのです。そう思うと何とも哀れではある。
個人的には、謙さん田沼の「お命を取り留められるのも、ずいぶんとお早いようだ」とため息交じりに苦笑いする芝居がツボでした。

大河ドラマ『べらぼう』感想一覧

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第19回「鱗の置き土産」2025年5月18日放送

同じ頃、ついに店を畳む決意をした鱗形屋の跡取り息子・長兵衛が体調を崩した父に代わって他の本屋に引継ぎをお願いしていました。その過程で、鱗形屋に義理立てしてずっと世話になってきた恋川春町は鶴屋さんの預かりになることが決まります。

ところがその話し合いの場に蔦重が乗り込んできてギスギスした雰囲気に。部屋に入る前に気を整え大きく一息ついた彼が中に入ったとたんフニャッとした笑みで「どうも~どうも~、ご無沙汰山にございます」とおどけて入っていくシーンがなかなか面白かったですね。あの一連の表情はまさに策士そのもの。
鶴屋たちにとっては一番見たくない顔だったわけで敵対心剥き出し。蔦重もそうなることを予想していたと思うのですが、あえてその本音は表に出さず「鱗形屋さんが店を仕舞うと聞いて細見を全部買い取りに来た」と切り出す(西村屋さんがその腹を先読みして言っちゃってたけどw)。反発する西村屋に「その3倍で買い取る」と強気の蔦重。一見するとお金で解決しようとする”業突く張り”と捉えられる行為ですが、実は「鱗形屋を支援したい」という気持ちもあってこその言動なんですよね。

ところが、恋川春町は蔦重に「お前のような盗人と話すことなど何もない」と嫌悪感剥き出しでつれなく帰ってしまった。そうか、二人の初めての出会いはここになるのか。春町の蔦重への第一印象は最悪ってところからスタートするのが面白い。
ちなみにドラマではこの一連のやり取りを鱗形屋は布団に横たわったまま聞き耳を立てているだけでしたが、小説では彼も話し合いの中に交じっていることになっています。

OPが明けると悲しいお知らせが…。かねてより心配していたカボチャのダンナ…もとい、大文字屋さんがあの世へ旅立ってしまいました(涙)。ということで”大文字屋を偲ぶ会”が駿河屋の2階で催されることに。誰も”大文字屋”と呼ばず”カボチャ”呼びなのがちょっと面白いww。しかもこの時出された弁当に対する皆様の反応ったら…(笑)。

まぁでも、あそこまで”カボチャ”オンパレードなメニューが出てきたら、そりゃこういう反応になっちゃうよなと(笑)。っていうか、よくあんな弁当作ったなと感心するレベルw!!NHK調理部、さすがです。

ところが大文字屋を偲ぶ会は次第に出版関連の話で熱を帯びていく。最初は蔦重が本屋をやることに大反対していた忘八の親父様たちでしたが、今では編集者並みの大乗り気で(笑)。耕書堂を盛り立てるための案が次から次へと飛び出し、「春町先生をこっちに引っ張ってくればいい」と大盛り上がりw。蔦重としては春町と最悪の対面をしてしまったために、今あまり彼を刺激したくない。でもそれを言うわけにもいかずひと悶着(笑)。
「春町先生は真面目な方なので(女郎で釣る案は効果がないはず)」ととどめようとした蔦重に丁子屋がプツッと「俺らが不真面目だっていうのかよ!!」とキレちゃうシーンは漫画チックで面白かったww。

耕書堂の営業が終わった日の夜、蔦重は大量の”青本”を読み始めました。親父様たちの前では無理だと言ったものの、彼の本音としては恋川春町を自分のお抱え作家としたい気持ちが強い。ということでさっそく彼の書いた本を読み漁って春町を研究し始めたというわけ。一緒に読み始めた歌麿は「文章よりも彼が描く味のある絵が好き」と目を輝かせていました。歌麿はやはり”絵”に関しては特別な感性があるようですね。

その頃春町は鶴屋で作家活動を再開させていましたが、どうもお互いのコミュニケーションがうまく行っていない様子。春町の原稿を読んだ鶴屋はかつての傑作「金々先生」をもう一度アレンジして書いてないかと提案。ところが生真面目で融通が利かない春町は「同じことをやるのは好きではないし、読み手にも失礼だ」と持論を曲げない。
しかしながら、出版元の鶴屋としては古臭さが漂う春町の原稿を読んで”これは売れない”と判断しているわけなので、他に「案思(作品の構成)」が思い浮かばないならば粋で洒落た新しい「金々先生」を書いてもらいたい。お互いに”良い本を出したい”という気持ちはあるだけにこの問題は難しいなぁと。きっと現代でもこういった出版元と作家の意見の食い違いみたいなことはたくさんあるんだろうなぁと思いながら見てしまいました。

一方蔦重は須原屋を訪れ、どうすれば春町を耕書堂に引っ張ってこれるか相談していました。こういうところも抜け目ない。須原屋は鶴屋と春町の意見が食い違っていることを察していたようで「今なら行けるかもしれない」と助け舟を出しました。「力のある者同士がぶつかるとお互いが潰し合う、こういうこともあるんだよ」という里見さん須原屋の言葉の重みがすごい!どんなに凄い才能がタッグを組んでも、お互い信頼関係を築けなければ”良いもの”は生まれない。これはきっと今の世の中でも全く同じことが言えるのでは。
何かを閃いた蔦重はホクホクしながら帰宅。そんな彼の後ろ姿を見つめながら「波に乗ってるやつは強いね」というセリフもとても印象的だった。里見浩太朗さんがこのセリフを発するとものすごい説得力を感じますね。蔦重は天性の勘で”波”を捕まえることができる人だったんじゃないかなと思った。

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少し病が回復した鱗形屋が片づけをしていると、申し訳なさそうな顔の春町が鶴屋に否定された原稿を持ってやって来る。やっぱり鱗形屋との縁のほうが深かったですから、信頼できる人にもう一度正しく評価してもらいたいという気持ちがあったのでしょう。
原稿を読んだ鱗形屋は少し渋い顔をしながら「誰もやってないことをやりたいのは分かるけれど、能書きばかりで…」と正直に酷評する。その言葉を聞いてようやく現実を受け止めた春町。彼は鶴屋から「金々先生」を書き直すことを提案されたが気が乗らないと弱音を吐く。あの作品は、実は鱗のダンナが案思やネタを提供して春町が書き上げた傑作だったため、もうそれができないことですっかり弱気になっていました。ついには「俺にはそもそも才などなかったのやもしれぬ」と超ネガティブ思考に陥ってしまう春町先生(汗)。

鱗形屋はなんとか元気づけようとしますが、店を畳む決意をした自分にはどうすることもできない。そんなもどかしい気持ちも理解できてしまう春町は弱音を吐いてしまったことを謝罪し、寂しそうに立ち去っていきました…。
このシーンは何とも切なかったですねぇ。鱗のダンナと春町の関係ってとても深い絆で結ばれていたように思います。お互いに苦境を助け合ってきた仲というか…。だからこそ、どうにもできない状況がもどかしくて苦しかっただろうなと。大切な作家を助けたいのに助けてあげられず苦悩する父を見つめる息子も辛かったのではないでしょうか。

春町が帰った後入れ違いで須原屋が鱗形屋にやって来た。須原屋は自分がずっと仕入れていた細見は実は蔦重に頼まれたからなのだと種明かしをする。
鱗形屋が傾く大きな原因となった二度目の偽版事件の折、蔦重が細見を大量に仕入れたいと申し出てきたことがありました。あの時鱗のダンナは事件に乗じて蔦重が自分の店を潰そうとしていると思い込んだため頭に血が上り彼を罵って放り出してしまった。それなのに蔦重は鱗形屋にお金が入るよう須原屋に頼んで支援していたです。この時孫兵衛は初めて自分が犯してしまった過ちを受け入れたのかもしれないなと思いました。

愕然とする鱗形屋に須原屋は「お前さんにはないのかい?ここを発つ前に償っておきたいものか何かが?」と問いかける。須原屋さんは本当にいつも肝心なところで良い言葉を投げかけてくれますね。
ドラマでは描かれていませんでしたが、鱗のダンナはその夜、蔦重へ報いるために「金々先生」の本を手に取り「俺は何も償っていなかった」と呟いていたようです。このシーンも見てみたかったなぁ。

蔦重は春町と仲の良い喜三二を呼んで情報を聞き出そうとする。鶴屋と春町が組んだことを知った喜三二(まぁ)は「鶴屋は洒落てる本屋だから生真面目でいつも悩みながら書いてる春町が巧く応じられないのではないか」と慮る。
そのとき、鱗形屋の息子の長兵衛が耕書堂を訪ねてきた。彼は歌麿を見るなりすぐに「唐丸じゃないか!?」と驚きますが、歌麿はシレっと「雇われの絵師見習いです」と嘘をつく。彼は少年時代によく蔦重と一緒に鱗形屋訪れてましたから、長兵衛にはその存在を知られてるんだった。でも素性を明かすわけにはいかないので蔦重も「唐丸にそっくりだったから雇うことにしたんだ」とシレッと嘘をつく。この二人の連係プレーは見事。

長兵衛は蔦重に父からの踏みを手渡す(この時の蔦重の「今日はいか用たこ用で?」の洒落た聞き方が面白かったw)。そこには「おまえに鶴屋から春町先生を攫ってきてほしい」と意外な内容が書かれてありました。「共に世に出した恋川春町が潰れてしまうのを見ていられないから」という文言に鱗形屋孫兵衛の蔦重への本音が垣間見えてるなと胸が熱くなりました。
第6話で鱗形屋が最初のピンチを迎える直前、蔦重と二人で楽しそうに案思を練ったシーンがありました。あの時の構想こそが、春町の「金々先生」へと繋がった経緯があります。鱗形屋が失墜したあと険悪な関係になってしまったけれど、私としては根底にはあの時の共鳴したかのような心躍る瞬間はお互いに忘れられなかったのではないかと思っていて。それだけに、あの文言は個人的にとても嬉しかった。

これを機に蔦重と鱗形屋は春町召喚のため文通することになるのですが、お互いの文面が実に洒落ていて面白かったです。特に「かっさらって暮れの鐘」はツボw。江戸っ子らしい言葉遊びがこのドラマはたくさん出てくるし役者さんの言い方も洒落てるので実に楽しい。
喜三二の「春町は誰もやっていないことをやりたがるから、そう思わせるものを提供すればいいのでは」という閃きもあり、その日から蔦重はお抱え作家を集めて”案思”のネタ探しに没頭していきます。このメンバーの中に前回唐丸を利用してた悪徳侍の北川豊章(今回から名前が志水燕十に変わってました)の姿もw。加藤虎ノ介くん、虎ちゃん、セミレギュラーですかね、これは!ガサツで破天荒なキャラがなかなか面白いです(笑)。

ちなみにドラマでは鱗形屋は手紙でやり取りしたということになっていましたが、小説では実際に耕書堂まで出向いて直に蔦重とやりとりしています。これはおそらく、愛之助さんが怪我から復帰されたばかりだった頃の撮影ということも影響したのかもしれないなと思いました(第19回より前のシーンは殆ど怪我をする前の撮影分だったそうなので)。

みんなで春町の青本を読み漁りネタ被りがないかチェックしていくくだりは実に痛快で楽しかったですね(吉原で考えてるからネタがほとんど女郎関係なんだけどw)。河岸のきくさんたちまで協力してくれて。それもこれも蔦重の人柄あってこそ。鱗のダンナも水を得た魚のように次々とネタをひねり出して蔦重に提案していく。そうこうするうちに体も回復したようで本当に良かった。やっぱり鱗形屋さんは生粋の本屋なんだなと嬉しくなったよ。

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しかしなかなか新しいネタが見つからず次第に疲れが見え始める蔦重たち。春町はそれだけ多くの青本を出版してたってことですよね。今はスランプに陥ってるけど、本当に凄い作家なんだなと思った。行き詰まり気味な蔦重に歌麿は「青本は文と絵があるのだから、こんな絵を見てみたいと発送を変えるのはどうか」と提案。これに集まっていた一同が「それだ!!」と同意して盛り上がっていくくだり、めっちゃ漫画的で面白かった(笑)。さすが歌麿、やっぱり彼は”絵”の人になるんだろうなとワクワクしますね。

で、皆で意見を出し合っていき…蔦重が「百年先のマゲって見てみたくないですか?」とナイスアイディアを出してきた。このシーンの時、喜三二、政寅、燕十の”マゲ”がとんでもない形に変化してく演出がwwww。最初見た時は何事かと思っちゃったよ(笑)。

これ、実際の春町の本に登場するキャラだったりするそうなww。江戸っ子だねぇ~。

このネタを持ってさっそく春町に行った蔦重と喜三二。春町は喜三二だけがくると思っていたからか蔦重を見ると嫌悪感を露にして立ち去ろうとしてしまいます。そんな彼に蔦重は「この先の江戸を描きませんか?誰も見たことがない100年先の江戸を」という案思を投げかける。それを聞いてピタリと足が止まった春町の頭の中にムクムクと色々な構想が湧き水のように溢れていく。そのなかに、あの”マゲ”キャラたちも含まれてるってわけですね(笑)。

心を動かされた春町ではありましたが、鶴屋に所属していたこともあって一旦話を断ってしまう。ところが蔦重は「鶴屋で描くのはどうです?俺は春町先生のそれが見れればいいのでどうぞ使ってください」と太っ腹発言をしてきた。
それでも頑なに「それでは盗人になるから別のものにやってもらえばいいだろう」と断る春町。なんと生真面目な!!でもメゲない蔦重は春町の過去作について熱弁して大絶賛。「ほかの誰でもない、春町が描く100年先の江戸を見てみたい」という言葉はとても激熱でしたねぇ。

演じてる流星くんが本当に春町の愛読者であるようなピュアな表情してるんですもの!!その台詞に嘘が全く感じられない。あんな顔で自分の作品を褒めちぎられたら…そりゃ、生真面目すぎて融通が利かない春町の気持ちも揺れてしまうよ。
自分の作品は”古い”と後ろ向き発言する彼にも「先生が描くのは100年先の江戸ですよ?」と優しく背中を押す。これはもう、鶴屋に不義理になったとしても蔦重のところで描きたいという欲に駆られてしまうのも納得です。そして、最後の喜三二が「鱗のダンナも春町先生の100年先の江戸の世界を見たいはず」という言葉が決め手になりましたね。彼の心の中でずっと引っかかっていたのは、義理を通してきた鱗形屋の存在だったと思うから。

※恋川春町作「無益委記」(国立国会図書館デジタルコレクション)

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その頃江戸城では、将軍・家治が体力の限界(?)を悟ってしまわれたご様子(汗)。最初は世継ぎをと頑張っていたようでしたが…、なかなかその気配もなくついに心が折れてしまったみたいで。っていうか、上様御執心の鶴姫の裏に誰か黒幕がいるのではということも勘ぐっちゃうんだよなぁ(苦笑)。それがあの人(治済)の筋だとしたら…、わざと子供ができないような細工とかしてそうで(震)。どうしても消えない、森下版『大奥』の治済w。あれが強烈すぎてどうにもww。

家治は江戸城に田沼を呼び、後継ぎを作るのはもう無理とギブアップ宣言。「夜更かししてしまって」と欠伸をしていた上様を見て安堵していた田沼からすればまさに青天の霹靂だったと思います(苦笑)。田沼は知保の方の自害未遂事件は謀から起こったことだと必死に熱弁し説得を図りますが、家治の決意は固い。知保の方への罪悪感や、亡き息子の嫁である種姫に対しての申し訳なさを拭うことは将軍には出来なかったようです。優しい上様だったんだねぇ…。

さらに家治は、自分の血を継ぐ跡取りが生まれることに対して恐怖も感じてきたと語りました。8代将軍の吉宗は健康で賢い次男や四男ではなく長男である家重に家督を譲りましたが、息子である自分の跡取り息子(家基)が謎の早逝を遂げてしまい、気が付けば9代将軍に選ばれなかった家重の弟筋にあたる一橋家のみが後継ぎ可能な健康男児を抱えている。そのことが家治の心の重荷となっていたのです。
それゆえ、上様は田沼にある提案をする。ひとつは養子をとり因縁を断ち切ること。血筋が濃くなければ無事に生き延びられるだろうと。そしてもうひとつは田沼たち忠臣たちを守り抜くこと。父の代から忠誠を誓い仕えてくれた者たちのことを家治は誰よりも大切に想っていました。だから、世継ぎを作ることよりも自分の側近として働いてくれる田沼たちの命がこれ以上脅かされないよう守ることに専念したいと。

ここまで熱く真っ直ぐ重臣を信頼してくれるとは…!!あんな熱い視線を注がれたら、そりゃ家臣冥利に尽きると思いますよ。意次が感極まり「この身を捧げ、終生上様にお仕えしたく存じます」と涙を流す気持ちは痛いほど分かる…!謙さんの本気の涙が激熱でめちゃめちゃグッとくるシーンでした。

同じ頃、蔦重のもとで描くことを決めた春町は意を決して鱗形屋の元を訪れ「すまぬが不義理をする!!」と頭を下げていました。この言葉を告げるまでの春町の葛藤があの所作から伝わってきましたねぇ。最後の最後まで彼は鱗形屋に義理を通したかったのだと思います。いい男だよ、春町先生!!
でも、当の鱗のダンナは内心「よっしゃ!!」って喜んじゃってたんですけどね(笑)。それを気づかれまいと本音を抑えて「何故あの盗人のところへ!!」と一喝する芝居を打つ。それまでの経緯を春町が知ってしまったら真面目な彼はまた悩んでしまうかもしれないと危惧しての気遣いでした。

その後、孫兵衛は蔦重の元を訪れ「今まですまなかった」と頭を下げ謝罪しました。本当は彼を恨むことは筋違いだと心では分かっていながらも、八つ当たりをしなければ気力がわかなくて辛く当たってしまったという。すべては自分の不徳の致すところと反省する孫兵衛に対し、蔦重は「俺だってあわよくば取って代わりたいと思ってたからお互い様だ」と笑みを浮かべました。

「お互い、やりたいようにやった。それだけです」

蔦重と鱗形屋がこうして素直に向き合って和解し笑い合える日をずっと待っていましたよ…。それがついに実現しただけで超胸アツ展開です、ここは(涙)。
鱗形屋は自らの失態で窮地に陥ってから何度も蔦重に対して毒づいてきましたが、心のどこかでは憎みきれない感情を持っていたのではとずっと感じていました。富本を争った時も、口ではキツイことをいいながらも憎しみの情までは感じなかったので。私は彼らの中にはずっと、二人で意気投合し合って本についての熱い想いを純粋に語り合った日のことが残っていたのではないかと思います。もっと早くに出会って協力体制にあれば、もしかしたら蔦重への裏切り行為も無かったかもしれない。だからいつか必ず和解してほしいとずっと思ってきたんですよね…。それだけに二人が再び穏かに語り合うシーンは思わず涙腺が緩んでしまった(涙)。

鱗形屋は最後に蔦重に「もらってほしいものがある」”塩売り文太”の版木を差し出しました。それは鱗形屋が昔出した赤本の一部で、火事で焼け残った1枚だけ残ったものだという。”絵草紙の始まり”ともいえる思い入れの深い版木を、青本を作るきっかけをくれた蔦重に譲ろうと決めた鱗形屋さんの想いが泣ける…。
さらに泣けるのはこの後のエピソードです。版木を手にした蔦重はそれを見つめながらポロポロと涙をこぼしていた。なぜなら、彼が生まれて初めて購入した赤本の版木だったから…。嬉しさのあまり裏表紙に自分の名前を書いたという。

あぁ、それって…、少年・唐丸と呼ばれていたあの時に幼馴染の少女・花の井を元気づけようと手渡したあの本…!!!花の井(瀬川)はそれをボロボロになるまでずっと手元に置いてましたよね。蔦重にとって初恋の記憶でもあり、あまりにも思い出深い忘れられない一冊。それが、実は鱗形屋から出版されたものだったとは…!!!

「俺にとってはこんなお宝ないです!これ以上ないお宝を、ありがとうございますっ!」

溢れる涙を拭いながら感謝する蔦重。その彼の涙を見て感極まる鱗形屋孫兵衛は、同じく涙をぬぐいながら「ウチの本読んだガキが本屋になるなんて、ビックリがしゃっくりすらぁ!!」と笑う。

こんなん、泣くしかないやろぉぉーーーーー(号泣)!!

二人の間には色々とわだかまりもあったけど、最後こんな素敵な和解エピソードで締めくくられて本当に良かったと思いました。歌麿が背中でその雰囲気を感じながらそっと微笑むシーンも泣けたな。

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後日、鱗形屋は素知らぬ顔で鶴屋と西村屋に会い春町を耕書堂に奪われたことの謝罪をします。彼らはまさか裏で耕書堂と結託していたことなど知る由もない。それを悟られないよう裏工作をしたうえで鱗形屋は日本橋を静かに去って行きました。蔦重は九郎助稲荷に鱗形屋のその後の成功を祈りました。
片岡愛之助さん、大河ドラマに何度か出演されていますが”生存”したまま退場するのが今回初めてだそうです。普段は関西言葉ではんなりお話しされる愛之助さんですが、江戸っ子言葉が本当に素晴らしかったですねぇ。存在感も大きかったのでこれでクランクアップというのは寂しいです。

神社で手を合わせる蔦重の後ろから誰袖が「わっちらの恋も上手くいきますように」と手を重ねてきました。かをりと呼ばれていた時代からずーーーーっと蔦重に片想いしている彼女。揺ぎ無く彼を追い続けているパワーは本当に凄い。しかし、このあと彼女から明かされた出来事には戦慄を覚えましたぜ!!
なんと、今際の際にある大文字屋さんを起こして事切れてしまう前に”蔦重と夫婦になるための証書”を書かせていたという(怖)。それによると、蔦重は500両で誰袖を身請けして妻にするということのよう…。えぇ!!そこまで行っちゃってたのか、誰袖の想いは。もはや可愛い恋愛の粋を越えてきてるな(汗)。

ところでこの、カボチャの親父様を無理やり起こして書かせるという場面…どこかで見覚えがあるww。真っ先に脳裏に浮かんだのは、『真田丸』で光秀と源次郎が無理やり秀吉に遺言書を書かせるシーン

誰袖の行動はまさにあの時のものと被って見えましたぜ、私には(笑)。

そんな彼女に震撼した蔦重が耕書堂に戻ってくると、次郎兵衛義兄さんたちが菊寿草という冊子を喜び勇んで手渡しに来る。そこにはこの年に出た青本がランキング形式で掲載されていた。鶴屋さんも呆れてたけど、大量の青本をすべて読んで番付にまとめるって…めっちゃ凄い熱意と労力がいる作業ですよね!?これをやってのけた人物こそ、太田南畝。次回から重要人物として登場するようなので楽しみです。
このランキング本によると…なんと、喜三二が”腎虚”の恐怖と葛藤しながら書いたww『見徳一炊夢』が極上上吉(今でいうところの最優秀賞作品に相当するそうな)と評されていた!!まぁさん大喜び!!蔦重もその場にいた皆と我がことのように歓喜する。こういうところなんだろうなぁ、蔦重の元で一緒にやりたいって思わせるものって。流星くんのピュアなお芝居が本当に良い!!次回も期待してます。

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